人生のおまけ~Collateral Beauty~
演劇企画イロトリドリノハナ
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2019/09/05 (木) ~ 2019/09/09 (月)公演終了
満足度★★★★★
コメディーとはまた違った面白味が随所に散りばめられ、殺人こそ起きないもののホームサスペンスの様な感覚でめちゃ楽しめました。
だってもし我が父が何を血迷ったか、どうにも怪しげな団体に情熱を注ぎ出したら、これはもう立派な大大大事件でしょ(笑)
定年退職後の生き方、親子・夫婦の関係性、ボランティア団体内での確執、微妙な男女の三角関係、強烈な親戚の登場!・・・何とも楽しみどころいっぱい、まさにひとつひとつのシーンを噛みしめながらの観劇となりました。
そしてまさかの回転セットで舞台の一角に喫茶店が出現!
暗転の中、薄っすらセットが回り出すのが見えると「おっ!喫茶店シーン、キターーー」
熟年世代、とても主人公の様な一本気さは真似できないにしろ、あんな可愛げある年の取り方が出来たらいいなぁ~としみじみ。
ただし別れた嫁さんがあんなイイ女になられちゃ、そこんとこはまぁ寂しいところだけれど(笑)
帰りには「ろくでなし」を思わず口ずさんでしまいます。
初日から千秋楽までいろいろと変化を遂げてきたらしい公演。
オヤジ♪さんは全公演をご覧になられた様だけれど、自分が観た千秋楽は順位を付けるとしたなら一体何番目なのだろう。
均一のクオリティーが保たれている公演も勿論良いけれど、生き物のように成長していく公演もまた面白い。
アリはフリスクを食べない
やしゃご
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/08/31 (土) ~ 2019/09/10 (火)公演終了
満足度★★★★★
アゴラ劇場に生活感の滲み出たリアルなアパート部屋が出現。
そこに暮らすのは知的障害者の兄と、その弟。
時には和やかで時には気まずく、時には賑やかで時には「えぇっ!!」
そこには幾つもの日常が息づいていて、まさにリアルofリアルの空間世界。
とは言っても例えば人様の部屋をじ~っと日々観察したところで、こんなにも感情を揺さぶられる事はないわけで・・・
これが演劇の生み出す魅せるテクニックというやつか。
哀しく切ないのだけれど溜息が漏れる程に「う~ん凄い!」つまりはパーフェクトだと思えました。
赤と黒のオセロ
ウィークエンドシアター
ARISE 舞の館(東京都)
2019/08/31 (土) ~ 2019/09/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
今日はちょっと寝不足、しまったなぁ~と思いつつ公演へと向かう事になったのですが会場「ARISE 舞の館」に入ると一気にシャキーン!となるものですね(笑)
悪態をつく女死刑囚と、彼女の冤罪を訴えるジャーナリスト。
絶対ネタバレさせたくないので内容には一切触れられませんが、腕に覚えのある役者さんなら間違いなく切望するであろう魅力的な二つの役どころ。
私が拝見できたのは星川桂さん&奥村啓介さんコンビの回でしたが、もう2度とこのコンビでこの作品を観ることはできないのかと思うと・・・それが儚い。
おそらく厳選の組み合わせ。
他のコンビ回を観ていたとしても、きっと同じ儚さを感じてしまうのでしょう。
公演時間は55分、もう1秒1秒の味わい深さがす~んごく濃厚。
1秒1秒の重みが全く違って感じられました。
程よい空調、座席のパーソナルスペースがゆったり居心地良く、時間的にトイレの心配は全く無いものだから安心の面持ちでアイスコーヒーを頂きつつ、まさに目の前で繰り広げられる迫力満点な芝居に引き込まれていく贅沢さ。
こんな至福の時があるでしょうか(笑)
眠気など もはや完全に吹っ飛び、今はただひたすら今日の公演で体感してきた素晴らしき戦慄の時間を繰り返し繰り返し思い返していたいです。
それにしてもウィークエンドシアターさんって一体いくつの再演価値ある優良作品を所有しているのだ?
ドラえもん?(笑)
ドリーマーズ
劇団YAKAN
高田馬場ラビネスト(東京都)
2019/08/30 (金) ~ 2019/09/01 (日)公演終了
満足度★★★★
冒頭から人を惹きつける魅力があり、夢をモチーフにしたストーリー枠の中で思う存分遊びまわっているかの様な大胆さが良かったです。
どんな人にお薦めかと考えるに、役者さんの知人・友人の方々になるのでしょうか。
役にしっかりなり切った演技は普段とはまた違った勇姿に映るでしょうし、観客を楽しませようとする気概も充分伝わってきます。
舞台上に知り合いがいない者としては、コメディー色の強い作風に勿論楽しめる部分はあったのですが、笑いの方に寄り過ぎた演出とも思え、トータルとしてはちょっと物足りなく感じた部分も。
途中流れが変わる等、ストーリーの工夫こそあれ、個人的には「笑い」+「α」の「α」の部分に、もっとボリュームを持たせてもらうとより楽しめた公演だったように思えました。
ENDLESS-挑戦!
劇団銅鑼
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2019/08/27 (火) ~ 2019/09/01 (日)公演終了
満足度★★★★
実在する会社に取材を重ねての物語として楽しむと、とても希望の持てる作品。
近隣住民からは反対運動を起こされ、従業員からは不満たらたら。
近隣住民の不安は良く分かるし、かと言ってそう高くもない賃金に加えて悪者扱いされたんじゃあ従業員もたまったもんじゃない。
まさに八方塞がりの女社長。
産業廃棄物事業・・・数々の問題と打開策、業界モノとして産廃に対しての興味も大いに沸きましたが、どうやら本作の目玉は「働く者達の姿」
故に業種こそ違っても特にブルーカラーとされる職種の方に是非観てもらいたいと思える公演でありました。
導入部は特殊な業種ゆえの状況説明が台詞に課せられて、どこか不自然。
新入社員役の方が新人だからこその目線で良いナビゲートをされていたので、その説明的な部分も併せて担ってもらえば、冒頭はもっと自然な台詞回しになったのではないか。
女社長の挑戦を実現させるシビアな部分をより深く理解するには、更に具体的な産廃の情報が欲しい。
などの欲が湧いてくるのですが、それはこれからの更なる挑戦、今目の前にある仕事の意義を積極的に考える大切さを知らしめてくれる、より素晴らしい作品へと成長していく期待を持てるからこその欲だとも思えました。
開演前に当日パンフ(立派な無料パンフ!)の用語解説を読んでおく事をお勧めします。
親の顔が見たい
Art-Loving
ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)
2019/08/22 (木) ~ 2019/08/24 (土)公演終了
満足度★★★★★
渾身の千秋楽、観てきました!えぇもう素晴らしい公演でした。
会場出口のドアさえ開かなければ、いつまでも拍手が鳴りやまない程の勢い。
スタンディングオベーションをされていた方々の気持ちもよく分かります。
いじめが疑われる生徒の親と学校側の揺れ動く1時間55分。
学校が舞台とはいえ、これは社会生活を営む者すべてに当てはまり突き刺さるであろう内容。
演劇ファンならずともリアルで人間臭い光景に自然と引き込まれ、やがて考えさせられる・・・現実としっかり繋がっている様な時間がそこには流れていました。
学校に呼び出されたのは自殺した女生徒の遺書で名指しされていたクラスメートの親達。
父・母・祖父・祖母、それぞれの人柄が如実に表れた言動がとても興味深く、どんなにみっともなかろうが我が娘を守りたい親心は皆一緒である事を思いっきり見せつけられます。
学校サイドの対応姿勢が現実レベル(これはこれで悩ましい)に真っ当な分、より親達の心の内がハッキリ浮彫りとなって、これは共感と言ってしまっていいのだろうか、思わず被害者側の哀しみに対しての配慮が霞んでいく様な感覚に。
その為か最初のうちこそ思わず噴き出してしまうくらいの余裕があったのですが、後半はもう居た堪れない程の緊迫感。
会場全体が固唾をのんで事の成り行きを見守っている状態に。
「学校が悪いのか?教師が悪いのか?親が悪いのか?」その難しい答えのヒントは、もう時すでに遅しの顛末から透けて見える過去の日常の中にいくつも転がっていたのだと気づかされます。
出演者の13人中、7人が現役学校教師との事。
本業の役者さんがこちらの7人に寄せていた様子もなく、むしろ迫真の演技でぶつかっていたのに対して全く引けを感じさせない彼等の自然で堂々たる演技。
意義だけではなく、もう完全な表現者、現役教師だなんて言われなければ全く分かりませんでした。
千年ユニコーン
東京演劇アンサンブル
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2019/08/21 (水) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
両親が離婚、引きこもり気味の女子高校生アンが導いてくれる世界は現実逃避にも受け取れるものの、中々に甘美で魅力的。
いじめられていた少年、ノアの方舟に選ばれなかった者たち、ユニコーン・・・個人的には『かいじゅうたちのいるところ』をどこか彷彿させ、そのあまりの居心地良さに、このままずっとこの世界を漂っているのも悪くないなぁと思えてくる反面、影を落とした彼女の不安・心の傷が舞台をとんでもない暗黒の世界へと変貌させていくのではないかという焦燥感もしっかり隣り合わせに。
若い役者さんが中心の舞台。
それぞれのキャラクターが繊細に現実と溶け合っていくように演じられ、多感期・・・若者の不安定でファンタジーな心の内が、美術や音楽そして演劇特有の表現、もう総動員にて色鮮やかに表現されていたと思います。
瀬戸の花嫁 再再演
ものづくり計画
ザ・ポケット(東京都)
2019/08/21 (水) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
前回再演で受けた感動、その記憶もまだ色あせていないというのに観てきました本作、再再演。
良かった!
役者さんが大幅に入れ替わった新鮮さを楽しく味わいつつも、抜群の安定感はさすがの再再演。
そして島人達から溢れ出る生命力もしっかり健在で喜ばしい限りでした。
もはやこの作品、『集団お見合いエンターテイメント』の金字塔と称しても過言ではないのでは。
「我が島に花嫁候補がやって来る!」浮足立った集団心理の妙。生で伝わってくる高揚感に、アチャ~ッやっちゃいましたね(笑)感、シーン毎の掛け合いの間が絶妙すぎて可笑しいったらありゃしない!です。
テレビをつければ報復だの煽りだの気が滅入るニュースばかりですが、一般市民たるもの本作のように生きた方が絶対幸せになれるのになぁと思える帰り道でした。
KAIDAN
劇団カンタービレ
ウッディシアター中目黒(東京都)
2019/08/14 (水) ~ 2019/08/18 (日)公演終了
満足度★★★★
観劇後には何故か笑顔になっている怪談ストーリー。
今年の夏は帰省日程をずらす事にしたものの、本公演にてほんのり田舎に帰ってきた様な気分に浸れました。
どこか懐かしくて日本情緒漂うメインストーリー・・・どっこいそれだけで済まないのがカンタービレワールド。
まさかのジャパニーズゴーストバスターズ!?怪談コメディーにてリミックス。
光と音も妖しく誘導。
各々のテイスト(世界観)が混ざり合っていく美味。
今回はガッツリ笑って泣けて、というよりもふんわり笑って泣ける奥ゆかしい作風に仕上がっていたかなぁというのが総合的な感想です。
もはやカンタービレさんには勝手を知り尽くした劇場「ウッディシアター中目黒」といったところなのでしょう、名物「場面転換」の手際にも磨きがかかってホントにお見事、こうなると次のシーンはどんなセットに入れ替わっているのかも見どころです。
公演ごとに内容こそ変わっても、独自の様式美が確立されているので観ていて安心。
安心。と言いつつも「今回はどんな舞台?」と開幕した景色にいきなり意表を突かれたり、思わぬところでヒャッ!となったり、油断大敵、楽しくも涼しい夏のひと時を過ごせました。
TIME
まんざらでもねぇ
Geki地下Liberty(東京都)
2019/08/10 (土) ~ 2019/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★
「コント芸術人」・・・確かに言い得て妙!確かに上手いネーミングだと思いました。
笑いだけではなくグリム童話風なパートもあったりで描かれる世界観も多彩。
マジックを取り入れた漫才の掛け合いは、既に「手品&漫才」スタイルでご活躍の芸人さんも存在しているので珍しくはないものの、「手品&コント&演劇」が融合したパートはおそらく「まんざらでもねぇ」さんだけ、新鮮でした。
手を替え品を替え、たった二人っきりで2時間の舞台をフルに楽しませる力量はよく考えたら(よく考えなくても)凄い事ではないかと。
兄弟コンビ。兄が肉体派で弟が知性派といった感じか。
内容的に男女供楽しめる公演でしたが両者ともルックスが良いので露出が増えれば増える程、女性人気が上がりそう。
見た目が爽やかキャラなのでもっと内容の毒味を強くしても全然OK、良く分からないジャンルではあるけれど腐女子向けのパートがあっても受け入れられそう・・・ここでの兄弟間というのは結構な付加価値ではないだろうか(笑)是非研究を。
満足度は★5ですが、これから表現の幅や奥行(手品テクニックも含めて)はもっと伸びていきそうなので★はひとつだけ次回に取っておきたいです。
PEACH MAN!?
コルバタ
新宿スターフィールド(東京都)
2019/08/08 (木) ~ 2019/08/12 (月)公演終了
満足度★★★★
入場前、地階から漏れ聞こえてくる円陣の掛け声は爆発級(笑)
自ずと高まる期待を裏切らない初日パワー炸裂の舞台でした。
内容的には『桃太郎』をそのまま丸ごとアレンジしたのではなく、『桃太郎』のシチュエーションが重なっていく風のファンタジーエンターテイメント。
パンフでは「物凄く日本国に似ているところで起きた物語」となっていても、しっかり「日本」と言っちゃってるほか、設定の自由奔放さが笑えます。
拝見したのは女性主役の「ゆうぞら」バージョン、なるほどこれなら桃太郎が女性でも違和感なしだなぁと。
面白おかしいオンリーではなく、心の闇とのコントラストが印象的。
個人的には二つの古くゆかしきアメリカのSFホラー映画を彷彿させ、それぞれの映画で象徴的だった登場人物が劇中にも登場しているように解釈したのですが、これを演じている役者さんもまた同様に象徴的な位置づけで、とても良い味を出していました。
(具体的な映画名はネタバレに該当するのでネタバレBOXにて)
『桃太郎』といえばお供してくれる犬、猿、キジ。
猿は最初から既に分かりやすいものの(⇐身体能力の高さにビックリ)犬とキジは意外なところから選出。
なんやかんやで段々と『桃太郎』スタイルになっていくのが面白く、
いわゆる「鬼」サイドの世界観が「桃太郎」サイドと同等に描かれていたのも良かったと思いました。
『怪人二十面相』
サファリ・P
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/08/01 (木) ~ 2019/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★
思い出すのは自作自演の探偵団ごっこも懐かしい、ポプラ社『少年探偵団』シリーズに魅了された小学生の頃。
そしてシリーズ全巻を読みつくし、その勢いで文庫本にまで手を伸ばして、いきなり危ない香りのするエロティシズムをどこまで理解していたのは定かではないが(笑)乱歩ワールドへの更なる深みに.。
その時に頭に広がっていたビジュアルイメージは自分だけのモノであって決して具体的なカタチで見る事はできないのは重々承知ながらも、どうにも惹かれてしまうのが乱歩の世界。
でもっての本作。
「子供の頃、誰もがワクワクしながらページをめくったあの興奮はそのままに」の謳い文句に対して・・・確かに、なんか分かる!どこか共鳴できる!
ビジュアルイメージは劇団さんに一任するとして、素晴らしいと思ったのが何とも形容し難い妖しく美しい駆け引き渦巻くワクワクミステリアスワールド。
怪人二十面相の人物像は「謎」と「闇」が一層増して大人バージョンといった趣であり、ちょっとだけ登場する少年探偵団の微妙な存在感も絶妙。
本来書籍では相交わらない作品同志(子供向け作品と大人向け作品)のエッセンスが不思議な構成力で・・・正攻法のストーリー表現では決して体感できない世界観がまさに唯一無二で魅力的でした。
ずっと大人になってから『怪人二十面相』をこんな風に美味しく咀嚼できるなんて、やっぱり生きていると得するものだなぁと(笑)
ナツ。キタル。ホタル。
tYphoon一家 (たいふーんいっか)
ザムザ阿佐谷(東京都)
2019/08/01 (木) ~ 2019/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★
ご縁あって前日のAチームに引き続きBチームも観劇。
チーム別公演でリピートの場合は、あえて同じチームを選択するのが今までの常だったので、同じ役でもこんなに見え方が変わるものなのか!という面白味がとても新鮮でした。
しかもAとB、違ったタイプの役者さんが演じられているので、記憶のまだ新しいAチームと照らし合わせて、どっちが好みかパート別に勝手にジャッジしたりして、勝手を知っているだけに余裕を持った楽しみ方が・・・ともあれラストシーンはどちらもイイ。
ナツ。キタル。ホタル。
tYphoon一家 (たいふーんいっか)
ザムザ阿佐谷(東京都)
2019/08/01 (木) ~ 2019/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★
やっと梅雨明けしたばかりの今、観るべくタイミングがまさにピッタリ。
照りつける太陽。海。イベント。夕立。夏の夜。縁日。ホタル。・・・・創り手の夏大好き感が心地良く伝わってきます。
4日間4つのエピソード、それは観る人それぞれが自身の胸に手を当てれば、それぞれにこみ上げてくるエピソードでもあり・・・
ほろ苦くも何か起きそうな夏の情緒に包まれて、始まったばかりの夏にウェルカムのスイッチが入った夜となりました。
Vol.1「Beautiful Losers」
劇団マリーシア兄弟
Geki地下Liberty(東京都)
2019/07/25 (木) ~ 2019/07/28 (日)公演終了
満足度★★★★
アイドル合同コンサート、舞台はその担当マネージャー達専用控室。
出入りするのはマネージャーの他にもプロデューサーに芸能事務所社長などなど沢山いたのだけれど、本作の台風の目玉的存在は演劇演出家。
彼が劇中で語る作品創りに対しての見解は、これからのマリーシア兄弟さん自身が目指す処の意思表示として受け取れるのでした。
今回は客演も迎えての特別企画第一弾、更には将来に向けて女性キャスト14名の募集も開始。
何か大きく変わろうとしている気配が。
再演 マインドファクトリー~丸める者たち~
かわいいコンビニ店員 飯田さん
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2019/07/24 (水) ~ 2019/07/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
ダイレクトに「体罰」に切り込んだ作品。なので、精神的に辛くなるのを覚悟していましたが、とても客観的な目線で鑑賞できました。
「辛くならなかった」=「刺さらなかった」というわけでは無く、それは自分自身が既に社会に出ていて、体罰教師の内面が透けて見えたからであり、大人に対しての畏怖の念よりも「コノヤロー」的なツッコミ感情の方が勝っていたからだと思えます。
ただ過去に強烈な「体罰」の経験がある方には、やられる側の内面表現も鮮やかに痛々しく、やはりキツイ作品ではありそうです。
野球部監督は確かにキリッとしていて外部から見ればいかにも評判良さげな人物。
しかし裏の顔は現在ならSNSで拡散されて一発アウトのタイプ。
加えて部員に対しての言い方・論調が本当にあざとくて腹立たしいったらありゃしない。
この人物像の絶妙なリアルさは、きっと実在したモデルの復元描写力だろうと推測します。
田舎町、世間からの英雄視というバリアに守られた野球部内での恐怖政治。
だからと言って作品が陰湿なイメージに支配されていなかったのは高校生たちの精神的・肉体的ダメージに対しての回復力と青い狡猾さ・・・若さ特有の生命力もしっかり描かれていたからでしょう。
そういう意味では観ていると多少威圧する事の必要性も感じてしまうのですから、正しい教育とは本当に難しいものだと実感します。
ねずみの亡骸を抱いた猫
フェルフェン
ひつじ座(東京都)
2019/07/23 (火) ~ 2019/07/28 (日)公演終了
満足度★★★★
少年と少女の逃避行。
本編とファンタジーの世界(猫とネズミのオリジナル童話)がリンクして世界観がグッと拡がっていきます。
「母親殺し」「失踪した父親」「過去から逃げる少年」「詐欺や盗みを生業とする少女」「やさぐれたジャーナリスト」
親から、そして世間から見捨てられた孤独感溢れるストーリーである一方、冒険者の様なワクワク感も・・・そのワクワク感が哀しみをより引き立ててもいるのだけれど。
観る側に寄り添った芝居・演出と言えば良いのか、少々荒削りな部分も感じましたが淀みなく引き込まれました。
当日パンフを読むと作者さん自身を投影した作品でもあるような記述があり、それを踏まえると更に感慨深い思いが。
創作者というのは不幸を知っている者の方が、より琴線に触れる物語を紡ぐ事ができるのかも と思えたりします。
律儀な強盗犯
ウィークエンドシアター
ARISE 舞の館(東京都)
2019/07/06 (土) ~ 2019/07/21 (日)公演終了
満足度★★★★
新宿駅から会場へ。
目的地は歌舞伎町、そう向かうは午後のまだ日が高い歌舞伎町。
開いた扉の奥からアウトレイジさながらの室内が見えてしまったり、ホストと女性客が道中で妙なやり取りをしていたりと、会場に辿り着くまでに深夜ドラマさながらの非日常世界が展開。
この会場の座席につくまでに純粋な土地柄パワーだけで既に浮世離れしたモードになれるのは、図らずも地の利と言えるのではないかと(笑)
そうして始まった犯罪の匂いがする導入部も、何だかしっくりくるのでした。
ウィークエンドシアターさんの公演はこれで3度目、今回もとても面白く拝見させて頂きました。
ただ物足りなかったと思う部分も。
最初に拝見した作品では観客は結婚式参列者としてのお祝いモード。
2度目は拉致された男女を壁の外から眺めている様な背徳感。
拝見した過去2作は会場の様式を存分に活かした演出で、何というか演者と観客との間にハッキリと共有感、共犯感が発生し「観客の存在にも意味がある」とも言える他には無い魅力が詰まっていたのですが・・・今回はその部分が弱かったのではないかと。
客いじりとは全く違う舞台との共有感、共犯感。
これが無いと「普通の面白い舞台」であって、本来のウィークエンドシアターさんじゃない!・・・と思ってしまうのでした。
「普通の面白い舞台」じゃダメなんですか?・・・はい、願わくばウィークエンドシアターさんにはその上をいって欲しい。
砂の家族
SYOMIN'S
シアター711(東京都)
2019/07/17 (水) ~ 2019/07/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
入場時、舞台セットに目を向けてちょっと侘しさを感じるもフ~ンてなもんで全く心配などしない。
何故ならこの公演、役者陣が滅茶苦茶豪華版だから。
舞台の醍醐味のひとつは何と言っても色々な人の生き様を生々しくも心ゆくまで味わえる事。
戦争で何もかも失ったマイナスから人生スタートの絆強い3人。
移り行く時代の中を生き抜く事ができてこそ拡がっていく哀しみと喜び。
人の強さ、弱さ、美しさ、醜さ・・・舞台に心預けて思いっきり堪能できました。
「相棒」の山中崇史さんがこんなにも骨太な舞台役者だったとは知らなかった。
百戦練磨の役者さんに混ざって若い役者さんもしっかり巧い!
フライヤーは舞台を鑑賞後、改めて見るとしみじみしてくるヤツ。
かぐや姫と菊五郎
骸骨ストリッパー
武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)
2019/07/11 (木) ~ 2019/07/15 (月)公演終了
満足度★★★★★
『かぐや姫』の物語にオリジナル登場人物が加わり、日本昔ばなしがアクションシーンたっぷりのTheエンターテイメント作品に大変身。
衣装のクオリティーが高く、着物&ミニスカ&網タイツ、どうやったらひとつにできるの?的奇抜な衣装が超カッコイイ。
その他にも随所で盛り上げてくる音響、眩くもドッ派手な攻めの照明、小演劇の域を超えたゴージャス感が様々な演出によって醸し出されていました。
役者さん達もそれらに応えるべく若さ炸裂で頑張っておられましたが、これだけバックグラウンドが強力であれば本来の演技に加えてオーラというか「強烈な個性」の欲求度もグッと上がってくると感じてしまったのも確か。
個人的には盗賊団の紅一点クジャナ役の方は目力も強く、惹きつけられる存在感でした。
あと、豪快な衣装チェンジの盗賊団お頭・・・なんで盗賊団ばっか(笑)
良い土壌の中、役者さん達には今後も各々の輝きに磨きをかけての活躍に期待します。
ここまでエンターテイメントへのこだわりがビシバシ感じられる公演なのに歌が生歌でなかったのにはどこか違和感が。
星は、それでもクオリティーの高かった総合的な完成度に