『カレーにちくわ~星見ヶ丘アンドロメダ商店街~』
しゅうくりー夢
ザ・ポケット(東京都)
2012/04/19 (木) ~ 2012/04/23 (月)公演終了
満足度★★★★
やはりベテランの技量
お約束的なところもありつつ全体の構成や笑わせどころと泣かせどころの配分、伏線とその回収などがしっかりしていて引き込まれる。
ただ、事態を知らない(ことになっている)守の前で希が安子を「お母さん」と何回か呼んでいたのがひっかかる。
あと、個人的にはトーカドー側の部下が上司に一泡ふかせて欲しかったな。
とはいえクライマックスで大いに泣かせた涙を乾かすためのエピローグを配するところや、思いもよらないオチで締めくくるのはやはりベテランの技量。
しゅうくりー夢にしても劇団S.W.A.T!にしても、ベタと言っても過言ではないお約束満載なのに、他の要素や構成、語り口によってしっかり観客を引き込むのは、やはり経験(人生経験も含む)を積んだ強みってモノかな?
なお、次回予告を終演後に見せる団体もいくつかあるが、本編さながらの衣装での凝ったものはここだけかもなぁ。
吉祥寺お散歩
東京タンバリン
吉祥寺シアター稽古場~吉祥寺まち中(東京都)
2012/03/13 (火) ~ 2012/04/16 (月)公演終了
満足度★★★★
ROUTE3:おつかいもの
「向かい風のポニーテール」とはまた趣向を変えて出発前から設定の提示があり参加者巻き込み型でスタートしているという。
途中にはゲーム的な部分もあり、よく思い付くものだと感心。
さらに終演後アンケート記入中に「向かポ」の山場を再見できるとは!
吉祥寺お散歩
東京タンバリン
吉祥寺シアター稽古場~吉祥寺まち中(東京都)
2012/03/13 (火) ~ 2012/04/16 (月)公演終了
満足度★★★★
ROUTE1:向かい風のポニーテール
吉祥寺シアター稽古場を出発して間もなく、参加を予定していながら仕事が押した客が加わるという設定にニヤリ。
そしてその客が原因で起こるまさかの大きなトラブル…いやぁ、楽しかったァ。
実は前年の西荻の時に想像していたのがこういう形式。
しかし雨の中、演ずる側は大変だったろうな(特に階段落ちとか)。お二方、お疲れ様でした。
青色文庫
青☆組
ゆうど(東京都)
2012/04/07 (土) ~ 2012/04/14 (土)公演終了
満足度★★★★
有意義な公演
中編一幕もののD以外の3つはそれぞれ「裏テーマ」があるような気がしたりしなかったり。(深読み・誤読は得意だ)
初期作品から近作まで幅広く取り揃えられていて、企画としても面白かった。音楽業界で例えれば「アーリー・ベスト」みたいな?
なお、BプログラムのDラえもんとSザエさんのキャスティングに大いにウけ、Dラえもんのブラックなオチにはビックリ。青☆組ではもう決して観ることができないであろう作品たち(Aの「青ずきんちゃん」も含む)も知ることができて有意義な公演であった。
なお、Bプログラムを9日、それ以外を10日に観て全プログラムをコンプリート。
セイルオフ
発条ロールシアター
タイニイアリス(東京都)
2012/04/12 (木) ~ 2012/04/15 (日)公演終了
満足度★★★
新機軸の兆しも?
従来と異なり「日常系」かと思いきや、中盤で準・異世界に入って「あぁ、やっぱり!」的な(笑)。
また、その異世界ヘの「案内役」を霊かと思わせておいて……なのも巧み。
なお、序盤の展開から、異世界に行かない日常だけの作品も観たい気がしたりも。
鬼姫
虚飾集団廻天百眼
ザムザ阿佐谷(東京都)
2012/04/19 (木) ~ 2012/04/23 (月)公演終了
満足度★★★★
いろんな意味で「美しい」
「白装束、血に染めて」(=紅白なので「めでたやぁ」だし)な「視覚」、詩的な台詞の「聴覚」、さらにテーマの底に潜む「感覚」など各面において美しく、極めて耽美的。
なお、その美しさには「きたないはきれい」も含まれ(爆)、そういえばそれに似た台詞もあり、考えようによっては沙翁作品に通ずる部分があるようなないような…(笑)
(こじつければ血みどろなところは「マクベス」とか?)
さらに装置も初演(@タイニイアリス)から格段に進化して、これはもはや「再演」や「バージョンアップ」にとどまらず「グレードアップ」ではなかろうか。
あと、メタフィクション的な部分も好み。
吉永こゆり物語 ~あるベテラン女優の軌跡~
YANKEE STADIUM 20XX
d-倉庫(東京都)
2012/04/13 (金) ~ 2012/04/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
楽しいばかりでなく感動さえ憶える
女優である他にダンサーでありコリオグラファーでもあるMIKOだけに見事なダンスシーンは当然、YANKEE STADIUM 20XX スタイル丸出しな(客いじりを含む)ギャグももちろん、それにSTOMP風なリズム・パフォーマンス(貧乏子沢山家族の子供達が茶碗を箸で叩きながらの「腹減ったー!」が変貌しようとは…)まで取り入れたエンターテイメント。
観ていて楽しいばかりでなく、「とにかく観客を楽しませよう」という気持ちがびんびん伝わってきて感動さえ憶える。
なお、大楽にいじられたお客さんはなかなかに切り返しが上手く、出演者が喰われそうになったりも…(笑)
ツチノコまつり
昭和芸能舎
赤坂RED/THEATER(東京都)
2012/04/03 (火) ~ 2012/04/09 (月)公演終了
満足度★★★★
団体名称の通り…
…昭和ド真ん中な物語。
昭和50年のとある村を舞台にしているものの、むしろ昭和30年代前半(?)の日活映画を想起させる。
そこに「パッチギ!」「フラガール」の風味も加味して…と思ったところでその2作もルーツは前述の映画では?などと思い当たったりも。
御家芸(?)の「一芸披露」はフラフープのみならず中盤のキャンパスパブでのショータイム場面にもあり、そこでの芸もお見事。
ひまわり
望創族
劇場MOMO(東京都)
2012/04/11 (水) ~ 2012/04/15 (日)公演終了
満足度★★★
玉石混淆?
「詰めの甘いキャラメルボックス」な感じ?
好きなパターンの1つでもあり総論的には悪くないが、パスポート関連が甘いのとコメディリリーフの2人が濃過ぎて嘘臭く、観ていて醒めてしまうのが残念。
一方、プロローグ、エピローグと本編の間だけ暗転で、それ以外を全て明かりの変化だけで見せた照明は見事。
(改訂版) おい!オヤジ。
演劇ユニット3LDK
テアトルBONBON(東京都)
2012/04/10 (火) ~ 2012/04/15 (日)公演終了
満足度★★★★
大オチにやられる
以前観ていたもののかなり記憶が薄れており、改訂されてもいることで「この先どうなるんだ?」状態で楽しむ。
シリアスな部分とファルス的な部分の配分が上手く、あれやこれやから故人の人物像がくっきり浮かび上がるのが上手い。
しかしそうして「イイ父親だったんじゃん!」と思わせておいてのあのラストは大オチもいいトコ…(笑)なお、遺書がキーアイテムとなる芝居がこれで4月は3本目。(!)
幹事の器
劇団TEAM-ODAC
テアトルBONBON(東京都)
2012/04/05 (木) ~ 2012/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★
ありがちな「同窓会もの」と差別化に成功
バックステージものならぬ「バック同窓会もの」にして「ありがちな同窓会もの」と差別化を図って見事。
かつての同級生たちの卒業後の人生を垣間見せる以外に主人公のバイト先を主な舞台とすることでサイドストーリーも語り作品に奥行きを出す、的な。
また21人の登場人物もきちんと描き分けているし、何度か違う場所を見せる時の見せ方も良いし、かなり満足。
ただ、主人公がイイ人(あるいはお人好し)過ぎかも?(と思って観ていたらその想いを打ち消す方向の逸話が入ってビックリ)
The end of the world
Neo Mask
吉祥寺シアター(東京都)
2012/04/04 (水) ~ 2012/04/09 (月)公演終了
満足度★★★
生きよ!
忍の世界が中心に描かれながらも言わんとするところは(時間的には短い)外殻部分にある、な構造とその「言わんとするところのもの」がイイ。
ただ、欲を言えばパラレルワールド的なパートをもう少し肉付けして欲しかった気も。
なお、いつもながら殺陣はもちろんのこと、取り入れるイリュージョンも鮮やか。
くろねこちゃんとベージュねこちゃん【ご来場ありがとうございました!!】
DULL-COLORED POP
アトリエ春風舎(東京都)
2012/03/14 (水) ~ 2012/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★
家族モノど真ん中
ある意味で家族モノど真ん中。
終盤で「イイ話」に向かい、谷さんってば結婚して作風が変わったか?(爆)と思いきや、最終的な落とし所はやはりダルカラ風でまんまと騙される(笑)。
また、ある場面では母に対して自分も(意味として)同じことをしていたことに気付いてハッとさせられる。
こうして俯瞰して、あるいは他人事として見るとワカるけれど、自分でやっている時は気付かないんだよなぁ。
それにしてもこれといい、ラフメーカーといい、遺書がポイントとなる作品を中2日で観るとは…
【ご来場ありがとうございました!】死と再生とテクノに【次回本公演は6月です!】
ロ字ック
ギャラリーLE DECO(東京都)
2012/04/03 (火) ~ 2012/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★
6人のメインキャラの個性に引き付けられる
開演前からパーティー気分満載で盛り上げておいての本編、「お天気屋でこの夜は不機嫌」なTSUTAYA(大竹沙絵子)と「空気を読まない(読めない?)」アイドル(えみりーゆうな)のやり取りからグッと引きずり込まれ、以降はその2人を含む6人のメインキャラの個性に引き付けられる。
雑然と散らかった感じの舞台美術も設定を上手く表現して◎。
上演時間70分。
【21ステ無事終了!】とーく・おぶ・ざ・でっど 弐【次回は夏か秋!】
JOHNNY TIME
エビス駅前バー(東京都)
2012/03/22 (木) ~ 2012/04/02 (月)公演終了
満足度★★★★
まさに佳境!
十分に面白いがタイトルからの予想とは異なった「序」に対してこちらはモロに「リビングデッド」の系譜で、なるほど確かにアレは「序」なワケだ、的な。
また終盤の「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」風な映像で新たな謎を見せて次に繋ぐのが上手い。
赤色のジュース
みどり人
阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)
2012/03/30 (金) ~ 2012/04/02 (月)公演終了
満足度★★★
女性(作家)ってコワい
冒頭の三姉妹の会話や長男のヨメ候補に対する「品定め」の視線を筆頭に、リアルというよりはナマナマしくてドキリ。
女性(作家)ってコワい…(笑)
きら星のごとく【YoutubeにてPV動画公開中!!ご来場誠にありがとうございました!!】
蜂寅企画
王子小劇場(東京都)
2012/03/29 (木) ~ 2012/04/02 (月)公演終了
満足度★★★★
温故知新
「ネオロマン時代劇」もしくは「温故知新」。
物語のベースは所謂「義賊もの」で古典的だが、主人公を女性絵師にしたのがミソで面白い。
また、墨絵的な屏風(ギミック込み)をメインとした装置や終盤に登場する大凧(舞い上がる表現を含む)など舞台美術も◎。
ハムレッツ!! To be or Not to be
メディアゲート
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2012/04/10 (火) ~ 2012/04/15 (日)公演終了
満足度★★★★
王道パターンの部活譚
ダメダメな面々が、ある出来事を通じてちょっぴり成長する、という大好きなパターンに加え、アニメを中心に様々なネタを織り込み、超短縮版ハムレットや殺陣(!)まで入れて感動の結末に導くのが巧み。
それを劇団BOOGIE★WOOGIEでのノウハウを活かした演出が磨き上げ、ローティーンから20代前半まで、平均年齢は20歳未満(以上推定)のキャスト(女優のみ14人)が善戦して非常に満足。
上演時間80分で4500円(一般席)はやや高い気がするが、観て損はないと思う(個人の感想です)。
本編は満点だが、チケット代が高めなことと、配役表がなく知るためには2800円(!)のパンフレットを買わねばならず、しかしキャストの活動歴・プロフィールは掲載されていない、などにより星を1つ減ずる。
東雲十六夜【ご来場誠にありがとうございました!!】
ラフメーカー
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2012/03/27 (火) ~ 2012/04/01 (日)公演終了
満足度★★★★
満足度大
故人が隠して遺した手紙が巻き起こす波紋。
未練を残さないための(比較的ありがちな)思いやりかと思いきや、意外にも暗号解読的な内容となり「本当の読み方」に至ろうとは…。
また、回想シーンで故人のいる位置を明かりの動きで表現する演出や豪華マンションを再現した装置(搬入時小屋側が「劇場を間違っていませんか?」と問うたとか)も良くて満足度大。
ただ、謎解きのキモである「もう1つの遺書」、耳で聞いただけではワカりみくいので、終演後に印刷したものを配布すればイイのに…。
また、チラシ、予約受付メール、会場入口のどれにも受付開始タイミングを表示しないのはいかがなものか?
文化系体育会
カトリ企画UR
劇場MOMO(東京都)
2012/03/29 (木) ~ 2012/04/01 (日)公演終了
満足度★★★★
ナサケない男たちにイタく共感
中高生時代への郷愁をそそられると共にナサケない男たちにイタく共感!(爆)
また、終盤での1人が4人にボコられる場と別の1人が2人にボコられる場を融合させて見せるシーンを筆頭に場所や時を隔てた複数の場をモーフィングのようにシームレスに繋ぐ舞台ならではの演出には感服。
さらにアフタートークでは観ながら抱いた脚本と演出の領域に関する疑問についても明かされてスッキリ。