戸惑いの午后の惨事
ゲッコーパレード
旧加藤家住宅(埼玉県)
2016/06/24 (金) ~ 2016/06/29 (水)公演終了
満足度★★★
戯曲の再提示という役目か
竹内銃一郎の戯曲は高校生の頃読んでいた。あまり引かれなかった。
今回の戯曲も80年代になってからの60年代70年代的な生々流転、社会環境の激変の余波のようなものがじんわり描かれていたが、これが大傑作だろうか。地味な印象。コント赤信号の不良コントに見えた。コント赤信号から時代を読み取れたらそっちのほうが高級だろう。舞台装置の使い方は良かった。家屋というより半野外劇的な解釈のほうがいい。
水滸(みずのほとり)譚 ―― ある水辺から
野戦之月海筆子
明治大学 和泉キャンパス 第一校舎(東京都)
2016/06/04 (土) ~ 2016/06/04 (土)公演終了
満足度★★★★
後半の幾つかの挿話が凄い
中国系の俳優二人と丸川教授のヌッポン人の三人のシーンの後半は明らかに破綻していたが、ばらちずこ氏の韓国の女性の一人語りと沢山の骨を打ち砕くシーンは凄かった。朗誦・強弱・情念的な演技。その拠って立つ場所の理由。
部屋と絵と、江東と、私と
錦鯉タッタ
アートスペース.Kiten(キテン)(東陽町)(東京都)
2016/04/03 (日) ~ 2016/04/03 (日)公演終了
満足度★★★
ヤみだ川のほとり
独房に閉じ込められた過激派テロ犯の囚人。馬のマスク。老婆の様な恰好の若い女。執拗な「ヤ族」の一人語り、絵画の勝手な解釈と当然出てくるおかしなほころび。《ファウスト》朗誦と幼児のおしゃべりテープが重なる。関東大震災当時の事件。キューティーハニー。/.../ 絵画が言うほど良くない。強力な演劇の方法論があらためて確認できた、という感触。
『幕があれへん』
みやしろ演劇パーティ/平原演劇祭プロデュース
南多摩中等学校 3階 特別講義室(東京都)
2016/04/17 (日) ~ 2016/04/17 (日)公演終了
満足度★★★★
笑劇
--中野守『ピロシキ』。......医者と患者ものの笑劇。
--高野竜『煙草の無害について』。......チェーホフ《煙草の害について》の上演にあたっての演劇部員のディスカッションと珍アイディア。ブリコラージュ精神の発揮。高野戯曲らしいたくましさ。/.../ 始まりは小さい子供も母親もいる観客層に、予備知識なしてチェーホフの戯曲の細部についての考察のお話しでハラハラしたが、軽妙なやり取りと、鋭くはっとする指摘に引き込まれる(嗅ぎタバコか、巻きタバコか。何故口髭を剃ったのか。高校演劇に煙草が出てくる是非。少子化時代の演劇部などなど)。
--高野竜『ねと ☆ ぼん』(『煙草の無害について』第二幕)。......BC級映画ネタの漫才形式で進行。爆笑間違いなしの芝居。トラッシュ映画《死霊の盆踊り(Orgy of the Dead)》と蔦屋代官山店とネット民の行動あれこれ。空飛ぶスパゲティモンスター教団(Pastafarianism, Flying Spaghetti Monsterism)。......だだしティム・バートンの映画《エド・ウッド》(1994) 公開時前後の宣伝に載せられすぎかとも。
---エド・ウッド代表作の《Plan 9 from Outer Space》は失笑もののひどさなりに見どころはある。テレビ界の初期作品のあれこれに似ている。同時期の特撮映画のものまねなのだが、もっと古い時代の何かの演芸形式におかしな程こだわっているのだろうか。
地震・流言・レイシスト
大谷蛮天門 (「演劇無宿」)
planB(東京都)
2016/03/05 (土) ~ 2016/03/06 (日)公演終了
満足度★★★★
暴力と国家への洞察
--過去の事件とヘイトスピーチの現状から、暴力と国家の起源にお話しを飛躍させる。『東京戦争』の後継作。主人公の老齢ぶりも進んだ。新展開としては、関東大震災の朝鮮労働者虐殺事件の背景に「赤池濃」という人物をクローズアップさせた。古代文明を母系社会の上に乗っかって居座ったものと見る「大谷史観」も明確になってきた。未婚シングルマザー・ひばりの巣のパフオーマンス。/.../ 初演から「桃太郎」のくだりが整理された。
アンティゴネー
ゲッコーパレード
旧加藤家住宅(埼玉県)
2016/04/15 (金) ~ 2016/04/20 (水)公演終了
満足度★★★
初見
Gecko:やもり。蕨の中古住宅(築40年)の畳と障子をはがして作った小劇場。住宅を改造した劇場は、札幌、八戸、福井にもある。劇場でない環境で上演する芝居も結構ある(ご存知)。座席部分が小さく十人程度しか入れない。スツール。庭の見える半野外。4人の俳優。若干入れ替わり。韻文風の朗誦科白。普通の科白。歌。即興風の軽口・歌謡曲の歌詞。背広に簡素なドレス、ハイヒール。1時間に圧縮。「王子」と「姫」の一人二役に皮肉な意図があったのかも知れない。階段のある狭い場所での転換に重きがあった。背景?の美術の役割が微妙で考えさせるところ。
#13 平原演劇祭 2014 第三部
みやしろ演劇パーティ/平原演劇祭プロデュース
宮代町・郷土資料館(埼玉県)
2014/10/13 (月) ~ 2014/10/13 (月)公演終了
満足度★★★★★
女の子だらけの演劇イベント
気がつくと女の子だらけの演劇イベントになっていた平原演劇祭・第3部。
▼ 本人は深刻で大真面目なんだけど、傍目には反抗期?とかグレかけてるとしか見られない(女子に限らない)思春期のふつふつとした感情をモノローグで描いた久々の傑作『野良犬』。
退屈紛れ、鬱屈晴らしに大根を大量に盗んで道路に並べ車に轢かせるという悪戯で警察に捕まり送致されるという。
制服の女の子がとりつかれたように語る。あの歌みたいな、おじいちゃんの美術の先生。兄弟や友達。取調べの刑事。春日部のタイマン。大宮のヘイトデモ。
これはハイカルチャーを持たざる世代のぎくしゃくした世界論である。埼玉の土地の隆起。うごめき。
ツッパリサブカルに鋭敏すぎる感受性とある種の洞察が加わる。一種の理想化でもある。チンピラと、ルネサンス期の小さなタブローの1930年代から連なるイノコロジー研究が衝突する世界。
▼ そのまわりをちょっとオフビートで可愛い、おもしろグロい演目の幾つもの演目が飾る。「右マパターン」の内容がニヒルでふざけていて現代風タッチ。なかなかこの内容だけで踏み切れる上演の場は無いだろう。
#13 平原演劇祭 2014 第一部
みやしろ演劇パーティ/平原演劇祭プロデュース
豆喫茶でこ(是政)(東京都)
2014/07/27 (日) ~ 2014/07/27 (日)公演終了
満足度★★★★
ポスト震災ドラマ。
ポスト震災ドラマ。二つ。
ひきこもり女子高生独り語り『詩とは何か』。今年で3人目の女の子。
主人公と同年代、セーラー服、ありえない出来事。
物語というか、ドラマがゆっくり体験として立ち上がって行く過程。
『チェリースープ・ハーベイ』は、岸田國士『チロルの秋』の変奏曲というか、アンサーというか。
異民族、文化、歴史が交錯・交雑したヨーロッパ辺境地区。
バックパッカーの日本人の女の子が、現地に住む複雑な背景を持った男に誘惑される。
風景論・空間知とはなにか。何故スプーン曲げの "超能力" とどう関わるのか。
北関東に於ける複雑な背景と、水路研究の関係やいかに。
勝手にしやがれ
劇団マタヒバチ
北越谷駅・西口駅前・さくら広場・特設テント劇場(埼玉県)
2013/11/01 (金) ~ 2013/11/02 (土)公演終了
満足度★★★★
京都からきたガールズテント劇団
劇団マタヒバチ『勝手にしやがれ』全公演終了しました。
京都から来たガールズテントシアター!
実際にはヤングミセスの女優さんもまじっているけれど。
苦手な平座席だったけれど足は痺れなかった。
非常に楽しめました。
丹生みほしのハスキーで低めだけどキンキンした声と、口跡の抜群の良さは聞いていて気持ちいい。突進しながらの火吹きも健在。
彼女以外の女優も見せ場多かった。
パラボラアンテナやお御籤の文面を演じて読むシーンなど。
最後15分位残してきれいに落ちが付いてしまうのが構成上残念だったかな。
#12平原演劇祭2013・第4部
みやしろ演劇パーティ/平原演劇祭プロデュース
新しい村(埼玉県)
2013/09/22 (日) ~ 2013/09/22 (日)公演終了
満足度★★★★
問題なく終わりました
-「#12 平原演劇祭2013・第4部・ゲオルク・ビューヒナー生誕200年水没祭」(17:00-18:00/.../18:30-19:30 ¥0-) @東武動物公園「新しい村・笠原沼畔・特設水上劇場」(09/22)。
--短距離男道ミサイル『野武士RE-ism(ノブシリズム)』(from 仙台)。...殿とふんどし姿の男たち(女子一名まぎれこんでいる)の野遊び。カッパを捕まえてくる。
--みやしろ演劇パーティ『生きているヴォイツェク』第1部。...出演者:生田粋(シンガーソングライター)。志賀未菜子(劇団12)。渋川智代(宗教劇団ピャー)。男2人。殺し。
--天丼『クライマックス反抗記』(from 神奈川)。...悪役と戦隊ヒーローたち。作者が人質に取られ台本を書き換えられる。いつの間にやらシェクスピアの名シーンが連続。
--みやしろ演劇パーティ『生きているヴォイツェク』第2部。?逃亡。亡霊。
---休憩。
--すいか記念日『女子高生がどぼどぼ』。...夏休みの終わりに未完成の宿題を巡って、革ジャン教師とセーラー服少女が幻想の闘争劇を繰り広げる。JOJO劇でもある(『ジョジョの奇妙
な冒険』の一部を引用する)。
--みやしろ演劇パーティ『生きているヴォイツェク』第3部。みちゆき。魚。
--全員が水没劇場に集まるエンディング。合唱(わらべ「もしもも明日が」)。
ファミっ子大聖堂 ~ ぼくらの火の七日間戦争
東京ディスティニーランド
アートスタジオダンジョン(板橋本町)(東京都)
2013/08/05 (月) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
#12 平原演劇祭 2013 第3部
みやしろ演劇パーティ/平原演劇祭プロデュース
宮代町郷土資料館(埼玉県)
2013/06/16 (日) ~ 2013/06/16 (日)公演終了
満足度★★★★
演劇文化の発生現場
地元に伝わる「このしろ伝説」を扱った『しじみSF』の部分のセリフに、突然生な言葉が織り込まれる。
【無名性】
歴史以降の伝承世界。
厳然たる書き文字の世界から、いかがわしく、落剥した、統御できない田舎流の世界へ。
ここに何らかの美を見ようとするのだ。
これは私にも結論めいたことは言えない。
一応、演劇のある部分の最前線を形作っていることだけは、間違いない。
A love story
もしもしガシャ~ン
タイニイアリス(東京都)
2013/06/14 (金) ~ 2013/06/16 (日)公演終了
満足度★★★
怪物的好漢
地下ライブバーの坊主頭で筋骨隆々のママが、来訪者に次々無茶振り。ナンセンスで品が無くて独善的だけど、愛嬌たっぷりのこのオトコ。
現代の劇周辺では生かせないのかね。大昔の浅草芸人みたいな人だよ。
江頭2:50 鳥肌実みたいなパッケージ・ワンイシューものにしては消費されてしまうだろう。
ラスト歌延々が説得力をもってしまう。
バーレスク・ワールド・ツアー2013
BAPS JAPON
銀幕ロック(浅草)(東京都)
2013/06/10 (月) ~ 2013/06/10 (月)公演終了
満足度★★★★
お客さんほとんどが女性だった
ダンサーは、日本人のSafiさん。別名“浅草おっぱい観音”。
英国系シンガポール人のスッキ・シンガポーラ。
イギリスで賞をとったオーロラ・ガロア。
25人中5人位しか男性客はいない。
女性客が大半。サフィさんの下着ににチップのお札を挟んで、おっぱいをギューと顔に推しつけてもらい、ギャーと喜ぶのも女の子だし。
ひょうたん池のたまりBAR
浅草リトルシアター
浅草リトルシアター(東京都)
2013/06/01 (土) ~ 2013/06/07 (金)公演終了
満足度★★★
浅草は
大正時代から演芸の街だったわけだから、考えると空恐ろしいほどの歴史の蓄積があるのです。リトルシアターの裏には浅草駒太夫さんのお店もあるし。
やや自虐的な脚本も意外な感じだが、とにかく芸界の歴史をよく勉強・研究している。
でもひょうたん池は不忍池よりちょっと小さい位だったろうから、飛び込んで死んだ人がはたしているだろうか。
(艸'∀゚*)lilΣ( @Д@∥;)i|l(゚∀゚三゚∀゚三゚∀゚)。+.。゚p(≧□×。)q)))゚。+。゚。+。(ご来場下さいまして、誠にありがとうございました!!!!!!!!!)
宗教劇団ピャー! !
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2013/05/08 (水) ~ 2013/05/13 (月)公演終了
満足度★★★★★
次世代演劇の台頭!
劇団イキウメの傑作『散歩する侵略者』を連想した。
初演は2005年。
ただしあれから針はすすんで、観客をスムースに感動させる夫婦の話などはなく、劇のフォームも崩れている。
鍵は自分にもツッコミを入れる自意識と、幸せな思い出のせめぎ合いか。
#12 平原演劇祭 2013 第2部
みやしろ演劇パーティ/平原演劇祭プロデュース
豆茶房でこ(府中市是政)(東京都)
2013/05/05 (日) ~ 2013/05/05 (日)公演終了
満足度★★
岸田戯曲
-#12平原演劇祭2013・第二部「あの岸壁がわたしです」。(13:08-14:00/.../14:20-14:56 ¥1,000-) @府中市 是政「豆茶房でこ」。(2013/05/05)
蛻(もぬけ)てんでんこ
野戦之月海筆子
夢の島公園・第五福竜丸展示場前広場・テント劇場(東京都)
2013/05/01 (水) ~ 2013/05/05 (日)公演終了
満足度★★★★
20年後の未来で会おう!
初日は2時間40分強。気軽にオヌヌメできないんだよね。お尻は痛くなるし寒いし。
しかし私は『阿Qゲノム』から全部欠かさず見ているので、役者の顔と名前も一致してきたし、「世界観」もおなじみ。
人間としての登場人物は登場しない。何かの事象のシンボルである役者。
リューセイオー龍、森美音子。この二人には注目。独特なスタイルの苦悶の芝居が即興ダンスになっているという。あとは観客にアジっているような台詞まわし。詞がときどきびしっと決まる。
役者も少しづつ若返ってきている。今公演は揃ってきた感じ。
泣く子も黙る「曲馬館」「風の旅団」で70年代は機動隊なんかといざこったテント劇団の現在の姿ではある。ポスト全共闘・世界革命的な、暗黒の世界史に釣竿をおろした世界観。
晩年の安部公房的な治外法権の特殊な場所と権力者。中上健次的な父親殺しのモチーフ。現代文学ファンにも親しみやすい設定ではある。
ブルーノ・シュルツ『マネキン 人形論』
シアターX(カイ)
シアターX(東京都)
2013/04/25 (木) ~ 2013/04/28 (日)公演終了
満足度★
なんだこりゃ
《アンダルシアの犬》《戦艦ポチョムキン》の映像を使っているそうな。
舞台の上に板で囲った小屋。この中で演技するのでよく見えない。
天井から黒電話の受話器が沢山ぶらさがっていて字幕が見えない。
直感的にわからないパフォーマンスというものの存在価値はあるとは私には言えない。
日本で見ることができた海外の演劇では、アイルランドが傑出していたと思う。
これが国際的な水準とはとても思えない。アナクロニズム。
#12 平原演劇祭 2013 第1部
みやしろ演劇パーティ/平原演劇祭プロデュース
宮代町コミュニティセンター進修館(埼玉県)
2013/04/07 (日) ~ 2013/04/07 (日)公演終了
満足度★★★★
失われつつある生活の細部?!
-#12 平原演劇祭 2013 第1部。(13:15-14:45 ¥0-) @東武動物公園「宮代町コミュニティセンター 進修館・和室(茶室)」(2013/04/07 Sun.)。
--演劇前夜 高野歴(宮澤賢治)『みぢかい木ペン』(13:16-13:30)。
--インターバルに軽食。桜海老、胡瓜、ヤリイカ、ナガモ(アカモク、黒モズク)。
--みやしろ演劇パーティ 泉田奈津美・斉藤ヒナコ(別役実)『虫たちの日』(13:58-14:43)。