ペンパル狂時代
B-amiru
OFF OFFシアター(東京都)
2009/10/20 (火) ~ 2009/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★
コント集+中篇コメディ
まずオープニングに登場するのが「さそり」と「おろち」だし、オープニング・クレジットに「short drama live」と表示されるし、ということで基本的にはショートコント集のオモムキ。
もうホントに「しょーもねー!(注・貶しているのではない、ウケているのである)」笑い満載で小難しい理屈とは無縁、ひたすら「あは、あは、あはは」と笑っていればイイという。
そんなコント集を経ての中篇コメディ「ペンパル教」で、それまでに出たネタ(の一部)を拾いつつ、憧れのおねーさんに近付きたくて正体を隠してそのペンパルとなり次第にキモチがエスカレートして行く女子中学生ナツメを描いて締めくくるのが鮮やか。教祖とその信者がナツメの幻想だったというオチも◎。
Equal
進戯団 夢命クラシックス
萬劇場(東京都)
2009/10/21 (水) ~ 2009/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★
反戦系のテーマを娯楽性も持たせながら
中国の「南方大ソウ国」と「東方キン国」の戦のさなか、そこには戦を終結させようと考えている者もいて…という史劇系ストーリー。
単純な勧善懲悪ではなく、どちらが正しいという二元論では語れない国同士の戦いというスケールの大きな物語を、対立する両陣営に反戦グループも絡ませた3つの勢力をうまく使いながら全体の流れを制御するストーリーテリングが巧み。
そんな大きな動きの中に友人や仲間を想う気持ちもシッカリ織り込んでいるのも上手い。
初見であった『花音 -canon-』(07年6月)や『ブロッサム セレナーデ ~よしのと魔王~』(08年4月)もそうだったように、反戦系のテーマを娯楽性も持たせながら語るのが本当に巧い。
また、南方の四神獣(だったっけ?)と呼ばれることになる反戦グループの4人の衣装の基調色が朱・黒・白・青(緑)という小ワザにツボを突かれる。
もちろん、それぞれ異なったオリジナルの武器を使うことにも、その武器デザインも含めて感心。
渡辺美弥子一人芝居:ある女4
電動夏子安置システム
サンモールスタジオ(東京都)
2009/10/22 (木) ~ 2009/10/22 (木)公演終了
満足度★★★★
友近の芸をもっと芝居寄りにした感覚
10分程度の短編を3編。バーのママ、合コンに臨む女性、店の常連の図々しい老女をそれぞれコミカルにデフォルメしつつ描いてオチまで付けるのは友近の芸をもっと芝居寄りにした感覚で大変楽しい。
深情さびつく回転儀
電動夏子安置システム
サンモールスタジオ(東京都)
2009/10/16 (金) ~ 2009/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★
コミカルなタッチとSF的世界の融合
基本的にはコメディながら、前回公演『Perfoemen IV ~Inferno~』とは味わいが異なり、四次元系SFのテイストやルーレットに関連した法則・ルールも加えて、さながらアタマの体操…どころかアタマの中距離走みたいな。(笑)
このコミカルなタッチとSF的世界(およびそれに付随した心地好い理屈っぽさ)の融合というのは奇しくも前々日に観た『純真回路』と通ずるものアリ。こういうの、好きだなぁ。
その一方で、触ると外見と中身が入れ替わってしまう(ここで入れ替わる方々の演じ分けと言うかなりきりぶりと言うか、それもまた見事)だの、近づくと互いに引き寄せあうだの、他者の心の声を口に出してしまうだの、理屈っぽさとは無縁のひたすら笑わせるためだけの設定もあり、この取り合わせが何ともオカしい。
結末は事前情報通り6種類あり、どう考えてもあと5回も観に来ることはできないので、上演台本を購入。
思った通り途中までのルーレットの出目は台本指定ながら、終盤で分岐点が2箇所あり(ここでのルーレットはガチとのこと)最初の分岐点で3つに分かれてからさらにそれぞれ2つに分かれるシカケになっていて、σ(^-^) の観た回は分岐Bルートから結末4にたどり着くパターンでありました。
VOYAGER ボイジャー
無頼組合
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2009/10/16 (金) ~ 2009/10/19 (月)公演終了
満足度★★★★
ダイナミックな構図がイイ
「無頼組合<番外編>無頼十番勝負 四ノ巻」と銘打たれており、ハードボイルド系の本公演とは違った味の芝居を見せるシリーズ、今回は3話オムニバス…と言うか、同じ時間の中で3つの異なったストーリーが同時進行する(しかし互いにリンクするワケではない)スタイル。
この3つの取り合わせが巧く、動的な女性ラリードライバーの話と静的な喫茶店内の客とマスターの会話劇を併行して描き、さらにその遥か上空の月では宇宙飛行士が救援(あるいは死)を待っているというダイナミックな構図がイイ。
また、地上で展開される2つで、特殊な血液を時間内に届けるために一刻を争うドライバーと、かつて別れた息子との永い年月のギャップを埋めようとする実の父親を描くことで「速度」と「長さ」という「時」の2つの性質をクローズアップしているのも上手い。
さらに、喫茶店の親子だけでなくドライバー側の物語にも血液を盗んだ青年やそれを追う女性刑事などの親子関係を絡めていて○。
そんなこんなで千穐楽スペシャルで役者紹介もあったカーテンコールを含めて130分のチョイ長の上演時間も体感的には長く感じず。
モロトフカクテル【公演終了、次回公演は来年4月@楽園】
タカハ劇団
座・高円寺1(東京都)
2009/10/15 (木) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★★★
後半にはどっぷり引き込まれる
学生自治会が使っている部室からの退去を命じられたことから始まる現代の学園紛争と、部室に残されていたかつての学生運動華やかなりし頃の闘士のノートにまつわる物語。
学生運動もかつての政治的闘争から学費値上げ反対なんてものを経て今やほとんど「コップの中の嵐」的なものになってしまったのね、な目線で観ていながら、ノートの主であり、現在の闘争もひそかに支持している「モロトフカクテル」の存在が次第に大きくなってくる後半にはどっぷり引き込まれているという…。
かつての闘争の中心であった2人の人物も登場させ、時として現在とクロスさせたり共同作業をさせたりする演劇的手法も○。
そうしてさらにあさま山荘事件との関連をも明かし、実は以前は逃げ出していた「モロトフカクテル」も立ち上がる結末は骨太で、1年ちょっと前に観た(初見)『ボクコネ』とはガラリと異なり、どちらかと言えばこちらの方が好きかな。
しかし最後の曲は「この広い野原いっぱい」(漠然とエヴァを連想)よりも「友よ」の方が合っていたのではあるまいか?
また、お目当ての広澤草は「寝ている部分も含めて」(本人談)ほぼ出ずっぱりで、その意味でも満足度高し。(おまけに3列目の中央という非常に観やすい席だったし)
純真回路
OZab
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2009/10/14 (水) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★★★
心地好い理屈っぽさが独特
心理学実験の被験者として男女4人が30日間の共同生活を送った最終日(プロローグは初日・初対面の様子)に2人の侵入者(?)が加わったことで広がる波紋を描いたもので、何故か学生服(やけに似合っている(笑))やセーラー服(ほとんどお約束?(爆))それに髷(!)など、被験者4人のうち3人が妙な扮装をしていることからも推測できたように基本的にはコメディ。
が、後半で記憶の操作・移殖(というより転送?)などP.K.ディック的なSF要素が加わることで心地好い理屈っぽさ(笑)が加わって独特の感覚になるのが面白い。
また、開演を告げる曲が電気グルーヴの「モノノケダンス」だったことにもツボを突かれる。
蛮幽鬼(ばんゆうき)
松竹
新橋演舞場(東京都)
2009/09/30 (水) ~ 2009/10/27 (火)公演終了
満足度★★★★
どうにか合格
最近の新感線系作品は、苦手なタイプだったりσ(^-^) とは相性の良くない脚本家の作品だったりと2連敗で「仏の顔も三度か?」と思って臨んだら、さすがに今回はどうにか合格。しかし第1幕だけで通常の芝居1本分(110分)ってなげーよ!
とはいえ、サジの本当の狙いは何なのかという疑問を抱かせて前半を切りあげ、それも含めて第1幕で仕込んでおいた伏線を次々に開花させて予想外の結末まで突っ走る第2幕(75分=カーテンコール含む)はワクワクドキドキな上に観応えたっぷり。
ぼんやり劇場 特選会・秋
KUSARE芸道R
シアターブラッツ(東京都)
2009/10/15 (木) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
堪能いたしましたぁ
大塚ジェルスホール時代に上演していた「ぼんやり劇場」シリーズの旧作2編&書き下ろし新作をメインに、コマーシャルサーカス1999で上演した短編などを加えたプログラム、過去作品は観ていたとはいえかなり記憶が薄れていたので「あーそうだった!」的な。
また、新作パートはお約束満載でベタなのがいかにもここ流で、しかしそれが魅力? あそこまでベタなのに演技臭さがないと言おうか自然体で芝居をしているような感じなのはホントにスゴい。ボケとツッコミのタイミングも完璧だし…。
さらに、新作はシリーズ第2作に出てきたキャラとエピソードを拾って展開させてちゃんと続編になっているんだもの。
いやぁ、堪能いたしましたぁ。
地図から消された島
amipro
アドリブ小劇場(東京都)
2009/10/14 (水) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★★
結論から言えば一長一短
現代の若者が訪れた広島の大久野島で落ちていたガスマスクをかぶったら1944年にタイムスリップしてしまい…というもので、結論から言えば一長一短。
シリアスな題材ではありながらとっつきやすくしようという配慮からコメディリリーフ的なキャラを登場させるのは悪くないものの、『ダブリンの鐘つきカビ人間』(G2プロデュース、02,05年)を想起させる「思ったことと反対のことしか言えない男」や男色気味の将校など、今ひとつ設定を活かしきれず中途半端になってしまったのが惜しいというかもったいないというか…。
その一方、あまり知られていない、第二次大戦中に毒ガス製造工場であった広島の大久野島をクローズアップするばかりでなくチラリとはいえ731部隊にも言及し、人と人との殺し合いを「戦時下の狂気」と他人事で片付けずに、現在でも飛行機でビルに突っ込んだり無差別殺人をしたりする愚かしさは変わらないので人間そのものが変わらなければ平和は訪れない、とする主張は◎。
徹底的に手足
売込隊ビーム
「劇」小劇場(東京都)
2009/10/15 (木) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★★
イイ意味で力が抜けている感じ
ここを観るのは04年7月の『13のバチルス』以来5年ぶり2度目ながら、どちらかと言えば今回の方が好み。
『…バチルス』は、前半はともかく、後半が捻りすぎ・考えすぎのようだったが、本作はイイ意味で力が抜けている感じ?
特に冒頭のワカるようで実はワケのわからないオカヤマの喩えを筆頭に、会話全体にトボけた味わいがあって可笑しい。
また、整備しているのではなく足場のネジを締め直しているだけじゃん、とか、どう見ても航空機の下部あるいは尾部ではなくモビルスーツ系の脚だろ、とか、確信犯的にツッコミどころを作っているようなフシがあり、そんなところも好み。
そういえばチラシに写っている脚部らしきものだって膝の関節の向きが変だし。
そういうことなら次回公演にも足を運んでみようか…
くるくるとしとしっと
秦組
赤坂RED/THEATER(東京都)
2009/10/13 (火) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★★★
命の重さ・生命の尊さ
死刑になりたいという理由から無差別殺傷事件を起こした男によって兄を意識不明の重態にされた女性研修医を中心にした物語。
プロローグは余命の少ない恋人のために不老不死の薬を手に入れたが「不老」と「不死」それぞれを分けてのんでしまい…というまた別のハナシ(しかし後半でリンクしてくる)だったり、そちらの主人公が胡蝶の夢よろしくどちらが夢か迷ったりもしてチョイとトリッキーでもあるので戸惑わされもするが全体を通して謳われるのは命の重さ・生命の尊さ。
特に終盤で研修医が述べる生命についての主張にはホロリ。その前の肝臓をめぐるやりとりでもすでにホロ、くらいまで行っていたワケなのだけれども。
また、前述の部分も含めて凶悪犯の生命の重さ、死刑の是非などについても考えさせられる。(死刑になりたくて無差別殺人を犯した者を死刑にするのは被告の思う壺、などという「矛盾」的な理屈も含めて…)
で、ストーリーの中心となる研修医を演じた工藤里紗は前年の秦組旗揚げ公演『Pain』に続いて好演。築山万有美、滝佳保子なんてベテランと互角に渡り合う(張り合う?)、な感じで。
TVドラマだと端役程度なのであまり気付かれないけれど、実はかなりイイ女優になってきていて、イイなぁ。今後ますますの舞台での活躍を期待。
噺劇と落語の会
北沢タウンホール
北沢タウンホール(北沢区民会館)(東京都)
2009/10/13 (火) ~ 2009/10/14 (水)公演終了
満足度★★★
おぉ、進歩している!
噺劇は元ネタが最後のオチでストンと決まるタイプのものではないことと上手く脚色されていた(「転宅」の終盤で唄に乗せて演技を見せるなぞ見事)こととで、前回のようになんだか潔くないとかキレが良くないとかの不満もなく、「おぉ、進歩している!」みたいな…。
また、小宮孝泰は明大の落研出身なことに加えて最近落語を語る機会が増えてきたということで、本職の噺家顔負けの達者な語り口な上に噺劇も2本とも出演とほぼ出ずっぱり。そうそう、噺のマクラで明大時代からテアトル・エコーを経てコント赤信号に至るまでを語ったのも◎。
ミネルヴァの梟は新月に飛びたつか
O-MATSURI企画merrymaker
シアター風姿花伝(東京都)
2009/10/10 (土) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★★★
両キャストをマチソワで
ヴァーチャル空間で高校生活を送るオンラインゲームのデバッグのためのプレイヤーの1人に選ばれた主人公が、10年前の「あること」について伝えたいと思っている従兄も参加していると知り、一方、そのゲーム内では固有アイテムの盗難事件も起こっており…という物語。
再演ものだけに出来が特に良く、ゲーム関連ネタ満載な上にダンスやアクション、サスペンスやほのかなロマンスなどもバランス良く配合して鮮やか。
ちなみにゲーム内にキャラクターとして入った主人公を描くというプロットは X-QUEST の『R.P.G. 私を土星に連れてって』と共通ながら、当然の如くオモムキを異にする。
また、ゲームキャラとして演じられている登場人物たちについて、それを操っているプレイヤー本人の素性が明かされた後に、その「本人」が垣間見えたりするのも巧いところ。
さらに、DDRによるダンスバトルのシーンで「ライオン」を使い、2人のプレイヤーがそれぞれMay'nと中島愛…もとい、シェリル・ノームとランカ・リーのパートを担当して踊るとか、「お前の罪を数えろ」(フラワーではガンダムネタ)とか、細かいネタにも感心。(爆)
今昔舞踊劇 遊びの杜 其之弐
劇団パラノイア・エイジ
靖国神社内 神池前特設ステージ (東京都)
2009/10/09 (金) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★★
「温故知新」なオムニバス野外劇
宇治拾遺物語や小泉八雲作品など、古典から比較的最近のものまで幅広い範囲から選んだ「綺譚」系のエピソード6話とオープニングアクト的な創作舞踊を夜空の下の野外ステージで見せるという企画、能舞台同様に下手後方に花道(アレもそう呼称するのかしら?}を設えた舞台や能管(かな?)とパーカッションによる音楽(兼S.E.)も含めて独特の趣があって楽しい。
公演趣旨や題材から当然の如く能・狂言・歌舞伎などの系列の和風な演出なるも「温故知新」な感じだし。
また、ひげ太夫の成田みわ子がひげのない女性役とは…と思っていたら、その後2回ひげを付けて出てきて「そうそう、それでなくちゃ」(笑)だったり鈴木のぞみと2人でやぐらを見せるので「あ、やっぱり!」だったりもして…
EDEN
JEWEL BEANS
荻窪メガバックスシアター(東京都)
2009/10/08 (木) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★
次回公演に期待
身体を機械化し自然の生殖ができなくなった者たちが支配する世界で、生身のまま生きながらえているレジスタンスたちが、彼らの中にいる金髪の少女 “イヴ” と詳細不明の “アダム” が出会った時に新たな世界のドアが開かれるという言い伝えを信じながら抵抗を続ける未来アクション。
全体の世界観は好きなタイプだし、ストーリーの運びも悪くないが、旗揚げ公演ということもあってか、いくつか残念な部分もあるのもまた事実。
まず、機械化された「キングダム」側の強大さ・層の厚さ的なものが描かれていないので、双方で生き残った数名だけで戦っているように見えてしまうこと。
たとえば、キングダム側の場面で各方面の対レジスタンス作戦の進捗状況が報告されるとかすればイイのに…。それも、時々刻々と討伐されていて、主人公チームが最後の望みみたいになるとか。
また、アクションのキレが今ひとつ良くないのは仕方ないにしても、相手の一撃を待つように見えてしまうことがあるのは擬闘において致命的。そこだけは早急かつ重点的に改善を願いたく…。
さらに、両者の闘いに決着がついた後の場で、「その後」が示されるのはわずか3名ほどで、他の面々がどうなったか示唆すらしないのはいかがなものか?
…って、もしかして「それは また 別の ハナシ…」的な続編への布石か?(笑)
とはいえ、先述のように好きなタイプの芝居(次回はどんなだかワカランが)だし、禁止事項の理由についてユーモアたっぷりに説明する前説のセンスもイイし、次回公演に期待。
黒米
劇団BOOGIE★WOOGIE
d-倉庫(東京都)
2009/10/09 (金) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★
マチソワで両キャストバージョンを
ピーター・シェーファーの『ブラック・コメディ』を日本に翻案したもので、8月のSAME∞LINEプロジェクト版が「翻訳もの外国戯曲」のお手本のような演出だったのに対してこちらはBOOGIE★WOOGIEテイストてんこ盛りのスラップスティック系。基本的には『ブラック…』と同じものながらポップでカラフル、ってか派手にバージョンアップされた舞台装置にもそんな違いが如実に現れており…。
時々やっているビンタや飲み物を相手に吹きかけるなどは序の口、バラエティ番組でお馴染みのクリームパイ(ナマの舞台では初めて見た)やバケツの水まで登場するくらいで、後からコンセプトはドリフと聞いて大いに納得。
また、BOOGIE★WOOGIE作品ではお馴染みのキャラ、出前持ちの島尻も登場して、ラストの一番オイしいところをさらうなんざ見事。
まさにSAME∞LINEプロジェクト版と表裏一体…っちゅうか、まず基本を見せてからそのバリエーションを見せる、な感じになるので両方観ると面白さは倍以上、的な。
で、過去2回の原典ではキャロル(本作では瑞穂:主人公の婚約者)側の目線で観ていたけれど、今回は終盤での麗子(原典のクレア)の長めの台詞以降、彼女の目線で観ることができて、あらま、そういう風に見れば比較的イイ話じゃん、などと新たな発見アリ。
同様に、今まではバンベルガー(本作の京極)の登場が遅すぎて全体のバランスが良くないように思っていたけれど、あれだけイジることでそこも改善された気がして。
さらに、あれだけの大騒ぎをした後なので、ラストの「神はおっしゃった、「光あれ」と」という台詞で点灯(実際の舞台は暗転)するのがより引き立つようにも感じられ、モロモロでコレが一番かも?
ま、3(&4)回目にしてやっと面白さがわかってきたというのもあるかもしれないが…。
でもやっぱり、乙に澄ましたお上品な喜劇より、ドタバタコメディの方が好きってことなのか?(爆)
鉄塔13 【サーティーン】
さるしげろっく
萬劇場(東京都)
2009/10/08 (木) ~ 2009/10/11 (日)公演終了
満足度★★★
日常系近未来もの
近未来、空から鉄塔が落ちてきて(マクロスかっっ!!!(笑))以来さびれ、高い波によって本土に渡ることもままならない島で生活するメンバーと、その島に流れ着いた人物たちが織りなすドラマ、観始めて間もなく「しまった、苦手な “日常系近未来もの” だ」と…(笑)
そのせいもあってか前半はちょっと冗長な感があるものの、本土から来た男がなんとなく怪しげに見え始めるあたりからはサスペンスも加わってキリリと引き締まる感じ。
実はこの日、音響機器トラブルがあり(関係各位の心中お察しいたします)、開演後70分ほどの時点で機器調整のための予定外休憩(約20分)が入った(よくぞ踏み切った、と英断を支持!)ので気分を一新して観ることができてそう感じたのかもしれないが。
また、かつて出産制限されている近未来を描いた映画があったが、それを国家的なものでなく、このような閉鎖社会のルールとしてアレンジしたのはナイスアイデア。この方が身近というか、より現実的に感じられるような気がして…。
さらに終盤で「わるもの」が威嚇のために発砲した時に2組の夫婦のそれぞれの夫が無意識的に妻をかばうところを一方の妻のモノローグと共にスローモーションで見せるシーンにはホロリ。やっぱり家族愛系に弱いσ(^-^) であった…。(笑)
ソウガ
演劇企画製作集団TWIN-BEAT
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2009/10/10 (土) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★★★
相剋の双牙篇
亡国篇のラストシーンに到達するのがエラく早いと思ったら、その後40分くらいに亘って「後日譚」とか「エピローグ」のレベルではない新たな歴史が刻まれるシーンがあり…
亡国篇では「ストーリー的にではなく芝居的に今ひとつけりが付かない」「句点がつかないままなのが残念」と感じたが、それもそのハズ、あちらのラストは「一見」落着、あるいは「一件落着、他件継続」にすぎなかったワケで、やはりσ(^-^) の感覚は正しかったのか、みたいな。(エヘン!)
なるほど、他の2バージョンもののように交互上演にせず、一方が終わってからもう一方を上演するワケだわさ。
ツムギの物語としては確かにあの時点で終わったけれどオウカの側にはまだその後のドラマがあったワケで、相剋を先に観てから亡国を観ると、露骨に「途中までで終わった」感が残るもんね。
両篇を併せて途中休憩も入れても3時間~3時間半で収まるハズなので、いつかそんな「一気観バージョン」も上演すればイイのに。
また、亡国に不満が残ったことについて、あくまで一般論ながら「主人公あるいは中心人物の生命を代償に平和が訪れるというのは正しい解決方法ではなく、むしろお涙頂戴も狙った安易(←言い過ぎ)な結末ではないのか?」という想いがσ(^-^) の中にあるからではないか、と気付いたりも…。
ソウガ
演劇企画製作集団TWIN-BEAT
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2009/10/10 (土) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★★
亡国の爪牙篇
日本の戦国時代によく似た架空世界の対立する2つの陣営を描いており、こちらと「相剋の双牙篇」とがそれぞれの陣営の視点で描いており表裏一体の仕組み。
で、かつての友人が対立する陣営に分かれる、という構図にキラとアスランを連想しつつ(そう言えば衣裳も青系統と赤系統だし…(笑))、若干のお約束的な展開も含めて時折ユーモラスな部分も交えたストーリーに引きこまれ、あんな若者たちが殺しあった時代に思いを馳せる。
ただ、C.イーストウッド監督・主演の『グラン・トリノ』とも通ずる終わり方は悪くないが、ストーリー的にではなく芝居的に今ひとつ「けりが付かない」(←文字通り)感覚で「お爺さんとお婆さんは仲良く暮らしました………」みたいに句点がつかないままなのが残念。
音楽でのデクレッシェンドやフェイド・アウトならまだしも、芝居でこうだとちょっと締まりがない感じなんだよなぁ。(どうした、きだつよし!)