軍鶏307・改訂版
劇団桟敷童子
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2012/05/11 (金) ~ 2012/05/28 (月)公演終了
満足度★★★★
Aバージョン
めんどりさんの究極の母性と三度の「行かんでええ」に泣かされる。
「行かんでええ」は最初のが呼び水で2度目で大泣き、最後のがトドメ、的な。
先日観たオフィス・パラノイアの『罅割れた盾』とはテーマがカブりながらも描き方が全く異なるのも妙味。
ウェディング葬送曲
劇屋いっぷく堂
テアトルBONBON(東京都)
2012/05/15 (火) ~ 2012/05/20 (日)公演終了
満足度★★★★
2本分に近い内容を1本に凝縮
笑いと涙に社会問題までバランス良く配し、場合によっては2本分にも相当するストーリーを、2家族の出ハケも含めて緻密に組んだ構成が見事。
また、あれこれはり巡らせた伏線とその回収が上手く、圭が隼人を理解して受け入れて行くことの表現もイイ。
一部重たい部分があったり、若干盛り込み過ぎな感があったりするが、そこは片目をつぶって見逃そう。(笑)
首無し乙女は万事快調と笑ふ!
ポップンマッシュルームチキン野郎
サンモールスタジオ(東京都)
2012/05/12 (土) ~ 2012/05/20 (日)公演終了
満足度★★★★
「チョコ柿の種」的味わい?
毎度お馴染みのおバカでナンセンスな笑いで戦争の悲劇性や愚かさをコーティングした異色作あるいは意欲作。
そのギャップの大きさは賛否両論かも知れないが、個人的には支持…というか、独特の味わいは他に類を見ず印象的。
また、オープニングシーンの毒のあることと言ったら!(大好き)
しかし殿様ランチやMUの女優にそんなコトまで演らせますか!?(笑) いや、それはまだしも、真っ当な道を歩んでいた若者をこの世界に引きずり込んでしまうとは何と罪作りな!(爆)
ミッション
イキウメ
シアタートラム(東京都)
2012/05/11 (金) ~ 2012/05/27 (日)公演終了
満足度★★★★
紛れもなきイキウメワールド
前作『太陽』はSF的な設定でありつつ幸福論的な内容であったが、本作ではSFあるいは怪異譚の要素は無きに等しく、内容は思想・哲学、考えようによっては宗教にさえ近い?
が、静かな語り口で展開されるドラマはイキウメそのもの、な感じ。
その意味で、前川さんの作風は一貫していてブレないと言えよう。…と言うか、過去のSFテイストやホラー風味が強かった作品も、主題は同じだったことに気付く。
演出も従来と掛け離れることはなく、紛れもなきイキウメワールドを堪能。
120分。
トレモロブリュレ
ノアノオモチャバコ
小劇場 楽園(東京都)
2012/05/11 (金) ~ 2012/05/21 (月)公演終了
満足度★★★★
民間伝承にまつわる現代の綺譚、に見せておき…(謎)
過去に観た2作は少なからず抽象的な部分があり紗幕を隔てたような印象だったのに対して本作は非常にワカり易い。
また、諸星大二郎作品に通ずるような民間伝承にまつわる現代の綺譚とその落とし所(あるいはコトの真相)は好み。
それにしても舞台美術の手のこんだことといったら…。
働く妻の休日
演劇ユニットレッドカンパニー
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2012/05/09 (水) ~ 2012/05/13 (日)公演終了
満足度★★
玉石混淆
主人公の上司・先輩の非常識さが度を超えていて醒めてしまうばかりでなく終盤での彼らの言動の説得力をなくしてしまうのが致命的。
また、クドく感じられてしまう部分もいくつかあるのが残念。
一方、主人公の姉・兄たちはコメディリリーフ(バカップルぶりなども楽しい)、夫の姉・妹はシリアス担当と役割分担したのは整理されて観易いし、全体を通して描かんとするところのものは悪くない。
とはいえ六法全書が3年も前の版なのは学生時代のもので我慢していると解釈するにして、古いながらも広そうな一戸建てに住んでいるなど細部に甘いところもあり、100分程度に刈り込んで改訂すれば良いのに…。
あと、欲を言えば冒頭のピコピコハンマーは、その後も部屋のどこかに置いておいて欲しかったなぁ。普段から半分冗談でピコピコハンマーで叩きあって許す夫婦という設定はイイと思うので。
ま ○ る
miel(ミエル)
ザ☆キッチンNAKANO(東京都)
2012/05/09 (水) ~ 2012/05/14 (月)公演終了
満足度★★★★★
大変満足
脚本を提供した6人とも作品をよく観ているのでどれが誰のものか推測しながら観たり(終演後に構成表を配るのもイイ)、勝手に別配役版を想像して観たりして大いに楽しむ。
また、コンテンポラリーダンスの取り入れ方も巧み。
さらにラストのセピア色を筆頭に照明のセンスも良く、大変満足。
そういやタイトルはそういう意味だったのね。
架空の箱庭療法♯2
Nichecraft
吉祥寺ギャラリーre:tail(東京都)
2012/05/09 (水) ~ 2012/05/14 (月)公演終了
満足度★★★★
前回よりさらに進化
前回と比べて作品に添えられた説明のスタイルにバリエーションがあったり観客参加型(!)のものがあったりで「進化した」印象。
また、ミニチュアならではの素材を使ったものは「実寸にしたらどうするんだろう?」などと想像を巡らせたりもできてまた楽しからずや。
闇言
JACROW
ギャラリーLE DECO(東京都)
2012/05/08 (火) ~ 2012/05/13 (日)公演終了
満足度★★★★
各話の面白さ+構成の面白さ
ホラーやハートウォーミング、コミカルなど味わいの異なる4編の連作短編。
意図的に時系列に沿わず並べた理由が最後に判った時は大いに納得。
よってアンケートにあった各話ごとと全体に5点満点で採点する項目は各話がそれぞれ4点で全体は5点。
しかし2人で分担して書いてこのようにするのは難しかろうに…。
なお、こちらで星が4つなのは他作品とのバランスによる。
Beautiful Runner
ツラヌキ怪賊団
サンモールスタジオ(東京都)
2012/05/03 (木) ~ 2012/05/10 (木)公演終了
満足度★★★★
王道スポーツもの+見せ方の妙味
少年ジャンプ的ノリな王道スポーツものに様々な要素(元ネタを勝手に考えたり)を加えた上に場面場面の見せ方(走っている表現のみならず「受付」「電話」など多数)もいろいろと工夫がこらされ、さらに細かいネタの入れ方なども絶妙で楽しい。
東京バンビ『他人の確率』御来場ありがとうございました!次回は10月!お待ちしております!
元東京バンビ
OFF OFFシアター(東京都)
2012/05/04 (金) ~ 2012/05/15 (火)公演終了
満足度★★★★
21世紀型家族を描く
イマあるいは今後の(=「21世紀型」?)「家族」ないし「人と人との繋がり」という題材とリゾート地のゲストハウスという舞台設定とが絶妙のマッチング。
また、10日ほど前にこの劇場で観た文月堂の『へちま』と同じく家族をテーマにしながら悉く対照的なのも面白い。
パパ、アイ ラブ ユー!
タクトプレイ・プロジェクト
駅前劇場(東京都)
2012/05/06 (日) ~ 2012/05/13 (日)公演終了
満足度★★★★
観客に疑問を抱かせずに駆け抜ける
「ちょっと待てぃ!」な箇所が多々あり、観客に「んなワケねーだろ!」と思わせると「負け戦」になってしまう「実は難しい」脚本(私見)を見事に「走り抜けた」な感じ。
かくて過去2戦の結果は1勝1敗だったが今回で勝ち越し。
ただ、劇中の季節と公演時期に大きな隔たりがあるのがちょっと残念?
罅割れた盾 〜さらばとだにも言ひて別れむ〜
劇団パラノイア・エイジ
「劇」小劇場(東京都)
2012/04/28 (土) ~ 2012/05/06 (日)公演終了
満足度★★★★
続編ながら視点を変えて
「彷徨う翼」の続編で終戦直後の人々を描く。
同じ時代を描いたものは数あれど、本作のような描き方は珍しいのではあるまいか。
そしてその描き方ゆえに当時はかけがえのない相手を喪った人がいかに多かったか、と気付かされる。
こちらも演を重ねていって頂きたい。
彷徨う翼 〜朝日に匂う山桜花〜
劇団パラノイア・エイジ
「劇」小劇場(東京都)
2012/04/27 (金) ~ 2012/05/06 (日)公演終了
満足度★★★★
演を重ねて欲しい作品
太平洋戦争末期の特攻隊員たちを中心とした物語、初演も観ているし他の特攻隊ものや戦争批判系の芝居も少なからず観ているが、今更ながらに「戦争とは殺し合いである」と強く感じる。
折にふれて演をを重ねて欲しい作品だと思う。
オクトの樹
La・Moon
あうるすぽっと(東京都)
2012/05/02 (水) ~ 2012/05/05 (土)公演終了
満足度★★★
ラストがちょっと惜しい?
国造り伝説に日本神話風の要素も加えたミュージカル。
火や鳥の擬人化表現や殺陣にダンスも取り入れるなどミュージカルならではの見せ方だし、主人公が非戦派なのもイイ。
が、ラストがミュージカルのフィナーレとしては小ぶりで尻すぼみ的なのが惜しい。
絶頂マクベス
柿喰う客
吉祥寺シアター(東京都)
2012/04/14 (土) ~ 2012/04/23 (月)公演終了
満足度★★★★
ポップで疾走感のあるマクベス
『悩殺ハムレット』同様に全体的に良くできているが、「おめでとうマクベス」以降、すべてのシーンが絵になるのは特筆に値する。(戦の後に動きが一旦止まり戦況報告の声だけが響くのも印象的)
また、舞台床の幾何学模様とそれに即した照明も美しい。
それまでに観ていたものと比べてマクベス夫人のポジションに物足りなさを感じもしたが、アフタートークでそれに関する話題も出て納得。
乱痴気(同日ソワレ:H列7番)では渡邊安理嬢の新良エツ子嬢とはまた違った歌の上手さに感服。
脳細胞がフレキシブル/流れ星でパレード
劇団エリザベス
東中野レンタルスペース(東京都)
2012/05/04 (金) ~ 2012/05/06 (日)公演終了
満足度★★★★
好対照を為す中編2本
最新作と(幻の)初期作品と知って観たこともあり、片や詩的な台詞と凝った(込み入ったとも換言できる)状況、片やシンプルかつオーソドックス、と好対照。
四方囲みの客席と、2編通して機能する美術も◎。
天使たち
リュカ. (Lucas [lyka])
王子小劇場(東京都)
2012/05/02 (水) ~ 2012/05/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
極めて人間的な天使と人間のペアたち
ある映画へのオマージュ的な部分もあると当日パンフレットに記されていたこともあり、本当にタイトルから(勝手に)抱いた印象通りでステキ。
優しさに溢れる小説内パートをユーモラスな作家と担当編集者のパートで挟んだ構成は、そのままでも舌が蕩けそうな中身をパリパリの皮で包んだ絶品メニューの如し。
ただ、最後が「泣かせ逃げ」なのはズルくね?(笑)
リピートしたいがコマがないので再演きぼんぬ♪
へちま -糸瓜-【全公演終了!ご来場ありがとうございました!!】
文月堂
OFF OFFシアター(東京都)
2012/04/24 (火) ~ 2012/04/30 (月)公演終了
満足度★★★★
純日本的ホームドラマ
昭和中期の松竹映画の精神を継承したかのような純和風ホームドラマだが、変則的な家族なのが21世紀チック、的な。
また、劇中での1日目の昼間はユーモラスで夜はしっとり、という構成も良く、あれこれ上手くまとまっている印象。
FIRELIGHT
たすいち
吉祥寺シアター(東京都)
2012/04/27 (金) ~ 2012/04/30 (月)公演終了
満足度★★★★
予定外のリピートも
3年前の放火の犯人探しを軸に娯楽性たっぷりな中に麻薬のアブなさやかけがえのない相手を喪った人の気持ちも織り込み、いろんな意味で「大きくなった」な感じ。
時としてシアターミラクルの舞台のサイズにまとまってしまった場面もあるが、それは今後の課題ってコトで片目を瞑ろう。
また、多くの同様の声があったそうだが、σ(^-^)もM-0が流れた時に「ここでこれを耳にするとは」と目頭が熱く(いや「温かく」止まりか?(笑))なったクチ。
12ヶ月連続公演を観た身として、どうやら親心的なものが生じていたらしい…。
なお、1500円というリピーター価格に惹かれ翌29日にもH列14番で観劇し、前日終演後に聞いた裏話(アンサンブルの動きの意味とか2日目から登場した小道具とか)に納得。