ここは住むとこではありません
TEAM FLY FLAT
雑遊(東京都)
2025/03/19 (水) ~ 2025/03/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/03/20 (木) 14:00
部屋に霊が憑いていると思い込んだ住人から除霊と偽って金をせしめようとする男と協力を頼まれた霊能力者を狂言回しとした「オカルトアウトローコメディ~」。
その謳い文句ならびに冒頭の設定通り屋代作品にしては笑いが多く、そこに気を取られたためか終盤で明かされるまで霊系でおなじみの「あのパターン」に気付かず(ヤラれたぁ!(笑)。そしてそこに切なさが加わるのが巧み。
あと、下手手前の出ハケ口を「成仏への道」として使ったことにも感心。
ふりむかないで
ゆめいろちょうちょ
パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)
2025/03/15 (土) ~ 2025/03/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/03/18 (火) 15:00
妻帯者ながら6人の女性と交際しそれ以外にも「一夜の契り」を繰り返す男をその元凶の1つであるバーで妻が吊し上げる75分。
コミカルで時として煽情的な個々の「再現エピソード」もさることながら、初演(未見)のエビス駅前バーよりも広い演技エリアを活かして上手の壁沿いに当事者全員を座らせた演出によりエピソードに対するそれぞれの表情(嫉妬・羨望・驚きなど)も見て取れてこれが効果的。
また、存じている方々の「今まで観たことがない」系の役どころを目にすることができてこれまた良かった。
それにしてもラストの妻のしっぺ返しの強烈さたるや……
わたしのおはなし
東京ノ温度
新宿眼科画廊(東京都)
2025/03/14 (金) ~ 2025/03/18 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/03/16 (日) 13:00
元ネタのないオリジナルだし川島さんは出演しないし、と新境地?
そこで語られるのは時間ものでは馴染みのパターンで、そこを丁寧に描くために理屈っぽい感が無きにしも非ずだが、そのテが好きな身として「因果律と運命論」などに「あーそれな♪」と頬が弛む。
(以降ネタバレBOXへ)
ハッピーケーキ・イン・ザ・スカイ
あまい洋々
王子小劇場(東京都)
2025/03/13 (木) ~ 2025/03/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/03/15 (土) 13:00
行方不明から8年後に白骨死体で見つかった女子高生に関して取材するフリーライター、その件を映画化しようと企てる映画監督を目指す女性を含むそれぞれイマを過ごす当時の同級生たちを描いた群像劇。
少人数での会話でそれぞれの今(と過去)を描く場を重ねてから関係者が一堂に会するクライマックスで真相を明らかにする(基本に忠実な)構造が分かり易いことに加えて円形ステージのようなアレが「あんな風に変化する」装置やキャットウォークに仕込んだ灯りを活かした場面・アイドルライブ場面、さらに漫画や音楽の好みに関する会話に惹かれた。
XXXX(王国を脅かした悪霊の名前)
お布団
シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)
2025/03/08 (土) ~ 2025/03/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/03/14 (金) 14:00
名家の令嬢の立居振舞について母から説教されるヒロイン……な場面(後半で出るジェンダー論の前振り?)から始まるのは「あのマクベス」のパラレルワールドの…(ネタバレBOXへ)…といういわば「マクベスジークアクス」(!)にして事前情報通り沙翁作品本歌取りがいつの間にか真犯人が明らかになる法廷ものノリに転じており「騙し絵」ならぬ「騙し芝居」みたいな?(笑)
さらにジェンダー論も加えていかにも「イマの芝居」。
沙翁作品を追究しているしている方や王政などに詳しい方からは批判があるようだが「一応マクベス(の内容)は知っている」レベルのσ(^-^) には面白かった。
ジョバズナ鼠の二枚舌
おぼんろ
新宿シアターモリエール(東京都)
2025/03/04 (火) ~ 2025/03/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/03/06 (木) 13:30
9年ぶりに観たが末原主宰の巧みな語りで観客を作品世界にいざない……どころか同化/没入させて始まり、四方囲み客席の会場(キャットウォークも含む)を役者が縦横無尽に駆け巡る独特のスタイルは変わらず。
がしかし本作は生きてゆくことの辛さ・寂しさを描いており、齢を重ね人生の重み(?)を実感した末原主宰ならではの作品だと思った。
それにしてもこの会場をこんな風に使うとは恐れ入る。(笑)
女歌舞伎「新雪之丞変化」
Project Nyx
ザ・スズナリ(東京都)
2025/03/04 (火) ~ 2025/03/13 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/03/05 (水) 14:00
女歌舞伎と銘打っているし主人公が歌舞伎役者だし、と軸足はそちらに置きつつ BUCK-TICK の楽曲を10曲も使うわレヴューあるいはジュリアナ風のダンスシーンはあるわと和洋新旧折衷で、それがまた巧く融合して面白い。
それは内容、演出だけにとどまらず、基本は和装だが中にはブーツやハイヒールを履いている人物がいるという衣装での表現もあって感心。
更に終盤にはギリシア悲劇や沙翁の要素まで取り込んで「そう来るか!」とニヤニヤ。
加えて降雨・海などの映像投影や終盤で漂うスモーク(?)、最後の「舟」の演出など舞台表現アラカルトのようでステキ♪
odd bird!!
劇団やぶさか
スタジオ「HIKARI」(神奈川県)
2025/02/14 (金) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/02/16 (日) 12:00
明治11年に来日し、東北地方や蝦夷を訪れたイギリスの女性冒険家の逸話(実話)を元にしたフィクション。
その冒険家の日本での通訳採用面接の場に借金のかたに吉原に売られそうになり逃げて来た女性、父の反対を押し切り学問を志す女性、さらには皇室に嫁ぐことを決められている高貴な女性らがそれぞれ異なる動機ながら偶然居合わせる設定で当時の様々な立場の女性を描く構造が見事。
しかも決して説教臭くなったりしないようあの手この手で娯楽要素を多々入れているのがまた鮮やか。
当時の世相などを「弁士」が観客に伝えたりバードが話す英語を同時通訳や吹き替えで日本語にしたりする工夫、対をなすオープニングとエンディングの「とざいとーざい」とキーとなる台詞の「前出し/再現」、ミュージカル的な場面など枚挙に暇がない。
また、思いがけない展開となる終盤、バードがトキに与える大岡裁き的で「粋」な「罰」の温かさに感動。、
「外国人の子供を身籠った元・柳橋の姐さん」の設定と活かし方も巧み。
これ、いつか再演して欲しいなぁ。
アナタがピンクの似合う子だから
怪奇月蝕キヲテラエ
新宿眼科画廊(東京都)
2025/02/14 (金) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/02/15 (土) 13:00
17年前に人気を博したアニメ(←架空)の舞台(ミュージカル)化の「舞台裏」を描いた80分。
主演オファーに躊躇する主人公の様子から始まり、「舞台で役を生きる」とは?な演技論/演出論や「自己中心」という単語の掘り下げ(大いに納得)なども経てコロナ禍が始まった頃の演劇界の動揺をも描いて鮮やか。
このテの「内幕もの」は本当に巧い。
カリギュラ
カリギュラ・ワークス
サブテレニアン(東京都)
2025/02/14 (金) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/02/14 (金) 19:00
カミュによる本来は3時間級の戯曲を圧縮して90分余に圧縮。
事前にWikipediaで予習して抱いた疑問が氷解することはなかったが(自分なりの解釈で)理解が少し深まったような気はした。
また、作者であるカミュを登場させるという高木作品お馴染み(?)の手口には頬が弛み、紗幕を使った舞台表現/演出に大きく頷く。
まよゐさんち
劇団五〇鬼
中板橋 新生館スタジオ(東京都)
2025/02/13 (木) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/02/14 (金) 14:00
登録者数が2桁の心霊動画系底辺YouTuberが取材先で体験する予想外な事態、な95分。
怪奇現象を何かと「霊によるもの」とされる現代では存在感が薄くなり姿も人間に近くなった妖怪たちが身を寄せている場、という発想が独特で面白い。
また、奇しくも半月ほど前に現代を何とか生き抜いている吸血鬼を描いた芝居を観ており(洋の東西はあれ)共時性にビックリ。
キャッツ・ザ・ライフ
劇団ミックスドッグス
王子小劇場(東京都)
2025/02/12 (水) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/02/13 (木) 16:00
人間としての生活に限界を感じた女子高校生が願い通り猫になり、といういわば「マイ・ライフ・アズ・ア・キャット」(笑)。
単に猫界での力関係を描くだけでなく、他にも人間界から来た人物がいてそれがまた……なんてあたりや某人気SF系映画リスペクト的な部分もイイし暮らしている地方に伝わる昔話との関連付けも巧い。
しかし人間でいることに嫌気がさして念願の猫になったのに結局そちらも嫌になって人間に戻りたいと言うヒロイン、自分勝手にもほどがある……いや、そういうところはいかにもイマの女子高生らしいのか?(笑)
なお、猫たちの人物(猫物?)設定/描き分けと「猫っぷり(演技・衣装)」が巧みでそれだけでも観た甲斐があった。
僕をみつけて
かわいいコンビニ店員 飯田さん
OFF OFFシアター(東京都)
2025/02/06 (木) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/02/10 (月) 14:00
7年前に観た(初演?)時は時折古傷をえぐられるような気もしたが、今回は内容がワカっていることもあってかどちらかと言えば傍観者に徹して事の成り行きをニヤニヤしながら見守る。
人物それぞれの設定/描き分けが巧みでいかにもありそうに見えるんだなぁ。
また、チーム猜疑心(10日昼に観劇)とチーム復讐心で立ち位置(座り位置)のみならず内容にも微妙に違う部分があり、出演者それぞれの個性も含めて楽しめた。
おどる葉牡丹
JACROW
座・高円寺1(東京都)
2025/02/05 (水) ~ 2025/02/12 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/02/07 (金) 14:00
夫が市議選に立候補することになった妻が市議・県議・国会議員の妻たちの会に参加して……なフィクション。
「主人/家内」という言葉や選挙に向けての「妻(いや、家内?)としての振舞い」の「指導」など言われてみれば確かに、な「ありそー!」に頬が弛み、共闘しているようだが実はライバル、という妻たちの「心の声」も楽しい。
また、能舞台を意識したという(通常は舞台の下手にあたる部分も客席にしたのもそれゆえか)円を基調とした抽象的な舞台美術も機能的で洗練された感じだし、冒頭の場面、音響効果と照明、それに衣装と演技から「○○かな?」と思っていたら直後の台詞でアタリとワカり、「それ」を舞台上で「見せた」ことにも感服。
『ストレイシープ』
ウテン結構
六本木ストライプスペース(東京都)
2025/02/04 (火) ~ 2025/02/08 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/02/05 (水) 15:05
方向音痴だという女性に問われて親切心から案内した男性だったが何故か元の場所に戻ってしまい……という不条理な状況から始まる(一種の)ファンタジー。
その不可解さというか不思議さというかがどこか夢の中のような感覚だが途中でこの会場の特質を活かし会場中央の階段を下って階下に移動してからのパートが進むに連れてダークに転じ「そういうことか」と見えてきて切なくも面白い。
なお、比較的早い段階で「もしかしてそういうこと?」と予期したことが当たらずとも遠からず、こういうの、好きなんだなぁ。
それにしても「この会場ありき」の作品だけに、今後の再演が難しそうなのが残念。
おっさんずセブン
WITHYOU
ザ・ポケット(東京都)
2025/01/29 (水) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/02/02 (日) 12:00
現代のパっとしない「おっさん」7人がタイムスリップして……という「七人の侍」に「TIMESLIP黄金丸」を掛け合わせたようなアクションコメディ。
ベタと言えばベタだが、それで観客を楽しませようとする意気やよし。
そしておっさん役の役者が事実おっさんなので(笑)クライマックスの対決場面で息を切らせているのは演技かガチか?みたいな(爆)。
こういう「娯楽演劇」ど真ん中なのもイイよね♪
一角仙人
演劇ユニット 金の蜥蜴
ブディストホール(東京都)
2025/01/29 (水) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/01/31 (金) 14:00
能楽には、というより金の蜥蜴が取り上げる題材は怨念などによる「ドロドロ系」が多いような印象(偏見?)だが、本作は原典がインドであるためか「カラッとした」感覚。
で、クライマックスが「宴」なので唐突に昭和30年代の「駅前シリーズ」「社長シリーズ」などの喜劇映画も思い出す。5年前の初演時にはそんなことはなかったが、どこか違ったのだろうか?(笑)
あと、装置はシンプルだが衣装が凝っていて説得力があるのはいつもながらお見事。
浴室
ジェイ.クリップ
サンモールスタジオ(東京都)
2025/01/29 (水) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/01/30 (木) 14:00
実在の事件を元にしていながら事件そのものではなくそれを取材する(幼少時にネグレクト体験を持つ)ライターを中心に描くことで小児虐待の罪深さを前面に押し出すだけげなく、数年に亘っているので「家庭における男女の役割」などにも触れているのが「イマの演劇」な感じ。
『幻書奇譚』
ロデオ★座★ヘヴン
新宿眼科画廊(東京都)
2025/01/23 (木) ~ 2025/01/28 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/01/28 (火) 15:00
世界最初の書物としての真偽を問われたが行方がわからなくなり12年、再び見つかったその書物について討論する博物館関係者とオブザーバー……な70分。2018年の再演を観ていたがほぼ忘れており(爆)改めて楽しむ。
いかにも柳井さんっぽい(私見)シニカルな内容はもちろん、劇中の台詞から察した劇中年の社会情勢や出来事に想いを馳せ本作の創作過程(?)に想像をめぐらすのもまた楽しからずや。
また「文書」と「器」の小道具(初演から使用とのこと)も見事。
どらきゅらぁズ
四宮由佳プロデュース
サンモールスタジオ(東京都)
2025/01/21 (火) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/01/26 (日) 12:00
薬を使うことにより人間の血を吸わなくても生きることができ、十字架・にんにく・日光などの弱点もなくなった吸血鬼姉妹とその母を中心とした物語。
吸血鬼を目の敵として駆逐しようとする集団との確執を軸に進むが終盤では好きなテーマの1つである「永遠に生き永らえることの是非」にも触れて娯楽作品としてのバランス良好。
あと、吸血鬼が副業として「利き血」で舐めることにより成分分析をするアイデアが愉快。