骨、噛み
ーヨドミー
四谷3丁目ドリームシアター(東京都)
2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
盲目の絵本作家である母とその息子を中心としたヒューマンドラマ。
悲劇ではあるものの不思議と後味は爽やかと言おうかスッキリと言おうか。
もちろん悪いヤツやダメなヤツも登場するが、人間味のある人物が何人か配置されているためか?
その意味では「後味の悪さが快感」という普段の作風とは真逆?(笑)
しかし「アンビバレンツ」というのは共通で、当日パンフレットの「いつもとかなりテイストが違うようで、同じようで」という藤丸さんの言葉通りか。(真顔)
また、祥子と深瀬の口論場面の真実味と盲目役の方々の演技も見事。
超科学戦闘機スーパーホーク1号の着陸(再演)
劇団鋼鉄村松
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2022/12/08 (木) ~ 2022/12/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/12/11 (日) 17:00
ヒーローもの(のスピンオフ)の体をしているが芯は挫折した男がそのトラウマを克服して新たな道に活路を見出す感動作。笑い・熱血・感動と少年ジャンプの王道漫画の舞台化みたいな?(笑)
そんな物語に加えて演技・演出と衣装で人物に妙に現実味があり、シンプルな装置・照明がそれを引き立てて見事。
うわつら
殿様ランチ
駅前劇場(東京都)
2022/12/07 (水) ~ 2022/12/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/12/10 (土) 14:00
2011年(初演?)、2014年に次いで三度目となるが色褪せない珠玉の名編。人の死を真摯にしかもユーモアも交えて描き「登場人物と共に一人の人間としての作家を看取った」感覚。何年か経ったらまた観たい。
また、「報道センターの斉藤さん」が伝える開演前諸注意と本編導入部を兼ねたニュースのセンスの良さよ! これだけでも一聴の価値があるのでは?(半分真顔)
ANAΓKH -宿命の女神-
劇団天動虫
シアター711(東京都)
2022/12/07 (水) ~ 2022/12/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/11 (日) 13:00
劇団天動虫featuring野村ようすけ流切り裂きジャック考察。
事件と同時代に書かれた小説とを絡めているのが妙案だし、それらをヒントに真相を明かしてゆくあたりのゾクゾク感たるや♪
また(劇中の)現実と虚構の境界が曖昧になってゆくあたりに夢野久作「ドグラ・マグラ」に通ずるものを感じる。
【兵庫公演中止】パンとバラで退屈を飾って、わたしが明日も生きることを耐える。
趣向
シアター風姿花伝(東京都)
2022/12/21 (水) ~ 2022/12/25 (日)公演終了
実演鑑賞
鑑賞日2022/12/22 (木) 14:00
チラシなどに「整理番号付自由席(購入順)」と「受付開始・客席開場=開演30分前」という相反する情報があり怪訝に思われている方がいらっしゃるかと思いますのでとりあえず速報です。
実際は「購入順の整理番号」どころかそもそもチケットがなく、当日受付順の入場です。
なぜこのような誤情報がチラシに記載されたのか理解に苦しみます。
今後このような凡ミスがないことを祈ります。
鏡の仮面はブラフにて
劇団ミックスドッグス
中板橋 新生館スタジオ(東京都)
2022/12/07 (水) ~ 2022/12/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/09 (金) 19:30
表裏一体的な二つの世界を併行して描き、しかも表裏一体的な人物が交錯するので確かにややこしいが、上衣などの着脱で人物を描き分け/演じ分けるのは妙案。
また、9つの椅子と鏡(枠だけ)という舞台美術にもセンスを感じる。ミックスドッグスらしさ満載。
『生きてゐる小平次』
楽園王
サブテレニアン(東京都)
2022/12/01 (木) ~ 2022/12/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/06 (火) 14:00
三角関係での殺人と霊、な既存戯曲と書き下ろし(?)。
「小平次」の影響で書かれたという「風」はまさしくアンサーソングと言おうか対照的でニヤリ。また、ある人物が実は霊だった、というオチは好きなパターンのひとつなので「うひょー♪」。
「小平次」は殺した筈の小平次が二度も現れるが果たしてそれは実際に不死なのか殺した側の良心の呵責かはたまた霊なのか?な見方もできて面白い。
蛍
第27班
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2022/12/02 (金) ~ 2022/12/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/04 (日) 13:00
併行する4つの軸の関係性が次第に見えてくる構成の巧みさよ!
「4つの軸」というヒントは初演時には明かされていなかったが今回は当日パンフレットで明かされており、所謂「観劇初心者」にもワカり易くなったような
また、萬劇場での初演に対して広い舞台となったことで異なる時空の場面を瞬時に切り替えることを可能ならしめた装置も余裕ができて、そちらの意味でもワカり易くなったと思うが、初演で衝撃を受けた身として物足りなさのようなものがないでもない。
が、今回の再演版を否定する意図は全くなく、「通向けの初演(オフィス上の空プロデュースだったし)、一般向けの再演」ということでどちらもアリと思う。
ところで初演のオシダってあんなにエキセントリックだったっけ?改訂した?
オーガッタジャ!
発条ロールシアター
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2022/11/03 (木) ~ 2022/11/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/05 (土) 14:00
廃ビルに潜り込んで偶然出くわした面々の物語。そのうちの一人(主人公)が「もう一つの世界」と行き来して、どちらが本当の世界か迷うあたりが「胡蝶之夢」的で好み。
また、得意パターンでもあるラストのあのシカケは考えようによっては「簡易版桟敷童子」的ではないか?
瞬きと閃光
ムシラセ
シアター風姿花伝(東京都)
2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/12/03 (土) 14:00
観ていて大好きな作品と通ずるものを感じた。1本は「櫻の園」、もう1本は……(ネタバレBOXへ)
ミッション系女子高校の写真部員たちを中心とした物語。若さに基づく一本気さ/繊細さゆえの友人に対する羨望/嫉妬心などが瑞々しくそんな彼女たちに対する先生や先輩(?)の眼差しが優しい。
さらにそこに笑いの要素や個人的に大好きなパターンの一つであるアレも加えて本当に何なの、これ!(語彙力喪失(爆))
脚本、演出、演技の三位一体に感服♪
わなわな
ジェットラグ
雑遊(東京都)
2022/11/29 (火) ~ 2022/11/30 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/30 (水) 13:00
ロベール・トマかアイラ・レヴィンか?な騙し合い/化かし合いサスペンスと江古田のガールズ/山崎洋平的笑いの融合。
(先述の作家の作品が好きだと特に)起こっていることすべてを疑ってかかり、二転三転のたびに「ほらやっぱり!」と思い、それでもなお騙されてしまうのが快感♪
babbling
エンニュイ
イズモギャラリー(東京都)
2022/11/25 (金) ~ 2022/11/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/27 (日) 13:00
一言で表現すれば「夜のコインランドリーに居合わせた4人の主題とその変奏曲」だった。この展開のさせ方が面白い。
いやぁ、面白かった♪(詳細はネタバレBOXへ)
近代能楽集「班女・熊野」
CroixProjec†
APOCシアター(東京都)
2022/11/23 (水) ~ 2022/11/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/11/24 (木) 14:00
まずは本編部分。タイトルはよく目や耳にしていたものの初見で、全くの現代劇。もしも全く予備知識なしに観たとして三島の戯曲と聞かされて「なるほど」とは思うが元ネタが能楽と知って「全く気付かなかった」というレベル。
そして当日パンフレットにある概略で原典を知るのみだったのは不覚。元ネタを知っていれば「あれをそう使ったか!」などとより楽しめたのではないかと思い、予習していなかったことに大いに後悔。
そういや「班女」の読みが「はんじょ」、「熊野」の読みが「ゆや」であるとは初めて知った。(何と誤読していたかはナイショ)
万物教会
虚飾集団廻天百眼
ザムザ阿佐谷(東京都)
2022/11/22 (火) ~ 2022/11/28 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/23 (水) 14:00
人ならぬ者も含む個性的なキャラクターばかりの異世界での主人公の体験……ということから「ある有名な物語」を想起しつつ観ていたが、終盤はあるキャラの名前に導かれるように「ある方向」に向かい、それもアリと思っていたら「そっちか!」で終わる流れに翻弄された。
また、キャラクター原案がヨシジマシウさんによるポップ/ファンシーなものであることもあってか表現も(廻天百眼としては)マイルドで、まさか血糊が飛ばないとは!(一応「血」は客席まで飛ぶんだが)
その意味で2020年1月上演の「不思議の国のアリス・オブザデッド」同様、興味はあるけれど何か過激そうで……と迷っている方々には特にオススメ!
触れただけ
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2022/11/16 (水) ~ 2022/11/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/20 (日) 14:00
三人芝居・二人芝居・二人芝居の短編三本。
そう思って観ていたせいもあろうが何度か観たらまのだのテイストを感じつつ秋葉演出なのでSPIRAL MOONの味わいもあってまさにいいとこ取り。さらにラストシーンの美しさよ!
また、手話通訳付きの回だったが、3編それぞれに付け方が違うのも興味深かった。
なお、3編の中ではコミカルな2編目が一番好み。
自分がかわいいクッキー屋さん
江古田ぐるぐる
小劇場 楽園(東京都)
2022/11/17 (木) ~ 2022/11/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/19 (土) 18:00
幼稚園で食べたクッキーの味が忘れられず当時の先生からレシピを教わりクッキー店を開いた主人公の盛衰記。笑いもふんだんにありつつ業界の世知辛さなどを描いて江古田ぐるぐる版の池井戸潤?(笑)。
月花抄
演劇ユニット 金の蜥蜴
シアター・アルファ東京(東京都)
2022/11/16 (水) ~ 2022/11/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/19 (土) 14:00
普段は能楽の一番(編)を芝居化することが多いが本作は源氏物語を題材とした三番(編)を六条御息所を軸に一編にまとめることでその嫉妬深さをを際立たせて大変ワカり易かった。σ(^-^) のような能楽に疎い層にはうってつけか?
六条御息所の嫉妬深さに大映テレビ制作のドラマを連想したりして……(笑)(例:「スチュワーデス物語」の片平なぎさ)
で、源氏物語というのはもしかすると昭和の昼メロとか今の一部の深夜ドラマのようなものだったのではないか?などと妄想。
ジャンキー・チエの木人件
グワィニャオン
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2022/11/16 (水) ~ 2022/11/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/11/18 (金) 14:00
15年前にソラトビヨリに書き下ろした作品(当時のタイトルは「ジャンキー・チエの木人犯」)のセルフカバー/リメイク。
さすがに記憶が鮮明ではないので推定だが初演版よりも出演者の年齢層が幅広いのでベテラン劇団やムード歌謡歌手など登場人物を膨らませてパワーアップしたのでは?
そうして描かれるのは大好きなパターンの1つであるバックステージもの。芝居に対する愛はもちろん、小劇場あるあるなど芝居好きをくすぐるネタも満載で客席が笑いの渦になるどころか時々拍手まで。
いやぁ「また観たい」との想いが15年経って叶って良かったぁ♪(ちなみに初演も予定外のリピートをした、と記録にある)
ロミオ アンド ジュリエット アット ドーン!
waqu:iraz
APOCシアター(東京都)
2022/11/16 (水) ~ 2022/11/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/17 (木) 15:00
公表されている「沙翁の不朽の名作「ロミオとジュリエット」を原案に大胆に翻案」の通り、単に現代に置き換えただけでなくイマの様々な事柄を織り込んだ「原典の流れに沿った新たな物語」。
その翻案具合は「七人の侍→荒野の7人」よりも遥かに上で「ロミオとジュリエット→ウエストサイド・ストーリー」に匹敵するくらい?
新たな設定にした部分やそのまま使う部分など原典と対比しつつ楽しんだ。
特に原典の「あの人物」を「イマそのもの」な人物に置き換えたのは個人的に大ウケ。
さらにその関連で脱出(?)に「あんなベタな手口」を使うとは!(笑)
あと、王政(ひいては天皇制)について考えさせられたりもする。
そう言えば原典の台詞(?)を使った会話に第三者が「ずいぶんと古めかしい言い方をするのですね」とか茶々を入れるのにもニヤリ。
ところで、あれ以前の物語「ロミオ アンド ジュリエット アット ナイト!」とあれ以降の物語「ロミオ アンド ジュリエット アット デイ!」とかないのかしら? だって、「ナイト→ドーン→デイ」という有名な三部作(?)があるじゃないですか。(もしやその「ドーン」ではない?)
仮面劇・犬神
昭和精吾事務所
ザムザ阿佐谷(東京都)
2022/11/11 (金) ~ 2022/11/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/12 (土) 14:00
一言で表現すれば「アングラのようでアングラでない少しアングラな作品(笑)」……というのは冗談として、物語は確かに土着的というか泥臭いというかアングラっぽい(個人の印象です)が、演劇表現としては垢抜けていて、いわば「ネオ・アングラ」なオモムキ?
また、タイトルにある通りの「仮面」が楽しい。実際にかぶると四頭身か三頭身くらいになってしまうが妙に説得力を感じたのは幼少時に観た木馬座などの着ぐるみ芝居の刷り込みによるものか?
そして、語り、演技・舞踏などの身体表現、生バンドをつけての歌、映像など各種表現を融合させたパフォーマンスは「観る」や「聴く」ではなく「浴びる」「感じる」感覚、テラヤマ汁ぶしゃあ~っっ!!!(笑)