丘の上、ねむのき産婦人科
DULL-COLORED POP
ザ・スズナリ(東京都)
2021/08/11 (水) ~ 2021/08/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
Aキャストを観劇
ねむのき産婦人科に集う人々。
ねむのき産婦人科を舞台に複数の夫婦やカップルのやり取りが同時進行で行われるのかと思っていたら、エピソードごとに場面(各自宅が舞台である事が多い)が分かれていたので非常に観やすかったです。
描かれるのは7組、ボリューム満点。
単純に短編が7つ。というのとは違って、こちらのカップルの直面している問題が別の夫婦ではそれとは対極と言える悩みに苦しんでいたりする皮肉さなど相まって微妙に絡み合っていたように思えるし、総括的なラストパートも印象的でした。
男性は妊娠できないのだから、どうしても女性の気持ち(生理的な事も含めて)が理解できない。というもどかしさに時には笑えたりするもヒリヒリする痛みを感じる方が圧倒的に多くて
それでもお互い歩み寄ろうとする気持ちが延長線上に・・・
コロナ禍をひと時忘れて、妊娠をテーマに舞台上で生きる人々の人生に想いを馳せる、そんな時間を頂きました。
ハリモトホタルと賢太の石
ノーコンタクツ
萬劇場(東京都)
2021/08/05 (木) ~ 2021/08/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
「ハリポタ」のエッセンスを何気にちゃっかり取り入れつつ繰り広げられるのは小劇場オリジナル版エンターテインメント。
丸眼鏡をかけたハリモトホタルの顔つきが映画版の主人公と本当にどことなく似ているのがご愛嬌。
しょっぱなからハリモトホタルと健太の掛け合いが絶妙でもって、魔法界に突入してからもこのコンビネーションの良さはしっかりキープ!さすがです。
健太がことごとくみそっかすな立ち位置なのも笑いを誘い(健太の設定は本作品のオリジナル)
この二人に対抗すべく強力キャラが魔法学校、魔族etcそこかしこに配役されているのも楽しかったです。
ノーコンタクツ公演は今回初めてでしたが、事前にYouTubeにて活動休止等の背景を視聴していたものだから笑いにも更なる味わい深さが。
人によっては舞台裏って見聞きしたくない方もいらっしゃるかもしれませんが私には感慨深かった。
エンターテインメント作品であり、同時に劇団・役者という生き様のドキュメンタリーだったと思え、ずっと心に残る作品になると思います。
明日ー1945年8月8日・長崎(2020年@シアターX)
演劇企画イロトリドリノハナ
シアターX(東京都)
2020/09/03 (木) ~ 2020/09/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
ウイズコロナならぬウイズ戦争の中を生きる人々。
オヤジ♪さん、ハンダラさんの感想にもあるように初演と比べて演出が、より丁寧に、より深く描かれていたと私も思いました。
それでもって役者さんが大幅に変わったことで、
初演でのシリアス感強めな雰囲気が、これまた一変。
親しみやすい空気感多めになっていたと思います。
Aチームを拝見し、間をあけてのBチームを観劇。
自分的にはこれが大正解!
1回目の観劇では全体像を把握。
2回目ではダブルキャストの醸し出す違いを楽しむのは勿論。
何より、決して難しいストーリーではないにしろ、人間関係の機微や政治的不安要素など、演出においては様々なニュアンスが随所に散りばめられているので、見落としのあったこれらを発見、なるほど!と噛みしめながら鑑賞できるっていうのはこの公演ならではの至福。
う~ん、観察力、洞察力がもっと達者であれば1度の観劇で済むのでしょうが(笑)
ラストに向けての追い込みが圧巻!
時を超えた愛の歌
劇団 FISH STORY’S
「劇」小劇場(東京都)
2020/04/01 (水) ~ 2020/04/05 (日)公演終了
ちょっとシュールな笑いをまとったタイムトラベル歌謡史。
自分の“歌”を課題に、過去の日本を彷徨う若い主人公兄妹の初々しさ。
これ以上無いくらいの安全対策もさることながら、
顔で笑って(笑わせて)、心で泣いて・・・自分にはとても真似できそうにない、FISH STORY’Sさんの生き様そのものがグレート。
辛い時こそ笑顔を。しっかり心に刻みました。
夜だけがともだち
倉山の試み
小劇場 楽園(東京都)
2020/03/25 (水) ~ 2020/03/31 (火)公演終了
満足度★★★★★
夏の夜、一人暮らしの若い男の部屋に女が転がり込んできたのなら、即日艶っぽい空気が生まれそうなものの、う~んこれじゃ~ね(笑)
その後の展開で艶っぽい空気になるのかどうかは・・・
ストーリーというよりも、これはもう“日々”ではないかと
「女」の登場を起点に「彼」が過ごし「彼」の人間関係も微妙に動き出した“日々”
その日々はどこか面倒で哀しくて、そしてめちゃ可笑しくて、時には「マジでっ!」の驚きもあり、それらのひとつひとつを一緒に共有できた気が。
太陽が降り注ぐような若さばかりがアオハルとは限らなく、月光のような優しい輝きも充分に眩しい。
“孤独”というエネルギーが惹きつけるのか、日を重ねるごとに引き寄せられ、感情が前のめりになってしまう人間模様が素晴らしい。
生活香る超リアル部屋のセットもさることながら、料理シーンがいくつかあり、実際に調理しているので、ほんのり良い匂いが客席まで。
一緒に食べられる訳ではないけれど、紛れもなく彼等と同じ空間にいる実感がくすぐったくて、何というか、とても嬉しいと思えました。
コオロギからの手紙
映像劇団テンアンツ
「劇」小劇場(東京都)
2020/03/25 (水) ~ 2020/03/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
フライヤーの雰囲気そのままに、古き良き任侠映画を生舞台で体感してきたかの様。
さながら任侠映画から役者さんがそのまま抜け出してきたかの如く、かと思えば漫画から抜け出したようなタバコ屋の婆さんや艶やかなパンパンガールにオモシロ刑事!
とても書ききれないけど中には金子昇さんも加わってやたら贅沢な面白さ。
実質的には人情喜劇の要素が散らばって、もうひたすら笑ってしまうのだけれど、やっぱり描かれるはヤクザの世界。
安定の可笑しさにしっかりと紛れ込んだ不安定な幸せの行方。
「あ~っこのままじゃ泣かされる」と一応堪えようとしたものの、言葉を積み重ねられると「もう無理っ」
しっかり泣かされてしまったのでした。
笑かすのも泣かすのも全力。
自分の座った下手側の席、黒幕で見えない舞台奥の換気扇音が聞こえますが一定音なのでほぼ気にならず。
その代わり常に新鮮な空気の流れが。
その他にも、安心且つ快適に観劇できるようにも全力を尽くす劇団さんの気概がしっかり伝わってくる舞台でした。
世界で一番頼りにならないスーパースター
劇団ボンボヤージュ!
APOCシアター(東京都)
2020/03/20 (金) ~ 2020/03/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
全編に亘ってミュージカルナンバーに溢れているのだけれど劇団サイドの主張は、あくまでミュージカルではないと。
どこかで聴いた事がありそうなメロディー(笑)にはストーリーに沿ったオリジナルの歌詞が(上方モニターでは、ちゃんと流れに合わせて字幕を映し出す徹底ぶり)
帝国劇場ばりの…とは言わないけれど、妙に小賢しい迫力と完成度が余計に笑いを誘うシステム。
ここに怪しい企業や宗教、政治家なんかが絡んできて何とも香ばしく素敵なハーモニー(笑)
悪に切り込む某踊る系刑事の面々がめちゃ可笑しい!
それでもっての本流はラブストーリー(?)
高級料理ではないけれどジャンクフードの超最上級品といった感じ。
十二夜【一部公演中止(3/6-3/9、3/11-19、3/31)】
ワタナベエンターテインメント
本多劇場(東京都)
2020/03/06 (金) ~ 2020/03/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
日ごとに公演中止日の延長を泣く泣く決断されてきた という様子でしたが、やっと(本当にやっと!)お披露目できる日を迎えられ、役者さん達の演じる事の喜びがビシバシ伝わってくる舞台でした。
有名なシェイクスピアの作品でありながら個人的には今まで観た事の無かった演目。
初めての「十二夜」との出会いが、この公演で本当に良かった。
綺麗どころ、道化者、熱血漢・・・とにかく芸達者な登場人物のバラエティー豊かさたるや・・・もうめちゃ贅沢。
女性役を男性の役者さんが演じられているのも、この勢いなら全然OK、何でもアリ(というか実際近距離で見ても違和感なしにマジキレイなのにはビックリ)
原作に笑いのテイストを散りばめて、
盛り沢山な内容なので、個人的にはシェイクスピに馴染みのない方はある程度あらすじを知ったうえ観にいくのがお薦めかと思いました。
灰になる
演劇企画集団Jr.5(ジュニアファイブ)
小劇場B1(東京都)
2020/03/18 (水) ~ 2020/03/26 (木)公演終了
満足度★★★★★
シリアスと可笑し味が入り混じった冒頭で掴みはOK。
シリアスの成分は「貧困」と「アイデンティティ」
生活保護を受け続け、己の人生を嘆く男の物語。
姜暢雄さん出演の公演はいくつか観ているはずでも、ここまでガッツリな演技を拝見したのは初めてかも。
しっかりした役者さんに囲まれてダメ男を熱演。
ルックスは良いし立派な体格をしているのに、トホホな在り様が何とも難儀やなぁと。
他の生活保護受給者を見渡せば、いずれもそれぞれに難儀やなぁ ではあるのだけれど。
客観的に見ているつもりが、いつの間にか光の見えない出口探しを一緒にしている感覚にもなってきて、いろいろと考えさせられました。
ご時世とはいえジュニアファイブさんの公演としては有り得ないほどゆったりした客席の間隔。
おかげでゆったり贅沢に観られたのは皮肉な事で、内容の出来を鑑みると非常に勿体ない。
ゆうめいの座標軸
ゆうめい
こまばアゴラ劇場(東京都)
2020/03/04 (水) ~ 2020/03/16 (月)公演終了
満足度★★★★★
『弟兄』を観劇。
学生時代に受けたいじめの一連はほぼ実話なのでしょうが、ちょっとすっとぼけた感じの作者(主人公)の主観性と他者への客観性のバランス配分のおかげで、とても観やすい自分史エンターテインメントに。
いじめの筆頭は何だか学生時代より現在の方が忌々しく映ったのだけれど、対峙する作者が(なかなか癒えない傷を負いながらも)大人になって精神的な武器もいろいろ身につけているので、そこが何とも小気味良い。
「親友」ではなく「弟兄」か・・・
転んでもタダでは起きない感じが好きかも。
「帽子と預言者」 「鳥が鳴き止む時-占領下のラマッラ-」
名取事務所
「劇」小劇場(東京都)
2020/02/20 (木) ~ 2020/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
「帽子と預言者」
個人的には奇怪なSF作品的な楽しみ方ができたなと。
本来なら「う~ん」と唸り、途中で挫折してしまいそうな戯曲だったと思うのだけれど、様々な視覚的効果と音響、そして観る者を惹きつける演技三昧で彩られると、こんなにも楽しめる舞台になるのだなぁと別の意味で唸ってしまいます。
独特にアクの強い素材。
それを奇妙だけれど妙に美味しい、インパクトある料理に仕上げた様な舞台だったと思えました。
「鳥が鳴き止む時-占領下のラマッラ-」
私事として「帽子と預言者」で燃え尽きてしまったのが少々残念なところでしたが、全く違ったテイストの作品。
両作品を通して、なるほど演劇通の固定客がしっかりついてきてくれる劇団さんなのだと大いに納得できました。
ハンパなく見応えあり。
ほつれる、闇
演劇企画集団LondonPANDA
小劇場 楽園(東京都)
2020/02/14 (金) ~ 2020/02/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
猛スピードで交差点に突っ込んだ男。
それは事故だったのか、それとも故意だったのか。
あらすじ紹介での最後の一文「判決の瞬間、被疑者が小さく嗤った。」
これってもう観せる前から堂々とネタバレしているのでは…と思ったのですが、全く予想外のアプローチが襲ってきて戦慄が走りました。
むしろ堂々としていたのは演技。
モノクローム(特に白)にこだわった美術、あえて僅かしか耳に届かない効果音、どれもが観客の意識という意識を全て役者さんの演技に集中させる為の演出だったのではないかと思え、ましてやすごい至近距離、声、表情、所作 全てがダイレクトに届き響いてきます。
被疑者が殺人犯なのか否かを突き詰めたい。という引き込まれから、やがて皮を一枚ずつ剥がしていくような人間の内面描写に魅了。
独特な構造をした劇場「楽園」の使い方が、この場所でしかできない遊び心、画期的だったところも面白いと思いました。
どさくさ
劇団あはひ
本多劇場(東京都)
2020/02/12 (水) ~ 2020/02/16 (日)公演終了
満足度★★★★
なるほど、落語が下地となった作風。と感じると共に、スマホや現代ファッション&若者特有の透明感ある作品。
青春ミステリーならぬ青春怪談といった趣があり、だんだん生と死の境目が曖昧になってきて不思議に物哀しい。
日本の古典様式の香り、全体的にゆったりな台詞回しはとても咀嚼しやすいものの、睡眠不足の状態で観に行かれる方は要注意。
その日のアフタートークで「半分夢見心地で観ても面白いのでは」的なお話しがあり、うん確かに!と思ったものの加減が難しそう(笑)
1時間15分。ちょっと食い足りない気がしたけれど、時折の静寂を破る三味線の生演奏がマッチした独特の世界。
どこか浮世離れした空間に身を置き、集中して楽しめました。
だめだこりゃの王国
劇団KEYBOARD
小劇場 楽園(東京都)
2020/02/05 (水) ~ 2020/02/12 (水)公演終了
満足度★★★★★
パステル調のお部屋に流れてくるのはオルゴール調のメロディー。
そこに住む(棲む)女性のリア充っぷりたるや
…などと一瞬思わせといて、引きこもり部屋での夢の中でありました。
身も蓋もない現実との落差から滲み出る面白味を噛みしめながら、どんどん観進めていましたが、実は“夢の中の世界”と“現実の世界”との間には強い因果関係が…
う~ん実際にありそうなお話し。
夢(妄想)と現実、両サイドからのアプローチで、主人公女性の内面が立体的に浮かび上がってくる構造がとても面白かったです。
主人公を取り巻く全ての人物の立ち位置、登場する順番・タイミングまでもが実に巧妙に創られていると思いました。
トタン屋根でスキップ
ここ風
シアター711(東京都)
2020/02/05 (水) ~ 2020/02/11 (火)公演終了
満足度★★★★★
イイ感じに年季の入った喫茶店。
「あそこの窓際席あたりでゆったりお茶したいなぁ~」っていう感じで開演前、ひとしきり見入ってしまう。
幕が開くとそんな居心地良さげな舞台に相ふさわしい人達のやり取りが…
開演前に思い描いた“ゆったり”って感じではありませんでしたが(笑)可笑しい場面、哀しい場面、いつだって根底には“温かい人の心”が。
ジンワリ癒され、自然と琴線に触れてきます。
関西弁と常連さんと古い傷。
寒い季節にピッタリ、心の芯まで温かくなってくる作品でした。
さりげなく背景や人物に溶け込むよう考え抜かれたであろうスタイリング、衣装も要チェックです。
第13回公演 明日花ーあしたばなー
日穏-bion-
「劇」小劇場(東京都)
2020/01/29 (水) ~ 2020/02/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
打ち上げ花火は綺麗だけれども何とも儚い。
哀しみしかもたらさない戦争を背後に、懸命に生きる人々の人生が、その花火の儚さ、更には激しさとリンクしていくように思えた人情ドラマ。
個人的に日中、何かと頭の忙しかった観劇日。
非常に集中しにくい精神状態ではあったのだけれど、自然な芝居の流れは非常に優しくて乗り心地が良く、遂には目頭が熱くなってくるのでした。
かつて同劇場にて大泣きで拝見した東京セレソンデラックスさんの初見公演を何故だか懐かしく思い出していました。
狭間の轍 【東京公演】
ゴツプロ!
本多劇場(東京都)
2020/01/24 (金) ~ 2020/02/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
舞台の上手高場にて三味線と尺八の生演奏。
これがめちゃカッコいい演奏であったり、時にはドンチャラ宴会のお供になったり、男衆の眠る夜のとばりになったりで大活躍、全ての音響を担って舞台は独特の空間に。
“笑い”には円熟味、ますます男臭さに磨きがかかったゴツプロさん。
この作品で、またひとつ極まった様に思えました。
喧嘩っ早く荒々しい漁師の男達。
食えない輩にして、その一人一人が逸材。
最初のうちこそ笑ったりしていたものの、描かれるは命懸けの過酷な世界。
時代の残酷さも絡み合ったあまりの厳しさ、ギリギリに張り詰めた空気、鬼気迫る演技…圧巻!としか言いようがありません。
身が引き締まる思いで劇場を後にしました。
家族と呼ばないで ~I can't say it enough~
GENKI Produce
ブディストホール(東京都)
2020/01/29 (水) ~ 2020/02/02 (日)公演終了
満足度★★★★
時は披露宴パーティー直前。
式場の綺麗な控室で、仲良さげにやり取りしている若い二人。
実に和やか、イイ感じだったのが開始僅か3分ほどで、えっ!ななっ意外な展開。
あぁ、そういうこと!・・・そう来たかっ(笑)
早々のスイッチONに、もうここから笑いっぱなし。
刻一刻、突き進むストーリーと各自の状況にて醸し出される演技の妙味。
いつの間にか責められる身となっているお父さんの立ち位置が、もう絶妙。
どんどんこんがらがっていく珍事態には罪のない笑いが沢山。
予想外だった“ちょっとお下品”は爆笑を誘う鉄板技でしょう(笑)
最後にはモロに弱いところを突かれて、思わずもらい泣き。
良い時間&幸せのおすそ分け、頂きました。
『どんとゆけ』
渡辺源四郎商店
こまばアゴラ劇場(東京都)
2020/01/25 (土) ~ 2020/01/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
前にもう一方の同時公演『だけど涙が出ちゃう』を観劇したおかげの相乗効果がめちゃ大きかった!
既に架空の法律「死刑員制度」に対しての免疫(?)が出来ているというか、勝手もよ~く分かっているだけに、本作での登場人物の心情がとても汲み取りやすい。
『だけど涙が出ちゃう』では被害者の子供、当時まだ女子高生だった彼女が、こんな風な大人の女性となって本作に関わっているのだと思うと、何とも複雑に感慨深い。
執行案内役の保安員は地元青森出身の職員に変わっていて、その違いからくる影響も大きく、緊張感と日常的な緩みのバランスがこれまた絶妙。
「こんな残酷な制度が現実に成立するなんて…」という思いは一旦据え置いて、本制度のルールに基づき進行する出来事からポロポロこぼれ落ちてくる登場人物達の心の内をひとつひとつ拾い上げながら、改めて人が人を裁く行為、つまりは真の正解など見つからない迷宮の中を彷徨い歩く、そんな世界観を存分に楽しむ事ができました。
Brand Blend #2
新中野ワニズホール ( Waniz Hall )
新中野ワニズホール ( Waniz Hall )(東京都)
2020/01/24 (金) ~ 2020/01/26 (日)公演終了
満足度★★★★
二人芝居×3作品。
同じ6名が出演する公演であっても、ひとつの90分作品の場合に比べて、30分×3、かなり集中して役者さん一人一人の演技を楽しめるところが良い。
それだけに演じられる役者さんもプレッシャーだろうし、
限られた時間枠、速攻で作中に引き込まなければならないプレッシャーもあると思うのだけれど・・・気持ちいいほど軽快に面白かった。
30分がこんなに早いものかと
「ダイナマイト佐竹くん」
大手ヘイベックス株式会社に単独売り込みに来たロックンローラー、ダイナマイト佐竹くん。
対応する事になったのは腹に一物ありの女性社員。
自分大好き有り余る売り込みの攻防戦に、こちらもついついその実力とやらを聴いてみたいと・・・
「あの釣り堀の日にはもう」
釣り堀にて肩を並べる父と息子。
なのだけれど…本当の状況が徐々に鮮明になっていくグラデーションに引き込まれます。
30分のやり取りにギュッと濃縮された人生ドラマ。
「僕は作詞家になりたい」
まさかの、またもや単独売り込みモノ!
今度は作詞家志望。そして、やっぱり自分大好き(笑)
キャラ(役者さん)が変われば面白味も変わる・・・新鮮に笑えます。
どの作品も随所に笑いを散りばめながら、「生き様」の断片が見えるようになっているからの上質感。