海と日傘
松本紀保プロデュース
シアター風姿花伝(東京都)
2014/11/21 (金) ~ 2014/11/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
互いの愛おしむ姿にいろいろ思う
20年前の戯曲だが、作品を見るのは今回が初めて。
夫婦2人暮らしの日常生活。日々の積み重ねで月日が経つだけ、奇抜な事が起こるわけではない。暮らしていくうちに自然に生まれ身についた生活動線、毎日の食事や生活音、何気ない間、等々、わかりやすい分、見終わった後はそれらがダイレクトに響く。
何年か後に来るであろう自分の夫婦環境を重ね合わせている自分がいて、いつしか、さめざめと涙が溢れていた。
縁側で爪切ってるだけなのに、それで話を見せるなんて向田邦子作品以来かも。
良か舞台でした。
約110分。
おもてなし
玉造小劇店
ザ・スズナリ(東京都)
2014/11/18 (火) ~ 2014/11/26 (水)公演終了
満足度★★★★
テンポ良いセリフは聞いてて気持ちよい
大正末期、大阪船場の商人でもある女将が商いする一室を舞台に、御店を維持する節制やしきたり、色恋事情が入り組む。少し話が混み過ぎの気もしたけど。
女の格が違いすぎるので比較出来ないのが口惜しいが、どんな生き方しても生き様が綺麗な女はシワの一本まで美しい。約2時間。
皆既食 ~Total Eclipse~
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2014/11/07 (金) ~ 2014/11/29 (土)公演終了
満足度★★★
静寂美というか。
配役は10人以上いるし、舞台上の目張りの多さも目を引いたが、ほとんど2人芝居のような会話劇。
美青年にすがる男の様相が凄かったアラン。ランボォと対峙しての会話は時に性的であり、歓喜と絶望が混じり合う詩の応酬のよう。2人ともいろんなもん放り出して、模範的な生き様ではないけどw
アランのビジュアル、設定上は30歳くらいだったと思うが、あの姿は晩年をイメージ優先だったのかな?
繊細と狂気さと美貌が光るランボォ、まるで竹宮惠子漫画に出てきそうな人みたいだった。
二幕の其々の独白に、ようやくその世界観に浸れたが一部観客の呆れた行動で惜しむべき観劇になってしまったのは残念。アクシデントあったにも関わらず滞りなく進行していった舞台上の俳優陣は素晴らしかった。
トーキョー・スラム・エンジェルス
Théâtre des Annales
青山円形劇場(東京都)
2014/11/14 (金) ~ 2014/11/24 (月)公演終了
満足度★★★
2日め観劇
金融IQ値が低い為、途中、サンデル教授の白熱講義を聞いてるみたいでしたが、生きる為には知恵と生活基盤と人との繋がりが根本的に大事という事かな。
亨さんの嵌り過ぎる登場には吹きだしそうになるし、要所で2人が対峙するシーンの濃密な会話と芝居、円形の舞台を効果的に使った演出も楽しかった。
観劇後、無性にアレが食べたくなりましたw。
台詞カミも多々あったけどまだ始まったばかり、空席がもったいないと思えた舞台でした。
約2時間。
儚みのしつらえ
TRASHMASTERS
紀伊國屋ホール(東京都)
2014/11/07 (金) ~ 2014/11/12 (水)公演終了
満足度★★★★
模索するそれぞれの生き方
ゲストアクターからか、若い女性が多く、いつもとは違う客層にやや戸惑ったw。それ以外は安定のヒゲ率w
今までとは多少趣が変化している気も見えたけど、内面を抉られるような感覚はかわらず。
極限から来た人間の怒りや衝突、足掻きの中で考える現代と直結した反戦舞台、だったのかな。ここ最近、固定舞台で瞬間高速セット移動とあのナレーションがなくなったのは残念。
約2時間30分。
水の戯れ
森崎事務所M&Oplays
本多劇場(東京都)
2014/11/01 (土) ~ 2014/11/16 (日)公演終了
満足度★★★★
女の訳のわからない理由と男の理屈
16年ぶりの再演、初見。
互い違いの男の純情と女の変容、口論する気はないとわかっているのについ出てしまうトゲのあるやり取り。ボタンのかけ違いから時間だけ淡々と過ぎる。テーラーなのに‼︎
水溜りから波紋が胸奥に拡がる感じがしばし持続、思い悩み、緊張と哀愁を一挙に感じた成熟した舞台でした。
円熟味ある俳優陣の中で、久しぶりに若造の位置づけの公園くんを見られてちょっと嬉しかった。瑛蓮さんの中国語イントネーションの片言日本語も聞いてて楽しかった。
休憩15分込み、約2時間20分。
扉座イカサマ歴史劇シリーズ第1弾 『おんな武将NAOTORA』
劇団扉座
座・高円寺1(東京都)
2014/10/23 (木) ~ 2014/11/03 (月)公演終了
満足度★★★
いかにも本物らしいお話のお芝居
冒頭から一気呵成に会話を畳み掛け、史実とフィクションが疾風怒涛の如く展開するイカサマ歴史劇、クライマックスまで横内さんの筆圧が翻訳劇仕様みたいな迫力だった。なるほど、だから「イカサマ」なのか。
照明の色遣いもわかり易く、舞台上での多重な生鳴り物も面白い。
約135分。
霊感少女ヒドミ
ハイバイ
アトリエヘリコプター(東京都)
2014/10/18 (土) ~ 2014/10/28 (火)公演終了
満足度★★★★
「視」激的な舞台でした。
マッピング映像と身体の動きがとてもいい具合に思考感覚を合わせ、ヨシヒロさんの行動には見ていて多少引いたり苦笑いする場面はあるものの、好きな人を切なく想う気持ちや、男子女子の埋められない距離間隔にどこか共感したりして。あの場面で流れるキリンジのエイリアンズが良い‼︎
ヒドミちゃんの衣装も可愛かった。約60分。
カサブタかきむしれっ!
演劇ユニット3LDK
ザ・ポケット(東京都)
2014/10/21 (火) ~ 2014/10/26 (日)公演終了
満足度★★★
(山)の回、観劇
初見の劇団。
なので、チラシ裏面のキャストプロフ写真と劇中人物の表情の違いに一部キャストの顔が一致するのに時間がかかってしまった。
客演者に惹かれたことと、震災から3年経過し、それまで自分の中で直球で震災を扱う題材を見ることはあえて拒絶していたのだけど、気持ち的にそろそろちゃんと向き合うべきか、と踏ん切りをつける為に。
実際見てみれば農業高校を舞台にした、恋愛や進路、思春期等々、各世代の人間関係と対峙したウエルメイドプレイだった。
ただ、音響設備が良いのか、冒頭から会話のほとんどが声を張り上げてるように聞こえ、台詞の節回しがうるさく聞こえたのは残念。また、副担任の行動に嫌悪感まではいかないが、終始違和感が伴う事もあったが、客席の反応は大きかったので男女の考えの違いからくるものなのかな、と思ったり。
約2時間。
鷗外の怪談
ニ兎社
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2014/10/02 (木) ~ 2014/10/26 (日)公演終了
満足度★★★★
文豪からの教訓
森鴎外といえば、舞姫、エリス関連しか知らない。
大逆事件前後の森鷗外とその家族や関係者。国のトップに位置する立場の鷗外が裁判に関わる事により解る事実とそれらの葛藤と苦悩、当時の重要法案作成、家長としての責任、他人様の嫁姑問題に笑える。それにしても明治の女は強いわ^^;
いつの時代も私用と公用の悩みは似ているし、怪談=畏怖と思えば腑に落ちた。
衣装が和装姿。当たり前だが、それが馴染んだ姿の生活。久しく着物着ていないが、その振る舞いを見てて安らぐ気持ちになるのは自分も日本人なんだなーと思ったりして。しげさんの浅葱色の着物姿綺麗だった。スエさんの足袋、地味ながら色使いが仕立てに似合ってた。
しげ役の水崎さん、初めて見る方だったが気っ風の良い利発さが見て取れて印象に残った。お姑さんの大方さんも人生経験の達者さがイキイキ見え、自分が子供の頃、多くいたと思われる大人たちの姿を想像してしまった。良い舞台でした。
ジュリアス・シーザー
彩の国さいたま芸術劇場
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)
2014/10/07 (火) ~ 2014/10/25 (土)公演終了
満足度★★★
ブルータス夫婦の年齢差がよくわからんw
阿部ちゃんがまんま古代ローマ人だし、横田さんはこれまで見た事なかったような陰影さが独特で力強て迫力あった。鋼太郎さんは可愛くも凶暴で剛毅。そんなマダムキラーばかりの中に入ると自然にアイライン濃いめ(に見えた)の硬派なアントニーも周囲にまったく引けを取らない凄みぷり。もう、このまま引き継いでクレオパトラにダメにされるとこまでやってほしいw、が、釣り合う女優さんが思い浮かばない。
ブルータスとキャシアスの口論がまるで痴話喧嘩のようでもあり、お茶目だったり。殺陣シーンより台詞=劇的な会話が多く聞かれた王達の心理状態MAXの熱気舞台でした。眼福。
御ゑん祭
バンダ・ラ・コンチャン
青山円形劇場(東京都)
2014/10/09 (木) ~ 2014/10/13 (月)公演終了
満足度★★★★
近藤さん、八面六臂の大活躍
チケットプレゼントにて観劇。
蓋を開けてみれば、こんどーさんのこんどーさんによる、こんどーさんの為のdead or alive公演。多種多様な劇団に弄ばれているのかいないのか、ミヤタケイコさんのpopな背景の中、くだらなさと面白さと切なさとノリの良い音楽に彩られ、近藤さんの魅力が目一杯詰め込まれた楽しい舞台でした。
初見の劇団を一挙に見る事が出来、そちらもお得感がありました。
開演前のみ舞台セットの撮影許可サービスあり。
本編約2時間。 約5分休憩後、AT約20分。(観劇日ゲスト、鈴木浩介氏)
六悪党
トライヲンズ
下高井戸 HTS(東京都)
2014/10/01 (水) ~ 2014/10/13 (月)公演終了
満足度★★★★★
高密度な舞台
初期ガジラ舞台を千葉さん演出監修、との事で出演者の経歴とか二の次で観に行く。
役柄の年代が近い所為か、どの配役も見事にマッチしていたし、幕末Rockな世界観で客入れ選曲も上手くハマっていた。
息抜き場面の着付け動作はたどたどしかったが、緊迫感ある間合いと殺陣には瞬きする間もなく集中して見る事出来、迫力あって面白かった。気になる役者さんが増えた。
約110分。終演後、当日出席者告知のアフタートークあり。
入場時に下足し、素足観劇となる。
中に入ると客席40席弱、混雑時は座布団席スタンバイ(=ツバ被り、汗被り席)出来れば、場内の状況を前もって知りたかったが指定HPやブログ上では詳細不明。
次回公演を行う場合、この辺りを改善していただければ、と思う。
社長吸血記
ナイロン100℃
本多劇場(東京都)
2014/09/26 (金) ~ 2014/10/19 (日)公演終了
満足度★★★★
奇妙奇天烈なブラック会社話
子供の時の会社ごっこ遊びを眺めていたような、スラップスティックな世界を体験してたみたい。自覚したくない仕事の忙殺や私情の滑稽さが日々平行に動いているという不条理さ。見ているうちに一気にテンションが上がってくるような話ではなく、一定の体感温度を維持してたのに徐々に熱が上がってきたかのような感覚。こんな不可思議な事が出来るナイロンの役者さんて凄いわ。スローモーション場面の不気味な格好良さは痺れました。
面白かった。約2時間25分。
落伍者。
ラチェットレンチF
Route Theater/ルートシアター(東京都)
2014/09/26 (金) ~ 2014/09/30 (火)公演終了
満足度★★★★
初見。
チケットプレゼントにて観劇。
古典落語「死神」を軸に、本編話と落語噺の寸劇を交互に進行させながら途中からリンクしていく。演じる役者の経験の差というかプロとセミプロ位に力量の違いを感じてしまうような人物造形がそれらしく見えない人もいて、惜しい、と思う場面もあったが、転換時のダンスや照明遣い、作品テンポの良さには引き込まれた。
前座落語15分+本編約2時間。
炎 アンサンディ
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2014/09/28 (日) ~ 2014/10/15 (水)公演終了
満足度★★★
力作
母を訪ねて現代中東編というか。
平地舞台に周囲は漆黒、人と椅子しかない舞台なのに、その余白部分を埋めるような波乱のような真実、激動?劇的?で緊張感ある展開に次第に重苦しくなったりした。言葉がうまく見つからないまま肩凝ったw
10代から終盤の麻実さんがギリシャ悲劇然、どの舞台よりも控えめなしゅうさん、全員良かったです。
海外のニュース映像を見ているかのような、あまり慣れ親しんだ題材ではないし、悲惨な事例があるにはあるが、凄惨な描写がある訳ではない。だけど、強烈な余韻ある舞台だった。体調を万全にして見た方が良いと思う。
休憩込み約3時間15分
きらめく星座
こまつ座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2014/09/08 (月) ~ 2014/10/05 (日)公演終了
満足度★★★★
観劇日振替鑑賞
出演している役者陣に惹かれチケット取るも、観劇当日休演発表、別日振替にて観劇。
初演から30年、何度となく上演されている戯曲だけど、個人的に今作は初見。
オデオン堂のお茶の間を舞台に、前半はささやかな日常生活に程よく笑い、後半の日捲りカレンダーの日付と共にオデオン堂に関わる人達の行く末に哀しさに泣けてきそうになった。
チラシ絵のマスク姿で登場した時、怒りと怖さと今後の警鐘の印象もあり最後には緊張もしたが、総じて良い舞台だった。
夏公演の「てんぷくトリオ」の舞台を見ていたせいか、一幕の場面事の終わりにはつい「ジャンジャン♪」とSE聞こえてきそうで、転換事に暗転オチをつける手法は井上作品だな、とふと思ったり。
公演プログラムの終頁に、次号から井上都さんのエッセイ告知あり。掲載の継続を期待している。(あと、チケット代もう少し値下げして‥)
怪人21面相
パラドックス定数
SPACE EDGE(東京都)
2014/09/19 (金) ~ 2014/09/23 (火)公演終了
満足度★★★★★
面白かった
アジトのような場所で扉に鍵が掛かった瞬間から、彼らの共闘を目撃し、途中からは清張+栗本+阪本映画を見ているような硬質感もあり。
登場人物は4人、劇場と言えない芝居小屋から見える、演者達の足音や闇、4人の男達の背景を思ったら、この舞台は本当にフィクションの話なのかと考え込み、外の騒音すら効果音みたいに聞こえてくるようで、その世界に入り込んでしまった。
面白かったです。約115分。
風の吹く夢
THE SHAMPOO HAT
ザ・スズナリ(東京都)
2014/09/10 (水) ~ 2014/09/23 (火)公演終了
満足度★★★★
覚悟してみる事に
アンチホワイトカラーでもなく厳しい現実世界を見せてる訳でもなくいつも通り電車やバスで隣に座ってそうな人達の、彼らの日常会話と責任転嫁w
労働賛歌のような、ちっさくも大きい幸福感とについ笑ってしまう。でも会話の間の絶妙さにしんみりしたりして。
赤堀さん、本当にラストにするの?と思いながら覚悟して見てた。
約110分。
親愛なる我が総統【ご来場ありがとうございました!次回は4月!】
劇団チョコレートケーキ
サンモールスタジオ(東京都)
2014/09/12 (金) ~ 2014/09/15 (月)公演終了
満足度★★★★
マチソワの真ん中、追加公演で観劇
強制収容所の所長だった男、監視する役職の男達。
台詞一語一語が鋭く重い、自らを貫く姿勢から怒りやら哀しみやら緊迫感がボディブローのように効いてくる観劇でした。
いろいろ思いはぐるぐる巡ってくるけど、自分の頭の中で陳腐な言葉しか出てこないのがもどかしい、今回も濃密な舞台でした。
舞台とは全く関係ないが、自分が座った近くに言葉は発しないものの、終始落ち着きのない男性がいて目障りだった。
80分程度の芝居なのに、ジッとして見るってことが出来ないのかな?