じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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最高傑作 -Magnum Opus-

最高傑作 -Magnum Opus-

劇団銀石

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/12/08 (火) ~ 2009/12/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

チャペックが底流にある Neo Genesis
一言で表現すれば「カレル・チャペックが底流にある Neo Genesis」、人工的に作られた「最高傑作」が人間よりも多数を占めるようになった未来を描いた連作的短篇。(ってか、各パートは交響曲などにおける「楽章」のようなものか?)
詩的でリズミカルかつ時には言葉遊びも含む台詞は耳当たりが良く、某書物と某戯曲を知っているとより楽しめる、な感じ。
また、その台詞回しや衣裳から(内容的にはシリアスな部分もありつつ)、どことなくメルヒェンチックで「やわらかい」印象も受ける。
台詞と言えば「最高傑作」たちが交わす会話は創作言語とのことで(←アフタートーク時の質問で得た回答)、その言語らしさが見事なことは ZIPANGU Stage の『航海綺譚』(05年)と双璧を成す。
で、「最高傑作」は所謂「ロボット」(=機械仕掛けの自動人形)ではない、なんてあたりでチャペックが「R.U.R.」に登場させた「ロボット」を思い出していたら「ロッサムという人が作った云々」という台詞が出てきて Bingo!みたいな…(笑)
それまでとガラリと変わったトーンで、かつプロローグと対を成すエピローグ(客電もあげる(!))で締めくくるのもイイ感じだし、最後の最後で各国語の「ありがとう」「さよなら」を(通訳付きで)羅列するのも好印象。
あと、本編でバベルの塔もモチーフとして使っているのだが、スタイリッシュなオープニング映像の中にピーテル・ブリューゲルの「バベルの塔」がもっと延びているカット(←今、書きながらフト思いついたのは「パーフェクト・ジオングみたいな」という形容…(笑))があったのにもツボを突かれる。

太陽と下着の見える町(庭劇団ペニノ)

太陽と下着の見える町(庭劇団ペニノ)

フェスティバル/トーキョー実行委員会

にしすがも創造舎 【閉館】(東京都)

2009/12/05 (土) ~ 2009/12/13 (日)公演終了

満足度★★★

音楽に喩えれば現代音楽
テラスと会議室らしきスペースが上に、ベッドが1~3つしつらえられた部屋的なもの(うち1つは牢獄のようにも見える)と廊下が下にある2フロア(2階建てかあるいはそれ以上の建物の上部2フロア)で展開される複数のシーンをザッピング感覚で見せるスタイル。
展開されるシーンも様々かつ断片的だったりもして、中には特にストーリーになっていないものもあり、「何かの伏線か?」「どこかで他とリンクするのか?」と思っていると肩透かしを喰らう、な感じ。
中心となる(と言うか演じられる時間の長い)パートも個々の演技自体は具体的なのに、それによって表現しようとするものが抽象的、という印象で、音楽に喩えればジョン・ケージなどの現代音楽(ミュージック・コンクレートまでは行かない)ってところか?
そんなところから、これもまた「考えるのではなく感じる」タイプなのだが、あまり共感(あるいは共鳴)できずちょっと苦手。
「パンティ」に関するトリビアは興味深かったけれど…(爆)

ネコロジカル・ショートカット・ネコロジカル

ネコロジカル・ショートカット・ネコロジカル

猫の会

d-倉庫(東京都)

2009/12/02 (水) ~ 2009/12/07 (月)公演終了

満足度★★★★

ほっこりとしたオトナの童話
一言で表現すれば「オトナの童話」。人間の言葉を解する(が、会話ができるワケではない)猫やその他の動物たちも絡めて描く「悪人」など登場しない「ほっこり」とした優しい世界、ある時点でそれまで断片的に提示されてきた「教授の初恋」「大火の時に助けられた少年」「現世の存在ではなさそうな「神様」」などの情報たちがドミノ倒しの駒の如く次々に関連付いて全体像が見えてくるのが快感。
また、「神様」にしても「ししゃも」にしても登場した瞬間に猫だとわかるし、カエルやエリマキトカゲ(さすがにこの2種は劇中で紹介されるまでそれであるとはわからなかった(笑))も擬人化しているのが愉快。
さらに彼らの衣裳も「なるほど言われてみればそんな感じ」程度にとどめていて、そのセンスも◎。

カタルシス夢十夜

カタルシス夢十夜

ムシラセ

王子小劇場(東京都)

2009/12/03 (木) ~ 2009/12/07 (月)公演終了

満足度★★★★

不条理感・不思議感・脈絡の無さを表現
学生時代にワンゲル部だった男達、そのうち1人は当時紅一点でマドンナ的存在だった女性と結婚しており…という同じ設定(と世界観?)での短篇連作(続きものではない)、漱石の「夢十夜」同様各編とも夢の中のあの不条理感・不思議感・脈絡の無さなどをうまく表現しており、第1話のラストのゾクッとする感覚、それが登場人物の見ていた夢ということで始まる第2話で姉と妹が入れ替わる(ちょっと違うが:ロベール・トマの『罠』も連想)フシギさなどが印象的。
また、途中に出てきた「百年」「竹の花」というキーワードだけでもニヤリとしたくらいなので、あのラストにはほとんど狂喜乱舞。いやぁ、鮮やかだったなぁ。キレイに入ったパンチでノックアウトされたような感じ?

見えざるモノの生き残り

見えざるモノの生き残り

イキウメ

紀伊國屋ホール(東京都)

2009/12/02 (水) ~ 2009/12/07 (月)公演終了

満足度★★★★

前川流の「幸福論」を堪能
新人を迎え、研修としてその仕事についてレクチャーする先輩「家守」たちとその新人の過去…という物語は「こんなのイキウメじゃない!」とか言って…。いや、「従来の」というコトバが抜けましたね。(笑)
得体の知れない漠然とした不安感が通奏低音のように流れる身近なSF、な世界とはガラリとオモムキを変えた第二形態あるいは version 2.0 のイキウメといったところ?
適度なユーモアはかつての短篇集の中にもあったし、終盤での緻密な構成…ちょっと違うか…新人家守の過去には実は先輩家守も絡んでいたというネタ(?)はやっぱりイキウメっぽいし、耳打ちした内容を舞台で再現して終わるツクリも巧みで、満足満足。
ってなことで前川流の「幸福論」を堪能。
なお、一般的な「座敷童子」像ではなく、オッサン(笑)を含んだオトナたちである(だから本人たちも「家守」と言うんだが)ことにヴィム・ヴェンダース監督の『ベルリン 天使の詩』(87年)も思い出す。

生の瑕疵

生の瑕疵

集団as if~

萬劇場(東京都)

2009/12/03 (木) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★

笑いとシリアスさの見事な同居
「ネガティブコメディ」と銘打ち、コメディとシリアスを両立させるのが作風だそうで、そのバランスが絶妙…と言うより「際どい」の方が的確?
一歩間違うと水と油の如く分離してしまいそうな笑いとシリアスさを、回想と現在に分けたということもあり見事に同居させているんだな、これが。
主人公夫妻を子供の頃からの友人が久しぶりに訪れるプロローグに導かれ、高校の映画同好会時代の回想が中心となる前半はコミカル。設定が設定だけに名台詞ほかの映画ネタも楽しい。また、途中でアンケート用紙に添付された紙片に観客が書き込んだ3項目を使ったインプロパートがあり、これまた大笑いモノで、ランダムに選んだものが時としてピタリとハマることもあって「芝居の神様って本当にいるんじゃないか?」とも…(笑)
一方、主人公がその友人によってもたらされた薬物に溺れて行く後半はシリアス。その悲劇的な結末はまるで公的機関が作った「薬物依存撲滅キャンペーン映画」(笑) の如く薬物のオソロシさを訴え、安易なハッピーエンドにしない分、さらにそれが強調される、みたいな。
が、決して後味は悪くないし、重くもないのが不思議。普通、こういう構成だと前半との大きな落差によってビターあるいはヘヴィーな味がより強調されそうなのに、何でだろう?(感じ方には個人差があります)

天使の涙・・・

天使の涙・・・

projectDREAMER

シアター711(東京都)

2009/12/03 (木) ~ 2009/12/16 (水)公演終了

満足度★★★

「東京バンドワゴン」に通ずるニオイ
アラハン(=around 半世紀)の骨董屋主人とその親類から成る趣味の「フォークグループ」(男女3人組)が老人ホーム慰問クリスマスLIVEのリハーサルをしている、なオープニングに導かれる物語。
そういう設定なので劇中に歌が入るのが自然と言おうか当然と言おうか、唐突な感などあろうハズもなく…。
そこに骨董屋を訪ねて来た娘や主人の息子などもからませたストーリーは従来の IOH とはちょっと異なる系統ながら時にユーモラスでわかりやすく、これはこれでアリな感じで、ちょうど第2弾を読んでいる最中の小路幸也の「東京バンドワゴン」シリーズと共通するニオイも感ずる。
で、急に態度の変わるキャラが複数いるのは「キレやすい最近の若者」的な表現か?(笑)

【AchiTION!Q&A】

【AchiTION!Q&A】

シネマ系スパイスコメディAchiTION!

しもきた空間リバティ(東京都)

2009/12/04 (金) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★

謎を残して終わるのがニクい
『5/5』『WS』に続く短編オムニバスの第3弾、今回は各編とも劇中で疑問が提示されて終盤でその解答が明かされるスタイル。
であると同時に、最後の1編でそれまでのエピソードをまとめるという、往年の深夜ドラマ「ハートにS」(それまでのエピソード何篇かの主要登場人物が別の形で顔をあわせるのはマンスリースペシャル的か)型の構造。こういうの、好きなんだよなぁ。
さらに、各エピソードは基本的にコミカルな中、ラスト1編のみ「その中に1人嘘つきがいるので、その嘘つきを射殺した者が解放される」(ありゃ、劇団Bの『R』みたいだ)というサスペンス系で、しかも一応解決はするものの、捨て台詞の如く謎を残して終わるのがニクい。

月いづる邦

月いづる邦

La Compagnie An

座・高円寺1(東京都)

2009/12/03 (木) ~ 2009/12/07 (月)公演終了

満足度★★★★

「考えるのではなく感じる」のが心地好い
かつて Egg-Man とアゴラで観た『祈りのあとに ~RESONANCES~』と同様、音楽とジェストダンスが対等にぶつかり合う…というよりも融合して創り上げるパフォーマンス、今回は使うステージのみならず、語られるテーマも大幅スケールアップ、な感じ。
母の想い、母への想いからヒト(個人・人類とも)の来し方、行く末など、哲学的とも言える内容だけに抽象的な表現がよく似合い、当日パンフに概要説明はあるものの受け取り方・解釈は観た側それぞれで千差万別かも。
その「考えるのではなく感じる」のが何とも心地好く、M.C.エッシャーの「メタモルフォーゼ」のようにシームレスで次々と変容して行く流れにひたすら身を任せる…。
また、広い壁面をスクリーンのように使い、床ギリギリに設置した照明で演者の影を投影するのも時として幻想のように見えて効果的。
さらに秘話満載のポスト・パフォーマンス・トーク(「面白くない」とか「下手」とかを具体的な団体名を出して語らなくても…(笑)>マキノ、巻上両氏)も、出てくるネタがほとんどわかるだけに楽しかったなぁ。

相沢さん家の結婚式

相沢さん家の結婚式

波天南人

テアトルBONBON(東京都)

2009/12/02 (水) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★

三段構えのツクリが巧み
早くに妻を亡くし、男手一つで育てた三姉妹の三女の挙式当日、長女は離れて一人暮らし、次女は既に嫁ぎ、ということもあってか父親は親族控室で「早すぎないか?」「延期できないか?」と往生際の悪いことを言っており…という状況から始まるハートウォーミングコメディ。
実際の控室を覗き見しているようにリアルな前半、複数の隠し事がいつ発覚するかハラハラさせるとともに笑わせる中盤、家族のつながり、あたたかさが強調される終盤と三段構えのツクリが巧みで、その内容も含めてテッパンな仕上がり。
ただ、ガンコな父親像がちょっと古風あるいは類型的かも? いや、やはり娘が嫁ぐ日の父親の気持ちは今も昔も変わらない普遍的なものなのか?
それにしても、三女の妊娠を式が終わるまで隠そうとしてのとっさのウソ、という王道パターン、大好きなのでもちろんウェルカムではあるのだが、ここ4日間で3度目なのでいずれこの3本の設定を混同してしまうかも…(爆)

抗菌バスターZ3 チェンジ

抗菌バスターZ3 チェンジ

ACファクトリー

シアターサンモール(東京都)

2009/12/03 (木) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★

何でもやってちょうだい!
病人の体内に「ミクロの決死圏」よろしくミクロ化された隊員が入り、擬人化された(笑)菌や病原体と戦うというアクションコメディシリーズの第3弾、ライバル会社のバスターを登場させた続編から2年、今回は薬効成分という「物質」を擬人化するなんて「反則ワザ」を使用。
がしかし、これが面白いので、もう「何でもやってちょうだい!」状態?(笑)
「CATS」のキャラのようなTイガーBーム(塗り薬じゃんかさ!)、「見るからに」な青・黄・銀の風邪薬や銭湯でお馴染みの頭痛薬、チープなGンダム(爆)のような胃腸薬など、欽ちゃんの仮装大賞(←劇中台詞にもあった)もどきの「薬品」たちの衣裳のアイデアも愉快。
いや、衣裳だけでなく某頭痛薬の「半分は優しさでできている」なネタも上手かったっけ。ネタと言えばアニメネタも今回は多くて、それにもウケる。
他にストロボとS.E.を使った「なんちゃってバク転」とかエフェドリンの幻想シーンなんかは舞台表現の面白さを引き出しており、前日に西口で観た芝居の演出家に爪の垢を煎じて呑ませたいくらい…(爆)
で、一件落着の後にはシリーズ第4作の予告もあり……実現するのはまた2年経ってからか。

トナカイブルース

トナカイブルース

GENKI Produce

笹塚ファクトリー(東京都)

2009/12/01 (火) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★

菅野臣太朗マジック?
経営難で身売りがほぼ確実な幼稚園、大切な交渉の日に園長が姿をくらまし、その長男も逃げ腰なところに三女のカレが結婚の許可を得ようと訪れるわ、10年前に家出した次男は帰って来るわ、あげくの果ては行方をくらましたサンタを探しにトナカイまで(!)来るわ…というコメディ。
サンタクロースが実在し、しかも人間に姿を変えたトナカイが探しに来るなどというトンデモ系(笑)な設定ながら、ヘンにリアリティがある…とまではいかないにしても、芝居のウソとして十分に納得できてしまうのは菅野臣太朗マジックか?
また、三女のカレに関するその場しのぎや勘違いはコメディの王道だし、情けなかった長男は終幕近くにはちゃんと成長(?)しているだけでなく、ずっと隠れたり顔を隠したりだった次男をキチンと見抜いているという家族の絆まで描いているし、手堅いと言うかソツ無いと言うか、やっぱり巧い。

奇々怪々

奇々怪々

カートエンターテイメント

SPACE107(東京都)

2009/12/02 (水) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★

出だしの2つの汚点が惜しい
安永8年、酒呑童子の首を埋めたとされる首塚もある京都付近の山中、深夜に雷雨を避けるために廃屋に1人また1人と集まる旅人たち。そこには妖しい老婆が出没するなど怪異現象が起こり…という物語。
まず冒頭の殺陣でS.E.に頼りすぎ、というか音量が大きすぎ(もちろん使用頻度もクドいほど)で興醒め。音を大きくすれば迫力が出るものと勘違いしていのではないか?と思ってしまうくらい。(本当に勘違いしていたりして…(爆))
続いての廃屋場面(以降ここがメインとなる)の序盤は盆を回しすぎ。中と外の様子を交互に見せたいらしく、回す回す…。(染之助・染太郎かよ)
映画のカット割りを意識したのかもしれないが、それとは違って盆を回すのには時間がかかることを忘れてないか?みたいな。
それも見せる必要性が薄い(外の様子は声だけでも十分な)場面にも回すし、そこ以外の見せることが必要なシーンであっても盆を使わない舞台表現なりの別の方法があるだろうに…。
1度だけとはいえ、止めずに360°回したりもしたし(ここなんてホントに外の様子は声だけで足りるのに何で回すの?状態)、結局アタマだけで5~6回転させたんじゃないか?そんなに盆を回したかったのか?(呆)
そんなワケで1年少々前の「クライマックスシーンの大半を映像上映で表現する」という舞台表現の可能性を自ら放棄あるいは否定した愚行には及ばないにせよ少なくともσ(^-^) の好みではない演出をまた見せられるのか?と不安が増大したものの、そこ以降はノーマルで一安心。
旅人の中には冒頭(メインパートの2年前)の強盗事件で失明しながらも仇討ちすべく賊を探している武士などもいて、怪異現象(ホラーではない)を彩りとして使ったサスペンスの様相。
強盗事件の真相が二転三転しながら明かされる後半と、もののけも力を貸して(!)の捕縛劇、さらにその後にまだあるドンデン返しや大岡裁き的な結末など、そんなところがよくできているだけに、本当に出だしの2つの汚点(暴言?)が惜しい。

シャッフル・ルーム

シャッフル・ルーム

東京おいっす!

「劇」小劇場(東京都)

2009/12/01 (火) ~ 2009/12/06 (日)公演終了

満足度★★★★

あの作品のあのシカケ
独身を装いたい女性と同じマンションに住み妻帯者を装いたい元カレとの利害が一致して、1~2時間だけ互いの部屋を交換するが予想外の出来事や思わぬ訪問者があり、とっさに誤魔化そうとするが…という王道コメディ。
脚本家は当日パンフに曰く、某作家の戯曲を読んで「いつか同じことがしたい」と思ったそうで、そのことを「創り手にあるまじき想い」としているが、「あの作品のあのシカケ」を使うためにこういう設定を創造したことでもうそれは十分オリジナリティがあると言えるし、この種の作品の定番と言える嘘や思い違い、勘違いと偶然の一致の数々はもちろん模倣などではなくよく計算され練られているし、という「インスパイアされた作品」であり、クーニー親子に代表されるファルス(笑劇)として上出来。
各キャラ(及びその演技)もそれぞれ良く、中でも報知機設置業者の美濃部とプロデューサーの一之瀬が特に印象に残る。
また、美濃部が「うまいこと」を言う度に柝の音を入れるのは愉快。

11月戦争とその後の6ヶ月

11月戦争とその後の6ヶ月

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/11/23 (月) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

11月戦争とその後の6ヶ月
空軍(!)や聞いたこともないような隣国(笑)がある「もう1つの日本」での『感染列島』+恋愛モノ的な物語。
暗転なしの、映像用語で言えば「ワイプ」のような場転や鍋を食卓に運んだ後に一瞬の暗転があり、それが明けると食後、という表現など、シーンの切り方に潔さがあり、その鋭い切れ味は「名刀松枝」(笑) な感じ?
それと、照明といえば照明を落としてのSEXシーンも面白かったなぁ。
で、ラストには「マッチ売りの少女」(もちろん別役実ではなく原典の方)を連想。
あのオチが気に入らない観客にはハッピーエンドととれないこともないのが巧いっちゅうか、ズルいっちゅうか…(笑)

11月戦争とその後の6ヶ月

11月戦争とその後の6ヶ月

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/11/23 (月) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★

王国
かつての学生運動の闘士という部分に先日のタカハ劇団『モロトフカクテル』なども思い出す。その元闘士の起こす「新たなる闘争」(?)、ワク組みはガッシリしてそれなりに緊張感もあるが、どこか既視感と「借り物」のような感があり今ひとつのめりこめず

11月戦争とその後の6ヶ月

11月戦争とその後の6ヶ月

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/11/23 (月) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

影のあるオンナ
本人曰く「97%フィクション」で描くナカヤマミチコの半生記。文字通り「影」を使う演出やリーディング能力を身に付けるまでとその後を分けた構成などがユニークで、連作ショートコントのようなテンポの良さも相俟って楽しい。また、登場人物によるナレーションの口調の一部に『わたしは真悟』のそれと共通のものを感じたりもして。

梅津さんの穴を埋める

梅津さんの穴を埋める

H・R企画

東京アポロシアター(東京都)

2009/11/28 (土) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

ワンシチュエーション&リアルタイムのコメディ
1人暮らしの母のもとに息子と2人の娘(+α)が集まったその日、皆が食卓についたまま老朽化した床が崩壊、ではなく崩落、いや陥没(←劇中表現より:ただしウロ覚え)して全員が身動きのとれない状況となり…というワンシチュエーション&リアルタイムのコメディ。
突然のトラブルに見舞われて、救いの手をさしのべてくれる誰かが近くを通るのを待ちながらいろいろ話をしているうちに隠し事が次々と明らかになるコミカルな前半と、家族あるいは愛し合う2人の絆が確認される後半との対比が鮮やかな脚本(かつて演劇集団円のために書き下ろされたそうな)に加えて、いかにもそれらしい家族やリフォーム屋の演技もイイ。
中でも劇団6番シードの椎名亜音嬢は初の老け役ながらその口調による表現力の巧みさに白髪交じりのヘアに老眼鏡という見かけも加わって、設定上どう若くても50前後、最近の傾向からすればアラカンもありうるという3人の子供を送り出した母親役を好演。
さらに陥没した床などをそれらしく表現した装置も○。

オールド・フランケンシュタイン

オールド・フランケンシュタイン

あぁルナティックシアター

小劇場 楽園(東京都)

2009/11/25 (水) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

さすが唐沢俊一
フランケンシュタイン博士が亡くなったが、その遺体は何者かによって持ち去られ…という状況から始まりつつも、ホラーでもサスペンスでもなく基本的にはコメディ。がしかし、
・'50年代のホラー映画のようなオープニングクレジット(音楽も含む)
・ひたすらベタなギャグ
・筆頭相続人だとばかり思われていた博士の孫娘が実は弁護士だったというドンデン返し
・「人は誰でも不完全であり、互に補完し合ってこそ完全になれる」という「坂本金八かっっ!!!」な教訓臭い(笑)結末
という複数の要素のコラボレーションとなっており、その取り合わせとバランスが上手い。
芝居の作・演出は初めてとのことながらさすが唐沢俊一、前説とカメオ的出演までこなして多才だなぁ…。

最後の料理人

最後の料理人

味わい堂々

OFF OFFシアター(東京都)

2009/11/26 (木) ~ 2009/11/30 (月)公演終了

満足度★★★

突拍子のなさは若干軽減?
作った料理を食べた人が皆幸せになるという都市伝説系料理人「おかあさん」ではないかと思われる女性がやっている喫茶店の常連となった作家(ライター?)が観察するその店と客たちの様子…な物語。
ちょっとシュールかつややブラックという持ち味はそのままながら、過去3回の本公演に比べると突拍子のなさ(笑)が若干軽減された感じ。
やっぱり下北沢進出ということで手堅くまとめたのかしら?
が、夢落ちのようでそうでもなく、どこまでが現実なのか多層構造で煙に巻くようなのは岸野ワールドっちゅうか味わいワールドっちゅうか、その真骨頂かも。(笑)

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