笑う通訳
電動夏子安置システム
上野ストアハウス(東京都)
2013/02/15 (金) ~ 2013/02/20 (水)公演終了
ヤバイ!帽子忘れた!何か代わりのモノない?
ポップンマッシュルームチキン野郎
千本桜ホール(東京都)
2013/02/16 (土) ~ 2013/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★
型とテンション
この劇団は、既に型を持っている。但し、同一ギャグを演じる時、三度目には、キチンと変化を加え、間の緊張感を保つ。流石、呼吸を心得ている。だが、型は、両刃の剣である。型になるのは、こなれている証拠だが、型が完成した瞬間、それは、観客との緊張感を減ずる。従って表現は両刃の剣の刃の上を歩かなければならない。この、最高度の演技を目指して今後も良い芝居を演じて欲しい。力のある劇団だからこその願いである。
Live in toRAIN No.A-h
トウキョウ演劇倶楽部(活動終了)
新宿シアターモリエール(東京都)
2013/02/09 (土) ~ 2013/02/17 (日)公演終了
満足度★★★
若書き
シナリオを書いたのが25歳の青年ということもあり、現在この国で起こっている問題を総覧するような形で取り込んだが、深化の度合いに未だ若さが、見えた。問題意識の方向性はこのまま、更なる成長を期待する。今回、叱咤激励の意味を込めて評価は三にした。
地図に無い背中
ZENROCK
劇場MOMO(東京都)
2013/02/13 (水) ~ 2013/02/17 (日)公演終了
満足度★★★
頓珍漢、ジャパン
冷戦体制が崩れた後、略奪国家としての本質を顕した米国にも陰りが見え始めた昨今、台頭して来た亜細亜諸勢力は、さながら戦国の争闘を思わせる熾烈な争いを演じている。このような世界情勢の中、闘いの意味する所を捉えきれず、機先を制する発想すら奪われた対米属国、日本は、得意としていたはずの経済分野、物作り分野でも凋落を免れない。日本を代表する企業であったSunyもその太陽的な意味を失い黄昏を迎えている。隋所でauroraでは無くtwilightを眺めるシーンが出てくるのも示唆的である。産業スパイ物ではあるが、現在、進行しているこの国の体たらくを面白おかしく描いて楽しめる。
タイトルとも絡んで背中による演技が入っていたが、惜しむらくは、役者が若すぎて背中で演技というのは荷が重かったという点だろうか?
シナリオの内容からいうと続編も作れそうな発展的シナリオである。
フクロウガスム
株式会社Legs&Loins
Geki地下Liberty(東京都)
2013/02/12 (火) ~ 2013/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★
トラウマ
多重人格者が、連続殺人事件を起こす。被害者は10年間で36人。犯行の手口は同一、メッセージも同一である。犯人は同一犯と考えて良い。而も被害者にも共通項があった。総ての被害者が子持ちであり、子供を虐待していたのである。
れいのへや 【劇団未成年 第7回公演】
★ 劇団未成年 ★
アドリブ小劇場(東京都)
2013/02/13 (水) ~ 2013/02/17 (日)公演終了
劇団 マウス オン ファイア サミュエル ベケット『消滅するまえに…』
シアターX(カイ)
シアターX(東京都)
2013/02/13 (水) ~ 2013/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
ベケットの普遍性
ベケット後期の作品から4つの短編「オハイオ即興劇」「あしおと」「あのとき」を英語で、「行ったり来たり」を英語とアイルランド語の2つのバージョンで上演する。難しいと言われるベケット作品の原語上演ということになるが、ベケットの作品の特質を知る為に、研究者は無論のこと、一般の方も観ておくのが良かろう。英語は苦手の方(作品の字幕は無いので、白水社から刊行され、今は絶版になっているベストオブベケット2,3巻とベケット戯曲全集の3巻を事前に読んでおくか、事前に問い合わせて翻訳資料が残っていれば、劇場ロビーで入手可能である。)(4作品の翻訳300円)。
英語は大丈夫という方は、公演前に演出家によるプレトークも英語で楽しんで頂くと良い。(通訳つき)
やすらぐあな
ま夜中散歩
王子小劇場(東京都)
2013/02/12 (火) ~ 2013/02/13 (水)公演終了
満足度★★
言語明瞭 意味不明
かつて、日本の総理をやった人物がこのように言われていたことがあった。彼ほどの狡賢さも感じない。分かりにくい作品が、イマジネーションを掻き立てる場合がある。それは、作者に強烈な主張があって、何らかの収束点なり目指す方向なり、がんじがらめの枠組みなりが強固に作用している中で、非常に深い苦悩を抱えていて見えにくい場合などである。だが、以上の場合は、どのケースも中心、方向、閉鎖系内の定点など基準になる尺度がある。だが、今回の作品は、只、己の陥穽のイマージュを薄めただけではないだろうか? 破綻に対する危機意識や佐伯祐三の自画像のような、頭が破裂してしまうような狂気も感じなかった。もっと、自分を世界に開いて独りよがりを克服しなければ先は無いように思う。
【無事に終演しました】タイトル、拒絶【ご来場本当にありがとうございます】
ロ字ック
サンモールスタジオ(東京都)
2013/02/09 (土) ~ 2013/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★
痛み
大分前に、何かでこんな記事を読んだことがある。曰く、“正月、盆などには、風俗嬢の自殺が増える”との内容だった。何処へも持っていきようの無い寂しさと都会の汚辱を呑んで、寂しさに追い詰められるようにして自ら命を断つのであろう。
バイオハザードカフェで朝食を
(株)エクセリング
俳優座劇場(東京都)
2013/02/05 (火) ~ 2013/02/10 (日)公演終了
満足度★★
言うべきことなし
シナリオは定石通り。もっと工夫が欲しい。余りに凡庸である。客の質も低い。客電の落ちた後、携帯画面を光らしている連中の多いこと。上演中、下らないおしゃべりの多いこと。それで満足できる客が行けばよい。
『ANARCHIST』アナーキスト
anarchy film
新宿アシベ会館B1(東京都)
2013/02/09 (土) ~ 2013/02/17 (日)公演終了
フレネミーがころんだ
熱帯
駅前劇場(東京都)
2013/02/07 (木) ~ 2013/02/12 (火)公演終了
満足度★★★★
観察力
Frenemyという米語は実際に存在すると作・演出の黒川 麻衣さんは、リーフレットに書いているが、手元にある英和辞書では見付からなかった。仮に作家の造語であるとすれば、良い感覚だ。実際、劇中で、各キャラが立っている点、シナリオの良さ、演技の上手さに加えてキャスティングの良さも光る。この辺り、現代日本に蔓延る歪みを活写して見事である。作家の観察力の冴えを感じる。
実際、自分の生活の中で、ここに登場するようなキャラクターを見た観客は多いのではあるまいか。まるで等身大の鏡を見せられているような感覚を惹き起こす迄に練られたシナリオである。場転、間の取り方も良い。
IN HER TWENTIES 2013
TOKYO PLAYERS COLLECTION
王子小劇場(東京都)
2013/02/06 (水) ~ 2013/02/11 (月)公演終了
満足度★★★
日本の病
In her twenties 2013
10人の女優が20歳から29歳になる迄の女の人生を描く、という作品だ。然し、根本的な所で疑問を持った。こういう内容なら演劇にする必要はないのではないか? という疑問である。無論、一人の人生にもドラマは存在する。然し、上演で、社会との関係よりは、二人称の関係が殆ど総てを占める時、自分等の世代には、没社会的と映るのも事実である。其処には葛藤というより、ただ、気分が移ろうだけの、いわば湿度・温度、光量などが総て管理され、自ら積極的にことに当たらずとも生きていける「社会」の中で夢を夢見ているような閉鎖的世界を感じるのである。間違っても、誰も死なず、怪我をすることさえもない。唯一の懸念は何時、何処ででも“暖簾に腕押し”という不如意から抜け出せないという漠然としたアンニュイだけだろう。そのような世界を舞台化するにあたって、殆ど、無作為に観えるようにキャスティングだけで処理したものを演劇とは呼べまい。
ただ、これが、現代日本の実相であれば、酷く、この国は病んでいる。その病の重さに気付かぬまま。
東京コンバット2013
ハム・トンクス
ザ・スズナリ(東京都)
2013/02/05 (火) ~ 2013/02/11 (月)公演終了
満足度★★★★
要通訳
設定は大阪・東京間戦争である。劇中、東京の人間には大阪弁が、大阪の人間には東京の「標準語」が分からなくなっていることが、恐ろしい。
戦争が始まるまでは、TVでも互いの文化圏の番組が流れていたわけだし、親族・倦族が、敵対する地域に住んでいる場合も多々あろう。就学、就職、転勤などでも様々なケースがあったはずであるのに、一旦、戦争ということになると、分かっても分かったと言った途端、スパイ扱いされ、銃殺されるということがあり得る。そのような恐ろしさまで意識して描いているとすれば大したものである。
ヒューイ
Amrita Style
小劇場 楽園(東京都)
2013/02/01 (金) ~ 2013/02/03 (日)公演終了
満足度★★★
彼我の差
1929年の世界大恐慌直前迄のアメリカは狂騒の時代と言われ、バブリーな時期であった。この物語の舞台はバブル終焉期1928年の夏、ニューヨークミッドタウンの安ホテル、フロントで展開する。原作はユージン・オニール。演出が、アメリカ人というちょっと珍しい趣向の作品なのだが、演出、役者共に舞台よりは、映画で活躍しているようだ。基本的に舞台役者と質が違う。
更に、アメリカの文明・文化と日本のそれとは矢張り大きな差がある。演出家はハワイ大学で大学院まで出、アジア演劇を専攻したと説明書きに書いてあるが、彼我の差を、全然、身体化できていない。一段落目、二段落目、二つの原因が大きいだろうが、表面的でインパクトの浅い作品になってしまった。
演出家の責任が大だが、演出家、役者それぞれが、もっと舞台の勉強をし、文化の基底を為すものを研究すべきである。
黄金郷
チームまん○(まんまる)
萬劇場(東京都)
2013/01/31 (木) ~ 2013/02/03 (日)公演終了
満足度★★★★
面白い
素直に面白い。ナカダ親子を演じた2人の役者の演技も見事である。エンターテインメントに徹しようとすることで、衒いを削ぎ、己の精神を裸にすることに努めないと、このように自然で嫌みが無い芝居はできまい。直球勝負でいい味を出している。教師役を演じた役者も良い動きを見せ、脇を固めた役者陣の息の合った演技も見物。
私の嘘、僕の嘘
Z団jr.
千本桜ホール(東京都)
2013/01/30 (水) ~ 2013/02/04 (月)公演終了
満足度★★★★
ダークマタ-
我々は、生きている中で様々なもの・ことをネグレクトする。ネグレクトされた者・物は、宇宙で言えばダークマターのように、溜まっていよう。濾過され人前に出ても格好がつけられる他所行きより遥かに量も多いのに、納得のゆく解を得られることは少なかろう。そのような暗く、穢れた世界に身を置いてこそ見えてくるもの・ことがある。いわば表通りの世界から見放され無いと看做されて無視された世界である。だが、量から言っても、宇宙の構造から言っても、明らかに光を凌駕するのは闇の世界だ。嘘は、恐らくそこから養分を得ている。危機の時代に表現する者の多くが、善よりは、悪に惹かれるのもその為である。
strange
ニットキャップシアター
ザ・スズナリ(東京都)
2013/02/01 (金) ~ 2013/02/03 (日)公演終了
満足度★★★
épave
今回32回目の公演になる劇団のようだが、評価するか否かがはっきり別れる劇団ではないだろうか。作・演出を担当している“ごまのはえ”氏は、韜晦を旨としているように感じる。例えば、仮面の使用法では、実在と感じる者に仮面をつけさせるといった具合だ。
作品は三部構成になっている。第Ⅰ部が垂直移動編、第Ⅱ部が平面移動編そして第Ⅲ部がⅠ部Ⅱ部の交差する直角交差編である。一応、始まりと終わりがある。然し乍ら、何か強烈に主張したいものやことがあるという具合に、作家は意識していない。いわばépaveとして自らの周りにあるもの・ことに注意を巡らし、納得するか否か、パースペクティブがあるか否かをアプリオリに知った上で行動するという方式を採らないのである。方向性はあるが、取捨選択は情況との関係で決まると言ってよかろう。その分、不確定要素が多く、解釈は多様になる。一方、主張なりテーマなりがハッキリした形を取り難い為、分かり難さが観客の好奇心をそそるのだ。
今回の公演では、原始的な楽器や唯の箱、チューブなどが人工音と併用されているが、音楽的な広がりや深さは、épaveがépaveとして漂うことに符号していた。
朝日一家の挑戦状
はらぺこペンギン!
吉祥寺シアター(東京都)
2013/01/31 (木) ~ 2013/02/03 (日)公演終了
満足度★★★
劇場の使い方
今回の公演では、観客席で舞台を挟む形で公演が行われたが、位置によって若干、科白の聴き取りにくい所があったように思う。持って行き方が荒唐無稽なのでちょっとシナリオが荒い感じがするが、終盤にはきちっと纏めて見せた。目の前で役者が身体化する演劇というものの力だろう。
4人の被疑者
劇団ヨロタミ
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2013/01/30 (水) ~ 2013/02/03 (日)公演終了
満足度★★★★
緊迫感
一見、何の関係も無いように思われた四人の被疑者は、舞台進行と共に、徐々に互いの関連が明かされて行くが、持って行き方が非常に巧みである。