バルブはFB認証者優遇に反対!!の観てきた!クチコミ一覧

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ダークマスター東京公演

ダークマスター東京公演

庭劇団ペニノ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/02/01 (水) ~ 2017/02/12 (日)公演終了

満足度★★★

■約140分■
チラシの文から本作が資本主義についての劇なのだと観客は知らされるが、単なる奇譚の姿をしたこの劇の何がどう資本主義的なのか、それを考えつつ鑑賞するのは刺激的な体験でした。

ネタバレBOX

イヤホンから聞こえる声と役者の生声がかぶるくだりは生声が聴き取りづらく、少しもどかしかった。
レンツ

レンツ

無隣館若手自主企画・櫻井企画

アトリエ春風舎(東京都)

2017/02/10 (金) ~ 2017/02/14 (火)公演終了

満足度★★★

■約70分■
チラシには『レンツ』を解体、アレンジして戯曲化する、とあって、原作小説を気に入った私はどんだけ原作がメチャメチャにされるのかと危惧を抱いて鑑賞。しかし、思いのほか原作に忠実に舞台化されていて、安心しました。

ネタバレBOX

とは言いながら後半は、レンツと神父の性関係という原作では明示されないショッキングな主題が強く打ち出され、少々当惑。
それでも、原作のエッセンスを生かしながら翻案者のオリジナルの言葉でもってレンツから神父への敬愛の情が表現される前半は胸に響いた。
彼がいなくちゃ生きていけない、という切実な思いがまっすぐに伝わってきて、心が揺れた。
さらば、ブラックローズ

さらば、ブラックローズ

ライオン・パーマ

萬劇場(東京都)

2017/02/01 (水) ~ 2017/02/05 (日)公演終了

満足度★★★★

■約140分■
一種のサスペンス演劇としてもっと引きつける見せ方があるのでは?と思ったものの、ギャグやアクション、セクシーを無数にちりばめ客を楽しまそうとする図抜けたサービス精神は相変わらず。あやさんの一芸も冴え渡って、楽しい140分でした。

ネタバレBOX

本作の主役はあくまでブラックローズ。それは重々承知ながら、真面目一本で生きてきたことにコンプレックスを持つあの青年の存在が終盤にきて霞んでいくのを、少し残念に思いました。
青年の存在感を最後まで維持し続け、ブラックローズと青年、2人がともに引き立つエンディングにすれば、もっともっと盛り上がったのではないか?
ブラックローズはブラックローズで、その数奇な人生がもっと細やかに描かれるべきだった。たとえば、お母さん(お父さんでしたっけ?)が殺されるまでのいきさつを回想シーンを交えるなりしてもっと詳しく描いていれば、より感情移入でき、ハッピーなラストシーンがより胸に沁みたはず。
戎緑地

戎緑地

玉城企画

アトリエ春風舎(東京都)

2017/02/02 (木) ~ 2017/02/05 (日)公演終了

満足度★★★

■約70分■
理想が高い分、己というものに幻滅しがちな青年時代。そのさなかにある若い作者が自己消去願望を切に託した劇としてまずまず面白く鑑賞。
「自意識って消したいよね?」
私も若かりし日、そんな会話を友人と交わしたっけ。。。
テキストがとても精緻に紡がれているのも書き漏らせないポイント。話にもう少し進展性があれば、見応えはより増したか?

ネタバレBOX

興味深いのは、自分の思いを表現するのに汲々としてしまったのか、劇に社会的広がりがほとんどない点。
登場する浮浪者たちが家をなくすまでのストーリーが描かれていたりすれば、社会的広がりも出ただろうに、彼らはハナから浮浪者であったかの如く劇中に存在する。
年を重ねた劇作家は体面を気にするあまりバランス重視に傾き、劇にほどよく社会性を盛り込んだりするものだが、そうはしないところが良くも悪くも若手自主企画。
青春、さよなら、母さん、フリー/最低・観察時間

青春、さよなら、母さん、フリー/最低・観察時間

無隣館若手自主企画vol.16 穐山企画

アトリエ春風舎(東京都)

2017/01/27 (金) ~ 2017/01/29 (日)公演終了

満足度★★★

■約85分■
若い作者の実人生を基にした2作品を上演。そういうものは得てして暗く、重くなりがちなのに、この作者のはファミリー4コマ漫画のような軽みがあって、そこが特長。
自伝的作品にありがちな気持ち悪いナルシシズムもなく、代わりに、どこかトボけた自嘲的ギャグが相次いで、面白く観た。
この和やかな作風はおそらく天性のものだと思うので、大事にして頂きたい。

ネタバレBOX

2本のうちでは、『最低・観察時間』をより面白く鑑賞。シニカルで客観的なナレーションがさらなる笑いを呼び込むところが『ちびまる子ちゃん』を想起させた。
せまい世界で夢をみる

せまい世界で夢をみる

ENBUゼミナール

シアター風姿花伝(東京都)

2017/01/28 (土) ~ 2017/01/29 (日)公演終了

満足度★★★

■約120分■
メタフィクショナルな仕掛けが劇の焦点を曖昧にしていた印象。この題材なら、メタフィクショナルな要素は不要。

ネタバレBOX

メタフィクショナルな要素が強い前半部をほぼなくして、ストレートプレイに仕立て直したほうが良いのではないだろうか?
元劇作家がホームレスの死を意味あるものとするためにどんな殺人劇を構想していたのか、もうひとつ伝わってこなかったのも不満。
銀河鉄道の夜

銀河鉄道の夜

百景社

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/01/26 (木) ~ 2017/01/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

■約95分■
原作のエッセンスを保ちながら、遊び心をふんだんに盛り込んだ『銀河鉄道の夜』、最高でした!
これなら子供にも楽しめるのでは?
少年の快活さと純真さをいきいきと表現したジョバンニ役の俳優の演技も素晴らしく、大満足!
初めて観る舞台版『銀河鉄道の夜』でしたが、『銀河鉄道』は演劇でよく扱われる題材。他の演出家の作品も観たくなった。

ネタバレBOX

随所に入る合唱も精度が高く、天晴れ!
ネタバレになるのでここに書きますが、ジョバンニを演じたのは女性の役者さんでした。
飛ばない教室 または、わたしのいないその場所

飛ばない教室 または、わたしのいないその場所

冗談だからね。

RAFT(東京都)

2017/01/20 (金) ~ 2017/01/22 (日)公演終了

満足度

衝撃的な出来事が相次ごうとも、シーンを切り貼りするような作り方がされているため各人物の感情の流れがよく分からず、釣り込まれなかった。
十代が過半を占める役者たちがどんなに頑張っても、こんな作りじゃ劇が躍らない。

ネタバレBOX

演劇部の高校生たちを描いたお芝居。作者は高校演劇が嫌いだそうだが、女子部員がガールズバーで働いてるとか、男子部員が覚醒剤をやってるとか、「反高校演劇的」な「衝撃的事実」として繰り出されるのがこの程度のものであっては、逆に高校演劇に見下される。
劇のスタイルも内容も、ともに頂けない一作だった。
グレートフルグレープフルーツ

グレートフルグレープフルーツ

OuBaiTo-Ri

ワーサルシアター(東京都)

2017/01/18 (水) ~ 2017/01/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

■約130分■
孤独を宿命づけられて生まれてくる人間というもの、その魂を震わせずにはおかない傑作!
観ようかどうか迷ったけれど、観てよかった。

ネタバレBOX

亡き父とヒロインの、幻想の中でのやり取りに感動!
そこでのセリフにあった通り、この私も闇にくるまれて生きながら、いつぞや光が射すことを待ち望んでいる。
木に花咲く

木に花咲く

ハチス企画

アトリエ春風舎(東京都)

2017/01/16 (月) ~ 2017/01/22 (日)公演終了

満足度★★★★

■約75分■
不気味な粘っこさと緊張感が途切れない、引きつけるお芝居。別役には会話劇のイメージがあるが、本作では役者の身体表現もまた多くのことを訴えてきた。

ネタバレBOX

串尾一輝の老婆役が見事。変幻自在な演技に魅入られた。
「足跡姫」~時代錯誤冬幽霊~

「足跡姫」~時代錯誤冬幽霊~

NODA・MAP

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2017/01/18 (水) ~ 2017/03/12 (日)公演終了

満足度★★★★

■約155分(途中休憩あり)■
足跡姫というキャラクターを、もっともっと魅力的に肉付けることはできなかったものだろうか?
そんな疑問がわだかまりはしたものの、初野田、想像以上に楽しめた。
きらびやかなスペクタクル、絶え間ない言葉遊び、複層的な劇構造に煙に巻かれているうちに、気がつけば二時間半余が過ぎていた。

ネタバレBOX

何より、あの人へのオマージュ演劇としてとてもよく出来ていた。
それも、オマージュだということが最後の最後に鮮明になるところが心憎い。
よく出来ていたのは踊り子役の宮沢りえや鈴木杏の衣裳も同様。一見裸に見えてしまい、目を泳がせて乳頭その他を探してしまった。
もちろん見当たりませんでした。
憑依だよ!栗山ハルコさん!

憑依だよ!栗山ハルコさん!

ホットポットクッキング

赤坂RED/THEATER(東京都)

2017/01/13 (金) ~ 2017/01/19 (木)公演終了

満足度★★★

■約100分■
ギャグ漫画調のタイトルながら、内容はそこまでノーテンキでもなく、ダークな一面も。そのせいか、笑いは抑え目。ギャグ目白押しで娯楽劇に徹していた前作『失神!タイムスリドル』のほうが私は好き。

ネタバレBOX

劇作品として評価すると、話がややこしい割には、物語の動きが小さかった印象。
主人公が目立ってないのもどうなのか? むしろ殺人鬼の写真家が主役のようでした。しかもこの写真家がキャラクターとして魅力に乏しい。
隅田川/娘道成寺

隅田川/娘道成寺

木ノ下歌舞伎

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/01/13 (金) ~ 2017/01/22 (日)公演終了

満足度★★★★

■約120分(途中休憩あり)
今回の木ノ下歌舞伎は女性ダンサーによるソロ舞踊2本立て。
ダンサーとして初見だったきたまりさんの『娘道成寺』はたおやかな舞が実に見事。が、表現が抽象的すぎて、作品の面白みがもうひとつ伝わってこなかった。
『隅田川』は、ボーイッシュでハツラツとした白神さんには不似合いにも思える悲劇を、信じがたい芸域の広さを見せつけながら白神さんが巧演。吸引力抜群な“独壇場”に魅せられた。

ネタバレBOX

白神さんのは、主宰団体モモンガコンプレックスを彷彿させるコミカルな導入部が、以降の悲しい物語を引き立てていて感動ひとしおでした。
子の死を知らされ悲嘆にくれる母役に快活な白神さんを配するのは配役ミスにも思えたが、これがとんだ見当違い。
死を知る前の子探しのシーンでは、動きの軽やかさに支えられたせかせかした所作が行方不明の我が子を案じる母の焦燥をこの上ない生々しさで表現。そればかりか、ボーイッシュな風貌を生かして在りし日の我が子まで演じ、子の眠る川辺の塚に舟で至ると、大切なものを失った母の顔を浮かべながら、涙の海でもがくような粘っこい動きでもって筆舌に尽くしがたい物狂おしい感情を表現。
子の眠る塚に折り重なり、まるで愛撫でも浴びせるように塚をめでる場面には、音が立つかと思えるくらいに激しく心を揺すられた。
演劇専攻2・柴ゼミ『大工』

演劇専攻2・柴ゼミ『大工』

多摩美術大学演芸舞踊デザイン学科・演劇舞踊コース

多摩美術大学 上野毛キャンパス 演劇スタジオ(東京都)

2017/01/14 (土) ~ 2017/01/15 (日)公演終了

満足度★★

■約75分■
押しまくる作風に気圧されてちょっと疲れた。大工の活気を表現したかったのだろうけど、騒々しくてせわしないシーンが続くと、話を咀嚼するいとまが作れず困ってしまう。芝居にはやっぱり緩急が必要。
内容についてはネタバレにて。

ネタバレBOX

我が国、ひいては世界の抱える今日的な問題を、“家”をキーワードに寓話として示した作品。しかし、寓話化が過ぎて、何を問題視しているのかが見えづらかったです。もう少しばかり、リアリズム寄りの作りにしたほうが伝わりやすかったのではないだろうか?
『あたらしい憲法のはなし』もそうだったが、柴幸男という劇作家は、社会問題を扱うともうひとつピリッとしない。
高校演劇サミット2016

高校演劇サミット2016

高校演劇サミット

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/01/07 (土) ~ 2017/01/09 (月)公演終了

満足度★★★

3校のうち私的ベストは甲府南「歩き続けてときどき止まる」。考えてみれば、授業のほかは級友とのコミュニケーションにのみ時間が割かれる学校という場所は異常な施設。そこに生きる生徒たちの対人関係の悩みを等身大で描き出した秀作!と思っていたら、まさか顧問創作とは。。。 「相談室」の先生役を演じた女生徒のパキパキした演技が見事でした。
駒場高校「かわいそうのうそ」は、以前観たサル山のサルたちを描いた劇同様、部員数の多さを生かしたにぎやかな演目。統制の取れた集団芸?は相変わらずの楽しさだったが、“「かわいそう」という言葉の欺瞞”をテーマに作劇するのは、作者の女生徒が本当にやりたかったことなのかといささかの疑問が残った。
大阪は精華高校の「大阪、ミナミの高校生」は、チャレンジングな作風に好感。ただし、大人の観点で話がまとめてあるところが私にはつまらなかった。

ネタバレBOX

「歩き続けてときどき止まる」は、終幕の合唱も見事! 顧問創作であることに驚いたと先に書いたが、なるほど、合唱の精度をあそこまで高めるには“先生の指導力”がどうしたって必要になるわな。
メゾンの泡

メゾンの泡

無隣館若手自主企画vol.15 柳生企画

アトリエ春風舎(東京都)

2017/01/07 (土) ~ 2017/01/11 (水)公演終了

満足度★★★★

■約75分■
現役大学生とは思えない老練な脚本・演出に舌を巻いた。
とりわけ驚いたのは演出力。演出がポテンシャルを引き出したのか、無隣館公演で何度か見かけた役者たちがこれまでで最高の、凄みのある演技を披露。その生々しさに何度もゾクリとさせられた。
劇中人物の関係性を分かりやすく可視化する、独特なセット組みにも感心。これと関係するけれど、ビジュアルセンスにも見るべきものあり。

ネタバレBOX

賤民の住む汚染された地上世界のその下に地下世界が作られ、下層へゆくほど住民の地位が高くなる仮想世界が舞台。差別構造を強めつつある現社会の写し絵のごときその世界で差別に苦しみながら生きる人々を、現代口語演劇寄りのリアルな脚本・演出で描く。
となれば、描かれる世界は当然ながら暗くて重いが、愉快犯的作家の創る浅薄なディストピア演劇と違うのは、劇中の世界と同じく差別構造を抱えながらも改善への意志が見られない現社会への、若い作者の本気の苛立ちが感じられる点。世界をペシミスティックに描き出して悦に入ってる劇作家があまりに多くてうんざりするが、若い劇作家がものした本作には構造悪を放置して変わろうとしない社会への歯痒い思いが手に取るように感じられて、今後の作品への期待値が否でも応でも高まった。
新年工場見学会2017

新年工場見学会2017

五反田団

アトリエヘリコプター(東京都)

2017/01/02 (月) ~ 2017/01/05 (木)公演終了

満足度★★★★

ハイバイのも味わい深くて良かったけれど、極めて時事的なネタに挑んで笑いをさらった五反田団のをより面白く鑑賞。時事的すぎてたぶん再演できないのが勿体ないくらい。

ネタバレBOX

いじり代(しろ)が大きそうなあの女性を主人公に思いっきりバカバカしい話をこしらえ、思うさま茶化してみせた五反田団の悪ノリに天晴れ! 身を捨ててバカをやり倒した内田慈さんの女優魂にも!
コーラないんですけど

コーラないんですけど

渡辺源四郎商店

こまばアゴラ劇場(東京都)

2016/12/30 (金) ~ 2017/01/02 (月)公演終了

満足度★★★★★

■約85分■
男児として母から生まれた者として、胸を引きむしられるような思いで鑑賞しました。

ネタバレBOX

息子を持つ母の痛々しいまでの親バカぶりを生々しく描くかたわら、軍靴の響きが高まりつつある世相を鋭く抉った、じつに見応えある一作でした。
愛のおわり

愛のおわり

こまばアゴラ劇場

こまばアゴラ劇場(東京都)

2016/12/22 (木) ~ 2016/12/28 (水)公演終了

満足度★★★★★

■パスカル・ランベール天才!/約140分■
最初の50分くらいは「こんな劇を絶賛するフランス人って見る目ねえなぁ~。。」と呆れ、★★か★にするつもりでいたが、どっこい、大傑作でした。

ネタバレBOX

舞台演出家の夫と、女優の妻。ともに四十代くらいに見える夫婦の別れ話を描く。
まずは夫が二人はなぜ別れるべきか、相手の短所をあげつらいながら延々50分ほどにわたって妻に説くのだが、己の繰り出すレトリックに酔い痴れているかのような夫の長口舌は独りよがりで退屈きわまりなく、寝落ちせず観続けるのにどれだけ苦労が要ったことか。
が、合唱隊のくだりをはさんで妻が攻勢に転じると、劇は俄然面白くなる。それまで一言も発することなく夫の言い分を聞いていた妻は、夫の話を「観念的」と断じ、ついさっきの長口舌から観念的で空疎なフレーズを引用して夫を嘲り、客席をわかせる。
しかし、二人が愛し合っていた頃の思い出話を始めると客席から笑いは消え、幸せだった過去をしんみりと語る妻の話に観衆は没頭。
そのうち妻は「バラの刺繍入りの椅子は俺のものだ」などと物に執着する夫を蔑み始め、「私は●●●●を取っておく」と、忘れたくない思い出を列挙。このくだりこそが本作の見せ場。
空港で拾った上記の椅子を手荷物として機内に持ち込み、膝に乗せて座る様を見て夫に惚れたという妻が、好きになったその時のことを思い出しつつ言うセリフ、「私は『あ、このひと好きだ。ヤバい』を取っておく」には胸が震えた。
別れ話として展開してゆく恋愛論が、徐々に演劇論に重なってゆく二重構造も見事。
妄想の祭り

妄想の祭り

劇団森キリン

アトリエ春風舎(東京都)

2016/12/23 (金) ~ 2016/12/28 (水)公演終了

満足度★★

■約80分■
妄想を扱うと知った時点で、なんと大胆な、と思った。
「妄想がテーマですよ」と宣告した上で芝居を打つのは、「面白い話をするね」と前置きしてから話を始めるのも同然で、相手の期待値を否でも応でも高めてしまう。
だって妄想である以上、作者は現実原則に縛られず、自由に、放縦に、持てる創意を駆使して、自分の信じる“とびきり面白い物語”を作りうるのだから。
が、予測のついたことではあるが、作中で展開されるいくつかの妄想のうち、いたずらに引き上げられたこちらの期待値を上回るものは一つとしてなかった。
今後は、「妄想」の二文字を軽々にタイトルに入れ込むのは控えたほうがよいのではないだろうか?

ネタバレBOX

妄想の内容がパッとしないだけならまだしも、本作では、主要な二つの妄想がどんな心理から生まれたのかが解説されきってしまう。
小咄の解説にも似て、妄想を解説するのはまずもって野暮だし、そもそも、心理学ごときでは読み解ききれない謎めきのある、そんな類(たぐい)の妄想でなくては面白くない。
さらに言うなら、女性二人の性にまつわる妄想を男性劇作家が描くって、あまりにストレートすぎやしないか?
そういうのって、女性劇作家の作であれば興奮するが(爆)、男性劇作家の作だとなんだかゾッとしない。

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