今がいつかになる前に
空間ゼリー
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2010/10/30 (土) ~ 2010/11/07 (日)公演終了
満足度★★★★
生々しいったらありゃあしない
写実的な装置も相俟ってやたらに生々しく、児童たちにホンキで腹を立てたり、ある場面ではバレないかと我がことのように肝を冷やす。
が、静かな(むしろ腰を引き気味の?)熱血教師や、誰もが哀しみを抱えていることを示唆する終盤で浄化される。
FLY AWAY
Taktstock produce
ワーサルシアター(東京都)
2010/11/03 (水) ~ 2010/11/07 (日)公演終了
満足度★★★★
笑劇の王道的作品
とっさのごまかしで事態がより混乱する笑劇の王道的作品なので大笑いな上に「隠し場所」「窓から顔」など題材や見せ方に工夫もあって楽しい。
そういえばこの劇場でここまで建て込んだ写実的な装置というのは珍しいかも?
アラハン
ACファクトリー
シアターサンモール(東京都)
2010/11/03 (水) ~ 2010/11/07 (日)公演終了
満足度★★★
全体バランスを微妙に失した感あり
春の『あらはん』とはモチーフだけが共通で、ストーリーがことなるばかりでなく、アクションとコメディの比率や諸設定をもがらりと変えての15周年記念公演第2弾。
女郎宿のショータイム(のリハ)場面にエアリアルを取り入れるなど記念公演だけに豪華な一方、その直後の笑いを取るパートが若干長めで全体バランスを微妙に失した感あり。
結果、130分級の大作になっていたが、シリアス側に重点を置いて整理し、2時間弱にまとめた方がスッキリしたのではあるまいか?
図書館的人生 vol.3 食べもの連鎖
イキウメ
シアタートラム(東京都)
2010/10/29 (金) ~ 2010/11/07 (日)公演終了
満足度★★★★
前菜・魚料理・肉料理・デザート
今回で3度目の短編集、過去2回とは異なる連作風で、各編のタイトルに前菜・魚料理・肉料理・デザートと添えられているように、プロローグとエピローグを伴う中編2編、な構成。
肉料理の内容を受けてのデザートが一見あっさりしながらも深いこと!
俺の屍を越えていけ【無事に終了しました】
七里ガ浜オールスターズ
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2010/11/01 (月) ~ 2010/11/07 (日)公演終了
満足度★★★★
前半と後半の対比が鮮やか
70分間のリアルタイムで描く「ある会議」の内容。
決断を回避できないかジタバタするユーモラスな前半と、熱血&感動系に転ずる後半の対比が鮮やか。
また、観逃した過去の配役や今回の中でのシャッフルなど思い浮かべながら観て面白さ倍増。
どんぐりシンフォニー
春の日ボタン
小劇場 楽園(東京都)
2010/10/27 (水) ~ 2010/11/03 (水)公演終了
満足度★★★★
連作気味なオムニバス
毎度お馴染みの(?)各編がリンクする短編オムニバス、今回はさらにリンク具合が密接に。登場人物が複数のエピソードに登場して短編オムニバスというよりは連作短篇集と言った方が的確か。(いや、「連作短編」は主人公が固定の場合?)
で、同じ人物でも2度目以降に登場する時は別の一面を見せて「あぁ、そういう風にもつながっていたのね」などと思わせたりするのも巧い。
『狼少年 ニ 星屑 ヲ』
おぼんろ
スペースTRE(東京都)
2010/10/30 (土) ~ 2010/10/31 (日)公演終了
満足度★★★★
ビターテイストの「オトナのための童話」
観ながら漠然と「貧民街育ちでそこから這い上がろうとするがなかなか報われずに悲劇を迎える」的な往年の(モノクロ時代の)ヨーロッパ映画を連想し、切なくも美しい終わり方からビターテイストの「オトナのための童話」な印象も。
その童話的な印象は内容だけでなく、出演者が皆フェイスペインティングをして動物の耳のカチューシャを付けている(開演前に目にした時は「チープな和製SターWォーズ」に見えた(笑))ことも一因?
また、ルデコ地下のこのスペース、非常に手狭なこと、よってかなりの少人数なこと、靴を脱いで入ること、などからホームパーティーのような親近感があり、前説(これも親しみがあって◎)の時など客からツッ込みが入ったりして非常にフレンドリー。
「手作り感」満載の小道具などもその親近感にプラスされていたか。
さらに、子供時代の表現として小さな人形のような身体を首からさげて実際の身体は板の奥、なんてことをやったり、W星Pスタチオのように人間を手で表現して(チョキのカタチにして2本の指を脚に見立てる)引いた画を見せるなんて手法を用いたりして、それもまた楽しい。
ストックホルム
演劇チーム 渋谷ハチ公前
赤坂RED/THEATER(東京都)
2010/10/30 (土) ~ 2010/11/03 (水)公演終了
満足度★★★★
再演ものだけになかなかの出来
角角ストロガのフ同様、複数箇所を混在させた装置内で展開される人間模様。
周囲から描いた「完全なる飼育」であると同時に「言葉にしなければ伝わらない」事例も複数折り込み、さすがに再演もの、なかなかの出来。
目当てであった岩井七世も出番が多くて満足。
巌流島
劇団 武士道
江東区深川江戸資料館小劇場(東京都)
2010/10/28 (木) ~ 2010/10/31 (日)公演終了
満足度★★★★
某スポーツ紙的時代劇(笑)
思い切りハッタリを利かせたトンデモ系に展開させながらも最後はキチンと通説にツジツマを合わせる手口に某スポーツ紙を連想。
しかしスーパー戦隊VSシリーズ的な展開は読めたが、真の敵の正体はさすがに読めず。
もちろん物干し竿と二刀で流の殺陣も存分に堪能。
ただ、座りが悪くなる直前な長さのエピローグは微妙。
なお、座席は半角英数字しか入れることができないため「NU」列としたが、正しくは「ぬ」列。
ラフカット2010
プラチナ・ペーパーズ
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2010/10/27 (水) ~ 2010/10/31 (日)公演終了
満足度★★★
個性がよく出た4編
作家の年齢順に並べた4編、中では浅沼晋太郎作品が、同じ題材のものを観たり読んだりしていたこともあり特に気に入る。
一方、観るのは今回が初めてとなる青木豪作品はどちらかと言えば苦手なタイプかも。
フジツボ・ファイヤースター
いれずみベービー
高田馬場ラビネスト(東京都)
2010/10/23 (土) ~ 2010/10/31 (日)公演終了
満足度★★★★
持ち味は健在
無駄なくらいに(←決して貶しているのではない)ハイテンション(&熱血系)な演技とおバカさ加減、それにダンスのキレの良さなど、1年前に急逝された初代主宰の味をそのまま継承しており、ストーリーもレトロSFなので大いに楽しむ。
Draw The Curtain
演劇ユニットP-5
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2010/10/28 (木) ~ 2010/10/31 (日)公演終了
満足度★★★
前半は冗長なるも終盤は見事
よく出来た「優霊」譚。
各宿泊客の紹介も兼ねた前半に冗長な感といささか強引なきらいがあるのが珠に疵だが、そこでの伏線を使って真相を解明するクライマックスのカタルシスと一件落着後に冒頭で張った伏線を回収して全体のオチとするのは上手い。
前半を整理して中編にまとめればもっとスッキリしたのでは?
転転転校(千秋楽・当日券ございます)
水素74%
アトリエ春風舎(東京都)
2010/10/26 (火) ~ 2010/10/31 (日)公演終了
満足度★★★
けっこう楽しむ
転校に関するスケッチ集と言おうかエチュード集と言おうか。
「観てきた!」での異例の☆の少なさに戦きつつ観たが、表現の面白いものや元ネタを知っていたものなどを筆頭にけっこう楽しむ。
が、変更や追加などあったそうで、逆に不評だった版を恐いもの見たさで観てみたいような気も…(爆)
起て、飢えたる者よ
劇団チョコレートケーキ
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/10/27 (水) ~ 2010/10/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
娯楽性と批判を両立させて見事
あの題材をモチーフにしている作品をこんなにも楽しんでしまうのは不謹慎ではないかと自己批判するほどに娯楽性もありながら、当時の彼らを美化するのではなく、矛盾点を指摘し**(ネタバレ自粛)まで与える描き方で娯楽性と批判を両立させており、非常に見事。
どうじょう
コマツ企画
OFF OFFシアター(東京都)
2010/10/23 (土) ~ 2010/10/31 (日)公演終了
満足度★★★★
それぞれの寂しさが滲み出る
ココロにスキマを持った登場人物それぞれの寂しさがじわじわと滲み出て来る感覚。
妙にリアリティのある設定と、心情が表出したような演技が心に響くからか?
また、敢えて描かなくてもワカるであろう場面を省く潔さもイイ。
神様さん
MCR
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2010/10/22 (金) ~ 2010/10/31 (日)公演終了
満足度★★★★
終盤は慣れた小道を歩いていたらいきなり見知らぬ大通りに出た感覚
終盤が圧巻。
それまでは交互にシーン毎見せていた複数の流れを併存させてカットの切り返しで見せる部分以降の展開はジェットコースターの如くスリリングで、かつ様々な要素・テーマがぎっしり詰まっていて脳が処理しきれずにフリーズ寸前、みたいな?(爆)
動かない生き物
らくだ工務店
赤坂RED/THEATER(東京都)
2010/10/23 (土) ~ 2010/10/28 (木)公演終了
満足度★★★
メリハリもあるヒューマンコメディ
初見であった前作『カラスの歩く速さ』とは異なるタッチのヒューマンコメディではあるが、タイトルとリンクする部分などによって寿司におけるワサビのように全体を引き締めメリハリを付けるのが上手い。
しかしこの劇場でほーしゃく嬢と林さんが共演すると「警視総監の孫娘」が登場するような錯覚を禁じ得ないな。(笑)
アタラシイカオ
Neo Mask
中目黒キンケロ・シアター(東京都)
2010/10/21 (木) ~ 2010/10/26 (火)公演終了
満足度★★★★
構造にもイリュージョンあり
二層構造と思わせておいて実はそれを内包するもう一つ上の層があるという構造にまんまとしてやられる。
アクションと並び得意な「視覚イリュージョン」に今回は「構造イリュージョン」も加わったというところか。
劇団劇場〜Act In Rule〜vol.3
劇団劇場製作委員会
morph-tokyo(東京都)
2010/10/24 (日) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★★
配球の妙で四球四振(!)にとられる
野球の配球で言えばストレートの速球、チェンジアップ、大リーグボール級の変化球()、ビーンボール紛いの内角をえぐるストライク(爆)で四球四振(←おい!)な構成が絶妙。
個別では共に既知の+1と江古田のガールズが一歩リードしていたか?
また、最初の一言が「ぜ〜んぶウソ!」や、「いきなりキスシーン」な始まり方もアリでは?と思っていたら、実際にあってニヤリ。
なお、オールスタンディングでの2時間弱も、かつてライブハウス通いをしていた上に今は1日平均8km以上歩いている身にとっては全く問題ナシ。
パティおばさんの大切なトランジスタラジオ
colorchild
LIVE HOUSE GRAFFITI(東京都)
2010/10/23 (土) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★★
独特な手法で見せる佳作
草野球の面白さ、笑い、ファンタジー、感動要素などをバランス良く組み込み、ピスタチオ系の独自の手法で仕上げた佳作。
反則ギリギリのムチャ振りもありつつ、度をわきまえており、出演者の半分素の反応が可笑しい。
また、人物のキャラクターの表現として、本来の姿にユニフォームを羽織らせた衣装のアイデアも◎。