蛮幽鬼(ばんゆうき)
松竹
新橋演舞場(東京都)
2009/09/30 (水) ~ 2009/10/27 (火)公演終了
満足度★★★★
どうにか合格
最近の新感線系作品は、苦手なタイプだったりσ(^-^) とは相性の良くない脚本家の作品だったりと2連敗で「仏の顔も三度か?」と思って臨んだら、さすがに今回はどうにか合格。しかし第1幕だけで通常の芝居1本分(110分)ってなげーよ!
とはいえ、サジの本当の狙いは何なのかという疑問を抱かせて前半を切りあげ、それも含めて第1幕で仕込んでおいた伏線を次々に開花させて予想外の結末まで突っ走る第2幕(75分=カーテンコール含む)はワクワクドキドキな上に観応えたっぷり。
ぼんやり劇場 特選会・秋
KUSARE芸道R
シアターブラッツ(東京都)
2009/10/15 (木) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
堪能いたしましたぁ
大塚ジェルスホール時代に上演していた「ぼんやり劇場」シリーズの旧作2編&書き下ろし新作をメインに、コマーシャルサーカス1999で上演した短編などを加えたプログラム、過去作品は観ていたとはいえかなり記憶が薄れていたので「あーそうだった!」的な。
また、新作パートはお約束満載でベタなのがいかにもここ流で、しかしそれが魅力? あそこまでベタなのに演技臭さがないと言おうか自然体で芝居をしているような感じなのはホントにスゴい。ボケとツッコミのタイミングも完璧だし…。
さらに、新作はシリーズ第2作に出てきたキャラとエピソードを拾って展開させてちゃんと続編になっているんだもの。
いやぁ、堪能いたしましたぁ。
地図から消された島
amipro
アドリブ小劇場(東京都)
2009/10/14 (水) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★★
結論から言えば一長一短
現代の若者が訪れた広島の大久野島で落ちていたガスマスクをかぶったら1944年にタイムスリップしてしまい…というもので、結論から言えば一長一短。
シリアスな題材ではありながらとっつきやすくしようという配慮からコメディリリーフ的なキャラを登場させるのは悪くないものの、『ダブリンの鐘つきカビ人間』(G2プロデュース、02,05年)を想起させる「思ったことと反対のことしか言えない男」や男色気味の将校など、今ひとつ設定を活かしきれず中途半端になってしまったのが惜しいというかもったいないというか…。
その一方、あまり知られていない、第二次大戦中に毒ガス製造工場であった広島の大久野島をクローズアップするばかりでなくチラリとはいえ731部隊にも言及し、人と人との殺し合いを「戦時下の狂気」と他人事で片付けずに、現在でも飛行機でビルに突っ込んだり無差別殺人をしたりする愚かしさは変わらないので人間そのものが変わらなければ平和は訪れない、とする主張は◎。
徹底的に手足
売込隊ビーム
「劇」小劇場(東京都)
2009/10/15 (木) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★★
イイ意味で力が抜けている感じ
ここを観るのは04年7月の『13のバチルス』以来5年ぶり2度目ながら、どちらかと言えば今回の方が好み。
『…バチルス』は、前半はともかく、後半が捻りすぎ・考えすぎのようだったが、本作はイイ意味で力が抜けている感じ?
特に冒頭のワカるようで実はワケのわからないオカヤマの喩えを筆頭に、会話全体にトボけた味わいがあって可笑しい。
また、整備しているのではなく足場のネジを締め直しているだけじゃん、とか、どう見ても航空機の下部あるいは尾部ではなくモビルスーツ系の脚だろ、とか、確信犯的にツッコミどころを作っているようなフシがあり、そんなところも好み。
そういえばチラシに写っている脚部らしきものだって膝の関節の向きが変だし。
そういうことなら次回公演にも足を運んでみようか…
くるくるとしとしっと
秦組
赤坂RED/THEATER(東京都)
2009/10/13 (火) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★★★
命の重さ・生命の尊さ
死刑になりたいという理由から無差別殺傷事件を起こした男によって兄を意識不明の重態にされた女性研修医を中心にした物語。
プロローグは余命の少ない恋人のために不老不死の薬を手に入れたが「不老」と「不死」それぞれを分けてのんでしまい…というまた別のハナシ(しかし後半でリンクしてくる)だったり、そちらの主人公が胡蝶の夢よろしくどちらが夢か迷ったりもしてチョイとトリッキーでもあるので戸惑わされもするが全体を通して謳われるのは命の重さ・生命の尊さ。
特に終盤で研修医が述べる生命についての主張にはホロリ。その前の肝臓をめぐるやりとりでもすでにホロ、くらいまで行っていたワケなのだけれども。
また、前述の部分も含めて凶悪犯の生命の重さ、死刑の是非などについても考えさせられる。(死刑になりたくて無差別殺人を犯した者を死刑にするのは被告の思う壺、などという「矛盾」的な理屈も含めて…)
で、ストーリーの中心となる研修医を演じた工藤里紗は前年の秦組旗揚げ公演『Pain』に続いて好演。築山万有美、滝佳保子なんてベテランと互角に渡り合う(張り合う?)、な感じで。
TVドラマだと端役程度なのであまり気付かれないけれど、実はかなりイイ女優になってきていて、イイなぁ。今後ますますの舞台での活躍を期待。
噺劇と落語の会
北沢タウンホール
北沢タウンホール(北沢区民会館)(東京都)
2009/10/13 (火) ~ 2009/10/14 (水)公演終了
満足度★★★
おぉ、進歩している!
噺劇は元ネタが最後のオチでストンと決まるタイプのものではないことと上手く脚色されていた(「転宅」の終盤で唄に乗せて演技を見せるなぞ見事)こととで、前回のようになんだか潔くないとかキレが良くないとかの不満もなく、「おぉ、進歩している!」みたいな…。
また、小宮孝泰は明大の落研出身なことに加えて最近落語を語る機会が増えてきたということで、本職の噺家顔負けの達者な語り口な上に噺劇も2本とも出演とほぼ出ずっぱり。そうそう、噺のマクラで明大時代からテアトル・エコーを経てコント赤信号に至るまでを語ったのも◎。
ミネルヴァの梟は新月に飛びたつか
O-MATSURI企画merrymaker
シアター風姿花伝(東京都)
2009/10/10 (土) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★★★
両キャストをマチソワで
ヴァーチャル空間で高校生活を送るオンラインゲームのデバッグのためのプレイヤーの1人に選ばれた主人公が、10年前の「あること」について伝えたいと思っている従兄も参加していると知り、一方、そのゲーム内では固有アイテムの盗難事件も起こっており…という物語。
再演ものだけに出来が特に良く、ゲーム関連ネタ満載な上にダンスやアクション、サスペンスやほのかなロマンスなどもバランス良く配合して鮮やか。
ちなみにゲーム内にキャラクターとして入った主人公を描くというプロットは X-QUEST の『R.P.G. 私を土星に連れてって』と共通ながら、当然の如くオモムキを異にする。
また、ゲームキャラとして演じられている登場人物たちについて、それを操っているプレイヤー本人の素性が明かされた後に、その「本人」が垣間見えたりするのも巧いところ。
さらに、DDRによるダンスバトルのシーンで「ライオン」を使い、2人のプレイヤーがそれぞれMay'nと中島愛…もとい、シェリル・ノームとランカ・リーのパートを担当して踊るとか、「お前の罪を数えろ」(フラワーではガンダムネタ)とか、細かいネタにも感心。(爆)
今昔舞踊劇 遊びの杜 其之弐
劇団パラノイア・エイジ
靖国神社内 神池前特設ステージ (東京都)
2009/10/09 (金) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★★
「温故知新」なオムニバス野外劇
宇治拾遺物語や小泉八雲作品など、古典から比較的最近のものまで幅広い範囲から選んだ「綺譚」系のエピソード6話とオープニングアクト的な創作舞踊を夜空の下の野外ステージで見せるという企画、能舞台同様に下手後方に花道(アレもそう呼称するのかしら?}を設えた舞台や能管(かな?)とパーカッションによる音楽(兼S.E.)も含めて独特の趣があって楽しい。
公演趣旨や題材から当然の如く能・狂言・歌舞伎などの系列の和風な演出なるも「温故知新」な感じだし。
また、ひげ太夫の成田みわ子がひげのない女性役とは…と思っていたら、その後2回ひげを付けて出てきて「そうそう、それでなくちゃ」(笑)だったり鈴木のぞみと2人でやぐらを見せるので「あ、やっぱり!」だったりもして…
EDEN
JEWEL BEANS
荻窪メガバックスシアター(東京都)
2009/10/08 (木) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★
次回公演に期待
身体を機械化し自然の生殖ができなくなった者たちが支配する世界で、生身のまま生きながらえているレジスタンスたちが、彼らの中にいる金髪の少女 “イヴ” と詳細不明の “アダム” が出会った時に新たな世界のドアが開かれるという言い伝えを信じながら抵抗を続ける未来アクション。
全体の世界観は好きなタイプだし、ストーリーの運びも悪くないが、旗揚げ公演ということもあってか、いくつか残念な部分もあるのもまた事実。
まず、機械化された「キングダム」側の強大さ・層の厚さ的なものが描かれていないので、双方で生き残った数名だけで戦っているように見えてしまうこと。
たとえば、キングダム側の場面で各方面の対レジスタンス作戦の進捗状況が報告されるとかすればイイのに…。それも、時々刻々と討伐されていて、主人公チームが最後の望みみたいになるとか。
また、アクションのキレが今ひとつ良くないのは仕方ないにしても、相手の一撃を待つように見えてしまうことがあるのは擬闘において致命的。そこだけは早急かつ重点的に改善を願いたく…。
さらに、両者の闘いに決着がついた後の場で、「その後」が示されるのはわずか3名ほどで、他の面々がどうなったか示唆すらしないのはいかがなものか?
…って、もしかして「それは また 別の ハナシ…」的な続編への布石か?(笑)
とはいえ、先述のように好きなタイプの芝居(次回はどんなだかワカランが)だし、禁止事項の理由についてユーモアたっぷりに説明する前説のセンスもイイし、次回公演に期待。
黒米
劇団BOOGIE★WOOGIE
d-倉庫(東京都)
2009/10/09 (金) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★
マチソワで両キャストバージョンを
ピーター・シェーファーの『ブラック・コメディ』を日本に翻案したもので、8月のSAME∞LINEプロジェクト版が「翻訳もの外国戯曲」のお手本のような演出だったのに対してこちらはBOOGIE★WOOGIEテイストてんこ盛りのスラップスティック系。基本的には『ブラック…』と同じものながらポップでカラフル、ってか派手にバージョンアップされた舞台装置にもそんな違いが如実に現れており…。
時々やっているビンタや飲み物を相手に吹きかけるなどは序の口、バラエティ番組でお馴染みのクリームパイ(ナマの舞台では初めて見た)やバケツの水まで登場するくらいで、後からコンセプトはドリフと聞いて大いに納得。
また、BOOGIE★WOOGIE作品ではお馴染みのキャラ、出前持ちの島尻も登場して、ラストの一番オイしいところをさらうなんざ見事。
まさにSAME∞LINEプロジェクト版と表裏一体…っちゅうか、まず基本を見せてからそのバリエーションを見せる、な感じになるので両方観ると面白さは倍以上、的な。
で、過去2回の原典ではキャロル(本作では瑞穂:主人公の婚約者)側の目線で観ていたけれど、今回は終盤での麗子(原典のクレア)の長めの台詞以降、彼女の目線で観ることができて、あらま、そういう風に見れば比較的イイ話じゃん、などと新たな発見アリ。
同様に、今まではバンベルガー(本作の京極)の登場が遅すぎて全体のバランスが良くないように思っていたけれど、あれだけイジることでそこも改善された気がして。
さらに、あれだけの大騒ぎをした後なので、ラストの「神はおっしゃった、「光あれ」と」という台詞で点灯(実際の舞台は暗転)するのがより引き立つようにも感じられ、モロモロでコレが一番かも?
ま、3(&4)回目にしてやっと面白さがわかってきたというのもあるかもしれないが…。
でもやっぱり、乙に澄ましたお上品な喜劇より、ドタバタコメディの方が好きってことなのか?(爆)
鉄塔13 【サーティーン】
さるしげろっく
萬劇場(東京都)
2009/10/08 (木) ~ 2009/10/11 (日)公演終了
満足度★★★
日常系近未来もの
近未来、空から鉄塔が落ちてきて(マクロスかっっ!!!(笑))以来さびれ、高い波によって本土に渡ることもままならない島で生活するメンバーと、その島に流れ着いた人物たちが織りなすドラマ、観始めて間もなく「しまった、苦手な “日常系近未来もの” だ」と…(笑)
そのせいもあってか前半はちょっと冗長な感があるものの、本土から来た男がなんとなく怪しげに見え始めるあたりからはサスペンスも加わってキリリと引き締まる感じ。
実はこの日、音響機器トラブルがあり(関係各位の心中お察しいたします)、開演後70分ほどの時点で機器調整のための予定外休憩(約20分)が入った(よくぞ踏み切った、と英断を支持!)ので気分を一新して観ることができてそう感じたのかもしれないが。
また、かつて出産制限されている近未来を描いた映画があったが、それを国家的なものでなく、このような閉鎖社会のルールとしてアレンジしたのはナイスアイデア。この方が身近というか、より現実的に感じられるような気がして…。
さらに終盤で「わるもの」が威嚇のために発砲した時に2組の夫婦のそれぞれの夫が無意識的に妻をかばうところを一方の妻のモノローグと共にスローモーションで見せるシーンにはホロリ。やっぱり家族愛系に弱いσ(^-^) であった…。(笑)
ソウガ
演劇企画製作集団TWIN-BEAT
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2009/10/10 (土) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★★★
相剋の双牙篇
亡国篇のラストシーンに到達するのがエラく早いと思ったら、その後40分くらいに亘って「後日譚」とか「エピローグ」のレベルではない新たな歴史が刻まれるシーンがあり…
亡国篇では「ストーリー的にではなく芝居的に今ひとつけりが付かない」「句点がつかないままなのが残念」と感じたが、それもそのハズ、あちらのラストは「一見」落着、あるいは「一件落着、他件継続」にすぎなかったワケで、やはりσ(^-^) の感覚は正しかったのか、みたいな。(エヘン!)
なるほど、他の2バージョンもののように交互上演にせず、一方が終わってからもう一方を上演するワケだわさ。
ツムギの物語としては確かにあの時点で終わったけれどオウカの側にはまだその後のドラマがあったワケで、相剋を先に観てから亡国を観ると、露骨に「途中までで終わった」感が残るもんね。
両篇を併せて途中休憩も入れても3時間~3時間半で収まるハズなので、いつかそんな「一気観バージョン」も上演すればイイのに。
また、亡国に不満が残ったことについて、あくまで一般論ながら「主人公あるいは中心人物の生命を代償に平和が訪れるというのは正しい解決方法ではなく、むしろお涙頂戴も狙った安易(←言い過ぎ)な結末ではないのか?」という想いがσ(^-^) の中にあるからではないか、と気付いたりも…。
ソウガ
演劇企画製作集団TWIN-BEAT
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2009/10/10 (土) ~ 2009/10/18 (日)公演終了
満足度★★★
亡国の爪牙篇
日本の戦国時代によく似た架空世界の対立する2つの陣営を描いており、こちらと「相剋の双牙篇」とがそれぞれの陣営の視点で描いており表裏一体の仕組み。
で、かつての友人が対立する陣営に分かれる、という構図にキラとアスランを連想しつつ(そう言えば衣裳も青系統と赤系統だし…(笑))、若干のお約束的な展開も含めて時折ユーモラスな部分も交えたストーリーに引きこまれ、あんな若者たちが殺しあった時代に思いを馳せる。
ただ、C.イーストウッド監督・主演の『グラン・トリノ』とも通ずる終わり方は悪くないが、ストーリー的にではなく芝居的に今ひとつ「けりが付かない」(←文字通り)感覚で「お爺さんとお婆さんは仲良く暮らしました………」みたいに句点がつかないままなのが残念。
音楽でのデクレッシェンドやフェイド・アウトならまだしも、芝居でこうだとちょっと締まりがない感じなんだよなぁ。(どうした、きだつよし!)
カムパネルラ
Oi-SCALE
SAI STUDIO komone(東京都)
2009/10/08 (木) ~ 2009/10/13 (火)公演終了
満足度★★★★★
銀河高速道路の夜
タイトルがまんまな通り、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をモチーフにしたもので、原典にハマっている身として非常に嬉しいと言おうか何と言おうか…。
当日パンフによれば林主宰も賢治作品、とりわけ「銀河鉄道…」がお好きなんだそうで、そんなあたりが非常によくわかると言うか、同好の志として共感(よりも共鳴?)してしまうと言うか、「あぁ、あの部分をこう昇華させたのね」みたいに原典のシーンがわかるヨロコビもあり。
当日パンフの「観劇後に読んでください」的な部分を後から読んで、何度膝ポンしたことか!
内容は、恩師の葬儀に参列しようと夜の高速道路を北上している途中に事故でメンバーの1人を亡くしてしまったワンゲル部OBたちが、その1年後に再び同じルートをたどり…という状況での物語。
現在の様子と1年前の回想、それに主人公が見る幻想の3種類のシーンを組み合わせて一種独特の雰囲気を醸し出しており、地下のスタジオに黒幕を張り巡らせ、四方の壁に沿って基本的には1列のみ客席を配した会場も、いかにも夜のサービスエリア、な感じ。
そんな中で原典のジョバンニにあたる主人公・蓮田の金ヶ崎(=原典のカムパネルラ)に対する追悼の気持ち・喪失感がクッキリと浮かび上がって切なくも美しく優しい仕上がりになっている(そんなところも原典と通ずる)のがイイ。
『模様の様な汚れ』(07年)と同様、2つのバージョンで同じ部分もあり、違うエピソードも挟まれるというスタイルは、左右それぞれの眼の位置で撮った2枚の写真を見る裸眼立体視の如く、基本的には同じながらところどころが異なるものを両方観るとより深く見える、的な。
また、最初のエピソードは異なるのに最後のエピソードがそれぞれのオープニングと対を成しているのも巧いところ。
最後のエピソードと言えば当日パンフで林主宰も語られているように「ジョバンニ」バージョンの夢落ちも原典へのオマージュ的で○。
一方「カムパネルラ」のラストは泣きじゃくる蓮田で、こちらの方が胸に迫るモノがあるか。
ということで、観た順はこれで良かった、と納得。
あと、舞台に複数のモニターを置いて映像を流すのはよくある手法ながら本作では上部にある調整室から床に投影するというワザも使って、事故に遭い倒れている金ヶ崎を見せたのにも感心。この会場の特質を上手く使っているよなぁ…。
あなたに会えてよかった
劇団あかぺら倶楽部
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2009/10/08 (木) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★
さすがに傑作
時間モノの傑作と言われていながら未見でかねがね観たいと思っていたアラン・エイクボーンの『ドアをあけると…』。(←チラシにあった原題で気付いた)
2月に観たエイクボーン作品は期待の大きさ故に見事なまでの肩透かしを喰らったが、本作はさすがに傑作。
思いもよらずに過去にスリップして状況が状況だけに最初はそのことに気付かないが、気付いてからはそれから起こる事態を防ごうとする、というタイムスリップ系では王道とも言うべき物語、ユーモアとサスペンス(主人公が大ピンチに陥って連続ドラマで言えば「to be continued...」なところで第1幕を終わらせるのなんざ絶妙)の配分も申し分なく、とても楽しい。
複数の時代(時期?)に登場する人物との関係などもお約束気味ではあれ、上手いスパイスになっているし。
なんたって物置に続いているハズのドアをあけるとそこは20年前の同じ部屋、という設定がユニーク。だもんで、「何?この機械?」などとイジっていて時を越えるのと違ってスリップしたことに気付きにくいのがミソ。
また、2段階で過去にスリップすることで『ノモレスワ。』(クロカミショウネン18、07年)も想起。あれはこの本作へのリスペクトあるいはオマージュだったのかしら?
劇読み! vol.3
劇団劇作家
TACCS1179(東京都)
2009/10/07 (水) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★
この花折るな
劇作家のみで構成されるという珍しい劇団、「劇読み!」のタイトル通りリーディング系の公演ながらリーディング用の台本ではなく「普通に上演することを前提に書かれた台本」を読むというのが独特で、演者がそれぞれの人物を担当するばかりでなく、黒子ではないものの黒衣の人物がト書きを読むなんてところが面白い。
各人物を担当する演者は台詞を読むだけでなく動作もするので、最初はト書き担当者の存在について疑問が生じたりもするのが、やがてそれが「神の声」のように感じられてくるという。
でもって、内容は一言で表現すればシュール系の家族再生(かな?)物語。
「予測庁の役人」だの「槍が降る」だの近未来チックな設定ながらSF要素のない「日常系近未来もの」(というカテゴリーを創ってみました(笑))はどちらかと言えば苦手なのに、その見せ方により楽しんでしまう。
呪われたバブルの塔 -ビフォーサイド- 【舞台写真掲載!】
北京蝶々
OFF OFFシアター(東京都)
2009/10/01 (木) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★
ホラーはこっちだったのね
ビルのオーナーの身辺に起こる怪奇現象を描いており、あぁ「ホラー」ってのはこっちのことだったのか!みたいな…(爆)
序盤は「出る」とはいえユーモラスなのに次第にコワさが増して行くというスタイル、その「呪いの正体」的なものを結局明かさずに(え、ネタバレ?)観ている側にワケのワカらない不安を残す「ズルさ」(笑)は清水崇監督の『呪怨』の如し。
また、アフターサイドに出てきたいくつかのアイテムの出自もわかって「あぁ、それであそこにアレがあったのね」なのも楽しい。
もちろんこちらも単品として独立しており、これだけ観ても半端な感じはしないのだけれど、後から観ると終わり方が「あ、前編の終わりだね」かも?(アフターの終わり方が「アレ」なのでなおさら)…って、σ(^-^) だけの感じ方か?
で、2編はリンクしているとは言えオモムキは異にするのでその対比も○。
まぁ、「ホラー」という先入観でソレを期待していた身にとってはこちらの方が好みではありますが…。
呪われたバブルの塔 -アフターサイド- 【舞台写真掲載!】
北京蝶々
OFF OFFシアター(東京都)
2009/10/01 (木) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★
社会派(?)エンタテインメント
いわば「社会派(?)エンタテインメント」、不動産の所有権譲渡に関する専門用語なども飛び交いつつ、しかし堅苦しくなく娯楽性は十分アリ。
そこここに前日譚たるビフォーサイドとの関連を匂わせつつ、もちろん単品として独立しているのでワケがワカランことはないという匙加減も巧みで、「不動産取引の現場と実態」的なものを目の当たりにするような感覚にワクワク。
また、小林タクシーは、『便所の落書き屋さん』に続いて個性の強烈な役どころを好演。
ってなワケで、チラリと目にした(=どちらのサイドかも確認せず)「観てきた!」コメントに「ホラー」とあったので、そう思って観ていたら肩透かしを喰らったけれども別の面白さアリ。
間違いの喜劇
TYPES - タイプス -
光が丘IMAホール(東京都)
2009/10/03 (土) ~ 2009/10/04 (日)公演終了
満足度★★★★
「これぞ王道」的喜劇
かつて航海中に遭難し別れ別れになった双子の弟が、やはり双子の弟である召使を連れて兄を探しに出た旅の途中で寄った町で、その兄と間違われたことによって起こるコミカルな騒動、シェイクスピア作品(本作は初見)だし、比較的大きめのホールだし、その雰囲気はいつもの小劇場系のものとは異なるも、コドモの頃に父親のピンチヒッターで観に行った労演の芝居と共通する雰囲気で懐かしい。
また、その取り違え&勘違いぶりが大いに笑える(※)上に、兄弟のみならず父・母とも再会し、家族が久々に揃うラストは優しく温かく、文字通り「めでたしめでたし」で「これぞ王道」的な?(笑)
※ レイ・クーニーなどが得意とする「苦し紛れについたウソが事実と一致してしまって事態が混乱する」パターンの原点はこれかな?などとも思ったり…
ところで「よりによって2組の双子がともに同じ服装なんて、偶然にしても出来すぎでは?」「双子の兄を探しに出た旅なんだからもっと早く気付けよ」などとツッ込むのは野暮ってモンで、「芝居のウソ」として呑み込むべきなんでしょうね…(爆)
「北区のケン」
ロスリスバーガー
RAFT(東京都)
2009/10/02 (金) ~ 2009/10/04 (日)公演終了
満足度★★★
共感とノスタルジーに浸る
学生時代の芝居仲間の披露宴を翌日に控えて、余興の稽古をする6人の男たちのおハナシ、開場時からモー娘。のシングルコレクションが流れているし、舞台上は万年床と複数のバックパック(リュック?)で散らかっているし、ということから何となく察した通り、ちょっとナサケない男6人の物語。
もうこれが、時としてわが身を見るような部分もあり、共感とノスタルジーに浸ってしまう…(笑)。
また、会話などからにじみ出てくる、学生時代からの付き合いによる親密さもイイ感じ。
さらに、その部屋に漂う空気感というかニオイというか、そんなものまで漂って来るような気がするのはこのサイズの小屋ならではか?
ただ、4人が妻帯者という設定ながら、それにはちょっと若いんでないかい?な感なきにしも非ず。