夜を治める者(ナイトドミナント)ワーク・イン・プログレス
お布団
アトリエ春風舎(東京都)
2021/11/12 (金) ~ 2021/11/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ある古典戯曲の登場人物を使って描く「病」と「その周辺」。
登場人物のイメージで観ていると「跳んだ」と言って過言ではない方向に展開するそのギャップが面白い。そしてその跳び具合ゆえに全貌は把握できなかったが、WIPだし、来年2月の本公演で確かめるか、的な?(爆)
Letters
劇団あはひ
KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)
2021/11/11 (木) ~ 2021/11/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
事前に告知があったポーの「盗まれた手紙」のみならず他作品や他作家の作品からの引用を随所にちりばめて描くコラージュ的会話劇。シンプルでモノトーン系の装置とも相まって詩的でクール、早春の晴れた日の未明のような澄んだ空気感が心地よい。
そして言われてみれば確かにどこか「死」を思わせるイメージも。また、主人公が「もう一つの側」に行く時や終盤の日蝕と波打ち際の照明による表現がステキ。来年2月の再演も今から楽しみ♪
ココロノケモノ
劇団ミックスドッグス
劇場MOMO(東京都)
2021/11/18 (木) ~ 2021/11/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
事前情報から某芝居や某マンガを、さらに途中で現在放映中の某ヒーローものを連想したが、一種のバディものであるということ以外はそれらと似て非なる、そして大筋はむしろ典型的なハードボイルドものというハイブリッド。
で、「悪役」が企てる悪事の内容/背景などにしても、けっこうガチに見える擬闘にしても、ミックスドッグス的には珍しく、ダーク&ハード系ではないかしらん? キャラメルボックスにおける「TRUTH」的な存在と言えるかも?
そんな中で「ケモノ」の存在がファンタジック(=ミックスドッグス的)とも言え、その「それらしい」所作(?)とともにハードさを和らげる役割を担っていたのではあるまいか?
ということでミックスドッグス史において後世語り継がれる作品かも?(←ちょっと盛った(爆))
Mo’xtra Archive『912・3R/3C・ス』
monophonic orchestra
APOCシアター(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/20 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
【サイクルサークルクロニクル】
Mo’xtra流ジュヴナイルなオモムキにて某有名SFと(終盤のアレに)某お伽噺を想起。あと、広瀬正作品に通ずるモノもあるか(←ワカるヤツだけ……案件)。また、何人かのエキセントリックなキャラが愉快。
【ファーファーファーファー、ファーラウェイ】
男女二人の会話劇ならぬ「通話劇」。劇中で電話を切るのは1回だけだが、実は時を隔てたいくつかの通話が紡がれているのが「サイクルサークル……」を思わせて面白い。そして途中で1回切るのがケータイからスマホの替えるためというのもまた上手い。
眠れぬ姫は夢を見る
サヨナラワーク
劇場HOPE(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
数年前に解散した地下アイドルグループが一夜限りの再結成ライブを開催するということでかつて起きた事件について取材するローカル局のアナウンサー……という体で始まる物語。冒頭から演劇的トリックが仕掛けられており、それ以降にもヒントがちりばめられて、それらが繋がって真相が明かされる仕組み。このテの話が好きな身として読めた部分あり「そこもソレだったか!」な部分ありで楽しんだ。
また、アイドルのキャラに関するネタ(?)には度々ニヤリ。
あと、プロジェクションマッピング的な照明と装置の効果もイイ。開場してしばらくはそういう色合いの装置なのかと思ったくらいで。
#31.5『パブリック・リレーションズ』
JACROW
雑遊(東京都)
2021/12/21 (火) ~ 2021/12/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
現実はともかくドラマなどで「あるある」な「マズい状況」をこれでもかと言わんばかりに盛り込んで、業種は違えどサラリーマン経験のある身にとっては悪夢……どころか拷問のような展開。初演も観ていたが「ヤな芝居」だねぇ。(笑)
嫉妬深子の嫉妬深い日々
U-33project
王子小劇場(東京都)
2021/11/26 (金) ~ 2021/11/30 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
卒業以来の同窓会を機に高校時代からの来し方を振り返る女性。心象系かと思いきや「十年後の自分」が現れるという「跳び具合」(笑)にビックリ。同窓生たちも誇張気味のキャラが立っており、ある意味「これぞ演劇!」的な?
また、ウワサに聞いた舞台美術も下手が左脳的、上手が右脳的か?などと深読み。(爆)
マツバラQ
グワィニャオン
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2021/11/24 (水) ~ 2021/11/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
前年の「刹那的な暮らしと(後略)」の続編だが前作より現代パートに重点を置き「創り出す」楽しさ・悦び(と難しさ)を主題にした新たな展開は流石。そして笑いや殺陣はもちろん、ムード歌謡(!)まで盛り込むグワィニャオンの真骨頂、堪能堪能♪
娘
ゆうめい
ザ・スズナリ(東京都)
2021/12/22 (水) ~ 2021/12/29 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
作者と妻とその父母・祖父母を描いた夫婦・親子の話。内容(壮絶な部分もあるが今までの作風から推察するにほぼ実話か?)はもちろん、三層の額縁あるいは枡を3つ入れ子にしたような装置と投射される文字の効果が秀逸でネットに書き込みをする場面の描写など(キーボードの表現も含め)舌を巻いた。
『つやつやのやつ』と『ファンファンファンファーレ!』
ムシラセ
オメガ東京(東京都)
2021/12/08 (水) ~ 2021/12/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
お笑い界を背景とした友情譚2編。前編たる「つやつやのやつ(再演)」は売れない芸人コンビ、後編的な「ファンファンファンファーレ!(新作)」はその1年後のファンを描いて、基本的には笑わせつつ「待て待て待て、ええ話やないかい!」にもってゆくのが絶妙。
また、人物設定/造形と配役、表現も絶妙……どころか完璧か?
冒頭とラストシーンの工夫も好きだなぁ。
Transcendent Express
Cuebicle
上野ストアハウス(東京都)
2021/12/10 (金) ~ 2021/12/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「お見合い列車」な寝台特急の中の出来事ということで暗く閉鎖的、悪夢を思わせる印象の中で進行。主人公が頭痛持ちでクスリを常用していることや後半で明かされるある事から「心象風景的なもの?」と思わせて……な展開が巧み。
また、ファンタジックホラーと紙一重なダークファンタジーのような雰囲気も好み。初演時(2017年)には「昭和の文学のような印象」も持ったが今回はそうでもなかったのは舞台美術によるものが大きいか? そう言えば冒頭(本編前)の全員を照らした明かりが印象的。
意味なしサチコ、三度目の朝
かるがも団地
王子小劇場(東京都)
2021/08/05 (木) ~ 2021/08/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
東京で派遣社員をしている幸恵があるきっかけから十代を過ごした(そして今も父が住んでいる)秋田県能代市の団地にしばし戻ったことから始まる彼女とかつての友人たちの過去、現在、そして……な物語。
過去の場面などノスタルジックかつあるある的だし、時制の移動もなめらかかつはっきりワカるし巧み。そしてその時制の行き来の中で少しずつあれこれを明かす語り口たるや。
あと。モブキャラの表現。もう、出てきた時から「あ、あれはモブね」とワカるのもイイ。
さらに「ここで終わりかな?」と思わせた後のアレに映画のエンディングクレジットロールの合間や横で見せるテを連想。
ラヴィアンローズ
しゅうくりー夢
ザ・ポケット(東京都)
2021/03/24 (水) ~ 2021/03/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
いわゆるオレオレ詐欺を追う公安刑事を主人公にした犯罪サスペンスで、過去の事件も絡めた設定や登場人物の造形などよくできており社会問題も絡めて見応えアリ。がしかし基本的には満足したものの、観終わってわだかまり的なものも残った。(以下ネタバレboxへ)
『終息点』
しあわせ学級崩壊
吉祥寺シアター(東京都)
2021/07/16 (金) ~ 2021/07/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
前作同様(左手にハンドマイクを握っていること以外は(笑))一般的な会話で始まりつつ次第にリズムが介入してきて得意のスタイル(?)に。
暗転・静寂を挟んで提示される場は単に時系列順ではないだけのものから次第に先のものと矛盾したりさらには人物が入れ替わったりするものとなり、さながら「間違い探し」?(笑)
というか、舞台となる家が「複数の平行世界が交わる特異点的なもの」ではないか?と思ったり。
そんな中、見つけた原稿のタイトルに自分の名前が入っていることに驚く人物に夢野久作の「ドグラ・マグラ」を想起。そして一旦そう思うと「どうどう巡り」な感覚がまさしくドグラ・マグラだな、などと感ずる。
暗転・静寂を挟んで提示される場が先のものと矛盾するようになり、さらに人物が入れ替わったりと次第に変容して行くさまにあの家は「複数の平行世界が交わる特異点」ではないか?などと思った。
幻魔怪奇劇「DGURA MAGRA-ドグラ・マグラ-」
PSYCHOSIS
新宿スターフィールド(東京都)
2021/07/16 (金) ~ 2021/07/19 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
元である高取英脚本の月蝕版は未見だが、月蝕テイストに森永理科演出による「新たなモノ」が加わって化学反応が起きた、的な? そして楽屋落ちもありつつけっこう忠実に描きながらも95分に収めたのはアッパレ。あと「やたらに濃い」遊佐さんにニヤリ。
『shuku-sai』
(石榴の花が咲いてる。)
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2021/07/22 (木) ~ 2021/07/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
複数組の人物たちの5年にわたる歳月に点在するいくつかの日の出来事を見せる。時系列をシャッフルしていたりするので各組の流れは起承転結にはならず「どう締めるの?」と思わせての最終場とエピローグにしてヤられる。そうか、そのテがあったか!みたいな。
飛ぶ太陽
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2021/11/26 (金) ~ 2021/12/08 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
従来は情念や時流などに起因する悲劇だったが今回は(実際にあった)事故によるもの、そして舞台美術の使い方も今までとは異にして新機軸のように見えるが描かれる人間ドラマの濃さ・熱さは変わらず「やっぱり桟敷童子だなぁ」と……。
特に事故後に遺された人々の姿は悲痛であるが目を逸らさせない求心力のようなものがあるのがこの団体の魅力かな、と思う。脚本・演出・演技・舞台美術・音響・照明の「総合力」か。
野良犬
三匹と三羽
北池袋 新生館シアター(東京都)
2021/12/09 (木) ~ 2021/12/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
人が次第に病み人間関係が壊れてゆくさまをまざまざと見せつける90分余。後味が良いとは決して言えないがそれほど悪くないのはテンポの良い語り口(一見の価値あり)と程よく挟まれる笑いもさることながら、誰しもが持っていそうな「弱さ」を描いているからか?
また、テンポ良い場の積み重ねの中に子供の頃や学生時代の(トラウマとなるような)出来事をフッと入れて言動の遠因を示すのも効果的で巧い。基本的には「所詮フィクションなのだから助けようよ」派のσ(^-^) も納得。
『無表情な日常、感情的な毎秒』4月公演
エンニュイ
飯島商店(神奈川県)
2021/04/24 (土) ~ 2021/04/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/04/24 (土) 14:00
2月、3月とは会場を変え、日本間での上演。しかも2階で表の道にも面しているので途中で演者が階段を下りて外で演技をする(観客は開けた窓越しに観る)という大胆な演出あり、小屋主さんによる民族楽器等の生演奏ありと大きく変貌。
1年がかりの「主題と11の変奏」、第2変奏でここまで変わるとはオドロキ。
さて、あと9つの変奏はどうなる?そしてどこに行き着く?
12人の怒れる男・12人の怒れる女
江古田のガールズ
「劇」小劇場(東京都)
2021/03/30 (火) ~ 2021/04/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/04/04 (日) 13:00
【12人の怒れる男】
先に観た「怒れる女」では聞き落としたかと思ったが、やはり終盤の「裁かれているのは……」という台詞がカットされており、特徴的な台詞の1つで他作品でオマージュを捧げられていたりもするだけにちょっと残念。
また、「怒れる女」よりくすぐり増量なので江古田のガールズっぽさも増したが、程よかった女性版と比べてややクドくなってしまった感もアリ。(計時の所とか)
とはいえ(男女とも)存じていた方、今回初めて拝見する方の区別なく、配役に「あ~、この人ってそういう言動をしそうだもんね」な説得力があって見事。