舞台ドリームクラブ
劇団ドリームクラブ
ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)
2013/08/16 (金) ~ 2013/08/18 (日)公演終了
満足度★★★
玉石混淆
恋愛シミュレーションゲームの舞台化。
お嬢様、セレブ、ボクっ娘、メガネっ娘、アニメ声、ツンデレ、などそれぞれ個性あふれる「ホストガール」たちのメイク・衣裳はアニメから抜け出て来たようで、ゲームから舞台への「昇華」と言えようか?
彼女たちのキャラ作りは良くできており、元ネタを知らない身としてもワクワクだったのだが、それゆえの難点もアリ。
というのは登場人物が多く、しかも(恐らく)オトナの事情で大半をフィーチャーする必要があったから。
結果、クライマックスでユニット毎に歌(とダンス)を披露する下地的にメインのストーリー以外に地下や体内(!)で展開する傍系の挿話を複数併走させることになり、それが連繋せず独立しているために全体の流れが途切れがちな感が否めない。
また、その傍系エピソードも細かく描いているために上演時間が140分もの長尺となったため、ブツ切れな流れと相俟って体感的に実時間以上に思えてしまうのが残念。
そして長い割にはキャラの個性を必ずしも活かしきれずダイジェスト的な印象になってしまうのも惜しい。
それぞれをフィーチャーし独立した複数作品にした方がスッキリしたのではあるまいか?
あと、クライマックスのアニバーサリーレビューの後、店長の映像で暗転して終わるのは致命的。
ホストガールズたちがハケているので拍手するのも変だし、画も音も無くなったが何かがまだあるかもしれないと待つが置いてきぼり、的な。
リピーターらしきお客さんたちが手拍子と「アンコール!」のコールをしたからまだしも、いや、それでもせっかくのクライマックスの昂揚感がスッパリと切断されたことは否めず勿体ないったらありゃしない。
次回があるのなら、そのあたりを是非改善して戴きたい。
WANTED
TEAM空想笑年
ザ・ポケット(東京都)
2013/08/22 (木) ~ 2013/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
「ルパン愛」が溢れ出る快作にして秀作
「ルパン三世」への愛が溢れ出ているアクションコメディ、快作にして秀作、そして力作。
予め上演時間は140分とアナウンスがあったものの、体感的には2時間程度だったし、それどころか実測時間は150分だったというのに驚く。
単に元ネタを表面的になぞるだけでなく、シリーズの精神やコンセプトまでを咀嚼し消化・吸収した上でそれをベースに自分のものとして創り上げていて、それによって主要人物の行動やもの言いがいかにもそれらしく感じられるシカケ。
ただ、ルパン一味&銭形を世襲制とするなら200年くらい未来のハナシになってしまうワケで、「末裔」などの用語を排して「AKB0048」のように単なる襲名制にした方が良くはなかったか?
また、次元がリボルバーに弾丸を装填する動作があるのはアッパレだが、撃った弾数に較べてローディング数がまだまだ少ないので、どうせならもっと慌ただしく何度も装填して欲しかったなぁ。
一方、無理にダンスシーンを入れるのでなく、物語の進行上自然にダンスをさせて、しかもそのダンスの中にもストーリーを組み込むのは見事。
それに、西園寺家(だったかな?)の御曹司のキザな動作は愉快だし、「目にゴミが…」の伏線と回収も巧い。
それらの細部だけでなく、全体のストーリーの流れ、構成ももちろん良くできていて、かなりの手練れと見た。
が、ストーリーの根本的な部分と言うか、すべての元となった「15年前の出来事」はちょっとひっかかる。(ネタバレBOXに詳述)
とはいえ、そのあたりは「珠に疵」レベルで、全体としては上出来の部類。CoRich舞台芸術!でふと気になって、知り合いどころか一方的に存じている方もいないのに観に行って大正解。
かつてハチビット・プラネット、企画演劇集団ボクラ団義、劇団やぶさかなどを初めて観た時と同様の「うおぉ、イイ団体にめぐり逢えたぜ!」感を味わうことができて良かったぁ。
来年1月の第2回公演は大好きなバックステージものだそうなので、今からハードルがだだ上がり状態で待つ。(笑)
癒し刑
ガラス玉遊戯
王子小劇場(東京都)
2013/08/21 (水) ~ 2013/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
「もうひとつの現代」を描いたSF的寓話
人のストレスなどを制御する技術ができた「もうひとつの現代」のSF的寓話。
根本的治療ではなく対症療法にすぎないその技術は必要悪?などと考えつつ観るが、各人物それぞれに理解できる部分がアリ、「正解」は見出だせない。
そうして迎えるラストは最大公約数的なもので、その落としどころが実に巧み。
TANPENG30 Bグループ
TangPeng30 Bグループ
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2008/08/19 (火) ~ 2008/08/26 (火)公演終了
満足度★★★
個性的な3団体
【総論】
それぞれ個性が出ており、3団体とも30分の枠にきっちり収めていたが、必ずしもまとめきれてはいない感が無きにしも非ず。
【各論】
レティクル座「空想G」、おバカでややお下劣なのが楽しいし、時事ネタ的モチーフもワカるが、欲を言えばもう少し毒が欲しい気もする。
劇団ヒキ「マジ者」、正攻法の胸キュン青春ストーリー。一通り見せた後に隠された部分を見せる構造はワカるが、必ずしもそれが成功していないのが残念。また、ブッ跳び系のレティクル座の後だけに割をくった感もアリ。
in企画「不思議の国のロックスター」、写真で始まる思い出というテーマを前面に押し出したことと、リリカルな感覚は素敵だが、30分でまとめきれず、描ききれなかった(あるいは表現しきれなかった)部分があるのが惜しい。
超人テレ娘!
Tricobo
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2013/08/02 (金) ~ 2013/08/04 (日)公演終了
満足度★★★
小細工よりも構造でワカり易くして欲しい
超能力+タイムスリップというジュヴナイル系。
時制を往き来するだけに、その「場」がいつであるかを示す工夫はあるが、入り組んだ構造により今一つワカり難いのが残念。
構想から何度も推敲を重ねている作家と異なり、観客は原則的に予備知識なしで1回しか観ないので、小細工で凌ぐのではなく、もう少し構成面でワカり易くして欲しいなぁ。
PADMA vol.5 「戦国BARASHI」
Performance team PADMA
スクエア荏原・ひらつかホール(東京都)
2013/08/16 (金) ~ 2013/08/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
さらなる進化を遂げた感じ
キャパ400近い劇場でのパフォーマンスはまさに「劇場版」(いや、今までも劇場での公演ではあったのだけれど)。
舞台のタッパを活かした「かつてない」高さからのジャンプや客席通路も使った演出など、あれこれスケールアップ。
ある舞台のバラシと建て込みに来た裏方達が調子に乗って「芝居ごっこ」をしてしまうという構成で、前半はパフォーマンス中心、後半は(パフォーマンスも含まれる)芝居中心としたことにより上演時間時間は115分(休憩10分を含む)と史上最長だったが、体感的には90分程度。
もちろん新ワザやゲストパフォーマーとの複合ワザなどもあり、さらなる進化を遂げた感じ?
銀河鉄道の夜 〜青〜
からふる
パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)
2013/08/19 (月) ~ 2013/08/22 (木)公演終了
満足度★★★★★
来年また新版が観たい!
銀河鉄道内にほぼ特化した前年版と較べ、お馴染みのあのフレーズから始まる分、原作に忠実になった反面「普通になった」感無きにしも非ずではあるが、その略し方が巧く、また、ラストやケンタウロスの祭りシーンを筆頭とした照明、天の川をモチーフとした装置なども良くて感服。
来年、さらに改めた版とか観たいなぁ♪
隣で浮気?
傑作を遊ぼう。rorian55?
王子小劇場(東京都)
2013/08/16 (金) ~ 2013/08/18 (日)公演終了
満足度★★★★
翻訳戯曲感と舞台美術が魅力的
良い意味での翻訳戯曲感(言い回しとか論法とか)満載で、変に翻案したりしないその味わいを堪能。
また、白と黒に統一した舞台美術は3組の夫婦と2つの部屋をワカり易くするだけでなくデザイン的にもスタイリッシュでステキ♪
お酒との正しい付き合い方
月刊「根本宗子」
BAR 夢(東京都)
2013/08/15 (木) ~ 2013/08/18 (日)公演終了
満足度★★★★
終盤の論法・構造が秀逸
ある原因で眠りたいのに眠れないのでアルコホルの助けを得ている姉妹の対話。
愚痴と相手への思いやりがひとしきり語られた後の「心頭滅却すれば火もまた涼し」的なオチに繋ぐ論法、構造が秀逸。
「空のハモニカ-わたしがみすゞだった頃のこと-」
てがみ座
座・高円寺1(東京都)
2013/08/01 (木) ~ 2013/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★
器楽曲を管弦楽に編曲したようなオモムキ
「劇」小劇場での初演を観ていたので座・高円寺で再演と知った時には「どうなるんだろう?」と思ったが(失礼!)、逆にこちらを観て初演が想像できないほどに的確なスケールアップがなされていて、どちらも完成度高し。謂わば器楽曲を管弦楽に編曲したようなオモムキで、両バージョンを折に触れ上演して欲しい気も。
また、舞台上の演技だけでなく、壁に映る(演者や装置の)影も見どころ。
生きている家
ゲイシャフジヤマNo.1
小劇場 楽園(東京都)
2013/08/07 (水) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★
アイデアに脱帽
元ネタである狂言「梟山伏」でその翻案である本編部分を挟み込む構成によりテーマをワカり易くするアイデアに脱帽。
また、目にして「二方向客席対応」と思った装置の真意も見事。
さらに大好きなメタフィクション系のネタもいくつかありニヤニヤ。
それにしても初見であった前回公演と全く異なるテイストで来るとは…。
次回はどんなテで来るのやら?
黄金のコメディフェスティバル2013
黄金のコメディフェスティバル
シアター風姿花伝(東京都)
2013/08/15 (木) ~ 2013/08/25 (日)公演終了
満足度★★★
オープニングイベント
来賓(?)挨拶を含むセレモニー的なものの他に参加団体の主宰6人を2組に分けてのトークなどで構成された70分弱は随所に(良くも悪くも)江古田のガールズ的なノリが感じられた。
それにしても主宰トークでも話題となったが、コメディとはいえ作風が全く異なる団体の組合せは「異種格闘技戦」の様相、本戦を観るのが楽しみ♪
くろいぬケンネルVOL.3『学級会』
くろいぬパレード
OFF OFFシアター(東京都)
2013/08/07 (水) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★
「小学生あるある」が懐かしい
小学校での学級会のハナシ。
男子と女子の対立からキャラ設定から議論中の茶々の入れ方、ものの考え方にいたるまで見事なほど小学生で「昔、似たようなことがあったなぁ…」と遠い目状態。
それにしても前夜、隣で観たものと共通点が4つもあったのにはビックリ。
ちなみに初演は未見。
鉄の時代
劇団霞座
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2013/08/09 (金) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★
視覚的・聴覚的に美しい
ジグソーパズル的なストーリーを内包する「立体詩」。
どこを切り取っても視覚的・聴覚的ともに美しい場面ばかり。
そんな断片は一見バラバラだが直感的あるいは論理的に結び付けることができ、そんなあたりが「ジグソーパズル」たる所以(笑)。
物語性を犠牲にして芸術性を追求したとも言えるか?
紅の翼
ノーコンタクツ
萬劇場(東京都)
2013/08/02 (金) ~ 2013/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★
エンタメに徹した佳作
タイトルからも類推できる某人気長編アニメ作品を中心に複数のアニメ作品(他製作会社のものも含む)ネタも絡ませた娯楽編。
内容はもちろん、小道具を使わないマイムの表現(動作にピタリと合わせる神業音響も含む)や炭酸ズノウプロジェクト譲り(?)の飛行シーン、ウイットに富んだ台詞のやり取りなど、まさしくエンターテイメントに徹した佳作。
劇中のショー場面も楽しかったなぁ。(アレの替え歌など見事)
「バカの瞳はもれなく綺麗」
GORE GORE GIRLS
北池袋 新生館シアター(東京都)
2013/08/06 (火) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★
ブッ跳んだ発想が楽しい
終盤がやや弱い感あるも、冒頭の「外国映画に出て来る誤った日本像」的な地方から見た東京像でツカミはオッケー、本題部分もナンセンスだったりシュールだったりでその発想の跳び具合が楽しい。
ま、一部地域の方は「ディスられた」と怒るかも知れないけれど、あくまでフィクションということで。あれを架空の地名にしてしまうと意味合いが違ってしまうもんなぁ。
上演時間は約70分。
桜の園
時間堂
日本基督教団 巣鴨教会(東京都)
2013/08/04 (日) ~ 2013/08/04 (日)公演終了
満足度★★★
予備知識があったのが幸い
主要人物3人に絞り、他の人物は台詞も含めて省略するという大胆な手法の小1時間。
吉田秋生原作・じんのひろあき脚本の「櫻の園」を観て概略・人名と相関関係・一部の台詞などを知っていたのでついて行けたしそれなりに楽しめたが、予備知識なしだったら厳しかったろうなぁ。
彼らの敵
ミナモザ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2013/07/24 (水) ~ 2013/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
いろいろ考えさせられる
ユーモラスに始まり、次第にテーマを提示してゆくのでいつの間にか引き込まれて120分弱の長さは感じず。
ほとんど事実に基づいたという「過去パート」とフィクションである「その後パート」の往き来もモーフィングの如く滑らかで、なおかつ場面が変わってすぐにどちらかワカるのが巧み。
そんなスタイルで語るのは表現の自由・言論の自由の反対側(あるいは裏?)にあるものやマスコミの意義。
表現の自由を規制する方向への動きがある昨今、色々と考える材料を与えて貰ったといおうか、観ながらあれこれ脳内を過るものアリ。
暫く前に不慮の事故で遭難したヨット救助に関する批判があったものでそんなことにも考えが向く。
そうして迎える終盤での喫茶店の対決、主人公と女性ライターとの口論は白眉。
瀬戸山主宰の演劇人宣言(←そこまで大仰なものではない)も感じられたが、深読み?
さらに幕の引き方も「画竜点睛打つ」感じで鮮やか。
四畳半ベンチプレス
小松台東
OFF OFFシアター(東京都)
2013/08/02 (金) ~ 2013/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★
高校生のモヤモヤな日常
あれこれ何かとモヤモヤしている高校生たちを描いて懐かしいと言おうか「あったあった」と言おうか。
また、主人公がある象徴的なことをして幕を引くのも巧い。
2人を除いて皆高校生役というキャスティングも観ているうちに次第に違和感がなくなるのがまたフシギ(笑)。
タイム・アフター・タイム
天才劇団バカバッカ
ザ・ポケット(東京都)
2013/07/31 (水) ~ 2013/08/04 (日)公演終了
満足度★★★
中心部分の意外性
人数の多さゆえ序盤で複数の流れを併走させるのが雑然とした感あるも、プロローグとクライマックスを対にして本編を挟む構造と最後の落とし所はイイ。
また、親子ネタや社会制度に対する風刺かと思わせておいて語る中心部分の意外性と言ったら!(笑)
そしてそのネタ系としての新案と、それを使ってのクライマックスならびに落とし所に感心。
が、具体的に語るとネタバレになるので(Twitterなどでは)この程度しか語れないのが最大の欠点か?(爆)
あと、カーテンコールで口止めするところもイイ。