満足度★★★★★
女の子だらけの演劇イベント
気がつくと女の子だらけの演劇イベントになっていた平原演劇祭・第3部。
▼ 本人は深刻で大真面目なんだけど、傍目には反抗期?とかグレかけてるとしか見られない(女子に限らない)思春期のふつふつとした感情をモノローグで描いた久々の傑作『野良犬』。
退屈紛れ、鬱屈晴らしに大根を大量に盗んで道路に並べ車に轢かせるという悪戯で警察に捕まり送致されるという。
制服の女の子がとりつかれたように語る。あの歌みたいな、おじいちゃんの美術の先生。兄弟や友達。取調べの刑事。春日部のタイマン。大宮のヘイトデモ。
これはハイカルチャーを持たざる世代のぎくしゃくした世界論である。埼玉の土地の隆起。うごめき。
ツッパリサブカルに鋭敏すぎる感受性とある種の洞察が加わる。一種の理想化でもある。チンピラと、ルネサンス期の小さなタブローの1930年代から連なるイノコロジー研究が衝突する世界。
▼ そのまわりをちょっとオフビートで可愛い、おもしろグロい演目の幾つもの演目が飾る。「右マパターン」の内容がニヒルでふざけていて現代風タッチ。なかなかこの内容だけで踏み切れる上演の場は無いだろう。