ゆうめいの座標軸
ゆうめい
こまばアゴラ劇場(東京都)
2020/03/04 (水) ~ 2020/03/16 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/03/04 (水) 20:00
価格2,000円
#弟兄
演劇青年が中学時代に受けたいじめ被害とその後の高校・大学時代、そして今のエピソード。
初演(2017年2月)がデッサン、再演(2017年9月)が線描、そして今回は色彩がついた、な感じ?
戯曲としては初演からインパクトがあり完成度が高かったが、演を重ねるにつれて演劇としても進化し続けている印象。
三演目となる今回は装置に仕込んだギミックを筆頭に演出や照明も大幅グレードアップ、みたいな。
それにしてもほぼ実話といういじめの描写はやはりエグい。語り口が柔らかいのが救いだが、それって「糖衣錠の毒薬」では?(真顔)(それゆえ「万人にオススメ」とは言い難いのが珠に瑕か)
なお、上演時間は初演が65分、再演と今回が80分。
(他は初演と再演の「観てきた!」コメントをご参照ください)
1224包囲網
希望の星
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2020/02/26 (水) ~ 2020/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/02/27 (木) 14:00
価格3,300円
戦下の兄妹の願いを叶えようと奔走するサンタクロースたち。
戦争とサンタクロースという題材を「ミシンと蝙蝠傘の手術台の上の邂逅」の如く組み合わせて娯楽性と戦争による悲劇を描く。その内容ゆえ手放しのハッピーエンドではなくビターさが残るのもむべなるかな。
基本的には「フィクションなんだからハッピーエンドにしてよ」派のσ(^-^) ではあるが、本作については戦争を描いているので納得。
Butterflies in my stomach
青☆組
アトリエ春風舎(東京都)
2019/12/08 (日) ~ 2019/12/17 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/12/14 (土) 14:00
価格3,600円
事前に目にした感想の「演者が7人より多いのでは?」疑惑に賛同し、「あゆみ」を思い出した説には「特にあの場面がそうだな」とこれまた賛同。
77歳までというのは「喜(七十七を縦書きにすると略字の喜:喜寿の由来)」に因んだのかと思い問うてみたが、それは考え過ぎでありました。(笑)
そう言えば後半の方が共感度が高いと言うか身近に感じられたと言うかなのはやはりそっちの年齢側だからか。(爆)
なお、「猫(役)合戦」は青☆組「Butterflies in my stomach」・たすいち「足がなくて不安」で互角か?(笑)
Better Call Shoujo
シンクロ少女
シアター711(東京都)
2020/02/20 (木) ~ 2020/02/25 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/02/21 (金) 19:30
座席D列8番
価格3,200円
基調は優しい「家族のはなし」ではあるが要所要所を辛辣だったり空気を読まなかったりな発言/台詞でワサビのように引き締めるのがイイ感じ。
ラストの「それでその曲か!」で感動方向に一旦向かってからの「あーそういえばこの人は……」とニヤリとさせる落とし方も良かった、ってか好き。満足満足♪
「河西裕介」短編作品集vol.1『人間賛歌』
sleepwalk [スリープウォーク]
APOCシアター(東京都)
2020/02/19 (水) ~ 2020/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/02/24 (月)
価格9,000円
公演半ば、休演日前の24日に通し券で3プログラムを観劇。
基本形な【男】、応用編な【女】、それらを総括した(?)【愛】という印象で、この順でアタリか?
【男】
劇団内や高校の放課後などで「ありそー」「あるある」な日常的なエピソード3話。そんなことは意図していないのに何でそう受け取る?や些細なことから仲違いしたりするのがリアルで(実経験なども思い出して)身につまされる。
【女】
【男】と異なり身近にいそうにない人物や経験しそうにない事が描かれるが、随所に笑いが入りとっつき易い感覚?
で、【男】【女】共通だが、語りすぎず説明不足にならず想像させて余韻を残す掬い取り方が絶妙。短編の醍醐味。
【愛】
甘酸っぱさ+ほろ苦さ、思いっきり裏返し、オトナの分別(?)あるもの、とタイプは違うが愛を描いた3編。
そう言えば【男】【女】【愛】それぞれ含まれる3編に共通性はありつつプログラム毎に味わいが異なるのも巧いところ。
朝焼けの向こうのトランジスタ
南京豆NAMENAME
王子スタジオ1(東京都)
2020/02/27 (木) ~ 2020/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/02/28 (金) 20:00
価格2,500円
ヴィヴィッドでウイットに富んだ会話が巧みで、具象と抽象・現実と幻想・リアリズムとシュールレアリスムなど相反するものの間を無段階で自在に往き来して描く若者(?)の葛藤。
しかしfeblaboの池田さんを小劇場の演出家役として起用し小劇場自虐ネタの矢面に立たせて「あんな目に遭わせる」とは河村さん、お人が悪い……(笑)
ロケットペンシル×ドレッドノート
やみ・あがりシアター
王子小劇場(東京都)
2020/02/19 (水) ~ 2020/02/24 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/02/20 (木) 19:30
諸設定にしても主題歌にしても既視感ありまくり(笑)なオマージュあるいはリスペクトまみれの「早朝アニメ」の内容とその熱烈なファンである男女の出会いならびに彼らの周囲の人々……。
舞台美術にまず目をみはり、開演後は元ネタのほぼ全てがワカるだけに内容にニヤニヤしていたが、以前(2018年10月)「背に描いたシアワセ」の終盤でコロリと騙された(笑)ために本作も一筋縄ではいかないだろうとあれこれ疑いつつ観る。
結果、「背に描いた……」とパターンは異なるも、「そう来たかぁ!」という終盤の展開に(もちろんそれだけでなくそこに至るまでもアニメあるあるやヲタクあるあるが散りばめられていて)納得かつ満足。
Simulacra
電動夏子安置システム
赤坂RED/THEATER(東京都)
2020/02/19 (水) ~ 2020/02/24 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/02/20 (木) 15:00
座席F列3番
価格4,200円
中盤以降の複数の会話が交錯し互いに干渉し合う場面は電夏の真骨頂にして白眉。
2つの会話で短時間というのは時々あるが、4組ほどで長時間となるとかなり複雑化する訳で緻密に組み上げられた会話を笑いながら堪能。
さらに大半はコメディでありながらミステリー要素を絡ませて終盤で真相を明かすというのもまた巧み。
なお、「異なる空間が交わる」ことを表現する装置のシカケに前日に観たたすいちの「サイキックバレンタイン」と通ずるものあり。
サイキックバレンタイン
たすいち
小劇場B1(東京都)
2020/02/19 (水) ~ 2020/02/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/02/19 (水) 19:30
価格3,500円
2011年2月、2018年4月(いずれも新宿シアター・ミラクルにて)に続く三演目。
サイキックバレンタインと言えばコレ、なシカケ部分は同じでも過去2回より洗練された舞台美術(喩えて言えば過去2回は「手書きのヘタウマでカラフルな絵の感じ」で今回は「CADを使った図面のような感じ」?)に「おや?」と思ったが(笑)、その分思いっきりベタな台詞回しや演技によって滑稽味を出してバランスをとっていて「新版」な感じ。
内容も「超能力者たちのラブコメ」から次第にサスペンスに移行して「超能力者もの」ではお馴染みのテーマ(?)も出すのが鮮やか。
また、演者も演ずる人物を体現していると言うかピタリとハマって演じており見事。
演を重ねるとこんな風に「版が変わる」面白さも出てくるんだなぁ。
さて、四演目はあるのか?(期待)
『わたしたちはできない、をする。』
The end of company ジエン社
スタジオ「HIKARI」(神奈川県)
2020/02/15 (土) ~ 2020/02/16 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/02/16 (日) 13:00
価格2,500円
何か「できないこと」がある人を集めた相互互助的な施設「できない園」を観客が「見学」する体で起こるあれこれ。
お得意の(?)同時多発会話に加えて1つの役を複数の演者が演ずるなどの技法での演技はジャムセッションあるいは交響曲のよう(※)で、音楽的な感覚。
なので本作もどちらかと言えば「Don't think, feel!」系ではあるまいか? あと、創作に加わってはいるが本番には出演しない方の面影?気配?が感じられたり(名前が出てくるし)も。
※ 交響曲ってテーマを(時には違う楽器で)繰り返したり変奏したり、複数のテーマを同時に演奏したり、少人数の部分と全体合奏の部分があったりするじゃないですか
傾斜
OM-2
日暮里サニーホール(東京都)
2020/02/14 (金) ~ 2020/02/16 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/02/14 (金) 19:15
ステージの横巾の8~9割を占める高さ4m、斜度45度(=斜面長6m:いずれも推定)の黒い斜面(とその上下)で繰り広げられる3人の役者と9人のコンテンポラリーダンサーによるパフォーマンス。
斜面の上と下が何かの隠喩のようにも思えるが以前「ハムレットマシーン」を観た経験から「Don't think, feel!」な団体と悟っていたので「考えたら負けだ」(爆)とひたすら起こることを観て過ごす。
結果、ダンサーたちの身体能力・身体表現に瞠目し、映像との「競演」や後半での音楽を浴びる、あるいは感覚で捉えることを愉しむ。
やはりここは「感じる」のが正解か。
ほつれる、闇
演劇企画集団LondonPANDA
小劇場 楽園(東京都)
2020/02/14 (金) ~ 2020/02/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/02/15 (土) 18:00
価格3,000円
保育園児たちの列に車で突っ込み保育士1人と園児3人の命を奪い負傷者も出した男の弁護士は危険運転致死傷罪ではなく過失運転致死傷罪にとどめようとするが……という法廷サスペンス的内容だが法廷場面は一瞬(笑)で接見室と喫茶店(?)が大半なので「法廷外サスペンス」といったところか。
序盤には笑える部分も配して観る者に油断をさせながら各登場人物はそれぞれ一筋縄ではいかない面々で次第にドス黒い方向に進むというダークな展開。
またそれがリアルに感じられるというか説得力があるというかで、この少し前に観たBASEプロデュース「冷徹」と通ずるモノもあるような。
10 years after SC2
劇団サラリーマンチュウニ
アトリエファンファーレ高円寺(東京都)
2020/02/14 (金) ~ 2020/02/16 (日)公演終了
満足度★★★
2030年、10年間の沈黙を破りSC2(←劇団名)が復活公演を行うとの報に(元?)劇団員は度肝を抜かれ……な近未来バックステージ系。(「ショウ・マスト・ゴー・オン」タイプではなく「ステージ創り上げ」タイプ)
10年後だけに劇場機構のみならず稽古関連の技術も進化して、いくつかは(時期はともかく)実現しそうな気も。
そして迎える結末が必ずしも全面的に「めでたしめでたし」ではない(その伏線もちゃんとあって観客にそれを予測させたりもする)のがまた巧いところ。
一方、主に序盤において会話にあまり間をとらず、「会話」ではなく単なる「台詞のやり取り」になっていたのは残念。90分に収めるために急いだのか?
正義について
殿様ランチ
駅前劇場(東京都)
2020/02/13 (木) ~ 2020/02/19 (水)公演終了
満足度★★★★
価格3,500円
公園でテント生活をする男を中心とした物語。
たとえ小さなことであろうと「正しくないこと」を許すことができないその男の周囲には日常でも「あるある」や「ありそー」な身近な不正・不平等が頻発しており、それらを積み重ねてからの終盤の「アレ」はシニカルで昨今の世相に痛烈な一撃。
ゆえに終演後に8年前の初演作の再演と知って魂消た。
あと、舞台美術はひたすら公園の一角でありながら、回想場面ではそこがクリーニング店として使われ、その場面でのクリーニング店の出入口が「アレ」なのにニヤニヤ。(演劇ならではの手法だよね)
冷徹
BASEプロデュース
BAR BASE(東京都)
2020/02/07 (金) ~ 2020/02/14 (金)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/02/13 (木) 15:00
価格3,000円
渋谷近辺で起こっている女性連続殺人の嫌疑をかけられたバーのマスターは19歳の時に手にかけた父親の悪夢・幻影に未だに悩まされており……というサスペンスフルで時に禍々しい内容はいかにも望月清一郎作品。
そんな脚本のみならず低音を前面に押し出した音楽(もちろん生演奏)や不気味で不安感を煽る照明効果もかつてなかったタイプで「此処でこんな作品もできますよ」という新たな可能性を示したと言えよう。
どさくさ
劇団あはひ
本多劇場(東京都)
2020/02/12 (水) ~ 2020/02/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/02/12 (水) 19:00
座席F列19番
価格3,500円
古典落語「粗忽長屋」を新たな視点から仕立て直した「The other side of 粗忽長屋」あるいは「裏返しの粗忽長屋」……いや「もう一つの粗忽長屋」といったところか。
よって元ネタが大好きな身として「そっち側を描いたのか♪」「それ、返歌だよね」など読み取ることができてその発想に舌を巻く。なので粗忽長屋ファンは存分に楽しめる筈。
逆に元ネタを知らないとワカりにくいかも?現に終演後にσ(^-^)のすぐ後ろから「よくワカらなかった」というお嬢さんの声が聞こえてきたし。
ということで事前に古典落語「粗忽長屋」を(たとえばWikipediaのあらすじなどで)予習しておくことを推奨。
また、冒頭の「洋装落語」や序盤の落語的可笑しさのある会話から変容してゆく先は静かな会話劇で、微かに「死の匂い」がすることや澄んで張り詰めた空気感から Oi-SCALE に通じるモノも感じ取った。(あるいは「銀河鉄道の夜」とか?)
これは元ネタからの連想もありそうだけれども。
いずれにせよ好きなヤツだった、ありがたや♪
燦々
てがみ座
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2020/02/07 (金) ~ 2020/02/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/02/10 (月) 19:00
座席K列11番
2016年11月、座・高円寺1での初演から3年余、この作品を通して描きたいものも変わってきたということでの「改訂版」、冒頭の江戸の町人たちの様子の表現から「そうそう、これこれ」とワクワク、他にも観ていて鮮烈に思い出した部分もあり、もちろん新たなところも含めて終始ワクワクが止まらない状態。
あれこれの演劇的表現、そして絵師の才能が開花するのを目の当たりにしたような感覚、初演にさらに磨きがかかったと言えよう。
なお、北斎役が酒向さんになったことで、より生々しいというか庶民的というか初演とは違う味わいもあった。
昭和芸能舎版フラガール2019
昭和芸能舎
赤坂RED/THEATER(東京都)
2019/11/26 (火) ~ 2019/12/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/11/28 (木) 15:00
座席I列12番
価格3,300円
時代の流れに基く環境の変化について行けず旧態にしがみつく者と新たな方向に光を見出す者の対比に家族内の軋轢も重ねて鮮やか。
2006年の映画、2008年の舞台、2018年の昭和芸能舎版に続き4度目となるがダンス教師と踊り子(候補)たちの関係が典型的なバディもの(最初は反目・反発しているが次第に互いを認め協力して目標の達成に向かう)であると気付く。1対1ではなく、1対複数なので気付くのが遅れたようだ。
なお、前年よりも実測上演時間が10分ほど長くなっていたのはクライマックスとカーテンコールでのダンスが増えたからか?(推定)
好きな子として、生きていく
怪奇月蝕キヲテラエ
新宿眼科画廊(東京都)
2020/02/07 (金) ~ 2020/02/11 (火)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/02/07 (金) 15:00
価格2,000円
女流棋界(←用語的にアリ?)振興のために元棋士である連盟事務員が考案した策の顛末。
その策もいかにもイマドキのものでありそうだし、女流棋士たちの変人ぶり……もとい、強烈な個性(爆)はマンガチックでありつつ「そういう人ももしかするといるのかも?」でニヤニヤ。
また、会話も随所に巧い(あるいは笑える)部分があって愉しい。
将棋・将棋界に疎くても当日パンフレットや劇中の台詞に説明的な部分があったりするので問題なし。(よって早めに入場して開演前に当日パンフレットに目を通しておくことを強く推奨)
暗譜(?)での対局場面などもあるけれど、駒の進み方程度しか知識のないσ(^-^) でも楽しめたし。
それにしても元々将棋が好き(そういう劇作家さんは複数いらっしゃるしその作品も観ている)というのではなく本作の為に学んだという三浦主宰、スゴいな。
-127birth
こわっぱちゃん家
シアター風姿花伝(東京都)
2020/02/06 (木) ~ 2020/02/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/02/06 (木) 19:00
価格3,500円
法的に中絶が認められる期間(妊娠22週未満)を過ぎるまで残り少ないがまだ出産するか否か迷っている夫婦が産婦人科医から勧められてマタニティサークルへ体験参加し、そこでの経験や親友の助言からある決断をするまでの物語にして新たな命を授かること、親になるということの喜び・戸惑い・不安を優しくかつ真摯に描いた秀作。
冒頭のツカみ(とそれをひいてのエピローグ)や舞台上手・下手両端の使い方などの手法もイイ。
また、中盤に物語が大きく動く部分があるが、その一連の場面の各人物の心情がまるで我が事であるかのように伝わってくるのがスゴい。そこまでの丁寧な人物描写の効果か?
人物描写と言えば各人物の設定と配役も(再演なのにもかかわらず)説得力があり見事。
なお、ご覧になる場合は替えのハンカチを忘れずに。