ワーニャ伯父さん
第七劇場
三重県文化会館(三重県)
2019/07/14 (日) ~ 2019/07/15 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/07/14 (日)
オリジナル設定と独特の演出によるフィルターを通すことで…原作にまた一つ違った印象を添える…いや増幅させているのか? 無為無力の悲哀に…更に覆い被さるやり切れなさ。チェーホフ劇で最も美しいとされる台詞すら…感じられ方を揺さぶってくる。そして、場転が本当に素晴らしくって、ドキドキしました。こんな感覚を受けることは滅多にない。映画的とも言えるけど、生でやられたら痺れる他はないわ。
そして第七劇場だと…シンプルな美しさの舞台美術に惹かれることが多いのだけど、今回は光や音の操り方が絶品でしたね…素敵な体験でした。
【名古屋公演】青年と死[春]
Contondo
クロッキーF美術館(愛知県)
2019/04/20 (土) ~ 2019/04/21 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/04/20 (土)
芥川龍之介の原戯曲をとても効果的な構成にアレンジして、観る者にじっくり浸透してくる感触。小道具の見立ても実に良い。
そして何より女優陣の醸す雰囲気が… 妖しくも美しく… 狭い劇空間に密度濃く全方位に漂う。かなりグッとくるものあり。
ロンググッドバイ
劇団芝居屋かいとうらんま
瑞穂市総合センターあじさいホール(岐阜県)
2019/02/09 (土) ~ 2019/02/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/02/09 (土)
いやぁ〜驚いた。会場の都合で大ホールから小ホールに移ったものの、それならそれで…と、凝らされた工夫が素晴らしい。入って驚き、感じて驚きの時間になりました。特に音響効果は得難い体験でした。芝居の内容も 全編に漂うミステリアスさが知的好奇心を誘う仕掛けが多く、本公演並みの充実感です。多くの正体不明の登場人物たちの活躍が充実していて、若い役者の使われ方がすごく効果的。ちょっと役者のショーケース的な楽しみあって、小ホールの近さが奏功です。
そしてシリアスさの中に… 警部のいつものノリが挟み込まれるギャップの激しさよ(笑)
そして今回特筆したいのは、警部の向こうを張って存在感を見せた部下役。警部との絡みを2倍3倍にも膨らましてくれて愉快痛快。あとダンスもお洒落で凄く見栄え良かったし、客との絡みも冴えていて汗…多様で充実、良いパッケージでした。
神様から遠く離れて
刈馬演劇設計社
千種文化小劇場(愛知県)
2019/07/05 (金) ~ 2019/07/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/07/06 (土)
新興宗教からの逃亡をモチーフとしながら、新興宗教の既成イメージ…洗脳し、強制し、搾取する者…からは一線を画す。やはり刈馬作品は扱うモチーフと切り口が良い。幾重にも被さる仕掛けが堪らないよね。予想が利く所も作りつつ… 必ずそれを超えた何かを仕込んでおく巧みさ。特別な設定を身近に引き寄せる為のさりげないピース達も…物語の核心を押し出してくる。音楽が観る者を揺さぶり、衣装が舞いを引き立て、美術が空気を作る。それらを役者が一身に背負って… 言葉と振る舞いを届けてくれる至福の時間でした。作り手達が細部に込めたこだわりと想いが伝わってくる。
『ある男、ある夏』『殺意〜ストリップショウ〜』
演劇組織KIMYO
ナビロフト(愛知県)
2019/06/19 (水) ~ 2019/06/24 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/06/23 (日)
「ある男、ある夏」仄かに不条理感を醸しながら、ジワジワ迫る現実的な不安感、そして生き辛さ。その重苦しさの中… 突き抜けるトーンの笑い声で駆け抜ける星の王子様の妹が印象的。不条理の世界からスパッと現実に引き戻す結末も切なくて良い。
「殺意〜ストリップショウ〜」元山未奈美さんの鬼気迫る表現力の凄まじさ。タイトルに違うことなき圧巻の狂気。そして、それを冷静に客観視しているもう一つの視線が芝居に深みを持たせる。ほぼモノローグで染まる態の戯曲を柔軟にアレンジ、巧みなキャスティングの妙が主人公を周りから深彫りしていくのが分かる…対照的な嶋﨑友莉亜さんと絡めた相乗効果が高い…終盤の畳み掛けに良い味ある。
あとやっぱ宮谷さんのギャップの作り方は堪らなく良い。周りで一樹さんらが固めるKIMYOらしからぬ空気もしっかり近代文学の味で大満足!
江戸川区立第3中学校避難所
リブレセン 劇団離風霊船
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2019/06/22 (土) ~ 2019/06/23 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/06/23 (日)
なんたる膨大な伏線か…視点を身近に引き寄せ、お茶の間バラエティ感覚で麻痺させて… この劇団が何の劇団であるか忘れさせておく戦法(笑
全てがあの"G"の為にあった。
終焉のカタストロフは見事。2年前のカンゲキが蘇る。
りら、りらら、
ナビロフト
ナビロフト(愛知県)
2019/06/13 (木) ~ 2019/06/16 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/06/15 (土)
児童文学の印象よりも、より生々しく人の内面を掘り下げている感触があった。翻案にあたって、新美南吉の他作品からも拾い上げたピースが色々取り込まれているらしく、それが作品に多様に深みを与える。
そのせいもあってか、人間関係にミステリアスさを感じさせ… 解釈を惑わせる味が一部に加わっている。そこがとても好み。演劇ならではの配役の趣向が この味に作用している気がします。
喫茶 スーサイド
team.ups!
K・Dハポン(愛知県)
2019/06/14 (金) ~ 2019/06/16 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/06/14 (金)
自殺志願者が集う喫茶店…という尋常じゃない舞台設定に対し、「安アパート・コメディ」みたいな軽さで攻めてくる。自殺オタクサークルみたいな妙なノリに「いったい何を自慢しているのだ、君たちは…」という微妙な笑いが湧く前半。きっちりキャラが立っている登場人物群が活躍し、人物背景もしっかり作り込みされている印象。
vol.22『野性の恋』/ vol.23『暴動のあと、さみしいポップニューワールド』
悪い芝居
HEP HALL(大阪府)
2019/06/07 (金) ~ 2019/06/10 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/06/08 (土)
「暴動のあと、さみしいポップニューワールド」劇団初見でしたが凄まじく予想の斜め上を行った笑。
コントを推進力に破天荒な天然少女の生き様を描く?
奇抜な登場人物とふんだんなネタで沢山笑った。中盤の半休憩シーンで語られるメタ的な作品評にもくすり笑。
大暴力
匿名劇壇
神戸アートビレッジセンター(兵庫県)
2019/06/07 (金) ~ 2019/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/08 (土)
フラッシュフィクションで一括りにするには余りにも生々しい現実味の数々が降ってくる。虚構と現実の狭間を行き交いながら、観客の記憶と意識から様々な形の暴力が浮かび上がる筈。それも、想像もしないところから…。伊地知の長台詞がやたら迫ってくる。
「海につくまで」
津あけぼの座
四天王寺スクエア(三重県)
2019/05/30 (木) ~ 2019/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/06/01 (土)
千変万化、発散と収縮、そして怒涛のジェットストリームロード演劇。初演でのキレッキレなところに、会場に合わせた新たなギミックが加わって、更に面白みを増した… 遊び心が熱盛りです!
CITY
彩の国さいたま芸術劇場
穂の国とよはし芸術劇場PLAT・主ホール(愛知県)
2019/06/01 (土) ~ 2019/06/02 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/06/01 (土)
場転の変幻自在さ、スピード感、映像とのコンビネーション、光と影… そしてその狭間で蓄光まで巧みに操り、その演出には唸るばかりでした。
お話的には…ちょっと30過ぎての新境地的な取り組みとしてだと、今更… な厨二病的な印象もありましたが、もうちょっと近い席だったら、もっとのめり込めて印象が変わったかも。
春坂算段のサンダン
Kondo Project
御浪町ホール(岐阜県)
2019/05/25 (土) ~ 2019/05/26 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/05/26 (日)
話の本筋はオーソドックスといっても良いぐらいの暖かい人情喜劇だけど、サンダンとノリちゃんの関係性が代表する諸々の奇異な設定からの面白みがとても良い。
更に登場人物のしっかり立ったキャラクター性によって、コントのオムニバスを見ているような充実した小ネタで攻めてきて飽きさせない。
あの人のあそこが面白かった!…って感想がたくさん湧く芝居でしたね。
ここはカナダじゃない
オイスターズ
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2019/05/24 (金) ~ 2019/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/24 (金)
古参の作り出すオイスターズ特有の不条理感と困惑に、芝原さんや川上さんが添える別の味わいで… 作品に深みと暖かみが増して、色んな感情が湧いて出た。
とりあえず… 芝原さんのドライビングはとても印象に残った。彼の醸す空気と背景で、話の奥行きがグッと増してた。
もしラジ
サスガノ企画
G/Pit(愛知県)
2019/05/16 (木) ~ 2019/05/19 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/05/18 (土)
無いとは言えない「もしも」を描く至近未来社会。世相の仄かな不安感をサラリと和えて、小振りながら蜂の一刺し。変な人役では定評のある渡山さんのキャラが好み。中内さんの味も良かったねぇ。
日出下町三丁目の夕日
妄烈キネマレコード
ナンジャーレ(愛知県)
2019/05/08 (水) ~ 2019/05/12 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/05/12 (日)
見た感じそのままガールズトークのバラエティショーにも映るけど、その実どこまでもじんわりと幸せの実在感を運んでくる演劇… 幸せはこんなに身近にあって、それを受け取る気持ち次第なんだと実感させてくれた時間です。その為の仰天 住める舞台美術、溢れる女子的生活感、積み上げられた小気味好いトークと呼吸… これらのリアリティが「芝居」を観客の傍らに引き寄せているのだと思える。リピートが多かったというのも頷けますね、これも一つのアミューズメントパークかな。(Dに掛けたかったが挫折(笑)
ハイタン2! (ハイスクール短編演劇祭)
ハイスクール短編演劇祭
ナンジャーレ(愛知県)
2019/04/30 (火) ~ 2019/04/30 (火)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/04/30 (火)
今年もバリエーション豊かで面白い作品が揃ってました。
そして更に厚くなった(熱くなった?)データ集。各年の傾向やトピックがコラム的に書かれているのが嬉しい。幕間企画の林成彦さんの講評に関するトークも「良し悪しではなく、観ていて自分の中から湧き出してくる固有の連想や思考、作品の面白みを語る。(上から目線の総論ではなく、ディテールや展開の途中から生まれた実際の発想など)。その為にも誤読を恐れない。」の趣旨に共感した。
かいさんさん
タツノオトシドコロ
ナンジャーレ(愛知県)
2019/04/26 (金) ~ 2019/04/28 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/04/27 (土)
ナンジャーレの主客を転倒させた舞台と客席の構成は驚きの一語に尽きる。一方で、具象と抽象の狭間を漂うかの様な不思議なテイストの舞台美術は一転して簡素だ。その中で流れる芝居は、極めて微細な描写で平々凡々な人生と生活を抜き出す。
オヤジギャル
順風男女
ナビロフト(愛知県)
2019/04/26 (金) ~ 2019/04/28 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/04/27 (土)
時代の流れを感じさせる…改元間近ならではの構成。
ネタは爆発力よりじんわり迫ってくる感じの出来が良く、一方で演出面はとても見栄えする効果が目立ったのが印象的。ラストのヘイセイガールズは見モノだったなぁ。
イズム、離れて
ビジノチズム
KAIKA(京都府)
2019/04/12 (金) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/04/13 (土)
対照的な2団体の謎のコラボ。特にソノノチのギャップたるや… 「つながせのひび」はいったい何であったのか?笑
いやぁ面白いよね〜、そこだけ部分的に切り取れば…確かにソノノチなとこも…前後の繋がりと空気次第でこんなに可笑しなことになっちゃうのね〜。
どっちの作風か分からないけど、好みの不条理空間もあったし、両者の作劇/演出手法の相違をモチーフにしたネタなど、思った以上に内面に切り込みつつもシュールな笑いに繋げるセミドキュメンタリーでした。
所属外のさっさんも上手く機能してて好感。