じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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床這う君へ

床這う君へ

牡丹茶房

ギャラリーしあん(東京都)

2018/01/17 (水) ~ 2018/01/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/01/13 (土) 19:00

価格3,500円

江戸川乱歩の「芋虫」を原作に……と謳っているが、むしろ原案として換骨奪胎した新たな物語。(イマの仮面ライダーが「原作・石ノ森章太郎」としていることを想起(笑))

元ネタを読んだのは遥か昔で全くと言っていいほど覚えていないが、頽廃的(?)な味わいが乱歩っぽいな、と。そして哀しい夫婦愛の物語であり悲劇であり、さらにはイマの世相に一脈(どころではないかも?)通ずるのではないか?……などと思いながら帰って調べてビックリ。
元ネタは「ジョニーは戦場に行った」っぽかったような、というおぼろげな記憶が正しかったとは!
なので本作のように昇華させた烏丸棗さんの発想に改めて感心。

また、Gallery&Space しあん にはやはり独特なナニカが憑いており、そしてそれを使用団体が上手く活かすようだ。(逆に団体がそのナニカに使われていたりして(笑))
本作でも「イマの東京の一角」ではない「イツカのドコカ」に連れ去られていたしな。

ネタバレBOX

由紀久の状態は介護疲れ/看護疲れから対象者に暴力的になる典型的なパターンではないか、そんなところはまさに世相の反映。
また、ラストに谷崎潤一郎の「春琴抄」を連想。
山の声

山の声

温泉ドラゴン

「劇」小劇場(東京都)

2018/01/06 (土) ~ 2018/01/08 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/01/04 (木) 14:00

価格3,500円

昭和4年1月1日未明、山小屋に退避した二人の山男の会話劇。時折1ヶ所で舞う雪や照明・音響で「雪山感」を漂わせるのは「ザ・演劇」。
冒頭の九死に一生っぽさから「ひかりごけ」的な緊迫した状況を予期したが、その後の会話は穏やか。そう言えば冒頭は一人だけ転げ込んできていたので、あれはすべて幻想だったのでは?
あと、終盤で舞い散る雪は桟敷童子級?(笑)
複数ステージのある日など特に終演後のリセットが大変だったろうなぁ。

光、さえも

光、さえも

Ammo

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2017/09/15 (金) ~ 2017/09/20 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/09/19 (火) 14:00

価格3,200円

美とは何かについて哲学から屁理屈まで駆使しての論争劇、某傑作会議劇やら何やらと勝手に関連付けて観たので愉しさが割増し=例えばあの中にナイゲンのアイスクリースマスみたいな人物がいたらどうだったろう?などと考えて頬を弛ませていたのだった。
また、創作とは何か?という議論になった時に「既存のものが大半であっても、それに手を加えて新たな価値を附加すれば創作である」(大意)という意見が出て「あれ?これって聞き覚えのある理屈では?」とナイゲン終盤の理屈も想起。

キャスティングも的確な中、ピヨレボmacoさんの「フラッパー」ぶりが特にハマっていたかな、とも。史実上のジョージアのポジションが今回の座組の中のmacoさんのようなものだったのでは?などと妄想したりもして。

「12人の怒れる男」では老人が証言通りの時間て戸口まで行けたか試すことで、「ナイゲン」では疑惑の2ショットの再現をすることで座って議論するだけの状況にブレイクをもたらしたけれど、これではどうするんだろう?と思っていたらまさかのダンス、ってのにヤラれた。(笑)

あと、ヴォルテールの「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」に通ずる台詞にニヤリ。

カーテン

カーテン

日本のラジオ

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2017/09/30 (土) ~ 2017/10/09 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/10/04 (水) 14:00

価格2,200円

一言で表現すれば「玉虫色の会話劇」。ある手法により次々にクローズアップされる会話は深読み・誤読の余地が大きく観客毎に解釈が変わりそう。設定が少なくとも今の日本ではないことでより抽象性が増しているかも。また、状況とは裏腹にどこかのどかな味わいなのも愉しい。
あと、観ながら「神経衰弱」ができたりも。(謎笑)
ああいう設定だけに始まり方と序盤で出てくる「劇場(客席?)では……」という台詞が個人的なツボ。あと翻訳ネタかな。

ちなみに会場の使い方にbird's-eye view「girl girl boy girl boy」(2004年4月)を思い出したが、内容は「OCCUPY ~三鷹市芸術文化センター星のホールを占拠せよ~」ではなかったね、当然のことながら……(笑)

実験公演『いつか私たちきっとそこきっとそこで、そこに』

実験公演『いつか私たちきっとそこきっとそこで、そこに』

The end of company ジエン社

3331 Arts Chiyoda(東京都)

2017/08/29 (火) ~ 2017/09/03 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/08/31 (木) 16:30

価格2,000円

昔話と(地下?)アイドルネタが「手術台の上のミシンと蝙蝠傘」の如く邂逅しM.C.エッシャーの「メタモルフォーセス」の如くシームレスに変容・融合し、それをそこに繋げますか!?なのが愉しい。

アベサダ:リローデッド

アベサダ:リローデッド

美貴ヲの劇

OFF OFFシアター(東京都)

2018/01/10 (水) ~ 2018/01/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/01/10 (水) 19:30

価格2,800円

巧みな脚本に感心。が、詳しくはネタバレBOXに記し、ここでは「遺伝子(譬喩)」「真空パック」「聖書(の一説)」とキーワードだけ。

ネタバレBOX

妻帯者であるとは知らず交際していた相手の妻から電話があり二度と逢わないことを誓わされた女性3人がかつて使ったラブホテルの一室に会して「通夜」を執り行う話を中心に、阿部定と吉蔵の日々、阿部定がテーマの芝居を上演しようとしている高校演劇部男女の話が併走する構成。

「通夜三人組」の愛し方や女子高生のひたむきさ(?)に漠然と「阿部定の遺伝子(譬喩)」を感じ、それだけでもなかなか面白かったが、序盤では正妻の台詞だけだった電話シーンを、その相手である相席屋の受け答えも加えて見せる場面を皮切りに、相席屋の付き合いが6ヶ月でないどころか中高生時代(=演劇部男女パート)からのものと明かし、「阿部定事件ふたたび」となる終盤は見事。

そこに差し挟まれる女子高生マリアがシスターから聞かされたマタイによる福音書の一説に対して抱いた疑問・考察は後の相席屋の行動の伏線だろうし、「その直前」の相席屋の「真空パック発言」は定の心境そのものだろうし、そうやって3つの流れが一体化するのは圧巻!

で、あとからつらつら考えてみたら阿部定の愛し方って、歪な部分もあるけれど、本質的には純粋なものなのではないか? という気も。

ちなみにこの少し前に観たSun-mallstudio produce「シンクロニシティ2018∞」でも劇中でJアラートが鳴り、聖書の一説(アチラはヨハネによる黙示録だが)が朗されるという「小劇場シンクロニシティ」。

なお、阿部定を演じたあべあゆみ嬢、基本はオフィス再生ver.ながらミナトの母で登場した時はノーコンタクツver.(メガネもかけているし)、さらに吉蔵を縊る時は有末ver.であったかと……(笑)
たまべん

たまべん

昭和芸能舎

赤坂RED/THEATER(東京都)

2017/04/04 (火) ~ 2017/04/09 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/04/05 (水) 14:00

座席J列11番

価格2,800円

女性綱引きチームを縦軸にメンバーそれぞれがかかえる問題(家族だったり差別だったり)を横軸とした構成が鮮やかで羽原節全開にして昭和芸能舎の真骨頂。
憎まれ役の設定や終盤の見せ方もイイんだよなぁ。

SANTA CROW'S Co.,Ltd.

SANTA CROW'S Co.,Ltd.

Performance team PADMA

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2017/12/21 (木) ~ 2017/12/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/12/23 (土) 14:00

座席B列5番

従来ワザのバージョンアップやクリスマスアレンジはもちろんのこと、 ゲストにシンガー・ソングライターを迎えてハートウォーミングなストーリーを絡ませる。まさかPADMAで泣かされる日が来ようとは誰が予想しただろうか!?

なお、同じ池袋での公演で期間がカブっていたTEAM空想笑年「SANTA!」と
・人間ではない存在のサンタクロースが実在して会社組織となっている
・片や12歳がサンタからプレゼントもらう上限、片や15歳になるとサンタを見ることができなくなりサンタの記憶がなくなる
・どちらもラストは泣ける
などのシンクロニシティあり。

Styx in Butterfly

Styx in Butterfly

Performance team PADMA

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2017/06/29 (木) ~ 2017/07/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/07/02 (日) 17:00

座席H列14番

観ている側も力が入ってしまうようだったり流れるように美しかったりな身体能力極限発揮パフォーマンスとコントなどの笑いが絶妙のバランスで組み合わさっていて見事。
また、従来ネタでもアレンジを加えて違った印象で見せる演出もイイ。
体力ワザをほぼ封印した前回公演「Quintet」の続編的なものや以前のプロレスネタの「○○を待ちながら」的変奏も楽しかったし、終盤の猿かに合戦を伏線に使ったオチも巧いんだよなぁ。
そもそも本編の中心となる病院ネタにからめた小芝居での上演中の諸注意(2分半ほど)から笑いをとっているし。

室温 ~夜の音楽~

室温 ~夜の音楽~

天幕旅団

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2017/12/12 (火) ~ 2017/12/17 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/12/15 (金) 19:30

価格3,000円

青山円形劇場の規模ならまだ絵空事感があるが、このサイズの会場であることに加えて具象的な舞台美術なので身近かつ現実的なタッチに感じる。その一方で内容はオカルト気味と言おうか非現実的で、そのギャップ(アンビバレンツ?)が面白い。
終盤で邪悪/ダークな展開となりどよーんとしてからの最終場がそこまでを浄化するようで、その感覚に「パンドラの匣」を想起……って、キコ qui-co.「神の左手:coda」に通ずるような。

ツヅキノキセキ

ツヅキノキセキ

たすいち

「劇」小劇場(東京都)

2017/12/22 (金) ~ 2017/12/26 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/12/24 (日) 19:00

価格3,000円

SFにありがちなネタをほぼSF臭なしに仕立ててさらに観客への問いかけ(=テーマ?)もきちんと組み込んだツクリはいかにもたすいち。

ネタバレBOX

「普通であること」から抜け出たいと思っている隼人に「普通でい続けることの(気付きにくい)幸せ」を、何度も同じ一生を繰り返している歩美に「先のわかっている人生は幸せか?」という問いかけを感じた。
また、隼人・歩美のコンボにより「どうせこの程度の人生」と高をくくって(あるいは諦めて)特に努力をしない怠惰な生き方に考えが及び、決まった運命(さだめ)であっても変えようと努力することの必要性(=諦めなければ奇跡は起きる)を読み取る。
歩美の設定は「同じ時間を何度も繰り返し、どうにかそこから抜け出て先に進もうとする」タイムループ系SFを壮大なスケールにしたものか?とも思い、すべての記憶が残っているあたりにアカシックレコードも連想。
俺は大器晩成、~四十にして大輪を咲かせる予定~

俺は大器晩成、~四十にして大輪を咲かせる予定~

劇団献身

駅前劇場(東京都)

2017/12/20 (水) ~ 2017/12/24 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/12/21 (木) 19:00

価格3,200円

初演は7年前だそうで負のエナジーが暴走気味なのは若さだねぇ、と。
で、不安定な部品を次第に高く積み上げて行くようなスリルがイヤ。(笑)
しかしそれを払拭する最終場のチカラ技たるや……やっぱり若さだわ。(笑)

地獄

地獄

江古田のガールズ

小劇場 楽園(東京都)

2017/12/12 (火) ~ 2017/12/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/12/16 (土) 14:00

価格3,500円

端的に言えば「12人……ではなく11人の○○○○日本人ともう1人」的な。骨太に「生きろ!」というのも好きだけれど、本作のようにやんわりと「死んじゃダメだよ、生きてなくちゃダメだよ」(←ドラマ「わたしたちの教科書(坂元裕二脚本:2007年)」の名台詞)というのはもっと好きかも。
また、先に触れたように12人の怒れる男へのリスペクトが感じられる展開(大多数を占めていた意見が次第に覆ってゆく)や台詞(「話しましょう」とか)があって、アレが大好きな身としてタマらん♪ さらに終盤の「ある種明かし」からのオチも巧みで満足満足。
ステキなクリスマスプレゼントを一足はやく頂いたような。

ネタバレBOX

SNSで自殺志願者を集め……というのは座間の事件を想起させるが、内容的には真逆だしそもそも脚本執筆時にはまだあの事件は公になっていなかったのではないか?
クラクション

クラクション

ハダカハレンチ

王子小劇場(東京都)

2017/12/14 (木) ~ 2017/12/17 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/12/15 (金) 14:00

価格3,000円

集合住宅の4つの部屋での深夜の出来事。それぞれが絡んでいたりいなかったりと差があり、終盤に「明けない夜はない」かと思わせて……なのはいかにも深谷作品。また、4つの部屋を同じ舞台上に同居させ併行して描く手法は演劇の特権。しかし4つとはまた……
たとえばレイ・クーニーの「ラン・フォー・ユア・ワイフ」(だっけ?)では1つの装置の中で2つの部屋を重ねて見せているけれど、 #ハダカハレンチ 「クラクション」では4つの部屋を1つの装置に同居させていた。このパターンの最大はいくつの部屋なんだろう?4つが最大とか?

【余談】
王子小劇場にて通常は舞台に使う側を客席にした作品で「あ、どちらの言い分もワカる」なキツめの口論がある芝居が1ヶ月の間に2本上演されるとは……!

池田屋裏2炎上

池田屋裏2炎上

グワィニャオン

萬劇場(東京都)

2017/12/13 (水) ~ 2017/12/17 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/12/14 (木) 14:00

座席I列8番

価格2,800円

この少し前に観たこまつ座「きらめく星座」の「こじつけで国の行く末をきめられてはかなわんのです」もさることながら斬り合いで決めるのもかなわんなぁと思いながら、あの頃の若者の方が今の政治家たちよりも真剣に国のことを考えていたのではないか、などと思う。
さらに、世界の行く末を武力で決めるようになりかねない昨今の国際情勢への警鐘か?と深読みも。
なお、ちょくちょく入る笑いにしても終盤のキレの良い殺陣にしても全体的に「これこれ、これがグワィ♪」な老舗の味。(笑)

「標〜shirube〜」

「標〜shirube〜」

劇団桟敷童子

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2017/12/12 (火) ~ 2017/12/25 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/12/13 (水) 19:00

価格2,800円

3人の脱走兵が迷いこんだのは肉親や夫が出征した女性達7人が暮らす共同体で……な物語。戦争の悲劇を伝えるには大切な人の生還を待ちわびる人々を描くのも有効だと改めて思う。また、戦犯に関する理不尽さも出てきて井上ひさしの「闇に咲く花」も連想。
そんなストーリーの根底には力強い「生きろ!」というメッセージが流れているのがまたイイ。あと、ほんのちょっと「禁じられた遊び」を想起。

ちゅらと修羅

ちゅらと修羅

風琴工房

ザ・スズナリ(東京都)

2017/12/07 (木) ~ 2017/12/13 (水)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/12/11 (月) 19:30

座席B列7番

価格4,200円

冒頭の緊迫気味な場面から一気に引き込まれ、以降、破天荒なスタイルも交えて解りやすく語る今と過去の沖縄の理不尽。
漠然とわかったつもりでいたことが理解できただけでなく知らなかったことも多々あり勉強になりしかも面白かった。
で、風琴工房名義での最終公演ということもあり、時々過去の作品を思い出したりもしながら観ていたのだった。「やはり風琴工房スタイル」というのは脳裡をよぎったそれらの作品と本作に通ずるものがあったからなんだな。

新しい車を買おう

新しい車を買おう

Dr.MaDBOY

新宿眼科画廊(東京都)

2017/12/08 (金) ~ 2017/12/12 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/12/12 (火) 19:30

価格2,500円

エキセントリックな母と活発な弟に挟まれた内気な姉が事故で父を喪った心の傷から立ち直る話の体で始まりながらおバカ・ナンセンス系に転じ、カーチェイスまで見せてハードボイルドも漂わせるという日本映画全盛期の日活映画のような珍作。しかしそれで80分間見せちゃうもんなぁ……
「何でもクルマに変えてしまうキー」とか、それが某国の陰謀であるとかの設定は映画クレヨンしんちゃんっぽいかもなぁ。
それにしてもこの会場でカーチェイスを見せたり人間がクルマに変わるところを見せたり、ホント、バカも休み休みやって欲しいわ(笑)

新宿眼科画廊スペース地下のサムゴーギャットモンテイプ「メンタルヘルスケア」、スペース:0のDr.MaDBOY「新しい車を買おう」、どちらも主人公が大切な家族を喪った心の傷により少しオカしく、森の中の場面があり、上演時間が80分と共通点がありすぎ。

メンタルヘルスケア

メンタルヘルスケア

サムゴーギャットモンテイプ

新宿眼科画廊(東京都)

2017/12/08 (金) ~ 2017/12/12 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/12/12 (火) 14:00

価格2,100円

チラチラ洩れていた情報の答え合わせ、的な? しかしそれはネタバレとかでなく、予備知識があっても「あー、あれはこのことだったのか!」な楽しみがあり、補って余りある面白さ。
補って余りあると言えば「森の中の話」と聞いており、舞台美術にも森を思わせるものがごく僅かあって前夜の風琴工房の装置との差は限りなく大きかったが、次元が違って全く問題なし。

終盤で主人公の妻が「映画館のようなところ」に着いてからが圧巻。主人公の少年時代から妻との馴れ初めまでダイジェスト的に見せてインディ・ジョーンズ風世界の種明かしを筆頭に一気に伏線を回収するもんなぁ。
そうして、泣けるというクライマックスは「そういうことね」であり、しかし「そっちか!」な上に……

なお、奇しくも同期間に上階で公演中だったDr,MADBOY「新しい車を買おう」と複数の共通点があったが、そちらの「観てきた!」に。

ネタバレBOX

「オカヤマ、心の旅路」を経て病んだ原因は妻の死と明かされ、その妻を迎えに行ったオカヤマ……という状況は東西にある神話や公開中のマンガ原作の映画と通ずるが、妻が「もう私はこちらに来てしまったので帰ることはできない」と拒絶する落とし所がオトナな気がして感心。
そしてその「オトナ味」はこの前々日に楽を迎えたろりえ「桃テント」の結末に通ずるもので、どちらもステキ。
神の左手:coda

神の左手:coda

キコ qui-co.

サンモールスタジオ(東京都)

2017/12/08 (金) ~ 2017/12/12 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/12/11 (月) 14:00

価格3,000円

キコqui-co.作品としてこんなに笑った記憶はないぞ、と思って観ていると次第に終末感が支配してゆき、そのまた後は不器用な純愛のむき出し状態。さしずめ「希望ではなく純愛が残されていたパンドラの匣」か。また、小松左京の「首都消失」の手口(主題の要因ではあるが直接的にはさほど関係のない状況設定についての説明は一切しない)を想起。
中盤で拡がってゆく終末感はゾンビ的なものだがちょっと違うな、と思っていたところ不意に黒沢清監督の「回路」(2001年)を思い出し「あ、それだ!」みたいな。
某制作さんがこの前日ご覧になり大泣きしたと自白されていたし、この日遭遇した強面系(失敬!(笑))役者さんも涙を拭っていらしたようだし、漢を泣かせる芝居かもなぁ
そう言えばあの壁(?)のシカケ(?)、前にどこかで見た記憶があるけれど、何だったかな?

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