雑種 小夜の月
あやめ十八番
座・高円寺1(東京都)
2024/08/10 (土) ~ 2024/08/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/08/14 (水) 13:30
8年ぶりとなる「団子屋シリーズ」第3作。劇中時間も8年を経て、演じるレギュラーの三姉妹と母も実生活の8年の経験を役に乗せて演じており役の説得力(というか実在感?)が見事。
そしてメイン舞台の白っぽい木目の印象もあろうが木目の優しさ・暖かさに通ずる作風に癒される、
さらに母の過去を(も)描くのは「いかにもシリーズ第3作」だし、冒頭場面や中盤のアレなど今の時期にピッタリなのも巧い。
また、ファゴット(!)も加えて効果音もこなす4人の楽器隊の生演奏も言わずもがなだし、贅沢な時を過ごせて満足。
トーキョー
sleepwalk [スリープウォーク]
イズモギャラリー(東京都)
2024/08/08 (木) ~ 2024/08/12 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/08/12 (月) 13:00
かつて家庭教師とその教え子だった男女ともう1人(1体?)による会話劇。
その部屋の地縛霊(自称座敷わらし(笑))は「負け組」の人にしか見えないという設定が巧みではじめは見えていたのに見えにくくなるとかその逆とか、人物の立場(というより心情?)を上手く表現していたと思う。
また、その地縛霊/座敷わらしは怨念とか未練のカタマリの筈なのにそれよりも哀しみとそれに基づく優しさを感じられたのは河西さんの持つ優しさの顕れか?
針の目
のびる
APOCシアター(東京都)
2024/08/11 (日) ~ 2024/08/12 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/08/11 (日) 13:00
小学生時代に通っていた塾の女性講師のハラスメントをうまくかわしてきた二人が同窓会的な行事で再会し、な二人芝居。前日に観た某作品とカタチは違えど不穏な空気満載なのは共通で、恐怖とは違うがこういう「ゾクッとする」物語も夏の風物詩かもなぁ、などと思う。
終盤の「あの顛末」は「どっちもどっち」なんだが、子供時代に双方それぞれに近いことをした記憶が蘇って古傷をえぐられるような気もしたり。ヤだなぁ。(笑)
なお、今回は断念した「幻の反転バージョン」、いつの日か実現することを切に願う。
ミセスフィクションズのファッションウィーク
Mrs.fictions
駅前劇場(東京都)
2024/08/08 (木) ~ 2024/08/12 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/08/10 (土) 13:00
初デートに臨むオンナのコの心情を「演劇的手法」で表現(現在公開中の某CGアニメーション映画も想起)したなかないで毒きのこちゃん、道徳観念がズレた世界を描いた日本のラジオ、某特撮ヒーローものオマージュ(なのか?(笑))のMrs.fictionsと、各団体の特質を前面に押し出した短編オムニバス。各編のタイトルと団体名を表示する「あれ」もテーマにちなんでナイスアイデア。
真・バトルサウナー城崎
レティクル座
王子小劇場(東京都)
2024/08/07 (水) ~ 2024/08/12 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/08/06 (火) 13:00
カンフー映画を想起させる流れに後半から鳥山明風味が加わり更にハリウッドのSFスペクタクルまで、という娯楽要素の盛り合わせをサウナを舞台に繰り広げるという具沢山なツクリ。
それでいてシンプルながらちゃんとサウナに見える舞台美術や「火」の表現、タオルパフォーマンスに「あの着ぐるみ(なのか?)」など「芸術点」も高く、多彩で的確なキャスティング。キレイに一本取られた感じ。
『本棚より幾つか、』-短編演劇祭-
楽園王
新宿眼科画廊(東京都)
2024/08/02 (金) ~ 2024/08/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/08/05 (月) 15:00
【Bプログラム】
「赤い靴」は掛け合い漫才のような軽妙なやり取りが独特で他団体のために書き下ろすとテイストが異なるのかと思ったが終盤からオチにかけてはやはり長堀作品(笑)。その前日譚「アオイハル」はあれこれ「あ、なるほど」的な。(笑)
ラストを飾る「紙風船」は衣装や会場の持つイメージや途中で流れる「ボレロ」(←これがまた効果的)などにより今まで観てきた「和風」な印象と異なる「洋風」。夫婦が背中合わせに座るのは内心に秘めたベクトルの視覚化か?とも。
『本棚より幾つか、』-短編演劇祭-
楽園王
新宿眼科画廊(東京都)
2024/08/02 (金) ~ 2024/08/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/08/04 (日) 17:00
【特別プログラム】
テキスト散らかし型リーディング2篇。「お国と五平」は以前にも観たが今回男二人が形は違えど「純真」であり、それに対してお国が強かだと気付く。さらに終演後に長堀主宰から原作とのラストの違いを伺い大いに得心。
「華燭」の原作は小説だそうだがほぼ全編が披露宴での祝辞なのでリーディングにはうってつけ。特定の単語を誇張したりしつつ次第に熱を帯びてくるスピーチ(奥村さんの熱演たるや!)が笑いを誘う。
ところで「お国と五平」劇中で流れたベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章をアレンジした歌は何???(検索してもヒットせず)
また、「楽園王と言えば」な(笑)句読点ずらしというのは音楽に喩えれば変拍子のようなものではないか?と長年観ていながら初めて思った。
『本棚より幾つか、』-短編演劇祭-
楽園王
新宿眼科画廊(東京都)
2024/08/02 (金) ~ 2024/08/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/08/02 (金) 15:00
【Aプログラム】
オリジナルの「序章(第十一夜的な?)」に続く「夢十夜」より(第一夜)は下げられた2枚のロールスクリーンで視界が遮られるが壁やスクリーンに映る影で演技が「見える」のがステキ。
リーディング系の「よだかの星」は読み終えたテキストを床に落として行く得意の(?)スタイルだが時として墨書をしたりするのがアクセントとなり面白い。
「風」は以前サブテレニアンで観た記憶もあったが、今回は「風(役名)」が冒頭の「夢十夜・序章」と対を為すようで短編集としての構成の妙を感じた。
愚者と星と死神についてのいくつかの考察
feblaboプロデュース
エビスSTARバー(東京都)
2024/07/24 (水) ~ 2024/07/29 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/07/29 (月) 14:00
奇しくもこの週2本目の「占い師もの」だがこちらはタロットだし相談者の数が少なくその背景的なものに重点を置いているし当然ながら味わいは全く異なる。
それにしても「お悩み相談系」が相次ぐのは混迷したイマの世の中の象徴か?
青春の価値 プリズムエモーション
劇想からまわりえっちゃん
Studio twl(東京都)
2024/07/26 (金) ~ 2024/07/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/07/28 (日) 12:00
女子高生生たちやその親などを通して描く「青春とはなんだ」(← not 石原慎太郎)的な一編。
観ながら「青春というのは若者限定ではないよなぁ」と思ったが、考えてみれば十五周年を迎えてもこういう青臭い(←貶す意図はない、どころかむしろ褒めているつもり)作品を上演するこの団体がそれを体現しているのではないか?と気付く。アッパレ、このまま突き進め!
かわいいチャージ’24
人間嫌い
シアター711(東京都)
2024/07/24 (水) ~ 2024/07/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/07/26 (金) 14:00
メイドカフェを舞台にその従業員と関係者による「かわいい論」または「かわいいに関する哲学」。
肯定的な見方、懐疑的な見方のほかにビジネスとして割り切った見方など様々で観客それぞれ共感/感情移入する人物が異なりそう。その「客観的/多角的な描き方」が見事で演を重ねていることに納得。
べらんだぁ占い師シゲ子
四宮由佳プロデュース
新宿スターフィールド(東京都)
2024/07/23 (火) ~ 2024/07/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/07/25 (木) 14:00
相手に触れることで内面の悩みを察知できる能力者によるお悩み解決譚。短編連作風のエピソードの羅列になった憾みが無きにしも非ずだが、「よろしかったでしょうか」「~の方(ほう)」「~になります」などのおかしな日本語表現を強いられる接客担当を筆頭に各人の悩みが現代社会の理不尽さを的確に描いており共感したり納得したり。
また、シゲ子が急に能力を失って慌てる続編を勝手に妄想。
夏砂に描いた
πTOKYO 夏の朗読祭り
πTOKYO(東京都)
2024/07/16 (火) ~ 2024/07/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/07/21 (日) 14:00
時期の異なる2つの「夏の出逢い」を軸にしたファンタジー。進むにつれて次第に明かされる関係性が巧いし最終場面がずっと先なのもステキ。
また、観ながら「これって舞台化できるのか?」と考えて改めて「朗読劇」と「戯曲のリーディング公演」の違いに築く。
朗読劇って極めて映像的で「舞台化」はできないのではないかしら?
ナイトーシンジュク・トラップホール
ムシラセ
新宿シアタートップス(東京都)
2024/07/16 (火) ~ 2024/07/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/07/19 (金) 14:00
江戸の浮世絵師、戯作者たちとイマの融合。江戸にイマのあれこれが紛れ込んだのか江戸の人物がイマにタイムスリップしたのか?と思いながら観ていたがアレだ、江戸の人物のクローンが現代で漫画を描いている、的な?
そして、人物(及び風俗?)の活かし方/使い方の鮮やかで、改めて当時と今の共通性に気付かされる。
あと、ラストシーンも良かった。他の劇場で同趣向を観たことはあるがここでは初めてかも?
空腹
かわいいコンビニ店員 飯田さん
OFF OFFシアター(東京都)
2024/07/11 (木) ~ 2024/07/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/07/17 (水) 14:00
シェアハウス住人たち(とオーナー)が織り成す人間模様。人物の個性が強く、その個性が戯画化された感じで序盤はコミカルに思えたが物語が進むにつれてギスギスして居心地が悪くなる。
いや本当に人間関係の軋轢……まではいかずとも摩擦を描くのが巧い。(褒め言葉)
群論序説『ALICE IN WONDERLAND-不思議の國のアリス-』
PSYCHOSIS
ザムザ阿佐谷(東京都)
2024/07/12 (金) ~ 2024/07/17 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/07/16 (火) 14:00
不思議の国(/鏡の国)のアリスと数学者・ガロア、宮沢賢治、二・二六事件の舞台上での邂逅。いわば和洋中折衷の料理に思いもよらない食材も加えて美味しく仕上げた、みたいな?
なので「あ、そのネタも出すのか」が多々あり愉しめたがガロアと群論に関して予習を怠ったため帰ってから復習したものの数学苦手勢としてやはりワカらん。(爆)
とはいえ高取脚本・森永演出の「シン・アングラ」、ギミックを仕込んだ装置や小道具も含めて堪能。
仔犬たちの午後
AOI Pro.
アレイホール(東京都)
2024/07/12 (金) ~ 2024/07/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/07/14 (日) 14:00
闇バイトに関わった若者たちとその関係者。
各人物がリレーするような形のモノローグが中心でそこから彼らの関係性や背景が浮かび上がってくる構成が独特にして見事。要所要所に会話やマイクパフォーマンス(?)を挟んでアクセントにするのも巧い。
そうして語られるのは犯罪に加担したことから破滅に向かう若者……ということで往年のアメリカ映画(複数)を想起して「日本もこうなってしまったのか」などと思う。
また、年代的に連合赤軍も連想するが似て非なる……どころか根本的に違うのではないか?とも。
逃奔政走
フジテレビジョン
三越劇場(東京都)
2024/07/05 (金) ~ 2024/07/16 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/07/09 (火) 13:00
アガリスク勢はもちろんのこと、主役・準主役のベテラン陣までも「この人ってそういうイメージだなぁ」なアッパレなキャスティングによる政治風刺コメディ。
実際にあった「政治的不祥事」を揶揄しながらもバックレようとする人物を中心に巻き込まれる人々、という「王道コメディ」を貫き、さらに「こうであったらいいのに」で〆るのが見事。。
さらに導入部と終幕時の演出も好きだなぁ。
なお、先に目にした感想に「政治家諸氏はこれを観れば……」というのがあり一旦同意したが、本作を観て改心するような人物はそもそも不祥事などとは無縁なのではなかろうか?(毒)
十二人の怒れるひとびと
OuBaiTo-Ri
目黒CLEOスタジオ(東京都)
2024/07/05 (金) ~ 2024/07/05 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/07/05 (金) 13:00
東中野で観た時と3号、12号、守衛の演者が異なる。
で、「蓮根3号」は、これまで観てきた蓮根さんの役柄のイメージがあったためか息子への強い想いが前面に出て「背中に哀愁」的な?(笑)
また、前回気付いていながら書き忘れたが、2~3人の会話がクローズアップされる時に他の人物がスローモーション(あるいはストップモーション)になるのが照明と相俟って効果的で巧い。
十二人の怒れるひとびと
OuBaiTo-Ri
東中野バニラスタジオ(Vanilla Studio)(東京都)
2024/06/26 (水) ~ 2024/06/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/06/30 (日) 12:00
陪審員のうち3人を女性にし、時代を現代に置き換えた翻案版。
で、原典が大好きである身として「あ、そこは割愛(「省略/カット」ではないと信じている)したのね、な部分も含めて文句はない、どころか2時間を切る尺に収めた構成を見事と感じる。
また、各キャストもこの会場にしては音量過多ではないか?と思うほどの熱演と役へのなりきりぶりに感動さえ覚える。