じべ。の観てきた!クチコミ一覧

3381-3400件 / 4391件中
男舞~オトコマイ~

男舞~オトコマイ~

MENSOUL PROJECT

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2009/12/17 (木) ~ 2009/12/28 (月)公演終了

満足度★★★★

極道×HIPHOP
優勝すれば芸能界デビューというダンスコンテストに出場する一人娘の芸能界入りを心配する組長が、その優勝を阻止するべく組員を率いてコンテストに出場しようとするが…な物語。
極道×HIPHOPというミスマッチなものを、リアリティはともかく(笑)芝居のウソとして十分に成立させているばかりでなく、コメディ要素や親子ネタまでバランス良く取り入れて見事。
その「極道」についても「美学」と「コワい部分」を共に描いており、しかも極道関連の面々がメイクのためもあってかいかにもいそうな感じで…(笑)
親子ネタに関しては「私が踊っているところなんて見たことないくせに」から「踊ってみる?」を経ての「ドック・オブ・ザ・ベイ」で涙をこらえきれず、ってか「ベッドを抜け出して…」のあたりからすでにヤバかったし…やはりソレが弱点なσ(^-^) なのであった。

protest

protest

劇団熱血天使

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2009/12/18 (金) ~ 2009/12/22 (火)公演終了

満足度★★★★

やるなぁ、ワカモノ!
若き日のオリバー・クロムウェルが、師であるビヤード牧師の逮捕と死によって失意の底に沈み、そこから立ち直るまでを描いた歴史系。
クロムウェル(とその妻)を紀元前のギリシアを民主化に導いたクレイステネス(とその妻)の転生とし、かつてのギリシアの巫女(転生というよりは霊的なナニカになった本人か?)が彼らを導くという「裏歴史」的な発想が面白い上に、クレステイネスに「知らない国の若者になっている夢を見た」などと言わせて「胡蝶の夢」にしたエピローグにツボを突かれる。
しかもこのエピローグ、プロローグでギリシアの良い巫女と悪い巫女(笑)のエピソードを見せているので対になっているワケで…。
なんでも作・演出はまだ大学在学中の21歳(!)とのことで、「やるなぁ、ワカモノ!」みたいな…(笑)

おぼろ

おぼろ

ゲキバカ

吉祥寺シアター(東京都)

2009/12/16 (水) ~ 2009/12/23 (水)公演終了

満足度★★★★

コメディ風味の娯楽時代劇
お披露目公演ということで、本編の前に劇団員(=主宰と7人の男優)による口上と自己紹介があり、それと続いての吉田兄弟(だよね)の曲に乗せたオープニングダンスとでハートを鷲掴みにされる。
以降の本編は比較的基本に忠実な義賊ものに「500年後から来た双子」などというトンデモ系(笑)の要素を加えたコメディ風味の娯楽時代劇で、ZABADAKや上々颱風、スウィングジャズも使う選曲や台詞にさり気なく織り込まれた歌詞(「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ…POISON」とか)にツボを突かれる。
また、観ながら「そう言えば『カゴツルベ』もここで観たんだっけ…」などと思っていたら、終盤でパなく降りしきる雪が共通だったという。
共通と言えば
 1.からくり人形(あるいはからくり人間)が登場する時代劇
 2.吉祥寺で上演
 3.終盤で雪が降る
の3点が数日前に前進座劇場で観たものとカブっており…(@_@)

幸福な王子

幸福な王子

yOsuka

遊空間がざびぃ(東京都)

2009/12/19 (土) ~ 2009/12/23 (水)公演終了

満足度★★★★

“主題と変奏曲” 的スタイル
オスカー・ワイルドのあの有名童話を楽園王+の長堀博士の作・演出でという企画、ちょっとしたプロローグの後に展開されるのは思いの外原作に忠実なストーリーで少なからず驚いていたら、続いて上演された「シンクロ」(←第2章と当日パンフに銘打たれている)が「幸福の…」をベースにしたオリジナルストーリーなので「あぁ、“主題と変奏曲” 的なスタイルなのね」と納得。
で、キモの部分だけ覚えていた原作を「あぁ、そうだった」と懐かしく思い出すとともに当日パンフに感化されたのか「確かにワカラン」な感も…(笑)
また、王子からの「贈り物」を届けることで他人の幸福を目の当たりにし、おそらくはそれを我がことのように感じながら最後に力尽きるツバメにちょっとだけ「マッチ売りの少女」(←not 別役作品)を連想。
あと、「シンクロ」が実は原典の中で王子が「贈り物」をする先の1つを描いたスピンアウト(とはちょっと違うか?)作品であることが最後に判明するというのは巧い。
なお、奇しくも対面式客席で車椅子に乗った人物が出て来るというのが前々日に観たものとカブる。ホントに今年はカブりが多いこと…(って、前々日の車椅子は予定外なモノなんだが(笑))

西遊記前戯

西遊記前戯

スキマニ

ブディストホール(東京都)

2009/12/18 (金) ~ 2009/12/23 (水)公演終了

満足度★★★★

妖怪・化け物DAYその2
ダークな「リアルタイプ西遊記」、σ(^-^) の知っている門肇作品は SPIRAL MOON への脚本(多数)、パーマ企画での作・演出(2作)、映画『隣人13号』の脚本、とそれぞれテイストが異なっており、今回は「強いて言えば」の限定条件で『隣人…』に近い感覚か。
石から生まれたがあまりの悪行ぶりに釈迦によって封印された孫悟空が、500年後にその封印を解いた玄奘三蔵に同行することになり、猪八戒や沙悟浄と出会い「3人のお伴」が揃うまでを描いたもので、悟空、八戒、悟浄を「化け物」として扱っている(あるいは彼らの化け物としての面を強調している)のが新しい。
また、白塗りや隈取りという見た目だけでなく、台詞回しや感情表現などにも歌舞伎&アングラのテイストをたっぷり感じる。
で、歌舞伎ってば今でこそ伝統芸能という格調高いもののような扱いだけれど、発祥の頃は思いっ切りアングラだったワケで、そんなことに気付いたりもできて楽しからずや。
もちろん京劇っぽい雰囲気もあるし、「ちゃっぱ」のような、あるいは韓国シンバルのような打楽器も使うので東洋系無国籍な感じか?(はたまた上々颱風チックとか?(笑))
さらに悟空のアタマの輪っかがキリストがゴルゴダの丘へ向かう途中にかぶせられた棘の冠のようなデザインなのも面白い。(「確かに痛そう」ってコトだけではなく(笑))
他に、内容的には悟空の息子が見た目は石ながら実は生きていて仏の道に帰依した者だけがその声を聞くことができるなんて設定、表現的には「釈迦の掌」関連でそれぞれの指を役者が演ずるなんて手法が印象に残る。

天河鈴の妖霊病症録 鬼の巻

天河鈴の妖霊病症録 鬼の巻

Office《RELAX》

六行会ホール(東京都)

2009/12/16 (水) ~ 2009/12/20 (日)公演終了

満足度★★★

妖怪・化け物DAYその1
人間界で思い悩み行き場の無くなった心あるいは魂が妖怪たちの世界に迷い込み、そこで妖精・天河鈴たちによって癒される(?)という世界観の物語。
和洋折衷というか、日本と西洋の妖怪(あるいはモンスター)が同居した妖怪世界ではそれぞれキャラが活かされているものの、バンシーの元ネタを知らなかったのがちょっとクヤしい。
一方、人の心に巣食うモノが人を鬼に変える、というあたりは民俗学的な部分も含めて大いに納得と言おうか共感と言おうか…。またその角のデザイン・造形もステキ。

モンキー・チョップ・ブルックナー!!

モンキー・チョップ・ブルックナー!!

アマヤドリ

シアタートラム(東京都)

2009/12/15 (火) ~ 2009/12/23 (水)公演終了

満足度★★★

ヤられたぁ!
「監禁」と「3人」と「あるスポーツ」に関する物語。
比較的静かに始まってだんだん物語が加速するというか広がるというか大きくなり、やがて沈静化して終わるのは線香花火みたいだな、と思いながら観ていたが、出発点に戻るラストから、じゃあジェットコースターか?みたいな。(笑)
がしかし、同じ状況ながら立場が変わっているというのは誰しもどちらの立場にもなり得るというコトか。時間もののSFにもあるパターンだが、ここでそれを使いますか、と言うか「ヤられたぁ!」な感じが心地好い。
また、クミコを3人がかり(?)で演じていたのはそういうことか、なんて深読みもしたりして。

FUTURE

FUTURE

ブラジル

駅前劇場(東京都)

2009/12/16 (水) ~ 2009/12/21 (月)公演終了

満足度★★★★

騙される快感に酔う
舞台上、左右対称に(しかし90°くらいの角度をもって)位置する安アパートの2つの部屋で繰り広げられる振り込め詐欺をする女と1億円を拾った男のストーリー、コメディタッチで始まりながらも次第に「ヤバめ」な空気も漂い、2つのストーリーの関連は何か?という疑問の回答は最後に明かされるというスタイル。
最初は同じアパートの隣か向かい合わせの部屋での同時期のことかと思わせておきながら終盤で時期が異なることを示唆し、さらにそのスパンがかなり大きいことを明かす終わり方が鮮やか。
そこまでに観客にミスリードさせるあるいは観客をミスリードする要素をさり気なく織り込んで煙に巻くのがお見事。
σ(^-^) なんざそれぞれの部屋の 男女が元夫婦であるとすっかり騙されており…ってか、おナカマは少なからずいることでしょう。
とはいえ、時期がそんなにも違うのに両方に登場する人物が同じ顔で出て来るのは反則気味では?(笑)
終盤の「オバサン」発言だってその時は「へ?」で、その後真相が明かされてやっと「それで “オバサン” だったのね」とわかるくらいで。
とかなんとか言いつつも騙される快感と言おうか、最後に「あぁ、そうだったのかぁ!」と気付く快感と言おうか、そういったものを満喫。

FUNNY ALIEN’S SHOW

FUNNY ALIEN’S SHOW

YANKEE STADIUM 20XX

アイピット目白(東京都)

2009/12/17 (木) ~ 2009/12/17 (木)公演終了

満足度★★★★

「宇宙語」fだけなのにステージにひきつける
前年のクリスマス公演『チョコとおかしな宇宙人』に登場した宇宙人たちによるパフォーマンス&連作コント(?)集。
まず超技巧的なジャグリングを見せてツカミはオッケー、その後は得意の(笑)客いじり(しかも拡張スペシャルバージョンだ)や観客全員参加型のパフォーマンスが中心の前半と、休憩(10分)を挟んでパピプペポ星の日常(通勤電車や子供たち)をオムニバスコント風に見せる後という構成も良くて時間の経つのがアッと言う間。
ま、休憩込みで130分という上演時間が通常の公演と比べるとかなり短め(!)だったこともあるが…(笑)
それにしてもステージに上げる客の選択が的確。イヤがらないどころかちゃんと個性を発揮できるような人物を選んでいるのはさすが。
また、上演中の日本語はカーテンコールの最後の一言だけであとはすべて「宇宙語」(笑)なのに、観客をずっとステージにひきつけているのもスゴい。

エンジェル・イヤーズ・ストーリー

エンジェル・イヤーズ・ストーリー

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2009/11/28 (土) ~ 2009/12/25 (金)公演終了

満足度★★★★

なるほど「天使の耳」
事故により「ある能力」が身についてしまった主人公の数日間を描いた物語、ここ何年かオリジナルの新作が不調(私見)なばかりでなく、原作ものですら時々首をかしげてしまうような出来だったりする中、新作として久々のクリーンヒット、な感じ。
その「身についてしまった」能力はなるほど「天使の耳」、ヴィム・ヴェンダース監督の『ベルリン 天使の詩』に登場する天使の如く他人の心の声が聞こえてしまうというもの。(逆『嵐になるまで…』とも言えるか?)
そんな設定のもと、仕事が忙しくて家族にあまり目をむけることができなかった(あるいは「仕事に逃げていた」)父親(とその変容)を語り、終盤では『嵐…』や『さよならノーチラス号』のように犯罪も絡めてサスペンス要素も盛り込んだストーリー、語り口が巧みなことも加わってひきつけられる。
「心の声」を他の役を(も?)演じている別の役者が白いものを身につけて語るという演出がナイス。最初こそ「なんでもう1人いるんだ?」と戸惑ったが、すぐにわかって心の中で拍手喝采。
そればかりでなく、メインとなる部分はすべてが終わった後に主人公が部下たちに語る内容というスタイルで、劇中の「現在」と「回想」のクロスのさせ方も○。
さらに、本棚の本をあんな風に作ってラストシーン(だけ)で効果をあげるというのもゼイタク。

イマーゴメモリ

イマーゴメモリ

DMF

SPACE107(東京都)

2009/12/16 (水) ~ 2009/12/20 (日)公演終了

満足度★★★

達成感的なモノもあって満足
ダブルのカーテンコール込みで155分の長さは感じないが、勧善懲悪やそれぞれに理のある2つの勢力の対立のような単純な図式ではなく、しかも複数の「キャラの立場」が二転三転するので気を抜いて観ていると何が何だかわからなくなりそうだし、ラーバルメモリで他者の記憶を探るシーンもそれがどのくらい前のことなのか明示されないので自分でアタリをつけなくてはならないのがちょっと面倒臭い…(爆)
が、すべて夢落ち?風なエピローグ(プロローグと対になっている)も含めて三部作完結ということで達成感的なモノもあって満足。
また、浦えりかがさり気なくプロレスの足技など使っていたのがツボ。

冬のジャンゴフェスタ2009

冬のジャンゴフェスタ2009

劇団S.W.A.T!

「劇」小劇場(東京都)

2009/12/09 (水) ~ 2009/12/27 (日)公演終了

満足度★★★★

新たな趣向を惜しげもなく投入(II)
パート2は1作目と同工異曲に仕上げておき新機軸を打ち出すのは3作目から…というのが一般的(←私見)な中、本作の場合は2作目なのにもかかわらず新たな趣向を惜しげもなく投入して見事、基本的にはコメディながら終盤でホロリとさせ、さらにジャンゴの決断はどちらなのかハラハラさせるのが巧い。
…なんぞと思っていたら、07年12月の初演時は「続編としてはフツーながら、単品としては上出来」などと書いており…。(はにゃ?)
思うに初演時は1作目を観てから2年も経って記憶が薄れていたのに対して今回は中4日という非常に短いブランクで1作目をハッキリ覚えている状態で観たので印象も変わったのではないかと。

カラクリ雪之JOE変化

カラクリ雪之JOE変化

劇団ヘロヘロQカムパニー

前進座劇場(東京都)

2009/12/13 (日) ~ 2009/12/19 (土)公演終了

満足度★★★★

今回は満足満足ぅ
剣術指南役の謀反により父を殺され自らもピンチに陥ったところをお抱えのカラクリ師が作った人形・雪之丞に救われたりん姫は、万一に備えて侍女として仕えていたくノ一・楓らとともに隣国を目指して山を抜けようとするが、山賊に襲われ…な物語。
雪之丞を演じた小西克幸のいかにもからくり人形な動きが何とも良くて、それによってリアリティとまでは言わないけれど(笑)、説得力的なモノ(爆)が与えられている、みたいな。
また、一見天守閣内部風の装置ではありながら、舞台下手後方の壁と左右(とちょっとだけ上方)の額縁部分に城の外観や青空・夕空などの映像を投射することによって山中や城内の牢なども表現するのがナイスアイデア。
しかもスチルではなく動画で、時に歪めたりネガポジを反転させたり、さらには終盤で燃え盛る城とかも(照明との相乗効果で)見せてしまうという…。
内容的にも、コメディ風味の娯楽アクション時代劇としてよくできており、山賊たちの素性とか、終盤で立ち上がる部分、それにヘロQ版『T2』なカラクリ人形が感情を持ちラスボスと共に城に残るあたりなんざ巧いやね。
前回は期待が大きかったこともあって少なからざる不満が残ったが、今回は満足満足ぅ。

カラフルな猫

カラフルな猫

はぶ談戯

高円寺バーボンタコス(東京都)

2009/12/07 (月) ~ 2009/12/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

臨場感ありまくり
OLから転身した女性がオーナーであるカフェの2階を舞台にオーナーの元カレである居候やバイトの女性、オーナーの妹、オーナーに想いを寄せる出入りの酒屋などを描いた「日常系」。
それでなくとも会話自体が自然でリアリティがあるのに「リアルタイム」ならぬ「リアルプレイス」の芝居なこともあって臨場感ありまくり。
各登場人物も若干誇張されているものの「あ、そういう人っている(あるいは「いそうだ」)よね」でキャラがたっているのでなおさら。
で、先日の鈴舟の『ベイビー・フェイス』が昭和のホームドラマな味わいだったのに対してこちらは平成のホームドラマ(平成であってもトレンディドラマではない(笑))っぽい雰囲気。作家の世代が如実に表れているのかしら?
ってなことで、基本的には笑いながら、時には共感し、時には羨望(?)しての85分、楽しかったなぁ。

狂鬼~桜舞う春の夕暮れ~転生~

狂鬼~桜舞う春の夕暮れ~転生~

黒虹produce

劇場HOPE(東京都)

2009/12/10 (木) ~ 2009/12/13 (日)公演終了

芝居の本編は星3つだが…
芝居自体は玉石混交と言おうか一長一短と言おうか「良いところもあるが残念な部分も散見される」(←「良くも悪くもない」よりはずっとイイ)出来ながら「遅れているお客様がいらっしゃいますので」という呪文を(それも定刻を10分近く過ぎてから)唱えさえすれば1人か2人の迷惑客のために本来の開演時刻に席についていた60~70人の真っ当な客を20分くらいは待たせても構わないと勘違いをしている無神経なスタッフに星を3つ減点して差し引きで星無し。

『プルーフ/証明(Repirse)』

『プルーフ/証明(Repirse)』

DULL-COLORED POP

SPACE EDGE(東京都)

2009/12/12 (土) ~ 2009/12/12 (土)公演終了

満足度★★★★

演技がクローズアップされて濃密
舞台となる家をしっかり建てこんだコロブチカ版とは対照的にテーブルと3脚の椅子のみという可能な限りそぎ落とした装置で演ずるのは映画で言えば全編「寄りの画」、演技がクローズアップされて濃密な印象。
そんなこともあり全体がよりシリアスな中、第2幕第1場が回想シーンということもあってかユーモラスなのは上手い気分転換と言おうかアクセントと言おうか…。
しかし、第1幕の幕切れは「先がすぐ知りたい!」系なのに、その続きを見せる前にこの場を置いてじらすのはズルくね?(笑)
その第2幕第1場は7年くらい前の回想で、キャサリンとハロルドがそれぞれまだ若く(というよりコドモに?)見えるのは見事。
他に、1幕にしても2幕にしても照明がストンと落ちる(実際には若干のズレおあったが)幕切れも潔いと言おうか切れ味が鋭いと言おうか、鮮やか。

海獣

海獣

劇団桟敷童子

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2009/12/05 (土) ~ 2009/12/16 (水)公演終了

満足度★★★

ヤマ場が分散気味
開国前後の横浜村のはずれ、いずれ羅紗緬となる少女たちと、彼女たちをしばらく預かった漁師たちの物語。
羅紗緬哀歌を中心に、開国という時代の流れに押し潰されそうになりながらも生き抜いて行く庶民の力強さ・良い意味でのしぶとさ(特に女性たち?)も描いて骨太な印象なのはここの持ち味。
で、普通ならばクライマックスになりそうな少女たちが死にかける場面の後にまだ複数の波乱があるのが従来と異なるところか?(そこをクライマックスにすると尺が短くなってしまうしなぁ…(笑))
また、その少女たちを介抱する場面にドラマ「赤ひげ」(72~73年)で長屋の井戸に向かって帰って来いと叫ぶ住民たちの図を思い出したりも。
さらに、それまでに登場していた浪人風の男たちが実は尊皇攘夷派で…なんて展開は予想外で「そう来たか」的な。
ただ、その構造によってヤマ場が分散して重点が定まらない、な感なきにしも非ず。
いつものレベルと比べるとそんな不満もあるものの、絶対評価では悪くないかな。
ちなみに椅子はベニサンピットのものを再利用したようで、そう言えば客席のツクリや全体的な印象もベニサン風だったりして。

冬のジャンゴフェスタ2009

冬のジャンゴフェスタ2009

劇団S.W.A.T!

「劇」小劇場(東京都)

2009/12/09 (水) ~ 2009/12/27 (日)公演終了

満足度★★★★

スタンダードな原点(I)
魂と引き換えに契約者の望みを叶える悪魔、ジャン・デビール・ジャンゴ・ファンバステンが結果的に契約者を助けてしまう三部作の1作目、05年12月の初演も観ていたが、記憶が風化していたので再見できて嬉しい。
で、こうして改めて観ると、ジャンゴとそのしもべ、それにジャンゴのライバルである悪魔ジャン・デビール・シンゴ・セバスチャン以外の登場人物は3人だけと非常にシンプルながらシッカリ作られており、基本に忠実と言おうか「スタンダードな原点」という感じ。
また、大ピンチに壁を叩き続けることによってサタンならぬ隣人・佐藤を召喚(笑)するという思わぬ解決法が愉快だし、『続・荒野の用心棒』(66年)の主題歌である「DJANGO」ほかの替え歌を、カラオケではなく原曲を流しながら声量で上回らせるなんて文字通りの力ワザもイイ。
さらに、悪魔法第1127条の扱いもちょっとズルい気はするがやっぱり上手いんだよなぁ。

コーポ桜木101号室

コーポ桜木101号室

リブレセン 劇団離風霊船

テアトルBONBON(東京都)

2009/12/09 (水) ~ 2009/12/13 (日)公演終了

満足度★★★★

時事的ネタに「もう一つの要素」も
月額25,000円・敷金礼金なしという格安のワンルームマンションへの入居日、101号室で15人もの男女が鉢合わせするが全員正規の契約書を持っているし、不動産屋は海外に行っており連絡つかず…という状況から始まる物語。
一言で表現すれば「一足早いクリスマス・プレゼント、なファンタジック・コメディ」、お得意(?)の時事的ネタも盛り込みつつ、さらに「もう一つの要素」も加えた100分、楽しかったぁ。
実は集まった面々はそれぞれ悩みを持っており、現代社会の病巣オンパレード(笑)、な感じ。
普段は1つの事件や事故などをモチーフにしているのが、今回は「みんなまとめて面倒見たヨ」なのね、と思っていたら、後半で床下収納庫の秘密が明らかになって以降はタイムスリップものの様相を呈して一粒で二度オイシイ、的な。
さらに、最初にシカケを知った者が先に旅立つとその人物が見つけたシカケ自体の記憶も残ったメンバーの記憶からなくなるのではないか、というパラドックス的要素もあるし、各々が現在の境遇に至るキッカケとなった時点よりも前に旅立つ中、予め残る決意をした者以外に土壇場で「現在」に残ることを選択する者がいるし、と終盤までヤマがあるのは画竜点睛を打つと言おうか、尻尾までアンコの詰まった鯛焼きと言おうか、さすがベテラン、みたいな。

ヤマト版 仮名手本忠臣蔵

ヤマト版 仮名手本忠臣蔵

笑劇ヤマト魂

ザ・ポケット(東京都)

2009/12/09 (水) ~ 2009/12/13 (日)公演終了

満足度★★★

「仮名手本」なのに大石や吉良な理由
まずは舞台の三方はもちろん客席両サイドまで壁をクジラ幕風の幅広縦縞で覆い、そのモノトーンとは対照的にステージ上は画家のアトリエのように様々な色が飛び散っているという舞台美術に目をひかれる。
で、始まってみればいきなり討ち入りの夜、というクライマックスの一部を冒頭で提示しておくパターンに導かれた本編、「仮名手本忠臣蔵」なのに、登場人物が大石だったり吉良だったりなのは何故?と訝っていたが、観て納得。
松の廊下での刃傷沙汰をネタにして実録ものと銘打った芝居を3日で公演中止にされた二代目竹田出雲がその続編として創作した「仮名手本忠臣蔵」の脚本を大石家に持ち込み、それに誘発された主税の主導で討ち入り決行という逆転の発想がユニーク。
また、松の廊下事件の真相もいささかムチャではあれ、フィクションとしてはそういうのもアリかな、と。
あと、人間語を解する(だけでなく一部の人間とは会話さえできる)猫は、『ネコロジカル…』を観たばかりなのでその偶然にビックリ。なんだか今年はカブりネタが多いぞ。
ただ、複数の役者が露骨に噛んでいたのは残念。「初日だから」というのは言い訳になりませんぜ。(「公開ゲネだから」の場合は微妙か?)

このページのQRコードです。

拡大