おじクロ
ラッパ屋
紀伊國屋ホール(東京都)
2012/11/08 (木) ~ 2012/11/18 (日)公演終了
満足度★★★★
やはりベテランの味
いい歳のおっさん達がももクロに夢中になりついには踊ってしまうコメディではあるが、ペーソス溢れる背景によってコクがあるのがベテランの手腕?
大笑いしつつもホロリとし、本当に踊る姿には劇中と現実を併せた感動(←大袈裟)もアリ。
海と日傘
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2012/11/14 (水) ~ 2012/11/18 (日)公演終了
満足度★★★★
いかにもSPIRAL MOONな作品チョイス
「全てを語らず」な奥床しさ(?)がいかにもSPIRAL MOONな作品。
また、切なさを内包あるいは予見させながらも、のどかで時にユーモラスでさえある味わいに古き佳き時代の日本映画(松竹?)を連想。
さらに、毎度ながら照明の的確さと表現力の見事なことと言ったら!
高円寺純情商店街でロミジュリ
踊れ場
シアターブラッツ(東京都)
2012/11/12 (月) ~ 2012/11/14 (水)公演終了
満足度★★★★★
素晴らしき哉、新旧融合
新釈・現代若者語訳・翻案・喜劇仕立てでありつつ、内容はかなり忠実で原典そのままの台詞もあり、その両者が違和感なく同居しているバランス感覚たるや見事。
また、バルコニー場面の見せ方や教会の表現を筆頭とする多人数を活かした、そしてスピード感まで加味した演出もイイ。
虹色列車
(有)オフィス パラノイア
劇場MOMO(東京都)
2012/11/13 (火) ~ 2012/11/18 (日)公演終了
満足度★★★★
総論+Side-B
過去編のAに対してこちらは現代編というのは読めたが、それだけでなく、片や連作短編、片や(「章」的な区切りはあるが)長編とスタイルまで異なるとはオドロキ。
2バージョンものとして画期的では?
それでいてリンクする部分があって両編で1つの作品を構成するのはもちろん、一方だけでもキチンと成立しており、もう一方を観ていないとワカらない部分がないのも巧み。
いわば一般的な2バージョンものは「双子(一卵性だったり二卵性だったり)」だが、本作は「父親似の第一子と母親似の第二子」みたいな?
B単独としてはエキセントリックなキャラ2人で存分に笑わせた(こちらはコメディ編か?とさえ思った)後に過去が絡む親子ネタでしっとりと締め括るのが上手い。
虹色列車
(有)オフィス パラノイア
劇場MOMO(東京都)
2012/11/13 (火) ~ 2012/11/18 (日)公演終了
満足度★★★★
Side-A
かつて陶芸家を志していた男が美大の傍で営む喫茶店を舞台にした連作短編集。
各編は起承転結、全体は序破急と基本に忠実ながらしっかりと物語に引き込むのはさすが。(以下ネタバレBOXへ)
キメラガール アンセム/120日間将棋
The end of company ジエン社
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2012/11/07 (水) ~ 2012/11/11 (日)公演終了
満足度★★★
絡縺増量気味?
本介さん曰く「F/T仕様」とのことで、今までに観た何本かと比べて中心部分に絡み付いたあれこれが増量で縺れた糸を解くのが大変(笑)。
終盤でやっと見えたと思ったらまた謎を残して終わるという。
嫌いではないが、脳ミソが疲れたぜ(爆)。
『熱狂』・『あの記憶の記録』3月に完全再演致します!!詳しくは劇団ページをcheck!!
劇団チョコレートケーキ
ギャラリーLE DECO(東京都)
2012/10/31 (水) ~ 2012/11/11 (日)公演終了
満足度★★★★
熱狂
今まで知らなかった若き日のヒトラーとその仲間達、それに当時のドイツの内情などを骨太なタッチで描き、まさにタイトル通りの場面で締め括る2時間弱、観応えがあった。
最初、舞台にいる役者・西尾友樹(失礼ながら「え、この人がこのなりでヒトラーを演ずるの?」とさえ思ってしまった)が、冒頭場面で演説を始めると「ヒトラーになる」のは圧巻!
また、口角泡を飛ばす激論が日本語の台詞なのに「ドイツ語っぽく」聞こえてくるのも演出マジック?
Project G
ロデオ★座★ヘヴン
小劇場 楽園(東京都)
2012/11/07 (水) ~ 2012/11/11 (日)公演終了
満足度★★★★
一粒で二度オイしい、的な?
コミカルな中に「実際に巨大生物が現れたらどうなるか?」を織り込んだりした前半といかにも「空想科学もの」らしい後半の取り合わせ、多少のトーンの違いはあれど「一粒で二度オイしい」な感じ。
まずは前半、巨大UMAの接近が予測されたことで対策準備室に集められた変人たち(笑)を中心に描き、若干クドくて冗長に感ずる笑いもありつつ対策のシミュレーションには「あーそうかぁ!」的に眼からウロコがボロボロと。
後半はいよいよ巨大生物の上陸となり、特撮映画ファンとしては堪らない展開になるのだが、ある設定により「MM9-MONSTER MAGNITUDE-」やとり・みきのシリアス系作品(「石神伝説」とか:星野之宣の「宗像教授シリーズ」や諸星大二郎の作品群とはまた異なる)に通ずる感覚になっているのがイイってか好み。
欲を言えば「G」と呼称するにとどめてあの名前は出さない方がスマートに思えたし、対策準備室と自衛隊の中心となる2人の関係をもう少し掘り下げて描いて欲しかった気がするが、概ね満足。
この会場の2つのステージを巧く使っていたり、プロップのバズーカ(小道具さんが女性とはオドロキ)を筆頭に細かい部分もよく創り込んでいたりしたし、まだこれが第2回公演とのことだし、今後が楽しみ♪
仮想家族
角角ストロガのフ
ザ・ポケット(東京都)
2012/11/07 (水) ~ 2012/11/11 (日)公演終了
満足度★★★
角角流マトリックス?
相変わらず悪夢、あるいは救いが少なめの「世にも奇妙な物語」的世界、125分はヘヴィー。で、ふと「角角流(逆?)マトリックス」な気もしたり…。
ルミちゃんってば、あんなにこやかな顔をしてこんなどす黒い世界を描き出すんだからおそるべし。もしかして、作劇は(心の)デトックス?(笑)
装置は従来スタイルだが、ザ・ポケットだと王子での密集感的なものが出ず、間延びしたように感じてしまったのはちょっと残念。
amapose
シネマ系スパイスコメディAchiTION!
しもきた空間リバティ(東京都)
2012/11/08 (木) ~ 2012/11/11 (日)公演終了
満足度★★★★
ほっこりほくほく
複数の短編たちをもう1本の物語で貫き各編も所々リンクするというお得意の形式に加えて、今回は題材が題材だけに各編どれもほっこりした終わり方なのが素敵。
また、芝居のラストに関連した終演後の趣向もナイスアイデア♪
個別では「小学三年生の…」、「思い出せない…」、それに全体を貫くストーリー(の落としどころ)が特に好みで「逆…」のオチにはしてやられる。←見事に裏をかかれた、的な
オンタイム!?
tea for two
「劇」小劇場(東京都)
2012/11/08 (木) ~ 2012/11/11 (日)公演終了
満足度★★★★
演劇人にとっての悪夢的状況(笑)
無理を通して道理を引っ込ませる「チカラ技」的バックステージコメディ。
「演劇人にとっての悪夢」的事態に右往左往する人々に「んなワケねーだろ!」と大笑いさせられるが、終盤に出て来る台詞が多義的で劇中劇と芝居両方にかかるだけでなく、人生訓のようにさえ感じられるのが見事。
お気に召すまま
川崎市アートセンター
川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)
2012/10/24 (水) ~ 2012/10/28 (日)公演終了
満足度★★★
沙翁喜劇の典型?(笑)
主な舞台が森の中だったり男装したヒロインに女性が恋して三角関係気味になったり、沙翁喜劇の真骨頂?(笑)
また、台詞回しなどにも格調があり、たまにはこういったベーシックなものも観なくては、などとも思う。(元ネタに使われることも少なからずあるし)
好き好き大好き超愛してる。
オーストラ・マコンドー
TOKYO FM HALL(東京都)
2012/11/07 (水) ~ 2012/11/11 (日)公演終了
満足度★★
音響が致命的
切なくてイイ話だし、(原作未読につき推測の域を出ないものの)エレベーション機構を備えたステージや照明効果を駆使したりもして巧く舞台化した感はひしひし伝わって来る。
がしかし、会場の音響特性が音楽向きで不要な残響があり過ぎて台詞が聞き取りにくくストレスが溜まるのが致命的に近いネック。
芝居向けの会場(東京芸術劇場シアターイーストとか)での再演を熱望!
否定されたくてする質問
箱庭円舞曲
駅前劇場(東京都)
2012/11/01 (木) ~ 2012/11/11 (日)公演終了
満足度★★★★
人物がそれぞれ魅力的
いつもながらの会話の巧さに加えて、今回は登場人物がタイプは違えどそれぞれに魅力的で共感したり尊敬(?)したり。
また、終始微妙にぎくしゃく、もやもやしているあれこれが良い方向に動き始める終盤と最終場の見せ方がとても素敵♪
なお、一部の人物がある人物に「叱られる」場面なぞ、古傷に触れられると言うか、今の自分にも通ずるイタさがあると言うかで、身につまされる(爆)。
リンクス東京 感謝!! 来年も東京で!!
演劇ソリッドアトラクションLINX’S
上野ストアハウス(東京都)
2012/10/24 (水) ~ 2012/10/28 (日)公演終了
満足度★★★★
Bチーム
オパンポン創造社「王様大脱走」
コミカルな前半から次第に2人の男の友情(ちょっと違うか?)的な方向に変容して行くのが上手く、「嗚呼!」と思わせてからの落し方もソツがない。好みのタイプかも。
超人予備校「絶滅さん」
トリビアをちりばめまくりの三人芝居・連作コント仕立てとでも言おうか。
3種の生物を表現した衣装と首から下げたフリップが特徴的で楽しかったが、普段はどんなスタイルの公演なんだろう?(興味津々)
犬と串「新宿〜SHINJUKU〜」
登場人物の半数の台詞が…(ネタバレ回避)…という奇策に大笑い。やはり若手の特権とも言えるおバカと不道徳(←本作は違うが)は犬串にお任せか?(笑)
テノヒラサイズ「テノヒラサイズの天国と地獄」
今まで未見だったが定評があるだけにさすがの安定感。
短い上演時間の中でも起承転結に則りめりはりをつけた構成はさすが、な感じ?
劇団ZTON「幕末浅葱桜」
冒頭の語りや新撰組隊士に女性がいるところなどに他劇団(複数)の新撰組ものへのリスペクトを感じたり感じなかったり(笑)。
女性を含めて立ち回りが魅力だが、サンプラーのタイミングが甘いのは惜しい。
空想組曲「深海のカンパネルラ -R.O.D version-」
これは見事。観客全員が固唾を呑んで見入っているのが肌でワカるほど張り詰めた空気なぞそう滅多に経験できるモンじゃない。
内容も含めて至福のひと時だったなぁ。
リンクス東京 感謝!! 来年も東京で!!
演劇ソリッドアトラクションLINX’S
上野ストアハウス(東京都)
2012/10/24 (水) ~ 2012/10/28 (日)公演終了
満足度★★★★
Aチーム
ThE 2VS2「ファンファーレと熱狂」
4人の演者の衣装もユニフォーム的だし、シンプルなハナシかと思わせての後半の展開が鮮やか。
あの衣装も真相をさとらせないための巧妙なトリック?みたいな。
劇団エリザベス「あひるぐち、ハニー。」
シュールながらワカり易いハナシで、その奇妙な(あるいは奇抜な)展開にいくつかの古典落語と通ずるものがあるように思う。
また、ある「有名な猫」も連想(ネタバレ寸前気味?)。
ニコルソンズ「セックスレス夫婦の大冒険」
艶笑ネタも絡ませたゾンビの出ないゾンビもの。
血だらけの衣装などによるゾンビものらしさと、そんな中でも「あんなコト」や「そんなコト」を語り合う可笑しさの対比・バランスがイイ。
シアターOM「うしとら」プロジェクト「うしおととら外伝」
次第に上がった「劇的度」はここに来て最大に。
妖怪退治譚であるシリーズ全体の紹介編的なものを創作ではなくきちんと原作に沿って演じて見事。
彗星マジック「丘の上で描いた絵の話」
休憩後も「劇的度」は継続。
ファンタジックな内容を衣装も含めて的確に視覚化。漠然と空想組曲との共通性も感じたり。
さらに終演後に登場した主宰が劇団エリザベスのエリーさんに似ているような…(笑)
ステージタイガー「虎をカる男」
Aチームのトリは手堅い感じ?
それまでのいくつかの団体ほどにはアクが強すぎず(笑)、それでいてしっかり個性を主張して、納得の結末に導くあたりがトリに相応しい?
上演順もうまく考えられているんだなぁ。
リンクス東京 感謝!! 来年も東京で!!
演劇ソリッドアトラクションLINX’S
上野ストアハウス(東京都)
2012/10/24 (水) ~ 2012/10/28 (日)公演終了
満足度★★★★
総論
Mrs.fictionsの15MMとはまた違った味わいのショーケース的演劇公演、全般的な印象で(敢えて)くくればポップなB、マニアックなA、な感じ? もちろん例外はあって、その例外的団体の味によりうまいこと一色に染まっていない、的な。
バラエティに富んだ団体の組み合わせと軽妙洒脱なMCにより体感的にはさほど長くないのは言わずもがな。
高橋ギロチン
劇団鋼鉄村松
王子小劇場(東京都)
2012/11/07 (水) ~ 2012/11/11 (日)公演終了
満足度★★★★
ボスの思考回路が窺える?(笑)
無差別殺人事件と死刑廃止論を中心に据えて、その周辺…どころか大きく逸脱したネタを練り込んだ不思議な味わい。
よって話の筋を追うには向かないが、ボスの思考回路的なものが見えるようで、共通項があればあるだけ楽しめるか?
メタフィクション的な部分(ボス曰く「言い訳」(笑))も好み。
さらば、愛しの映画ホテル
ジ~パンズ
銀座みゆき館劇場(東京都)
2012/10/31 (水) ~ 2012/11/06 (火)公演終了
満足度★★★★
初演を知っているが故の愉しみもプラス
前進団体での初演を観ていたので一部のキャストの背後霊のように初演キャストが見えたり(笑)、全く異なるキャラになっていたり、と元々のコメディとしての面白さにプラスアルファの愉しみもアリ。
後半でのオーナーに撮影内容を隠そうとするあたりはレイ・クーニーばりのファルスになりそうなところをやや控えめにした(それでいて十二分に可笑しい)ところも特徴的か。
しかしみゆき館劇場、客席は5段階評価で1以下じゃないかな。座席の前後間隔がここまで狭い劇場って、他にないのでは?
エキスポ
ハイリンド
d-倉庫(東京都)
2012/11/01 (木) ~ 2012/11/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
お手本のようなウェルメイド
よく出来た戯曲だなぁ。大いに笑わせながら端々に各人物の故人への想いや他の感情が見え隠れすし、その中から故人の人となりが浮き上がって来る感じ。
また、宮崎訛りが全体を柔らかくしているようでもあり…。(標準語だったらラッパ屋的か?)
さらに、既製戯曲なのに配役がハマっていたり、母の日記を納めた〇〇に〇〇を当てるところや鯨幕が…(ネタバレ自粛)…なところが印象的だだったり、に加えて不思議と広く見える視覚マジック的な装置などもお見事!