『人形の家』激論版/疾走版
アマヤドリ
シアター風姿花伝(東京都)
2024/03/15 (金) ~ 2024/03/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/03/19 (火) 14:00
【激論版】
re-mixあるいはコラージュな疾走版に対してこちらは真っ向勝負の正統派。知人から散々情報が入っていた噂の人物と(疾走版では遠目に見た程度だったが)ようやく挨拶ができた、的な?(笑)
で、妻が何のためにそうまでして工面したかなど考えず自分(というか「家」)の体面を尊重するトルヴァルが「ちっせぇヤツ」に見えて「当時はこれが一般的なオトコの姿勢だったの!?」と。そして、こんな風に初演当時と現在の「意識の違い」を実感できるのも演劇(とか文学とか)の面白味(の一つ)と気付く。
そう言えばあらすじを紹介しているもののほとんどが主人公はファーストネーム、その夫はファミリーネームだが、これも「家」を念頭に置いたためか?と思ったり。
また、冒頭とラストの「アレ」はテーマあるいはノーラの暗喩?とも。で、そのパフォーマーでもある大塚さんの4役演じ分け(操演(?)込み)が愉しい。あと、疾走版を先に観て中3日空けて激論版を観たら疾走版が「壮大な予告編」と思えたり。(笑)
なお、Wikipediaで過去の上演時の配役を見てりゅーとぴあプロデュース(2019年)に大いに納得。(笑)
蛇ヲ産ム
日本のラジオ
新宿眼科画廊(東京都)
2024/03/15 (金) ~ 2024/03/19 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/03/18 (月) 15:00
夏の風物詩「怪談語り」的に始まりすぐに「ほん怖」よろしく再現場面が演じられて繰り広げられる怪異譚。タイトルがタイトルだし冒頭の会話から物語(なのか?)の軸は想像通りだがそれを取り巻く傍系の挿話がまた不可思議譚で何だか誰かの夢の中に引きずり込まれたような感覚が面白い。
また、場面によっては奇策(往年の惑星ピスタチオの手法も想起)があり「その意図は?」と考えさせられたりも。
あと、全体に漂う「不穏さ」やいくつかのモチーフが前日に観た映画「変な家」と共通でその偶然も併せて愉しめた。
なお、「カンポー!」もユーモラスで印象的。これ、その前の「西洋医学」で声をひそめているから効果倍増。(笑)
そう言えばタイトルにどこか既視感があったが川上弘美「蛇を踏む」だった。あれも奇譚だったっけ……。
『人形の家』激論版/疾走版
アマヤドリ
シアター風姿花伝(東京都)
2024/03/15 (金) ~ 2024/03/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
【疾走版】
予てより芝居やドラマで「女性の自立」の代名詞的に引用されていて内容を漠然と知っていたものの観るのは初めての人形の家、いわば複数の知人からウワサに聞いていた人物と初めて対面した、みたいな(笑)。
事前にWikipediaなどで予習していたことに加えて当日パンフレットに「構成劇」とあったこともあり、出演者の人数が激論版よりも多いことや構成劇たる所以も冒頭場面だけで理解し、以降「あー、そう来たのね♪」と頬が弛みっ放しで観る。
いわば「人形の家 re-mix」あるいは「コラージュ人形の家」かもなぁ。(笑)
あと、漠然と思い浮かべていたタイトルの所以もちゃんと台詞で出てきて大いに納得。
『口』
エンニュイ
王子スタジオ1(東京都)
2024/03/05 (火) ~ 2024/03/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/03/10 (日) 13:00
デジタル機器操作を得意とするプロジェクトチーム構成員と不得手なリーダーという演劇的スケッチで始めるがすぐに哲学じみたモノローグや彼ら……というより演者たちのゲームなど脈絡なさげな部分を挿入して観客を煙に巻く「得意の展開」(笑)に翻弄される。
が、6年前のまだ解り易かった頃から観てきた身ならともかく、初見の方々には建て増しを続けてきた旅館のように複雑化した「八艘飛び」ならぬ「発想跳び」構造はとっつきにくくなってきたかも?な気もする。
で、壁に設置されたモニターに出ていた文字列、発せられた台詞(や前説)を音声入力で変換したものとのこと。普通の早さの話し言葉を誤変換などもありつつあれだけ即時に変換できるという技術の進歩にオドロキ。
また、欠勤を続けている山口さんを訪ねる部分では以前の「無表情な日常、感情的な毎秒」の一挿話を思い出したりも。(やっぱり「建て増し」だ(笑))
それにしてもどこまで台本でどこが即興なんだか???
ネバーエンディング・コミックス
東京にこにこちゃん
駅前劇場(東京都)
2024/02/28 (水) ~ 2024/03/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/03/03 (日) 13:00
アニメ一辺倒だった同級生たちに(紙の)マンガを布教した転校生、彼女が一番好きなマンガは長年続いていたがしばらく執筆休止状態の作品で……から始まりその後の同級生たちも描いた物語。
舞台前面の上手と下手にある幕/スクリーンによる素早い場面転換を活かしてのテンポ良い展開と笑いでぐいぐい引き込むのが巧みで、実は同級生の一人の父であるマンガ家なども含めてそれぞれの「マンガ愛」を語って愉快。
なお、途中のオープニングとしては遅くエンディングとしては早い妙なタイミングのタイトルクレジット、アフタートークで萩田主宰から「小学生時代をアヴァンとしてタイトルクレジットがあり本編、という構想だったが「間違って」小学生編が50分にもなった」との言い訳(笑)があって納得。
しかし上演時間105分強で50分経ってクレジットって、オープニングでもエンディングでもなくほぼ真ん中じゃん!画期的!!(爆)
エアスイミング
カリンカ
小劇場 楽園(東京都)
2024/02/28 (水) ~ 2024/03/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/03/01 (金) 14:30
冒頭2~3分でその膨大な台詞量を予期して舌を巻いた通り、とある施設に入所している人物二人の会話、会話、また会話……。
登場人物に憑依された演者二人の時にヴィヴィッド、時にしっとりした言葉のシャワーを浴びているうちに過ぎ去る「演劇」を「体感する」110分、スゴかった。
また、頻繁に挟まれるスタンダードナンバー(脚本での指定と推測)によってどこか和やかになる気がすることにNHKの「美の壺」に通ずるものを感じたりも。
あと、「いかにも翻訳劇」な台詞も「演劇」っぽかったか?
猛獣のくちづけ
くちびるの会
OFF OFFシアター(東京都)
2024/02/22 (木) ~ 2024/02/27 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/02/27 (火) 14:00
人間が突然ワニになってしまうという異常な事態の中、自分がワニにならないよう、また、知人と共にワニになった者を人間に戻そうと奔走する主人公……なハナシ。
事前に目にした感想の大半で語られていたように確かに「シュール」ではあるがむしろ寓話として「ワニになるとはどういうことか?」「人間であり続けるとはどういうことか?」を問い、「人としての在り方」というか「人生の愉しみ方」を示唆しているのではあるまいか?
なお、観ながら黒沢監督「回路」(2001年)を想起し、終演後に山本主宰に問うてみたらご存知ないそうで、やはり似た発想をするクリエイターはいるのだなぁ、と思ったりも。
ファンタスティックベイビーズ
guizillen
王子小劇場(東京都)
2024/02/21 (水) ~ 2024/02/26 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/02/23 (金) 14:00
とかく生きづらい世の中をどうにか生き抜こうとする人々の群像劇……と言うよりは「エッセイ演劇」的な?
コロナ禍で活動を自粛していた4年間に鬱積されたものを登場人物に擬人化し社会問題/世相を戯画化した、みたいな。
なので笑いでコーティングされているものの観ていてけっこうツラい。それでも何とか観続けられるのは「何らかの救い」を期待させるものがあるからか? そうして迎えるラストの5文字・4文字・3文字……ヤラれたぁ。しかし前振りがあったとはいえあの3文字、ズルくね?(笑)
ノーザンライツvsメキシカンギャング
大統領師匠
「劇」小劇場(東京都)
2024/02/17 (土) ~ 2024/02/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/02/23 (金) 14:00
一言で表現すれば(((ハードSF+なんちゃってSF)÷2)+コメディ)÷2+微量の哲学?
「ん、これは?」な短いプロローグに導かれて始まるのはタイトル通りのスペース活劇風……だが、それはやがて「宇宙航行系SF」の定番の一つ(かつある意味ハードSF)に転じしかしコメディ要素も加えつつやがて「んなムチャな!(笑)」な「なんちゃってSF」まで加味してさらにそんな中に二通りの子を想う親の気持ちも練り込むという欲張りさん。が、それらが絶妙なバランスを保って成立しているのは見事。そうして迎えるラストは○○○/○○○で、これ、好きだなぁ。(たぶん贔屓目だ(爆))
また、序盤のタイムループかパラレルワールドか?はたまた「ドグラ・マグラ」的メタ構造か?な部分もツボ。
あと、ダブルコールでの遊佐さんの挨拶の〆が「これからも大統領師匠と小劇場をよろしくお願いします」だったの、カッコいいぞ。
柏原照観展
牡丹茶房
スタジオ空洞(東京都)
2024/02/21 (水) ~ 2024/02/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/02/22 (木) 14:00
私設美術館を開設するほどの美術蒐集家・その子たち・孫の三代を3つの時代で描いた連作短編集。
1編目は芸術家の業や傲慢さからの悲劇という印象だったが2編目の中盤あたりからサイコホラー臭が漂い、3編目は完全にそちらにシフトという……。
観劇直後は「新感覚ホラー」という印象だったが、帰路つらつら考えてみたら複数のモチーフに民間伝承の怪談話を思わせるものがあり、つまりこれは「モダンホラーの皮を被った古典怪談」ではないか?と思ったり。
また、すべては語らず謎を残したままシレっと次に移る構造に清水崇監督の「呪怨」(ビデオ版)も連想。そして、観客の想像に委ねる幅が大きいだけにいろいろな解釈ができそう。
あと、1編目は時代背景のためもあってか往年の「江戸川乱歩の美女シリーズ」を想起。(笑)
『メコン流れ星』※2/25(日)15時公演開催します。※一部配役を変更しての上演となります。内容に変更はございません。当日券はキャンセル待ちとなります。
ひげ太夫
テアトルBONBON(東京都)
2024/02/20 (火) ~ 2024/02/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/02/20 (火) 19:00
大スペクタクル冒険活劇アナログ人力絵巻、換言すれば欽ちゃん慎吾の仮装大賞を装置/小道具を使わずに見せるような手法の大の大人の大真面目な「ごっこ遊び(笑)」健在。いや、基本は「毎度おなじみ」だが、体力も要する作品を四半世紀以上も創り続けているのは尊い。
そして、設定や物語はアジアの伝説っぽい(私見)ものながらホログラフィやらレーダー探知機やらネットやらハイテクが登場するのに何故か違和感がないフシギさ(オカしさ?)もイイ。(笑)
あと、今回はそれぞれの所属団体でよく拝見しているお二方が親子役というのもツボ。
養生
ゆうめい
ザ・スズナリ(東京都)
2024/02/17 (土) ~ 2024/02/20 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/02/16 (金) 14:00
百貨店の展示替えの深夜アルバイトの大学生(後に正規採用)二人と正社員による三人芝居。これも作者の実体験に基づくもの? だとすれば過去と較べて毒(?)が薄れてマイルドになった印象。
が、今回特筆すべきは3台の脚立を組み合わせた可動/変形式の大中小三大の装置を主とした舞台美術で「それをそう見立てるか」なども含めて堪能。
また、アルバイト時代と正規採用後を並行して見せ、ワキを同じ役者が片や正社員、片や後輩となる新入社員と演じ分けるのも面白い。
ハムレット・ハウス
公益財団法人武蔵野文化事業団 吉祥寺シアター
吉祥寺シアター(東京都)
2024/02/18 (日) ~ 2024/02/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2024/02/18 (日) 15:00
何か/誰かを待ち続けている二人のところに俳優と称する人物が現れ……な設定の会話劇。そんな中では「演劇に何ができるか?」なども問われて「おいコラ、自分の迷いをそのまま観客に放り投げるなよ!」みたいな?(笑)
ある意味、最近観たたすいちとは真逆の作品だぁね。
また、メタあり「一見再現風」ありの作風は「それな!」でニヤニヤ。
しかししあわせ学級崩壊と較べると「静かな演劇」だったなぁ。(笑) いや、もちろん片鱗はあったが。
あと、「すみません、間違えました」というラストも落語のサゲのような決まり方で愉快。
あさがお企画『楽屋』
あさがお企画
六本木ストライプスペース(東京都)
2024/02/15 (木) ~ 2024/02/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/02/16 (金) 14:00
この会場の特色である演技エリア中央にある階段を応用して階上に舞台がある階下の楽屋という設定にしたのはここでの公演が多いオフィス再生の高木さんらしい見立て。そして原典から省いたり加筆したりした上演台本は観劇慣れしていない方にも優しくワカり易い、
それと同時に「楽屋」という芝居を知っている観客に対しては開場時点から「なるほど、そうしたのか……でもアレはどうするの?」と思わせる舞台美術や開演5分前に「そうきたか♪」とくすぐる「シカケ」、一般的には上演中は消灯する非常灯を点けたままにする工夫(?)などマニア(笑)への目配せもふんだん。
あと、「あれ」を「そうした」ことにより序盤で「雄弁に語る手」を見せたり、「影」を上手く使ったりしたのも面白い♪
さらに文字通り「手作り」感満載の当日パンフレットも佳き♪
たてほこ
たすいち
シアター711(東京都)
2024/02/09 (金) ~ 2024/02/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/02/14 (水) 17:30
【48masterKAZUYA】
(平日の19時台にテレビアニメ化か実写ドラマ化されて2年以上続いている)武道/格闘技系熱血マンガのアダルト版(またはヒット作品のパロディAV)なオモムキで確かに目崎作品としては稀有だがアレやソレの捩り方、捻り方はさすが。
また、キャラクター設定や「あるもの」を模したオープニング/エンディングも楽しい♪
あと、初演はラブホテルの一室っぽい装置だった作品を素舞台に椅子一脚だけで「ちゃんと表現」するのも演劇の面白さではなかろうか。
たてほこ
たすいち
シアター711(東京都)
2024/02/09 (金) ~ 2024/02/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/02/14 (水) 14:00
【剣チーム】
日頃からダブルキャストや2バージョンの場合、先に初日を迎える方が基本形でもう一方は応用編的と思っているが、弓チーム・剣チームに関しては逆?な印象。というか当て書きの初演に近付けた弓、それをスタンダードにした剣チーム、みたいな。
また、前日の兜チームで気付いた「あのキーワード」はこちらの何編かにも言えるのではないか?とも思う。
たてほこ
たすいち
シアター711(東京都)
2024/02/09 (金) ~ 2024/02/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/02/13 (火) 17:30
【あぁ県大会】
高校演劇の県大会開幕前のあれこれ。
あるある……というかありそー!(笑)、な個性を誇張・戯画化した各校の部員たちは良い意味でベタでそんなキャラたちが巻き起こす騒動はおもちゃ箱をひっくり返したような楽しさ。
また、出演者数も多く、たすいち見本市的なこの企画の中での俳優見本市と言えるのでは?
たてほこ
たすいち
シアター711(東京都)
2024/02/09 (金) ~ 2024/02/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/02/13 (火) 14:00
【兜チーム】
鎧チームの別キャスト版。
鎧チームを観ていて途中で気付いたことを確認したら「やっぱり!」。各編とも(少なくとも3編は)問題がすべて解決していない時点で終わり、余韻を残すと言うかその後を観客の想像に委ねると言うks、これぞ短編の醍醐味。
たてほこ
たすいち
シアター711(東京都)
2024/02/09 (金) ~ 2024/02/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/02/10 (土) 13:00
【弓チーム】
コメディ要素は1編目にほぼ集約し、以降はハートウォーミング系の二人芝居3編という前日に観た鎧チームと趣を異にする構成がまたアッパレ。そういえば目崎作品ってこういう側面もあったよなぁ、と改めて気付く。
いやホントこの企画、構成も巧いや♪
たてほこ
たすいち
シアター711(東京都)
2024/02/09 (金) ~ 2024/02/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/02/09 (金) 14:00
【鎧チーム】
過去の短編作品詰め合わせ的な2プログラムをダブルキャストで演じ、さらに別の短編2編も単独で上演といういわば「たすいち見本市」初日初ステージにて見覚えのあるものと初見のものが半々?
そしてパラレルワールドなどSF的なモチーフのものもあるせいかどれも理屈っぽく(屁理屈含む(笑))、登場人物も「めんどくせー」キャラ多数。そこから生み出される笑いがたすいちの魅力かもと改めて気付く。