水に棲むぼくたち・わたしたちのウタ
salty rock
パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)
2021/03/09 (火) ~ 2021/03/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/03/09 (火)
価格2,800円
9日19時開演回「水棲のアリア s.v.」(85分)を拝見。
「サラサラ・キラキラ」な流麗感のイメージの初演時(2016.6)と異なり、今宵は唐突に湧き出る感情の熱さに驚かされた。初演は「流しそうめん」、対する今宵は「鍋焼きうどん」の趣きかなぁ?w
勿論、初演との演出の違いもあろうが、前回の川原翔さん、今回の今村貴登さんの持ち味の違いも影響しているのかもしれない。
そして、何よりも特筆すべきは(特に終盤における)松本真菜実さんの輝く表情がピカイチ!
役にかける気合といったものが上演中、ビシバシ伝わってきた上での大団円なので、余計に輝いて映ったのかもしれない。
いとしの儚
劇団扉座
ザ・スズナリ(東京都)
2021/03/06 (土) ~ 2021/03/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2021/03/07 (日)
価格4,830円
7日13時開演回を拝見。
扉座・横内謙介さんの脚本だという訳で選んだ本作は、無敵の博打打ちが、鬼との勝負に勝って得た絶世の美女・儚(はかな)と共に過ごしていくうちに…といった伝奇モノ。
主観的には手が合わなかったが、客観的に振り返れば、笑いも狂気も悲恋も盛り込まれたサービス精神旺盛な、大変良く練られた110分のオトナの寓話だった。
義経千本桜―渡海屋・大物浦―【伊丹・北九州公演中止】
木ノ下歌舞伎
シアタートラム(東京都)
2021/02/26 (金) ~ 2021/03/08 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/03/06 (土)
価格4,610円
6日18時開演回を拝見(130分)。
昨年5月の『三人吉三』でコロナ禍による公演中止を喰らった私にとっては、漸く訪れた木ノ下歌舞伎さんの公演観劇の機会。題目は、作品名を薄っすらと覚えているだけの「義経千本桜」。だが、敢えて何の予習もせずに、観劇に臨みました。
その『義経千本桜』の初段・二段目の各エピソードのうち、特に「渡海屋・大物浦の段」をピックアップした本作。
9年前のNHK大河ドラマ『平清盛』でも明らかになったように、大方のヒトにとって疎いであろう平安末期~鎌倉初期が舞台。その当時の政治や人間関係を観客に案内する、説明台詞の(意図的な?!)クドさにクスクス笑い、反面、ストーリーの底流にあるシリアスな部分に触れては不覚にも涙する…小道具としての衣類・(敢えてベタな)選曲・舞台も合わせた、まさに総合力の130分、堪能させて頂きました。
「宴たけなわ天高く円超える孫世代」
劇団「地蔵中毒」
ザ・スズナリ(東京都)
2021/02/26 (金) ~ 2021/03/01 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2021/02/28 (日)
価格3,610円
28日18時半開演回(105分)を拝見。
以前から評判は耳にしていたものの、未見の団体さんだった劇団地蔵中毒の公演を、ザ・スズナリで。
サービス精神旺盛の舞台に、背中から波のように響いて来る観客の皆さんの大ウケ具合で、人気の程が肌感覚で伝わって来た。
なお、個人的には、hocotenさん、日高ボブ美さんの演技を久しぶりに拝見できたのも嬉しい限り。
『幸福な家族のための十五楽章』(2021年・上演延期作品)
しあわせ学級崩壊
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2021/02/26 (金) ~ 2021/02/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/02/27 (土)
価格3,500円
27日18時15分開演の回(85分)を拝見。
会場から「近隣への騒音対策」でも要請されているのか、「爆音」がウリの団体さんにしては、割と穏やかな音量。この点、帰路、不満を漏らす観客もおられたが、年配の観客(私)にとっては、セリフが全て正確に聴き取れる分、有難かった。
それにしても、そんな設定では決してないんだが、個人的には、シェイクスピアかギリシャ悲劇を観たような気分にさせられた90分弱だった。
役者陣では、名前と顔の一致する役者さんが多数出演している中で
梢栄さん、藤本悠希さん、田久保柚香さんのお三方の声が
その役柄もあってか、とりわけ耳に残った。
オペラ『森は生きている』
オペラシアターこんにゃく座
世田谷パブリックシアター(東京都)
2021/02/19 (金) ~ 2021/02/24 (水)公演終了
満足度★★★★★
価格3,500円
B組の21日16時開演回を拝見(上演時間2時間35分、含・途中休憩15分)。
開演前に苛立つことがあったり、上演中も(仕方がないとはいえ)お子さんの泣き声・話し声がしたりと、普段の短気な私ならば決して心穏やかならぬ状況だったのにも関わらず…
こんにゃく座の「歌役者」の皆さんの見事な歌唱(とりわけ、飯野薫さんの透き通った美声がお気に入り)に、ナマのオーケストラによる抒情豊かな旋律は、いずれのトラブルもニコニコしながら受け流す、優しい気持ちにさせて頂いたようです。
世俗の垢で汚れ切った観劇オジサンの心が童心に帰った、まさしく奇跡の時間を過ごさせて頂き、心より御礼申し上げます。
帰還不能点【3/13・14@AI・HALL】
劇団チョコレートケーキ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2021/02/19 (金) ~ 2021/02/28 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2021/02/19 (金)
価格4,330円
19日初日の舞台(2時間弱)を拝見。
終戦から5年。病死した同期を偲ぶため、その妻の営む居酒屋に集った「総力戦研究所」の研究生達が、日米開戦の意思決定までの経緯を振り返り…。
登場人物達によるロールプレイング的な進行で訴えかける、実に見応えのある2時間だった。
それから、本題からはそれるが、劇中、ちょっとだけ登場する広田弘毅の印象が、私が承知していた『落日燃ゆ』(城山三郎著)でのそれと正反対だったのに、少なからずショックを受けた。
軍部や松岡洋右への見方が劇中でも揺れていくのと同様、歴史上の人物・組織を評価することの難しさを、改めて思い知らされた。
僕達は出会った、霧烟る木々の中で
演人の夜
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2021/02/10 (水) ~ 2021/02/14 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2021/02/11 (木)
価格3,500円
11日19時開演回(途中休憩15分込み125分)を拝見。
ファンタジーと銘打つものの、スラブ民話に登場する妖婆「バーバ・ヤガー」の伝承が息づく村の物語は…(以下、ネタバレboxに記載)…結構、内容はエグい。
そのため、途中からは、シリアスドラマとして拝見させてもらったが、しっかり物語として組み立てられていた110分の舞台、最後まで集中を切らずに観ることができた。
ただ、後半の回想シーン。
必要性は認めるも、それまで快調だった展開のテンポが少し狂ったように個人的には感じられたのが残念だった。
堕ち潮
TRASHMASTERS
座・高円寺1(東京都)
2021/02/04 (木) ~ 2021/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★
価格5,000円
10日17時開演回を拝見。
15分の休憩を挟んでの前・後半90分づつ計180分の長尺。
本作品で呼ぶところの「保守」のスタンスに近い私がTRASHMASTERSの劇を観るたびに違和感を抱く、中津留氏の政治的信条の発露たるプロパガンダ節(失礼ッ!)も、今回はさほど気にならず、一族内での世代間・男女間の対立から、歳月を経て、恨み憎しみを超越した和解への一連の流れには、素直に胸打たれた。
#12『ピーチオンザビーチノーエスケープ』/#14『PINKの川でぬるい息』
オフィス上の空
シアターサンモール(東京都)
2021/02/07 (日) ~ 2021/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★
価格6,720円
『ピーチオンザビーチノーエスケープ』初日の舞台を拝見。
上演時間115分のうち、終盤に入るまでは、女優陣の奮戦にも関わらず、正直、個人的には手が合わなかった。
が、桜子(演・難波なうさん)が前面に出て以降の畳みかけるような展開には痺れた。
あと、斉藤マッチュさん演じる藤谷道成、そのイキイキとした悪役ぶりは特筆モノだった。
さて、恐らく元ネタは新潟少女監禁事件だと思われるが、同事件の真相とは別次元の話として、何故、桜子(達?!)が逃げ出さなかったのか、もう一人のヒロイン・キョーコ(演・三浦真由さん)の場合も含めて、色々と考えさせられた。
でっ、この点、演じ手の若い女優さん達と同世代・同性の観客の意見を聴いてみたいなと強く思った。
受付【れいわプロジェクト】
れいわプロジェクト
ギャラリーLE DECO(東京都)
2021/02/06 (土) ~ 2021/02/07 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2021/02/06 (土)
価格2,500円
6日18時半開演回を拝見。
別役実の『受付』は初見。
でっ、今宵は
演出・宇吹萌(うすい・めい)さん
女1(受付嬢)・野田愛佳(のだ・あいか)さん
男1(訪問者)・名嘉高志(なか・たかし)さん
の布陣で、受付嬢と訪問者とのやり取りが延々続く60分の不条理劇を披露。
明日までの公演なので、詳細は伏せるが、男の困惑ぶりに度々苦笑しつつも、彼の「結末」には、正直、身震いさせられた。
なにはともあれ、演劇を観たぁ!という感の強い2人芝居だった。
ワンマン・ショー
八角家
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2021/01/28 (木) ~ 2021/01/31 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2021/01/28 (木)
価格3,500円
28日18時開演回を拝見(110分)。
(こういう表現が相応しいかは自信がないが)いかにも「不条理劇でござい!」な性格設定の登場人物達が、複雑に交錯する時間軸のはざまで彷徨する、一筋縄ではいかない、なかなかに歯応えのある作品。
上演中、ずっとモヤモヤしながら観ていたが、クライマックスまで来て漸く「あっ、そういうことかぁ!」と膝を打てた。
終演時、客席の拍手がワンテンポ遅れたところからすると、他の観客にも難解な作品だったか。
プカプカ漂流記
劇団昴
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2021/01/20 (水) ~ 2021/01/24 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2021/01/24 (日)
価格3,800円
1月24日17時開演のAチームを拝見(60分+休憩10分+50分)。
確か「サンデー毎日」が火つけ役だった「イエスの箱舟」事件。
リアルタイムで事件の推移を目の当たりにしていた元・福岡市民として、興味深い題材だったのが観劇の動機。
でっ、女性コーラスの郷愁そそる歌唱を耳にしながら、「モデルとなった登場人物達に注がれる、作者の温かい眼差しに満ちた脚本」「真っ直ぐな手堅い演出」の作品を、基礎のしっかり出来た女優陣が表現した110分の舞台は、実に見応えのある・精神的充足感のある音楽劇だった。
良い時間を過ごすことができた。感謝!
【追記】
劇中、何度か披露される、橘田美穂(きった・みほ)さん奏でるアコーディオンの豊かな音色。歳がバレますがw横森良造世代の観劇オジサンはすっかり聴き惚れてしまいましたとさ♪
で
中野坂上デーモンズ
ザ・スズナリ(東京都)
2021/01/08 (金) ~ 2021/01/13 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2021/01/10 (日)
価格1,500円
1月10日17時開演回(90分)を、17日に動画配信で視聴。
最初は「演劇への鎮魂歌」かと思っていたら…「歓喜の歌」!
何回観ても難解だけど、何故か取っつき易い中野坂上デーモンズの芝居。今回も巧く語れる言葉は持たないが、現下の苦境にもめげない演劇人のド根性?!メッセージ、受け取れたように自分は思う。
地獄變
花組芝居
中目黒キンケロ・シアター(東京都)
2021/01/07 (木) ~ 2021/01/17 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2021/01/12 (火)
価格5,380円
以前から、その名は承知していたものの、ご縁がなかった花組芝居さん。今回、漸く、その目で舞台を観ることが叶いました(12日19時開演の夜叉組を拝見)。
演目は、芥川龍之介原作・三島由紀夫脚本の『地獄變』。本来のストーリーは、肉親の情さえ凌駕してしまう芸術至上主義を描いた、まさにシリアスそのものの作品。
しかし、花組芝居のそれは、劇伴や衣装・セット等、おどろおどろしくも豪華絢爛、かつ、剽げた味わいもある1時間40分(含・休憩15分)のエンターテイメント…いや、満足度の極めて高い見世物に仕上がっていた。木戸銭以上の価値のある「芝居」、「魅」せて頂き、有難うございました。
【追記】
キンケロ・シアターくらいの舞台幅・奥行、客席との距離、花組芝居「一座」の芸風に接するには、まさに最適じゃないかなぁと感じた。
駅から会場までの道のり、寒いのを堪えて来た甲斐があった。
石橋けいのあたしに触らないで!
城山羊の会
小劇場B1(東京都)
2020/12/17 (木) ~ 2020/12/27 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2020/12/24 (木)
価格4,000円
24日19時半開演回(上演時間110分+途中休憩5分×2回)を拝見。
会場である小劇場B1のスペースに相応しい、基本、日常会話レベルの音量での、ねちっこい・でも淡々とした・そしてエロいセリフのやり取りで進行する、オトナの艶笑譚。
観客によって、合う・合わないが出て来るタイプの舞台だと思われるが、(年齢なりに擦れてるもんでw)私としてはニヤニヤしながら拝見させてもらった。
なお、演技陣では、「家政婦は見た!」的な、他人の家庭を覗き見る役回りのお二人
弓子役・島田桃依(しまだ・ももい)さん
その夫役・岩谷健司さん
のコミカルと困惑とが綯(な)い交ぜになった佇まいに強く惹かれた。
【蛇足】
あと、たまたまなんだが、昨夜、Amazon prime videoで、1996年の映画「ガメラ2」を視ていたもんで、翌日の晩、まさか24年後の「NTT北海道の帯津(おびつ)さん」(「ガメラ2」での役柄)である、吹越満さんに再会出来るとは!と舞台とは関係ないところで、プチ感激したことを付記しておく。
『アメリカン・ラプソディ』 『ジョルジュ』
座・高円寺
座・高円寺1(東京都)
2020/12/19 (土) ~ 2020/12/25 (金)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2020/12/20 (日)
価格2,800円
『アメリカン・ラプソディ』20日14時開演回(途中休憩15分込み2時間)を拝見。
公私にわたるパートナーだった作曲家ケイ・スウィフト(演・秋本奈緒美さん)と
友人であり、20世紀随一のバイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツ(深沢敦さん)との
往復書簡の形で浮き彫りにする、ジョージ・ガーシュウィンの生涯。
佐藤允彦さんのピアノ演奏&お二人の歌唱…リサイタルそのものの舞台に満足した。
獄窓の雪―帝銀事件―
ISAWO BOOKSTORE
サンモールスタジオ(東京都)
2020/12/15 (火) ~ 2020/12/20 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/12/15 (火)
価格4,000円
出演者のお一人、上田尋さんに「おととい来やがれ!(劇中のセリフ)」と言われる前にw 15日19時開演回(115分)を拝見。
その上田さんの他
『旅とあいつとお姫さま』『二輪草』の若松力(ちから)さん
殿様ランチの板垣雄亮さん
といった既知のお三方
そしてお初の皆さんが構築する115分の社会派ドラマは、とても歯応えがあった。
ただ、杞憂を承知で言うと、当日パンフや劇中の説明だけで、帝銀事件はさておき、七三一部隊とかの事情を、若い観客が理解出来たかなぁ?とも感じたことを付記しておく。
演技陣では、生き残った銀行員の一人を演じた石井玲歌さんが、髪型?衣装?佇まい?のためか、事件当時(1948)の新しい日本人像を体現しているかのように感じられ、とても好感が持てた。
両国花錦闘士(りょうごくおしゃれりきし)
東宝/ヴィレッヂ
明治座(東京都)
2020/12/05 (土) ~ 2020/12/23 (水)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2020/12/13 (日)
価格12,000円
13日13時半開演回(途中休憩30分込み3時間)を拝見。
独特の作風の原作をビッグコミックスピリッツの連載で知っていたこと
小劇場系の舞台でお馴染みの橘花梨さんが出演なされること
の2つの理由から足を運んだ公演だったが、ミュージカル仕立てのパロディー込みな150分、サービス満点過ぎて途中で単調に感じる時間帯もあるにはあったが、観終わってみての感想は…充分愉しめた♪
なお、ナマでは、映画『姉妹坂』(1985)の公開イベント以来となる紺野美沙子さんの演技をその目で見れたのはラッキーだった。
2020
劇団肋骨蜜柑同好会
サンモールスタジオ(東京都)
2020/12/03 (木) ~ 2020/12/13 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/12/12 (土)
価格4,500円
3日夜で味を占めて、12日19時開演回をおかわり♪
今宵の舞台では、何故、この役にこの役者さんが配役されたのか?が、いちいち納得させられる160分だった。
なお、今回は、藤本悠希さん・アンディ本山さん・佐々木なふみさんの週刊「太陽」組が印象に残った。