ビューティフル・サンデイ
株式会社REVIVE
六本木トリコロールシアター(東京都)
2024/07/25 (木) ~ 2024/08/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
タイトルや設定の妙からてっきり海外作品なのかと思いきや、しっかり日本の作品
なので主張のぶつかり合い、その言動の端々から日本人ならではのユーモアを感じ取る事が出来てめっちゃ面白かった
それにしてもこれっていつ頃の設定なのだろうと思っていたところ、何気に出てきたユーミンの話題から20年以上前だと判明
こういう何気ない会話から色々情報が付随してくるのも面白い
ゲイカップルの生活に女性が転がり込むという、ちょっと変化球の恋愛コメディー
その転がり込む女性役の美弥るりかさんは「さすが宝塚の男役!」と言うべきか、多少のお下品さや生々しい部分もことごとく上質な笑いに転換
ゲイカップルとの平和な抗争や友好のトライアングルで存分に笑い和んだ後にドロッと流れ出る黒い部分はたっぷりと笑い和んでいただけにドキッとする
かなり特殊な関係性であっても“人との繋がり”に思うところは誰もが共通するところであり大いに感情移入できる良作でありました
ナイロン100℃ 49th SESSION 「江戸時代の思い出」
ナイロン100℃
本多劇場(東京都)
2024/06/22 (土) ~ 2024/07/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ナイロン100℃では珍しい時代劇(というか初めて?) それくらいしか事前情報が無いままの観劇でしたが、実際これを「あらすじ」として表現するのは至難の業、絶え間なく溢れ出す湧き水みたい
ただひたすら豊富なオモシロの流れを楽しむのみ
ケラさん独特の台詞の妙味(可笑しく人を腐す語り口は逸品)
観客をどう楽しませようか常にアンテナを張っているのだろうなぁと思わせる演出
それを全身から面白臭が放たれている役者陣オンパレードで演じられるのだから“最強”としか言いようがない
正味3時間、次から次へとよくもまあ、ず~っと笑いっぱなしでお腹いっぱいになりました
帰って来た蛍
カートエンターテイメント
俳優座劇場(東京都)
2024/06/29 (土) ~ 2024/07/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
自分が出撃する「その日」を待つ特攻隊員
彼等が集う食堂を舞台にした物語
食堂から回り舞台で陸軍基地を舞台としたシーンと交互に物語は展開し、遂に迎える「その日」
死ぬことを義務付けられた特攻隊員達から母のように慕われた女将
軍指定の食堂とはいえ軍需産業的な旨味など全然無く、逆に身を削った彼等への心尽くしの行為で難癖を付けられてしまうというのが余りにも理不尽
観客には若い方も多く、戦時中の実話をもとに実直に創られたシーンのひとつひとつを噛みしめるように共有できる貴重な舞台であったと思う
頂くのが申し訳ないと思うくらい立派なパンフレットはとても良い記念に
【延期公演開催】エアスイミング
演劇企画イロトリドリノハナ
小劇場B1(東京都)
2024/07/04 (木) ~ 2024/07/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
なぜこの程度の事で「触法精神病施設」なる施設に幽閉されなければならないのか
なぜ家族は娘がこの様な目にあっているのを長期にわたって容認しているのか
それらの背景まで深掘りすれば、とてつもなく話は膨らんでいき、実際観終わった後には彼女達のキャラクターや台詞の端々から推測や憶測がいくらでも湧いてくる
そういった意味で目にした以上の情報、問題提起に富んだ作品
実際に舞台上で描かれるのは施設に収監された二人の女性(ペルセポネーとドーラ)の長期にわたる風呂場掃除タイムでの交流シーン
収監歴ではペルセポネー(森下知香さん)より2年先輩となるドーラ(室田百恵さん)はきっと社会に出ていれば並みの男以上に社会貢献できそうな頼もしい女性
お嬢様育ちで現状把握さえちゃんとできていないペルセポネー(天然が入っていてユーモラス)の良きアドバイザーであり良き話し相手
一見楽しげな会話シーンの連続でありながら、この病院ではろくな治療行為も行われず閉じ込めっぱなしである事がハッキリ炙り出される光景でもある
やがて二人が編み出した別の名前になって繰り広げられる現実とは別の世界
そこにはもはや恋愛欲求や食欲など入り込まず、ひたすら“憧憬”に特化されていくようで何とも切なく、時には狂気が混ざり込んだ美しさで妖しく輝いて見える
“相互依存”という状況は悪い意味で使われる事の方が多いけれど“相互依存”がなければきっとこの二人は廃人になっていたに違いない
後半 気の遠くなる様な50年を経て、彼女達がどの様に変貌していったのかは必見
お二人の女優魂を存分に味わい、その後の人生に思いを馳せ、前に述べた「実際観終わった後には彼女達のキャラクターや台詞の端々から推測や憶測がいくらでも湧いてくる」に繋がっていくのでした
迷子
WItching Banquet
Half Moon Hall(東京都)
2024/06/27 (木) ~ 2024/07/03 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
元々はタモリと同じく「日本人がミュージカルなんて」などという偏見を持っていたというのに幾つもの段階を経て、やがてドハマりするほどの日本人ミュージカル俳優公演とも出逢って久しいのだけれど、まさか一般日本人の人生模様とミュージカルがここまで自然に融合するレベルにまで向上していたなんて!と、素直に驚いてしまう
多重介護を余儀なくされた青年と一人の女性(この女性もある問題を抱えている)の出逢い
息が詰まるほど重い題材でありながら、時にはしっとり抒情的に、時にはエンターテイメント性抜群の躍動感で楽しませるなんて、なんという異色作!そしてなんという傑作!としか言いようがない
ドラマ的にもテーマ(介護問題)と真摯に向き合った内容
過剰な表現でなくとも、精神障害を取り巻く避けがたい混乱や(充分な)介護というものがどんなに難しい事なのか鮮やかに伝わってくる
加えてこの難題を乗り切るための芯みたいなものを差し込む事も忘れていない
下北沢の民家エリアに位置する今回の会場、ハーフムーンホール
ひっそりとした洋館の佇まい、地下に降りていくと素敵アート空間が拡がっていてビックリ
天井も高く閉塞感は感じないし 照明、音響の設備も完全に備わって空調も程よく効いて快適
とても丁寧に創られた上質な公演に合い相応しい会場だったと思う
舞台スペースもたっぷり(両サイドで奏でるプレイヤーの見せ方も小粋)
生演奏と歌唱、まるで夕陽が差し込む中、柔らかい風が流れていった様でした
(金木犀sideを観劇)
1123GO8
!ll nut up fam
萬劇場(東京都)
2024/06/26 (水) ~ 2024/06/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
人間の死生観を管理するという何とも目新しい世界
天使と悪魔、それぞれのコミュニティーが存在するも、天使側の政治の方がぐらついており悪魔よりダークな匂いがするという意外な展開
唯一の人間となる主人公には華やかさとリーダー性があるので、入り込んでしまったこのヘンテコな世界をガンガン引っ掻き回して欲しかったもけれど、最初は宙ぶらりんな状態であったのがちょっと勿体無かったかなぁと(重要な立ち位置ではある)
バナナマンを彷彿させる天使&童顔の天使の二人組が筆頭になって笑いを誘発
ケレン味たっぷりの見せ場が随所に用意されてバラエティーに富んだ舞台
導かれた結末で作品の主張部分に共感できたけれど、もう一段深みが加わればもっと良かった
野球
エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ・Office ENDLESS・DisGOONie
天王洲 銀河劇場(東京都)
2024/06/22 (土) ~ 2024/06/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
タイトルがズバリ「野球」とあるだけに丸々一試合描かれるプレイシーンの表現力が素晴らしい!
グラウンドとなる舞台はいわゆる八百屋舞台
その傾斜があるおかげで絶妙な遠近感(奥行)と臨場感が生まれ、しかも様々なアングルで見せてくれるものだからその都度目を見張ってしまう
キャスティングから鑑みても若い女性客が中心で、会場中にすすり泣きが拡がっていくのは必然というものだけれど、これって一番涙腺が崩壊してしまうのは思わず我が子を登場人物に重ねてしまう母親(父親)世代ではないかと
ゴツプロ!第九回公演『無頼の女房』
ゴツプロ!
本多劇場(東京都)
2024/06/06 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
昭和23年の日本、武骨で破天荒な男達
作家だから、というエクスキューズがあったとしても現代の作家さんはもうちょっとスマートに生きているのではないかと
それでも強烈な生き方に惹きつけられるが故に実在した作家さんを描いた作品には名作が多く、本作も唯一無二の傑作
熱い血の流れる演技をされるゴツプロさんと脚本との相性がとても良かった
笑いに溢れた舞台であったけれど、皆が必死に生きている姿そのものであり決してコメディー的な笑いでは無い事がポイント
作家たちの壮絶な生き様に加えて腰の低い編集者たちも中々の狸
とても一般人が入り込める隙などないのだけれど、どうにも惹きつけられる男達、女達
そう!3名の女優さんが出演されていますが三者三様の立場で凄く良い味が滲み出ていて作品に何とも言えない深みが
ずっと受け継がれた伝統料理みたいに日本人に合った味覚で心に深く染み込み、後に複雑な苦味が広がる大人の舞台でした
静かにしないで
TAAC
シアター711(東京都)
2024/05/24 (金) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
舞台はデリバリー専門の飲食店調理場
使い込まれた感ある本物と遜色ない調理場セットは水道もガスコンロも使える
実際、調理が始まって良い匂いまでしてきたのには驚いたけれど、何より描かれるやり取りが真に迫ってリアル
兄弟二人で営む飲食店
最終営業日の焦燥感、それでも淡々としたひとコマから色んな事が伝わってくる兄弟モードに浸っていたところ、Uber配達員がやって来た事で空気が一変
この配達員との絡みで発生する空気感というのは公演回によって微妙に異なってくるのだと思う(実際アフタートークでもその様な話が)
自分の観た回ではハラハラする緊張感、固唾を飲んで見入ったけれど、別の回ではクスッとした笑いが出る日もあったのではないかと
どっちが良いとかでなく、受け手の観客が発する空気とか役者さんの瞬発力で変わってくる「ガチに生ものだなぁ」という舞台の魅力を感じることができたのがとても良かったと思う
家族(人)と向き合うにことに対して様々に考えさせられる内容が実に深い
現実ならここは見てはいけないと配慮してしまうシーンも配達員(高畑裕太さん)がバッキバキの目で凝視、しかも深入りしていくものだから、こちらも思わず凝視してしまうという構図
障害者の弟(永嶋柊吾さん)と兄(小林リュージュさん)双方の痛み、その表現力が凄い
大変な事だと思う。それでも・・・どこか清々しいラストに力が湧いてきました
ピテカントロプス・エレクトス
劇団あはひ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2024/05/24 (金) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
東京芸術劇場シアターイーストってこんなにレイアウト自由な劇場だったのか!と入ってみてビックリ
壁際の四方向全てに座席が配置された囲み舞台
どこが正面?ヒントになるものは舞台上に無いのだけれど、心配ご無用
どの座席列も正面、どこに座っても平等に鑑賞できます
(お目当ての役者さんがいる場合、その役者さんがどのラインの席に座れば好みの角度で観られるのかスタッフさんに聞いてみても良いのかもしれません)
さかさまのテミス
友池創作プロジェクト
駅前劇場(東京都)
2024/05/22 (水) ~ 2024/05/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
やっぱり芸人さんの手掛ける舞台は独特なエンターテイメントへのこだわりが感じられ、その性格も反映されている様で独特な目線、世界観が面白い
登場人物達のインパクトある言動や軽快なやり取りは本来コメディーとして機能するはず
しかし、そのキャラ達のおかげでどんどん人の良い主人公が追い込まれていくものだからとても笑っている場合ではない
結果、コメディー性よりもドラマ性の方が圧倒的に強い異色作に
出版界という業界モノとしての楽しみ方もあり、これに近い経験をした人にしか出来ないのではないかと思える描写世界
映画化の案件、いろんな思惑が飛び交う面倒な世界である事が主人公目線で熱をもって伝わってきました
ビジュアル面でも優れた役者さんが多く、非常に近しく役者さんを感じられる劇場での公演なので、何と言うか お得感あり
物販と終演後の面会がセットになっているのは駅前劇場では珍しく、そこが残念と感じるお客さんがおられてもおかしくないものの、これがシアターサンモールとかであれば割と普通に感じられるので悩ましいところ
団地ング・ヒーロー
コケズンバ
サンモールスタジオ(東京都)
2024/05/21 (火) ~ 2024/05/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
地味な作業服の登場であっても「あっこの人が元ヒーローのオジサンだ!」と一瞬で分かる
なぜなら公演ページにもあるフライヤーデザインを見ているから(笑)
実際に観るまでは過去にどんな活躍をしてきたヒーローなのか、今回の事件で一体何が起きたのか色々分からない所ではあるけれど(⇐ここはしっかり観てのお楽しみの部分)予想していたというか期待していた通りに、すっかりオジサンになってしまった元ヒーローのアイロニーや哀愁で思いっきり楽しませてくれました
声が何故か元仮面ライダー1号 藤岡弘さんの声と似ているのも妙に可笑しく味のある元ヒーロー
急遽、初日の回だけ団地の住人役のお一人が出演できなくなり、飯島タクさんが代役になるとの前説があってビックリしましたが、本当に本当の急遽だったみたい
こういうピンチに、困ったぞ!な部分はスパイスくらいのチョイ見せ、それを逆手に取って笑いに転換してやろうという心意気は本当に生きる勉強になります
劇団さんの歴史の中で語り草になるであろう公演回
語り草になり得るのは観客の拍手が鳴り響く最後まで、一致団結でやり遂げられたからこそ
主催 穴吹一朗さんが役柄としてMC的な役割も担っており大奮闘、代役の飯島タクさんを追い詰めるという暴挙に出ていました(笑)
実際の水面下ではかなり大変だったであろうと想像しますが、観客としてはただただ楽しんでしまうばかりで本当にありがたい
明日からは本来のメンバーでの公演(だと思う)
毎回ちょとずつ違った表情を見せてくれそうなタイプの舞台
間違いなく明日からもしっかり楽しめます
親の顔が見たい
diamond-Z
日本橋公会堂ホール「日本橋劇場」(東京都)
2024/05/16 (木) ~ 2024/05/18 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
今まで身の周りで中学生の自殺事件が起こった事こそ無いけれど、普段 通りかかっている学校内で、こんなやり取りが実際にあっても全くおかしくないなぁと思わせる説得力
日常生活の延長線上な世界観は、やはり日常生活で関わりのありそうな雰囲気ある役者さん達の揃ったdiamond-Zさんにはとても合っている
穏便に暮らしていて突然この様な事件に直面したら
「これは何かの間違い、うちは関係ない!」・・・そう思いたい気持ちは痛いほど分かる
だからこそ目が離せない
本当にいろんな親の“顔”を見る事ができます
味わい深い役者さん達、台詞が自身の役に沁み込んだ“言葉”としてもう一段自然に発せられたなら、味わいはより一層深まったと思う
こどもの一生
あるいはエナメルの目をもつ乙女
王子小劇場(東京都)
2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
王子小劇場があらゆる意味でパルコ劇場仕様になっていてビックリ!
こだわりが感じられるセットは想像力を掻き立てられ、開演までの間いくらでも見ていられるし、いざ始まってみれば衣装、音響、照明、本当に細かいところまで並々ならぬ美意識が張り巡らされている
もっと大きな劇場でも充分通用する それら予算度外視の心意気もさることながら、全く引けを取らない役者さんの力量がこれまた
今回の「こどもの一生」という脚本の良さが存分に活きるためには、これだけの怪演、パワーとテクニックが必要なのでしょうが、それにしても何と言うかゴージャス!
思わず演劇界が大いに盛り上がっていた頃に戻った感覚に
コロチキ・ナダルが言うニュアンスの「イっちゃってる」感じに笑いも起き、めっちゃ破天荒な世界観は暴力的で破廉恥
それでいて美しさも感じられるのだから何とも不思議な世界
狂乱へと転がり落ちていく展開、深層心理に訴えてくる様な恐怖、最後に訪れるカタルシスに酔いしれました
『緋色の研究』『四つの署名』
東映
サンシャイン劇場(東京都)
2024/05/02 (木) ~ 2024/05/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「四つの署名」を観劇
広い洋館の一室、ソファーには名探偵ホームズとワトソン
てっきり二人の回想録で物語を紡いでいくものかと思っていたら、次々登場してくる人物達も全てこのお二人で演じ分けていくという
場面転換も変幻自在、リーディング公演の自由度を大いに活かしながら、海外ミステリー独特の世界観をみるみるうちに創り上げていくテクニックには驚かされました
ストーリー的には雰囲気美人な印象でしたが、莫大な利権の匂い、浮かび上がってくるきな臭い人物達、段々と立ちのぼってくるおどろおどろしい空気感にはゾクゾクさせられます
ルードウィヒ・B
プロデュースNOTE/アーツイノベーター・ジャパン
東京オペラシティ・コンサートホール:タケミツメモリアル(東京都)
2024/05/07 (火) ~ 2024/05/07 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
個人的にクラッシックコンサートは わざと眠気を引き起こそうとしているのではないかと勘ぐってしまうくらい睡魔との戦いになるので苦手なのですが、今回の様なエンターテイメント性高いコンサートとなると話は全く別
交響楽団が音色で心を揺さぶってくるとしたら田代万里生さんや井上玲音さんの歌声が加わるとギュッと心を鷲掴みにしてくる感じ
ラストの合唱付き交響曲第9番に至っては魅了の音色を鳴らす無数のミツバチが身体の周りを飛び回っているよう、そこにベートーヴェン役 田代さんの演技も加わって・・・この分野には明るくないのですが、交響楽団の演奏にも演出入っていましたよね、それとも感情の昂りが音色に乗り移ったのか、まさに狂乱の歓喜
鳴りやむことない力強い拍手とスタンディングオベーション
芸術の“春”堪能できました
恋と呼ぶには気持ち悪い
株式会社ジェイステイツ
ヒューリックホール東京(東京都)
2024/04/26 (金) ~ 2024/05/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
同タイトル少女漫画の舞台化
当日パンフとしてはかなり珍しく、コミックの冒頭ページが掲載されたものを頂け、それがそのまま舞台の冒頭シーンに
学園のマドンナ、というわけでもない主人公少女(乃木坂・柴田柚菜さん)が、もうめっちゃモテまくる(笑)
めっちゃモテるのだけれど、あざと女子とはかけ離れたキャラゆえ嫌味は全くなく、振り払っても猛然とアプローチして来る年上エリートサラリーマンと奥ゆかしい同級生、その間で揺れ動く女子高生を
クールな立ち位置でサポートする彼女の親友でありエリートサラリーマンの妹(NMB・滝本弥生さん)と共に好演
主人公にモテが一極集中する構造は、読者が感情移入しやすい少女漫画らしさ満載、そもそもラブコメ自体が本当に久しぶりだったのですが、これが結構面白かったなぁと
漫画なら普通の手法でも演劇ではめったにやらない「心の中」をハッキリ見せる演出が新鮮で、これなら観劇デビューの人にも消化不良ゼロで楽しめる
トライアル 2024
A.R.P
小劇場B1(東京都)
2024/04/24 (水) ~ 2024/04/29 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
Team B 千秋楽を観劇
謎に包まれたカリスマアーティストの謎の死
容疑者は熱狂的なファンの女
というシチュエーションであれば「その現場を舞台にした方が面白そう!」というのが普通の発想だけれど、舞台上に集まっているのは裁判官と裁判員制度で選ばれた素人(民間)の人達
つまりは審議の場、殺人現場で何が起こったのかを皆で推測し合い、最終的には(その場にはいない)被告人に対して判決を下すわけで、これが実際の現場のシーンよりも100倍面白い!
シリアスな殺人事件も、まずはこの裁判員たちの手にかかると庶民感覚満載になってしまうのだからめっちゃ可笑しい
裁判官の仕切りもあって、渋々ディスカッションを始める裁判員たちではあるが、だんだんとそれぞれの考え方というか個性が浮き出し始め、お互い衝突と共感を重ねながら事件の真相に近づいていってしまうという
謎解きとコメディーが絶妙に入り混じった面白さがもうたまりません
名作「十二人の怒れる男」がモチーフになっているのは明らかとしても、事件の特殊性と意外性、審議を制御しようとする3人の裁判官の存在、何より日本人の感性にピッタリ合った個性が絡まり合う面白味など エンターテイメント性が増し増しになっているので「断然こっちの方が好き!」という人はきっと多いに違いない
絶望という名のカナリア
甲斐ファクトリー
小劇場 楽園(東京都)
2024/04/23 (火) ~ 2024/04/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
最初はTPOに合わせて笑うのを我慢していましたが、やがて同じ思いをしていたであろう忍び笑いが耐え切れずにあちこちから
あぁ~これで少しは解放できる、それにしてもブラックでずるいなぁ(笑)
何より役者さんの等身大な感じの演技がとても心地よい
自虐が入った女優さんに対しても「等身大」というのは失礼な話だけれど、いやホントそんなスピリッツも素敵でした
当事者には全く見えていないけれど、観客には見えてくる彼等の“鳥かご”
がんじがらめの“鳥かご”は当の本人の思考や行動が材料になっている事を興味深く体感できる公演
第10回記念公演、拝見するのはまだ3回目が言うのも何ですが、甲斐ファクトリーさんの真骨頂キターーーーという思いがしました
何故に甲斐ファクトリーさんの描かれる“闇”がこんなに魅惑的なのか
日常生活の中で存在は知っていても、危険な香りがしてとても近づけない世界
そこを覗き見できる魅力というのもありますが、その磁場から派生する偏った価値観
当人がそれを絶対だとこだわるほどに”闇”は甘美に広がっていくよう
心の震えは恐怖なのか歓喜なのかもはや見分けられない
先に「とても近づけない世界」と書いたけれど、それは本当にさりげなく日常に入り込んでくる場合もありそうで自分だけは安全圏にいるとは決して言い切れず
その立場になれば”闇”の中で陶酔し、冷静な判断はすっかり消え去り、自ら破滅の方へと進んでいくのではないかと想像できてしまうのにはゾクッとしてしまいます
エピソードの絡み方、個々の存在感、観客目線の移させ方、象徴のように置かれた鳥かごと主人公の絡み方、どれもが素晴らしかったです
ピーチボーイズ
Peachboys
シアター711(東京都)
2024/04/23 (火) ~ 2024/04/29 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
前説(開演時間から始まる)では初見さんも安心のPeachboysの楽しみ方レクチャーが
これがあるから昔からのファンも初見者も垣根のないスタートを切れるのだと思う
自分にとっては何度目かの前説、それでもめっちゃ笑える!もはや名人芸の域
この前説も観収めなのかと思うと早くも目頭が熱くなってくる、ヤバい
充分に会場が温まった頃合いで本編がスタート
演劇界の下ネタ部門&著名人いじくり部門は間違いなくトップクラス
童貞3人組がやたら壮大なスケール観で下ネタな事件に巻き込まれていく”幹”の部分は鉄板としても豊富な”実”の部分は新しく練られているので、もう目まぐるしく可笑しい
矢継ぎ早な笑いだけでなく絶妙に間を取った笑いや、じわっと湧いてくる笑い、アドリブを活かした笑いなど、笑いのバリエーションも随分と増えた様
ここでの客演、自劇団でシリアス系やしっとりした演技で活躍されている役者さんがどんなにはっちゃけていても全く問題無し
もはや本人と結びつかないくらいイメージがかけ離れているから(笑)
観ている方も笑いだけでなく「うわ~っ」とか「ギャ~っ」とか声まで出てしまうけれど全く問題無し
会場中が一体となってそんなだから(笑)
ツッコミや掛け声まで飛び出してえらく楽しい!
そして珍しく舞台裏話も・・・「あぁこの公演がラストかぁ~」という複雑な感情と笑いがない交ぜになってこみ上げてくる
遂に迎えたLAST GIGSのエンディング、もう最高のスペシャルエンディングでした
この壮大なる一連を生の感動と笑いで是非
自分にとっての初Peachboysは弟が田舎から遊びに来た際、どうしても下北沢の小劇場体験をさせてやりたくて当時の公演中から選んだもの
たまたま知っている劇団さんが無かったので、まさにフライヤー買い
弟にとっては衝撃的な観劇デビューとなり「小劇場はすごい!何より生き様がすごい!やっぱ東京すごい!」と興奮しきりでしたが、自分にしても桁外れのパワフルさ、会場の熱気に驚いたものでした
その後も小劇場では異例のロングラン公演時には下北の街頭で劇団の方々が一生懸命に宣伝活動されており、ぜひとも浜田艦長から“プロミスいいね”を送ってもらいたい光景だったなぁと
幾つもの記憶に残る活動を本当にありがとうございました