じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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アラサー魔法少女の社畜生活

アラサー魔法少女の社畜生活

森プロ

萬劇場(東京都)

2019/01/11 (金) ~ 2019/01/14 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/01/13 (日) 18:00

座席I列7番

「羊の皮を被った狼」……と言うよりは「糖衣錠の毒薬」の方が的確か?
表向きはコミカルで娯楽性十分ながらイマの日本の企業(ブラックと称される一部のみではなく広く一般に)で行われている労働者酷使ネタがふんだんに盛り込まれて笑いながらイテテテテ、みたいな?
社会風刺コメディかくあるべし。

劇中での客いじりの対象となりたい客(?)専用の席を用意したり、鼻につかない程よさでメタ気味の笑いをいれたりするのも巧い。

ところで舞台が豊島区中心なのは初演が池袋の木星劇場、再演が大塚の萬劇場であるだけでなく「もう1つの理由」があるのではないか?(笑)

あと、漠然とエヴァっぽさを感じた(モンスター=使徒とか)のはσ(^-^) だけだろうか?

遺作

遺作

江古田のガールズ

「劇」小劇場(東京都)

2019/01/09 (水) ~ 2019/01/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/01/10 (木) 14:00

価格2,500円

公演初日の1週間前、脚本が冒頭部分しかできていず作・演出の主宰が自宅で執筆しているため、ひたすら冒頭部分と「もう1つ」の稽古を繰り返す劇団……昨年あたりから急増した感のあるメタフィクションにして小劇場系ネタもちりばめた大好きなパターン。

また、メタフィクション以外にも、あるプロットの人物設定を変えて翻案すると……な可笑しさがあって、これも好きなヤツだった。

さらに、終盤で「(脚本の遅れというトラブルがあったにもかかわらず)よく降板騒ぎにならなかったな」という台詞があったり、主宰のアイデアメモ的ノート(昨年夏の(劇)ヤリナゲの「みのほど」を連想)にあったメモが参考にしようと観ていた作品に関するもので、それを元に創り上げた芝居は盗作になってしまうのでは?と問題になったりするのはここ1~2年で演劇界に立ったさざ波の揶揄?な深読みもできて、そんな現実でのトラブルも知っていたのでより楽しめたかも?

ネタバレBOX

1930年代(?)のイギリスの雪に閉ざされたホテルという設定だったものをサザエさん一家に変えて演ってみる、というムチャは実際にはあり得ないだろうが、大笑いできたし「芝居のウソ」として容認。(笑)

脚本が冒頭部分しかできていないのでカーテンコールの段取りも稽古するという部分も現実のカーテンコールの時に思い出し笑いができてナイス。

さらに最後の最後でそこまでのトラブルも劇中の劇団もすべて劇中劇だったと明かす層構造(昨年末のなかないで、毒きのこちゃん「鳥の市2018」のEチームを連想)も巧いんだなぁ。
エンれぱ!Vol.6

エンれぱ!Vol.6

しむじゃっく

新中野ワニズホール ( Waniz Hall )(東京都)

2019/01/04 (金) ~ 2019/01/06 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/01/04 (金) 15:00

価格2,000円

岸田國士からアガリスク、キコまでという演劇福袋(あるいは闇鍋←コラ)。

「瓦礫のモグラ」
日常にありそうなほっこりする(?)短編、オープニングに相応しい。

「ぶらんこ」
準古典というかスタンダード的な作品だけに演出(会場も含む)による幅が広い岸田作品、会場の個性もあって「21世紀版」な印象。

「LiePhone4s」
若干こなれていない感が惜しいが、中盤でアクセルを踏み込むような構造が年末の東京コントレックスの冨坂作品にも通じて「やはり♪」な感じ。

「ミートソース・グラヴィティ」
キコ版も観ていたが、こちらも印象がかなり異なって面白い。ちなみにこの翌日に観た芝居にも2人の登場人物がフルートグラスでシャンパンを呑む場面がありありゃりゃ、みたいな。(笑)

『アウトロー:マジカルガール』

『アウトロー:マジカルガール』

美貴ヲの劇

OFF OFFシアター(東京都)

2019/01/09 (水) ~ 2019/01/13 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/01/10 (木) 19:30

価格3,200円

昨年の秋のムシラセがそうであり当公演とカブっている森山智仁プロデュースもそうである魔法少女ネタを軸に太宰作品を絡め、さらにアレやソレもあしらうというハイブリッド演劇。(笑)
中心となる2つのネタは手術台の上のミシンとコウモリ傘のように一見不釣合いだが、根底の部分が共通な感じ?
そして幕切れは物語的にも視覚的にもキレイだし、途中で出てくる六芒星の見せ方……というか組体操のような(?)表現も巧いしステキ。
あと、魔法少女が魔法を使えなくなるキッカケにもニヤリ。

ネタバレBOX

「アレやソレ」はペテロの(3回の)否認と娘道成寺。
そして「大切なもの」を3回「知らない」と言うと魔法が使えなくなる。
また、「誰かを愛する人の気持ちが、少しだけマシになりますように」で〆て暗転により魔法のバトンの光が壁に映るラストが美しい。
勝手にPV2

勝手にPV2

制作「山口ちはる」プロデュース

小劇場 楽園(東京都)

2018/12/27 (木) ~ 2019/01/06 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/01/04 (金) 19:30

価格3,200円

1年前に引き続いての短編オムニバス……というより歌とダンスとスキットのバラエティショー的公演で楽しさ、華やかさなどは年末年始に相応しい。
いろんな味わいを少しずつ一つの枠の中に詰め合わせたお節料理的とも言えるか。(笑)
また、クラッピングの呼び込み方など客の乗せ方も前年より自然で巧くなっていたような。
さて、今後、年末年始恒例の公演となるか?

からゆきさん

からゆきさん

EgofiLter

OFF OFFシアター(東京都)

2018/12/21 (金) ~ 2018/12/25 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/23 (日) 13:00

価格2,700円

昔、社会科の授業で習ったことが複数出てきて、キリシタン弾圧の影響はそこまで及んでいたのかとか日本の中国や東南アジアに対する行動はそういう政策だったのかとか学んだ(?)り。
また、「上海バンスキング」を思い出したりも……。
いやしかし、装置や衣装など、舞台美術関連はOFF・OFFシアターでは珍しいレベル(偏見)だったかも?

円盤屋ジョニー

円盤屋ジョニー

ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン

上野ストアハウス(東京都)

2018/12/19 (水) ~ 2018/12/25 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/21 (金) 14:00

価格3,000円

かつて「ラフカット」に書き下ろした短編3本オムニバス。

1編目「晩秋に吠えろ」
ラフカットにおける堤作品は、ロッカールームが舞台のものが少なくなく、また、内容的にも「ラフカットの堤作品」の王道。
かつて毎年「ラフカット」を観ていた身からすれば、この企画に相応しいオープニング、的な。

2編目「円盤屋ジョニー」
一般市民が裏社会の端っこに足を踏み入れてしまい……なバイオレンス系なタッチは堤作品としては異色?
ラフカットでの松尾スズキ作品「洞海湾」を思い出したが、そういう意味ではこれもラフカットらしいと言えるかも。

3編目「父を叩く」
これは初演を観た記憶があった。1編目とは対照的なタッチではあるが、近年の堤作品、なオモムキ。そう考えると3編の上演順はこれがベスト……と言うよりこれしかない、みたいな。

劇作家と小説家とシナリオライター

劇作家と小説家とシナリオライター

劇団6番シード

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2018/11/21 (水) ~ 2018/12/16 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/11/21 (水) 19:00

メタフィクションのバリエーション的な手法を交えて描く「ある企画」のメイキング。広げた風呂敷を綺麗にたたむだけでなくリボンまでかけるようなラストも巧い。
「ある企画」とはタイトルの三者、劇作家と小説家とテレビドラマのシナリオライターがそれぞれの分野でマルチメディア展開をすべく共作で1つの物語を創り上げというもの。
これ、知っている範囲内では3つのメディアで展開させたものはないと思うが、昨今のことを考えると近い将来にあるかもしれず、リアリティもあって面白いし、創り上げてゆく物語に3人の作家の実体験が練りこまれるというのもいかにもありそう。

そしてシングルキャストの劇団員が配役の妙で「こういう仕事の人ってそんな感じだよねぇ」という説得力アリ。(逆にこの役を他の人が演じたらどうだろう?な興味も(笑))

ネタバレBOX

劇団員以外がトリプルキャストなのも、その面々は検討中の物語の登場人物であるという内容からすれば大いに納得。そしてまた、他のチームでは「え、あの人がその役なの!?」な配役だったりするのも面白い。

さらに、劇中で劇作家、小説家、シナリオライターは(とりあえず)名前でなく肩書きで呼び合っていることの種明かし的に、彼ら自身も実はさらに上の「層」で作られている作品の登場人物だったというオチに小松左京の「こちらニッポン…」を連想。
深沢ハイツ302~もう一つのニュートンの林檎~

深沢ハイツ302~もう一つのニュートンの林檎~

Sun-mallstudio produce

サンモールスタジオ(東京都)

2019/01/05 (土) ~ 2019/01/09 (水)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/01/05 (土) 14:00

座席G列5番

価格4,000円

3年前にも観ていたが記憶が曖昧になっていたので観ながら「あぁそうだったそうだった♪」とか思い出しつつ愉しむ(当日パンフレットの佐山さんの言葉通り「NHK少年ドラマシリーズ世代」なもので愉しみも倍増?)。
本当によくできているハナシだし、プロジェクションマッピング的な効果も見事。
また、アガリスクの「時をかける稽古場2.0」で「時間ものとパラレルワールドは紙一重」と学んだ(?)のでこれは時間ものというよりもパラレルワールドものにカテゴライズされるのだろうな、とも。

それにしてもタイムパラドックスなどSFファンはよく知っていても一般的には「?」になりそうな用語などを劇中の人物に対して劇中人物が解り易く説明するのは親切だし巧いなぁ。

ネタバレBOX

なお、アラン・エイクボーンの「ドアをあけると…(Communicating Doors)」も思い出した。
人造カノジョ~あるいは近未来のフランケンシュタイン~

人造カノジョ~あるいは近未来のフランケンシュタイン~

劇団鋼鉄村松

萬劇場(東京都)

2018/11/28 (水) ~ 2018/12/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/11/28 (水) 14:00

座席H列7番

価格2,500円

STAP細胞と3Dプリンタを使い「理想のカノジョ」をカスタマイズして作るというマッドサイエンティストを取材しに行った記者が巻き込まれる事態……「フランケンシュタイン」(演劇企画集団THE・ガジラ、天幕旅団も取り上げた)「A.I.」(キコ qui-co.、たすいち、トツゲキ倶楽部も取り上げた)と小劇場シンクロニシティの二重盛りな上に層構造、胡蝶之夢、複数のどんでん返しとσ(^-^)の好きなネタ満載の傑作娯楽サスペンス。

物語の中心部分は往年のNHK少年ドラマシリーズに通ずるオモムキのジュヴナイル系冒険譚。そこにSFでは定番の「A.I.に感情は芽生えるか?」や(擬似)恋愛要素も絡め、ハッピーエンドかと思わせておいてそこから胡蝶之夢をも思わせるどんでん返しパートに進むというのはシッポまで餡が詰まった鯛焼きの如し。

そんなSFでありながらも「あんな怪物を作った科学者こそ真の怪物ではないか?」という主人公の疑問(=観客への問いかけ?)や基本構造が原典に準拠してるというのもまた巧み。
いやぁ、面白かったなぁ。

なお、本作に「おぉ!」と思った方は岡嶋二人「クラインの壷」(小説)も楽しめると思うし、「クラインの壷」がお好きな方は本作も気に入ると思う。

アトムが来た日

アトムが来た日

serial number(風琴工房改め)

ザ・スズナリ(東京都)

2018/12/20 (木) ~ 2018/12/29 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/26 (水) 14:00

座席G列11番

価格4,300円

今から20年ほど未来の核燃料処理施設をめぐる話と東海村に日本初の原子力発電所ができることになる話を同時平行で進めて最後にメッセージを盛り込むというのはいかにも詩森作品。

過去パートで原子力発電所建設予定地周辺住民が期待する姿などにDULL-COLORED POPの福島三部作 第一部「1961年:夜に昇る太陽」を思い出す。そして、その期待を裏切るような未来が待ち受けている(しかもそれを観客が知っている)ことにJACROW「夕闇、山を越える」や劇団チョコレートケーキ「熱狂」(2012,13,17年)も連想。

原子力発電に寄せられた過去の期待と将来起こり得るであろう事態を丁寧に描いて見せた後、その両方の流れを束ねながら(2つの時代の登場人物が縁もゆかりもない別人なのに名前は同じという仕掛けも相俟って)メッセージを伝えるという終盤が特に見事。

夕闇、山を越える/宵闇、街に登る

夕闇、山を越える/宵闇、街に登る

JACROW

小劇場B1(東京都)

2018/12/20 (木) ~ 2018/12/27 (木)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/12/25 (火) 19:30

座席6列1番

価格3,500円

【宵闇、街に登る】
料亭で進行した「夕闇」に対してこちらは各人の事務所で進行。
物心ついていた昭和40年代が舞台だけに「そうそう、あれあれ♪」満載で、それに「あの裏ではそんな策略や動きがあったのか」も加わって面白いったらありゃあしない。

例えば冒頭で語られる「都市政策大綱」ではカタいのでタイトルを変えよう、と言う角さんに「あ、アレね」だったり(狩野さん、書道の心得があるのかしら?)、流れるテレビ番組のテーマ曲も「あら懐かしい……」だったり。
またこのL字型客席の2面の角に背面を向ける形で置かれたテレビの表現と、それによって劇中でそれから語られる事象の概要を観客に伝える手法が巧み。

ネタバレBOX

終盤で「帝国の逆襲のようなに三部作の第二部ではないか?いやしかしさすがにアイムユアファーザーみたいなものはあるまい」と思っていたらしっかりあって頬が弛む。(笑)
で、夕闇→宵闇と来ているので完結編(?)のタイトルは何だろう?とも考える。「真闇」?「暗闇」?それとも「暁光、闇を討つ」とか???
夕闇、山を越える/宵闇、街に登る

夕闇、山を越える/宵闇、街に登る

JACROW

小劇場B1(東京都)

2018/12/20 (木) ~ 2018/12/27 (木)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/12/25 (火) 14:00

座席3列2番

価格3,500円

【夕闇、山を越える】
2年前の初演時も思ったが、まさしく「政治は料亭で動く」(笑)。そして5人の政治家たちが初演よりもより当人たちに似てきたような気がする。
開幕一番、登場した狩野さんが演説を始めた瞬間にそこに田中角栄がいる、という感じ方に劇団チョコレートケーキ「熱狂」(2012,13,17年)を連想。
そしてそこから、政治の道に入った頃は世のため人のためと希望に燃えていたのにやがて方向を誤り暴走してあんな末路を迎えるという流れが田中角栄、アドルフ・ヒトラーに共通ではないか?などと思う。
それにしてもあの頃は自民のセンセイがたも「ちゃんとした政治」をしていたのに……。

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劇団おねがいシスターズ

ひつじ座(東京都)

2018/12/19 (水) ~ 2018/12/23 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/22 (土) 18:00

価格2,800円

おねがいシスターズのお家芸ともいえる3話連作オムニバスだが、従来は3編の短編ありきでそれを結びつけるような構成だったのと対照的にまずラストありきでそこに向かうための3編という印象。
それは福井という土地を土台に据えたからかとも思い、もちろんそれもあるが、藤吉主宰から最終編で中心となる駅長を演じた方の最後の舞台との裏話を伺い「そういうコトか」と得心。

コーポ・カルミアの由々しき狼

コーポ・カルミアの由々しき狼

牡丹茶房

高田馬場ラビネスト(東京都)

2018/12/19 (水) ~ 2018/12/23 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/20 (木) 19:30

価格3,200円

長屋式の古い建物を改築した女性専用アパートに二人組が新たに入居したことから起こる波紋……。かなり身近なトラブルなので妙に現実味がある一方で、それらは表面的なもので奥底には何やら禍々しいモノがありそう、な語り口が巧み。
その「表面的な部分」の元凶(?)が春先に観た「映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~」以降、芝居でも時々描かれた「行きすぎた正義(感)」であることにビックリ。今年のトレンドの1つであろう。

また、最終場の1つ前の場の照明(関係者は「地獄の照明」と呼んでいたとか)と「アノ人」の意外な(失敬!)美しさが印象深い。

あと、5戸が横に連なったアパートを2戸分だけの装置で住人が入れ替わることによって1号室から5号室まで表現した手法にろりえ「女優(おんなやさしい)」(2010年)を思い出す。いや、あちらは長~い家屋を横スライドさせるというとんでもない手法(笑)を使ったのだが。

【勝手にキャッチコピー】「イヤ~な2時間余を楽しみにいらっしゃい」

ネタバレBOX

最終場、(予想通り)床下から手が伸びてくることにブライアン・デ・パルマ監督の「キャリー」(1976年)を連想。あんな風に引っ張り込まれたりはしなかったけれども。
そしてあのラスト、考えようによっては優しいかも?
ミセスダイヤモンド

ミセスダイヤモンド

ろりえ

駅前劇場(東京都)

2018/12/19 (水) ~ 2018/12/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/12/19 (水) 19:00

価格3,800円

アニバーサリーイヤーズに女子ソフトボールチームを結成することにした下北沢の電器店に勤める女子従業員たちを中心に据えた物語。
そうして結成されたチームの1年を「演劇でしかできない」「良い意味でベタな」「映像化不可能な」表現も交えて描いて圧倒的に楽しい。
昭和時代は「スポ根もの」がもてはやされたが、平成は辛いことはあっても「根性」などではなく、例えば友情やチームワークなどで克服するのではないか?(「あさひなぐ」しかり「チア☆ダン」しかり)とも。好きなんだな、こういうの。

そう言えば公演会場である駅前劇場、題材や切り口は全く異なるが、キコの「十二月の蜘蛛と火曜日のオルガン」に続いて「大人の青春モノ」というシンクロニシティでもあった。

ネタバレBOX

終盤の試合場面で対戦相手の「まるで男のような」チームを男性陣が早替えで演じたり、主人公側の「三つ子」を1人の役者が演じたりすることで無理が生ずる「演劇ならでは」の可笑しさも大好きさ。
犬(もしくは)神

犬(もしくは)神

劇団肋骨蜜柑同好会

テアトルBONBON(東京都)

2018/12/19 (水) ~ 2018/12/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/12/19 (水) 14:30

座席G列7番

価格3,200円

田瓶市サーガがまた1つ。現在に影響をもたらしている12年前の出来事とは?
あの町ならそんな事が起きても不思議はない、ってかちょくちょく起こっていそうな奇譚に「取り込まれた」感覚=時空や平行世界があれこれ縺れあって絡んでいるが、もしかして劇中のそれらだけでなく現実世界もそこに絡まっているのではないか?
劇中現実と劇中フィクションの境目がないとか、劇中人物が現実世界を意識しているにとどまらず、それを観ている客をも(物理的・心理的)に劇中に取り込むのが究極のメタフィクションではないか?
本作意外にもそういった「究極のメタフィクション」が複数あった2018年の特色でもあるかも。

また、終盤で「あるジャンル」では定番的な展開もあるが本作ではそれが何だか別のものに思えてしまう不思議。これも田瓶市が舞台だからか?(笑)

さらに終盤で出てくる「数字」の意味を知っていると「あ~そうか」と思えたりもするし、いろいろと含みがあって面白かった。

ネタバレBOX

ある部分は時間ものSFにありがちな「過去を変えたことで不幸な今が改善される」パターンなのに、漠然と「何かそれとは違う」という気持ちが拭い去れないのが不思議かつ興味深い。田瓶市サーガだからか?(笑)

神楽舞と過去修正による人命救助という組合せに「君の名は。」も連想。
あと、幕切れの壺のギミックも面白かった。
千一夜の物語 ~as if by magic Sinbad~

千一夜の物語 ~as if by magic Sinbad~

集団as if~

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2018/12/14 (金) ~ 2018/12/18 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/18 (火) 16:00

座席G列5番

価格3,800円

千夜一夜物語の登場人物たちを使いシェイクスピア作品へのオマージュをちりばめたピカレスク史劇。
気付いたシェイクスピア要素は三人の魔女やロバの頭だが、もしや「リチャード3世」や「ジュリアス・シーザー」準拠?
さらにギリシア悲劇の系譜でもあり「ある部分」はVoyantroupe……(笑)

昔観てかなり経ったので不確かだが、1969年の虫プロダクション作品「千夜一夜物語」も主人公アルディン(CV:青島幸夫)が王になろうとして最後は1人になるんじゃなかったっけ?などと思い出した。

また、前日に観た「あゆみ」に続いてリンゴが出てきて「おやおや」なんてことも。

ネタバレBOX

逃げないよう女性の腕と脚を切り落とす場面があって「まるでVoyantroupeじゃないか!(笑)」と思ったら、そこで使われた腕と脚はVoyantroupeのものだったそうで、大当たり!(爆)
あゆみ

あゆみ

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2018/12/15 (土) ~ 2018/12/26 (水)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/12/17 (月)

17日に15時のとことこver.と20時のてくてくver.をセット券にて観劇。
7年半ぶりにつき概要しか記憶になかったが(爆)改めて観て「一人の女性の人生絵巻」ではないか、と思う=人生の要所要所を巧みに切り取って見せるさまが「縁起絵巻」とかの場面の切り取り方・次へのつなぎ方に似ているのではないかと。

これ、折に触れいろんなキャスト、いろんな演出で観てみたいな。

ネタバレBOX

そうして終盤、主人公は1人で山に登りながらそこで出会ったり見かけたりした人々をきっかけに自分の人生を振り返る場面になるが、登っていたのははたして「リアルな山」だったのか?などと考える。
そしてそのあたりは、三度目の思春期「尼を待つ」と通ずるな、とも。
また、このパート、交響曲などのCodaでそれまでの主題のリフレインのようにも感じるし、例えばかつてシャッターを押してもらう側だったのが押す側に回る「世代交代」的なものとも受け取れ、巧いんだな。

で、同日に2つのver.を観たので「オープニングの楽器の位置、一部違ってないか?」に始まり「担当する役の組み合わせも違うし演技の位置も時として違うな」から「演出も違うトコがあるよ」などと気付く。


あと、未就学児童が「買ってェ買ってェ~!」と駄々をこねるさまって、何だか懐かしくて羨ましい。できれば今でもあんなことをやってみたい、的な気持ちもあるんだろうなぁ……なんてことも考えた。
ヴィクター・フランケンシュタイン、  弔いの焔のなんと早く

ヴィクター・フランケンシュタイン、 弔いの焔のなんと早く

天幕旅団

明石スタジオ(東京都)

2018/12/12 (水) ~ 2018/12/16 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/16 (日) 15:00

価格3,500円

6月の演劇企画集団THE・ガジラによるもの(原作準拠)が北極海での晩年(?)のヴィクターから始まったのに対してこちらは少年期から描き、生命研究の動機(原作では明確に語られないらしい)に迫る本歌取り。

途中で原典から分岐、ヴィクターが生命の研究に起因して暴走し悲劇的な結末を迎えるのはいかにも天幕旅団的な展開で「一歩間違えるとこうなったかも知れない平行世界」と言えるのではないか?

また、終盤でモンスターがヴィクターに「あなたは私に名前も付けてくれなかった」と恨み言を言うのは、名前がないゆえに現実世界で「フランケンュタイン」をモンスターの名前と勘違いするケースに対する抗議と言うか、そんな風に思えてニヤリ。

かつてザ・ポケットでもSPACE梟門でも対面客席にした天幕旅団だけに明石スタジオでも対面客席なのは当然と言えば当然。
さて、次はどの会場を対面にして「え、アソコで!?」と驚かせてくれるのかな?

【勝手にキャッチコピー】マザー・ファッカー、マザコンのヴィクター

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