満足度★★★★★
DUST BOX(男性チーム)を拝見しました。スピード感溢れ、ハラハラドキドキするストーリー展開、リズミカルなダンス等々とても楽しく観れました。
満足度★★★★★
難解な原作ですが、理解力と感性の乏しい私でも感動の震えが止まりませんでした。特に岩野さん演じる正木教授(松本俊夫監督の映画ではあの怖い桂枝雀が演じたことで有名)の怪異性とアフリカン寺越さんの感情を抑えた演技の対比が素晴らしかったと思います。
満足度★★★★★
大人の舞台でした。クラシカルなスタイルでありながら静寂の中の緊張感が終始客席を包み込んでいました。
その中、前説と終演後の大野さんのあいさつに氏の温厚な人柄が忍ばれ、ほっこりとした気持ちで会場を後にしました。
満足度★★★★★
最長で10年間時間が違うストーリーを同じ舞台でスタートさせ、展開させていく、という新しい試みにチャレンジされた笠浦静花さんに拍手喝采です。
ネタバレBOX
出だしで、2名の若い女性が現代の若者用語を使っており、同じ舞台の片方では4名の専業主婦と思しき女性達が、スタバカップの蓋の小穴の取り扱い方に戸惑ったり、「バナナ クリーム フラペチーノ」を新商品と言ったり、「掲示板」「オフ会」「ハンドルネーム」という今や決してトレンディと言えない単語が飛び交い、最初私自身2つのドラマの時間的な関連性が見えず、一種の違和感を感じていました。しかしこの違和感は舞台が進むにつれ2名のストーリーは時間を遡っていき、4名のストーリーは時間に沿って進行していくことがわかりました。しかもこの2つのストーリーは電器店の店頭で接点を持ち、その際のやり取りから主人公夫婦のその後が見える、という巧妙さがあり、とても感心しました。これはとても斬新な試みであり、また観客に同じエンディングでも心理的な増幅効果をより強く与えられたのではないかと確信し、敬服いたしました。
満足度★★★★★
コンスタントに笑わ続ける力は本当にすごいと思いました。GWの良い思い出になりました。
満足度★★★★★
二人の名優の素晴らしさを堪能させていただいた舞台でした。志賀さんと中丸さんの味と厚みのある芝居にずっと腹をかかえて笑いっぱなし。最後は涙が止まりませんでした。
満足度★★★★★
素敵な古民家の中で至福のひとときを有難うございました。
ネタバレBOX
石川編を拝見させていただきました。
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会場は都心にあると思えないのどかな古民家でした。
都心の喧騒を忘れさせてくれる、緑の芝生に包まれたそのたたずまい。舞台が始まる前からその味わいのある古民家の魅力にはまってしまいました。
舞台は8畳間、客席は隣室の10畳間にしつらえられ、当然照明も音響も使わないことがかえってリアリティある仕上がりになったと思います。即ち素敵な環境はそれだけで充分な演出効果を得られる、ということを実感させてくれました。
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ストーリーは父親の死後1年後に生前の奇行が子供達に発覚し、それが発端で父親の亡き母への愛を子供達が伺い知ることとなり、また引っ込み思案な二女を後押しすることになるという、ハッピーエンドのとてもいい話でした。姉弟達が父親の残した借金を返済する為に力を合わせるところがユーモラスながらもいい見せ場になっていたと思います。
P.S.「みどり人日記」に会場案内が写真付きで出ていたのがとても助かりました。
満足度★★★★★
忘れてはならない昭和の一頁が蘇りました。
ネタバレBOX
本公演は1974年に起きた三菱重工爆破事件について指名手配中のK、逮捕され死刑が確定しているDとその妻がなぜテロに走ったか、そして現在の心境について描いた作品です。
東アジア反日武装戦線“狼”の無差別テロのひとつとして捉えられたこの事件、30年以上経過し、自分の記憶からもかなり薄れてしまっていましたが、本公演を拝見し、改めて当時の記憶が鮮明に蘇えり、再認識させられました。
60年代後半の全共闘に象徴される学生運動は主として学生たちの国家や大学当局の権力との戦いでしたが、“狼”は先の大戦を我が国の帝国主義による侵略戦争として捉えました。学生運動の戦い方は当初はデモ行進主体でしたが、投石から火炎瓶、角材から鉄パイプとエスカレートしましたが、“狼”においては時限爆弾といういう強力な殺傷力を持ったものとなり、当事件では死者8名を産む結果となりました。本来目的は帝国主義的企業に対する警告であり、死傷者を出さない為に予告も出しましたが、犯人達の意図せざる結果となり、自責の念にかられる彼らの心理描写のしっかり出来ていたと思います。
松本光生さんの渋い演技は相変わらず素晴らしいと思いましたが、今回は指名手配犯Dを熱演された荒川大三朗さんと彼が育てた娘さんを演じられた森郁月さんのクールビューティーな演技が特に印象的でした。
満足度★★★★★
夫婦の「愛の形」はそれぞれですね。
ネタバレBOX
数十年前に野球の全国大会に夢を追った若者たちが古希を過ぎてまた甲子園を目指すという話でありながら、実は夫婦の愛の形を見事に描いた作品となっているんですね。三組の夫婦それぞれ夫や妻が病気になったり死別したりと、一見すると決して幸福ではないように見えますが、現在と過去を行き来することにより実はとても素敵に夫婦の愛を育んできたことがわかりました。役者さん達の熱演で、ラスト30分はずっと熱くなった目頭を押さえ放しでした。
P.S.監督がプロ棋士とのことでサインが「1二歩(=バント)」「9九角(=外角低め)」といったサインを出すところは楽しめました。
満足度★★★★★
Gチームの作品を拝見しました。本当に素晴らしい舞台でした。劇場を出ると新宿御苑の風が観劇で紅潮した頬のほてりを気持ち良くさましてくれました。
ネタバレBOX
まずは出演者ですが。主役木村伝兵衛の脇を固めるのは
「飛龍伝2016」の桂木純一郎役の白石勇さん、前回熊田留吉役を熱演された篠原功さん、1986年公開の映画「熱海殺人事件」で306号犯人役として出演されていた和興さん・・・ともうオールスタードリームマッチとしか言えない豪華キャストですね。和興さんと篠原さんのブログを拝見すると、これだけの役者さん達に春田さんが底なしのパワーで全身全霊を傾けて熱血指導したということでしたがこれが素晴らしい舞台を産み出したのではないでしょうか。
さて、やはり“天賦の才”という言葉はこの人の為にあるのではないでしょうか。主役の稲村梓さん。
稲村さんのブログを拝見しましたが、開演10日程前に「つかこうへいさんの壁はやはり分厚いです。一番上が見えない程高いです。」との記述がありました。さて舞台公演が始まった今はいかがなのでしょうか。
木村伝兵衛の一挙手一投足が、時には荒々しく時には優しく大胆かつ繊細に、2時間呼吸を忘れて見入ってしまいました。ラストの桂万平刑事を送り出すシーンは熱いものが激しくこみ上げてきました。また家族の為に不本意な仕事を余儀なくされ、最後は大山金太郎に絞殺される“切ない女”山口アイ子。見事に演じ切りましたね。
昨年10月公演の最終日立ち見が出たとのことですが、今回も本当に素晴らしい舞台でした。「もしかしたら最後の売春捜査官になるかも知れない」とブログにありましたが、つかさんの高くて厚い壁を越えられる女伝兵衛を演じられる役者がもしいるとするならば彼女以外にはいないのではないか、と確信しています。
満足度★★★★★
淡々と進むシンプルなストーリーながら舞台上で起きていることに徐々に気づかされ、エンディングで一気にやられてしまいました。演出をはじめ名門劇団の出身や所属の役者さんを中心に若手の役者さんたちが熱演。終演後の外の風が心地よかったです。心の寒さを感じている人にも是非お勧めの作品です。
※制作の方々の配慮もとても良く、気持ち良く過ごせたました。ありがとうございました。
ネタバレBOX
“死”を意図しないまま本人が亡くなり。周囲も無論その理由を知る由もありませんでしたが、お別れのときが近づいたその時、理由が明らかに、そして最後にみんなで本人のためにしたことは・・・。
展開も楽しめましたが、霊が見えるようになるルールが独特で、霊媒師より一般人が見えたりする、というコミカルなところもあり、けっこう受けました。また霊媒師の力を借りずして成仏する、というラストはとてもおしゃれでした。
またラストの曲「うえをむいてあるこう」を出演者全員が歌うところはジーンときました。
歌詞が本当に素敵でしたね。“下を向いたら涙がこぼれる、上を向いたら空がある”です。
満足度★★★★★
Bチームの舞台を拝見させていただきました。ハラハラドキドキの連続、密室コメディの傑作を堪能させていただきました。
ネタバレBOX
まず舞台の素晴らしさを上げたいと思います。けんかに相応しい赤を基調とした舞台。いやがおうにも闘争本能をかきたてるかのようです。小道具として草間彌生氏の「かぼちゃ」、フェルメールの「真珠の耳飾の少女」が置かれ、スープと野菜の画集を立てかけた棚、素敵でした。またナンシーが汚す画集がフジタとココシュカというセンスにも感心しました。
面白かったのはコブラー。コブラーはフルーツに「クランブルとパイ生地」を乗せて焼いた菓子ですが、なぜかペネロペのお手製は「梨とリンゴ」という似ていて非なるものが入っており、この4つの素材の違和感を感じさせる組み合わせが4者の関係に序徐に亀裂を生じさせる象徴的な存在として描かれたところにとても感心しました。
満足度★★★★★
忘れてはいけない時代
今は、しごく当前である「女性の社会進出」や「人間の平等」といった考え方が色眼鏡で見られひいては反社会的であると迄見られていた時代を描いた作品です。
ネタバレBOX
「元始、女性は太陽であった」で有名な平塚らいてうは婦人参政権等の女性の権利獲得を目指した活動家として知られています。らいてうはその目的を果たすべく雑誌「青鞜(知性と教養の象徴であるブルーストッキングの和訳)」を発刊します。
そのらいてうの元に集まった保持研子や尾竹紅吉や伊藤野枝たち。
本作品においては平塚らいてう達の活動も描かれていながら、平塚らいてうと奥村博史の愛、「青鞜」に携わる人達の国家権力や考え方の異なる周囲との葛藤といった人間的な部分が大きく描かれています。
知られざるところでは、大杉栄は「ファーブル昆虫記』を日本で初訳出版したことで、その世界では有名です。劇中「虫が食べられる」という会話やアサギマダラに夢を重ねるところが出てきます。こういった描き方もアナキスト大杉栄と異なった顔を描きだしています。
「女性解放運動家」「アナーキスト」と当時社会の異端児であった彼ら彼女たちですが、その人間的な部分を巧みに捉えた素晴らしい作品であると思います。
最後は明るい未来に向けて船をこぎ出す場面。
その後メンバーの辿る運命を知る者としては涙無しでは見られませんでした
満足度★★★★★
愛すべき「歌曲の王」
ベートーベンとほぼ同時代を生きた偉大なる作曲家シューベルト。
“ヒット曲”を産み出すことの苦悩とクラウディアとの愛を描いた秀作です。
ネタバレBOX
シューベルトという作曲家はあまりに著名でありますが、その私生活について今まで深く知りませんでしたので非常に勉強になりました。
本作品は作曲家としての苦悩と悲恋とに絞り込んだことにより、シューベルトの人間性が明確に伝わってきました。
まずベートーベンに対するコンプレックス。“交響曲”で名をはせたベートーベンに対し、そこでの勝負はあきらめ、対抗手段として600もの“歌曲”を31歳で亡くなるまで産み出すという人間的な部分はとても興味深いものがありました。
またクラウディアという相思相愛の女性が居ながら、貧乏ゆえ他の男に奪われてしまう悲しい人生を送ったということもわかり、彼との距離をとても縮めてくれました。
主演のいしだ壱成さん、本当にうまさを感じます。先月別の舞台で全く違ったタイプの役を演じていらしたのを拝見し、素晴らしさを感じましたが、今回も完全にシューベルトが降臨していましたね。客席の隅々まではっきりと届く声、とてもいいです。
※余談ですが、最後にシューベルトの手がだらりと下がるところ、いしださん主演のTBSドレマ「未成年」と並ぶ野島伸司さんの「高校教師」のラストを思い出してしまいました。
年末に聞くクラシックは最高ですね。心に響く演奏、ありがとうございました。
満足度★★★★★
「人生終わった」と思った方、必見です。
滑稽な七福神さん達に笑わされっ放しでした。
ネタバレBOX
落語「死神」は金に縁が無くこの世から消える寸前の男が死神に出会ったことにより数奇な運命を辿る、という噺ですが、死神が居眠りをしたり、男にだまされたことに腹を立てたり、と人間的な面を見せるところに面白さがあります。
本作品も神様の人間的な部分が面白おかしく描かれており、本物の噺家さんご出演ということもあり、私は「死神」的な可笑しさを感じました。
終始谷口有さんのユーモラスながら要所要所で“神様”を感じさせる貧乏神が全体を包み込んでおり、また斎藤啓子さんを中心とした七福神チームがタッタタ流の笑いのセンスを全開させながらも、片やあおきけいこさん演じる座敷童子が舞台をしっかりと引き締めていました。
このタッタタ流の見事な構図が、客席は爆笑の渦に巻き込まれながらも、終演後はほっこりさせられるんですね。舞台に厚みを感じます。
今回客演の柳家東三楼師匠の枕も軽妙な語り口でさりげなく落語感をかもし出してくれました。
師匠は真打昇進時に(火焔太鼓でお馴染みの名人)古今亭志ん生の名跡を襲名した、ということからもわかる通り、間違いなく今後の落語界を担われる方です。
その師匠が劇中に黒子をユーモラスに演じたところはは私にとって記憶に残る作品となりました。
満足度★★★★★
私的にはとても“お気に召し”ました。
タイトルとイソップ寓話「金の斧」をパロった可笑しな説明に惹かれて来場しました。
ネタバレBOX
まず脚本と演出の素晴らしさは星五つです。
役者さんがお笑いの無茶ぶりをせず、バッグ一つで客席を沸かせまくりました。
主演の池上映子さん、本当にいい女優さんです。これだけ出来る方いらっしゃるんですね、ちょっとした目の動き一つとっても素晴らしく引き込まれました。
また他の役者さんも彼女と入れ替わりになったときに彼女のキャラをうまく活かしたサポート役に回り、とても素晴らしかったです。
テンポが小気味よく、あっという間の2時間でした。
満足度★★★★★
愛のない毎日を送っている方へオススメです
本公演はシアターミラクルを歌舞伎町のラブホテルの一室に見立て、あたかも自分がホテルで男女の行為を覗き見しているかのような錯覚を起こさせられます。
ネタバレBOX
『メキシコ』では全く女性に縁の無い男が魅力的な女性に声をかけられるが女には人に言えない事情があった。自分が利用されていたとも知らない純粋な男性は女性の為に・・・。というハラハラドキドキのストーリーでした。余談ですが女性に縁の無い男を演じる男優さんが現在TBSの『逃げ恥』で同様の役を演じる星野源さんによく似ており、上演中妙なツボにはまりました。
一番ひねりが効いていたと思った舞台が『後戻り出来ない女(まもる 2016年版)』です。アラフォー女性と年齢差があり過ぎて話も全く噛み合わない若い男性がホテルの一室に。しかも男性はなぜかずっと逃げ腰・・・。終盤もう一人の男性が現れることにより一気にこの二人の関係が解き明かされます。もう一人の男性を投入してフィニッシュする、という展開は感服です。
もう一つうまさを感じたのは『クリーブランド』です。結婚を目前に控えた女性となぜかホテルにいる男性。淡々かつ二人の関係が意味不明な状況が続き、ラストの暗転の直前(本当に最後の最後)に男性の吐いた一言で全てが明らかになる、という心憎い舞台でした。
満足度★★★★★
素晴らしいカンタータに感激しました。
若者たちの心の声がカンタータ(聖歌)となって客席に響き渡りました。
ネタバレBOX
今回私が一番楽しみにしており、また観劇してみてその素晴らしさを再認識したのは、いしだ壱成さんです。
新宿歌舞伎町の路地に巣食う若者の苦悩と葛藤、そして盲目の猫を愛する優しさを併せ持つ青年役です。
喧嘩やセックスに明け暮れながらも、現代人が忘れている人を思う心を最後まで捨てずに生き、そして死んでいった役を見事に演じきった彼に“ジェームスディーン”が見えました。
満足度★★★★★
素敵な公演ありがとうございました
稲村梓さん、本当に素晴らしかったです。
ネタバレBOX
木村伝兵衛の(熊田留吉を一途に思い続ける)「女性的な部分」と親から強く期待された“伝兵衛”という名前が示す(一蹴で屈強な男を倒す)「男性的な部分」。
この2つの相反する部分を持つ人間の複雑な心理を見事に演じ切りました。
バストサイズの偽装がバレたときの表情や男にタンポンの挿入をせがむ表情に「女性特有の羞恥心」や「男性に対する征服感」に酔う可愛らしさが良く出ていました。
また「集団就職で上京し、五島の家族のために、そしてブスゆえに千円で男性の股に顔を埋めながらコンドームを付けることを生業とし、最後に大山金太郎に絞殺される」山口愛子の悲しさを本当に見事に演じ切りました。
繰り返しになりますが、本当に素晴らしい女優さんです。“不世出”という言葉は彼女の為にあるのではないでしょうか。
そして“つか作品と稲村さんとの融合”というこの上ない贅沢な時間を持てたことに強く感謝いたします。
満足度★★★★★
夢とロマンと大爆笑、でも学術的です
とっても愉快なドタバタコメディでした。
ネタバレBOX
去年英国で火星から数百年前に火星からエジプトに来た隕石にオパールを発見しました。オパールは水分を含んだ石として知られています(あの玉虫色の輝きはその水分の影響です)。劇中にその会話があり、昔から言われた火星人の可能性を伺わせる“夢とロマン”を感じました。タイトルのマルカジットとマーカサイトは黄鉄鉱、白鉄鉱と言われる同じ化学組成の石であります。マーカサイトは「自分に革命を起こす」という言葉があるそうですが、本作の中心に据えられた意味合いを強く感じました。無性欲者たちがその効用により自己変革を起こし痴情に走りまくります。しかし元が“鉄”なだけにロケット内の酸素により酸化し、効果が薄れていき・・・というストーリーです。一見ドタバタコメディと思えますが、実は鉱物に関する知識とそこから生み出される豊かな発想がなければ成立しない作品です。