ハンダラの観てきた!クチコミ一覧

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新春ソロアクトLive !!

新春ソロアクトLive !!

J-Theater

シアター711(東京都)

2023/02/11 (土) ~ 2023/02/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 各出演者が演目もジャンルも異なる作品を各々披露。

ネタバレBOX

 トップバッターは、ミュージカル等で活躍してきた高橋さんの歌唱。流石に上手いが完全なソプラノではないようだ。ソプラノの高音部にやや難がある。
 2番目はプロデュースもしている小林拓生氏。古代インドのサンスクリット説話集・パンチャタントラから「友情」を朗読。声の質が実に良いので聞きごたえがあると同時に裸足で板上に立つという姿勢が役者らしい拘りとしてグー。
 3番目は吉本さんの一人芝居「私の想う三浦環」。三浦環は、日本人オペラ歌手として初めて世界に認められた女性として有名だ。「蝶々夫人」で主役を演じ世界各国で舞台に立ったことで知られる。今回上演された作品は、吉本さんが戦争の無い、平和と愛に満ちた世界を祈って書いたという作品だ。然し、紛争地の人々と付き合いのある自分の目から見ると実際に戦争や戦闘状況を経験した人々の抱えている一筋縄ではいかない現実認識とは距離があるように感じた。
 4番目は山崎義春作の「桶やの戦争」の朗読。日本児童文学者協会が関わった本のようで「語り継ぐ戦争体験」という五巻本に収録された作品だという。
 ラストはギターの弾き語り。作詞・作曲・演奏をしたからシンガーソングライターということになろう。美言さんがトリを飾った。彼女も素足であった。
ハンドル握って

ハンドル握って

 StageClimbers

新宿眼科画廊(東京都)

2023/02/11 (土) ~ 2023/02/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 華4つ☆ 演劇好きには特にお勧め!

ネタバレBOX

 初見Stage Climbersの短編オムニバス公演と銘打って為された公演であったが約80 分ほどの今作、基本的に板上はフラット。ホリゾントの手前に丁度スクリーンを床まで垂らしたように幕を張り袖にしてある。場転に応じて必要な椅子、机等もその場で準備されるが、スピーディな動きで為されるので問題は無い。オムニバスと銘打っているのは、各挿話(三場)をそれぞれ短編と捉えて構成されているからで、一幕三場と考えて問題無い内容である。中心テーマは、芝居という世界の持つ魔力と言ったら良かろう。
 実際、演じるという行為は、実に驚異的な世界である。“どうらん”を塗ると羞恥心が消える等は、ヒトが殆ど本能的に持っている変身願望と密接に関わっていると思われるし、変哲の無い日常の退屈から逃れ、成れたかも知れない他の人生を生きることを夢見ることは、子供っぽいにせよ自然な人情であるからだ。無論、劇作家ともなればそんなに単純な発想だけでは味のある作品を生み出すことはできないが。何れにせよ、今作演劇好きのこんな根底的欲求を作品の深所に抱えた作品であるから、例えば場当たりに使う蓄光テープ等の話が出てきたりもするのだ。当然のことながら歌舞く行為の表象として用いられている点がグーなのである。
まっくらやみ・女の筑豊(やま)

まっくらやみ・女の筑豊(やま)

椿組

新宿シアタートップス(東京都)

2023/02/09 (木) ~ 2023/02/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 素晴らしい! タイゼツベシミル。華5つ★ 自分は基本的に開演前には作品の解説資料等は読まない主義だから今回も無論読まなかったが、帰宅後ざっと目を通してみると良い資料である。炭鉱の歴史などはご存知ない方には一読してからの観劇をお勧めする。

ネタバレBOX


 板上は、ホリゾント・両側壁に短辺を床につけた状態の黒板が埋め込まれており、スト決行時のスローガンや舞台上で起こっている事件争議等の年次がその都度書き込まれる。登場人物のうち子供・赤子は総て人形が用いられているがこの演出も実に効果的だ。
板上のテーブルや椅子として用いられる小道具には数十年前迄用いられていた林檎の木箱等も転用されておりレイアウトは適宜変えられるが色彩は総て石炭に煤けたような色合いで炭鉱の状況・雰囲気を醸し出している点も秀逸。トロッコの音や炭塵爆発の音等の用い方、昏目の照明もグーだが物語の進展に応じて流れる山崎ハコの歌が作品にマッチして身に沁み、物語と歌とのコラボレーションも秀逸である。
 嶽本あゆ美さんの脚本は、彼女の描くいつもの作品からも推定できるように取材力の確かさや本質的な時代考証、時代を象徴する事件や人物の選び方がその基礎を為していると思われるが、これらの土台の上に築き上げられる物語は、各挿話が見事な連環を為しているが故に観客に必然性を感じさせる。作品が自然な流れと見える所以であろう。唯でさえこのような構造を持つ彼女の作品が、今回は、現代になって漸く一般の人々にとっても身近な概念となってきたジェンダー的視座からも見返され、その深く本質的な互いの性差と共通項を炙り出し問題の根深さを描き出してみせた点も高く評価したい。即ち現代でこそ浮き上がらせることのできる視点から照射する手法の確かさ手堅さを評価する次第である。この優れた脚本を見事に身体化している役者陣の演技が素晴らしい。更にこの脚本と役者陣の演技双方を時には異化効果等も用いつつ繋いだ高橋正徳さんの演出も見事なら、加藤ちかさんの舞台美術も素晴らしい、振り付けにスズキ拓郎くんが携わり宣伝には黒田征太郎さん凄いメンバーが揃っているのも椿組公演の魅力だ。プロデューサーも兼務した外波山文明さんは、演技にも生き様が自然に顕れて役者さんの歳の取り方として見事だと感心させられた。無論、お名前は挙げなかったが出演している他の役者さんたち、関わっている方々皆さんとても素晴らしい。
愛犬家

愛犬家

甲斐ファクトリー

ザムザ阿佐谷(東京都)

2023/02/08 (水) ~ 2023/02/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 初日が終わったばかりだから、細部は後送するとして、ヒントとしてsenseという単語が持つ様々な意味の中で思慮・分別や感覚や意識、感覚能力の他に方向性などの意味もあることを指摘しておきたい。(追記後送)
 ところで、自分が「観たい」で書いていた深海魚と水圧に関する記述での指摘は、人間が変身した状況を描いている訳だから、作家が敢えて矛盾する説明文にしたのではないか? との疑念を観たいの指摘とは別に同時に考えていたのだが、後者の記述が当を射ていたと舞台を拝見して発見するに至っている。

ネタバレBOX

 今回の公演は甲斐ファクトリーの旗揚げ公演の再演である。小説家などの処女作についてもよく言われることだが、初作品はその作家の傾向を最もよく顕す作品だという。甲斐ファクトリーは劇団なので劇団の傾向を最も色濃く出した作品ということになろうか。そうは言っても、再演に当って大改訂がなされているとのことなので初演を観ている方々にとっても新鮮味のある作品になっているのではないか。導入部で、“何故犬を飼うか”について英国の諺を引いて極めて説得力のある、同時に今作に密接に関わる台詞が入るのも上手い。舞台美術も中々ユニークなもので、殊にピンスポを多用する序盤では舞台美術と相俟って照明の齎す効果は絶大である。中盤では板中央の朱色ドア傍らに付けられた照りの点滅による効果も素晴らしいがこの辺りの演出がグー。
No Robot

No Robot

One Bill Bandit

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2023/02/04 (土) ~ 2023/02/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 極めて面白い。追記2023.2.7午前1時。

ネタバレBOX

 板上は、ホリゾントの手前に白っぽい長方形の箱を下手壁から上手中ほど迄伸ばし、箱の下面に階段になる程度の高さの平台を置き、ホリゾント側が袖となって基本的な出刷けはこの1か所、1回だけ客席通路が出捌けに用いられるもののメインはあくまで板上である。場面設定によってパソコンが対面で載った小さな机や付随する椅子等が配置される。
 脚本レヴェルで個々の登場人物のキャラが立ち、社会的諸関係の距離が適正である為、様々な擽りや歌舞く台詞・演技が醸し出す動態自体がモビールの動きのようなある種の必然性を持っている上、微妙な距離感を正確に表現させた演出、それに応えた演技もグー。
 ひとまず粗筋を記しておこう。工業用ロボット製造企業・月島ロボティクス企画室の高見は近く開催される業界のイベント、ジャパンロボットウィークの企画書を提出するよう命じられた。偶々真摯に考察した企画書に空きがあったので埋めるために冗談半分に出した企画が取締役に絶賛された。然しこの企画は、工業用ロボットの企画としては余りに斬新、広報するにも提案者である高見の意見は必要欠くべからざるものとされ、サポートを余儀なくされた。然し問題が2つ在った。1つは企画ロボットのユニークさ、作業する際に歩行すること。この歩行に関しては極めて精度の高い而も安定した歩行が求められる。人間がそのような歩行をするケースを考えてみるとそれは能の演者の歩行にあるのではないか? との結論に達した。そこで能の宗家(柊木家)を訪ね、その要諦を教示願うこととなった。ところで、人の動きはそれで教わることができるにせよ、ロボットの動作にそれを落とし込むことは機械工学との関係になるから、別問題だ。工業用ロボットが作業をする際に安定は絶対必要である。その安定を得る為には、生き物の骨格や筋肉、神経系の構造と相互関連、更に脳とどのように連動し、その結果どのように動くのかが解明されねばならない。それが解明された上で機械としてどのようにその自然の複雑な動きをバランスよく安定的に再現できるかが実現されねばならない。メインストリームは、このような技術的難題にチャレンジする月島ロボティクス社員と開発に協力する人々とのあれやこれやが描かれる。即ち600年以上の伝統継承の重さを背負い実際に生活する伝統芸能の能楽師(シテ)宗家の者らがロボット開発に絡んで生きることが、あらゆる生活空間に科学技術の影が宿る現代先進国の生業に力を注ぐこととどのように両立し得るのか? が、伝統継承順位1位の宗家長男・武義、工学や情報機器にも才と指向を持つ次男・文義、そして伝統的には能楽師になれない妹・千景のジェンダー問題迄孕んだ生活の算段にどう影響するかへの不安がある。第2にロボットの動きが自然で而も安定し作業に安全が保障できる所迄追求できればというロボティック社員の希を掛けて協力を乞うた生物の身体の専門家・犬神博士は、{文Ⅰ卒キャリア組の基礎研視の齎す壊滅的結果(毎年3万人以上の自殺者があった当時のポスドクの異常な迄の自殺率を参考までに上げると、ポスドクに限ってみれば日本の自殺率が最も高かった時期平均の十数倍であった。)無論、グローバリゼーションと軌を一にした基礎研究軽視によって日本の科学的知性の総力はガタ落ちし、頭脳流出も酷かったこと。そしてそれが現在も続いていることが一般の人々にも漸く見えてきたことであろう。}を正確に予知していたのは当然だ。多少本当のことを言うならば、時代の底で何がどのように起こってきたかを注視している者から見れば余りにもあからさまな政治屋や官僚の無定見は明らかだから、この辺りの事情が博士の台詞にアイロニーとして盛り込まれていると取れる。
 優れた喜劇は、一皮剥くと極めておどろおどろしい社会の欺瞞を暴くものだが、今作はこの「国」の内実を、その喜劇的本質に於いて鋭く批判していると観て良かろう。その手法が、サブストリームとして広報室のメンバーたちのキャラや演技に現れていると解した。例えば高見の同僚・奥寺に秋波を送り続ける広報室華岡の演技は単に恋愛行動というよりも歌舞く所作そのものである。このことが原因でべたべたした演技にならずドライなのに冷たさが無い。剰えその場の空気を換えるインパクトも持つのだ。更に沖縄出身の知念が天才的な洞察力を以てシチュエイションの細部を解き明かしたり、優しく人々をフォローするのも、ヤマトンチュー一般が沖縄に負わせ知らんぷりを決め込んでいることに対する正当な抗議と見做す方が良いかも知れぬ。犬神博士の教え子であった大河内も狂言回しとして上手く機能しているし、大学院修士課程の学生としては優秀だが、全く体力の無い大河内が憧れる元プロレスラー仲道との掛け合いは、もっと単純な笑いを誘うあっけらかんとした喜劇性を持ち、歌舞く台詞・演技とは異質な笑いや感興を齎し芝居に厚みを加えている。更に室長・宇田川のトンデモキャラは、この「国」の矛盾だらけで無責任極まる為政者及び支配層の象徴的カリカチュアとして観ることができる。と同時にこれだけの脚本を書き、演出もしている人物に対し、実際に演劇を上演する側の現実に有効で合理的な配慮である。観客にこのように見せることでこの国の「保守」を標榜する為政者の余りの愚かさとかつて河原者と蔑まれた演劇人の知恵や経験、思慮の深さ、真っ当な人間らしさを突き付け対比させ正面から見せた点も評価したい。
 全体の展開としては、中盤迄歌舞くシーンを多用して笑わせると同時にアップテンポで進められた舞台が、プロジェクトを中止せねばならぬかも知れないという状況になる辺りから深い人生哲学に裏打ちされたような場面に変わり一挙に収束してゆく。背景に流れるラップや音響と進展する物語の相性も素晴らしい。名場面も数多く楽しみつつ、心に残る作品に仕上がっている。
マジックリアリズム

マジックリアリズム

劇団龍門

シアターシャイン(東京都)

2023/01/25 (水) ~ 2023/01/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 兎に角、いきなり引き込まれる。

ネタバレBOX

 板上はほぼシンメトリックな舞台美術。シンプルだが極めて合理的で衝立の位置を前後でずらしその各々に板床迄届く布を掛けて各2か所の出捌けと袖を確保しつつ、側壁もやはり衝立で構成、劇場の側壁との間に脚立を配し、下手には青い鳥の入った小さな鳥籠を下げ、上手には脚立に上る足がかりとして箱馬を置く。
 脚本の冒頭も素晴らしい。何か訳の分からないことがいきなり人間を襲い、訳の分からないまま極めて切迫した状況に投げ込まれる有様が、舞台上と観客に同時に起こるのだ。村手龍太さん演じる男は、坂本九の「上を向いて歩こう」を口ずさみ乍ら車を運転しているのだが。
 作品は緊張するシーンばかりでは無論ない。途中エンタメ要素もかなり入っているが、肝心なところでは、実に深い人生の真実、例えば人間の生きる実世界での究極の価値、それを表現する者はどのように捉え表現するかについて考察する有様、及び発表するに際しての覚悟に通じる普遍的価値観を追求していると観ることができる。もう少し分かり易く言い換えると、現実にヒトの為すべき最上の行為とは、他人の立場に立ってもの・ことを見、考え他者を自ら生きること、そしてアーティストの本質的要件とは、この一事を自らに課し実践する覚悟を持つことである、と。
 因みにラストに掛かる曲も坂本九のヒット曲である。今作はこんな点にも粋が仕込んである。
俺は誰だ?

俺は誰だ?

Offbeat Studio

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2023/01/25 (水) ~ 2023/01/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 う~~む、もっと脚本はハッチャけて欲しかった。

ネタバレBOX

 真面目だが、ロトい30台前半くらいのサラリーマン・浅井が主人公、漫画のダメおやじ的キャラではあるが、妻と娘は優しい点が異なる。このような相違点は、今作の脚本家が選んだ生き方が作品に表れているからだろう。だが、それが今作がハッチャケきれない原因でもある。但し個々の役者の演技はかなり高い。主人公を演じた曽世海司さんが眉の動かし方一つで浅井の気弱な性格を表して見せたり、だるま座の剣持直明さんが幽界の門番と医師の二役をその存在感の差で演じ分けたり、デスゴッド役の前田さんは嫌われ者・死神の権勢と哀感を味のある演技で表現、権左役の千葉さんの剣技も中々グー、等々役者陣の演技も総じて質の高いものであった。

 然しながら、脚本家はもう一段、自我という束縛から離れてみることも必要だろう。言うまでもないことだが、言葉は常に自らの発明したものではない。こういう状況を自らに取り込みえた時にこそ、自己は他者であると同時に他者が自己を通して作品に結実するからである。なお一層の精進と練達を期待する。
江戸 吉原事始め

江戸 吉原事始め

シアターX(カイ)

シアターX(東京都)

2023/01/25 (水) ~ 2023/01/25 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

華5つ星

ネタバレBOX

 江戸文化の中心と考えた方が合理的だと納得がゆくほど深く多様で質の高い、現代でいえばテーマパークやシティ・ホテル、宴会場、文化サロン、ファッション牽引地区及びファッションモデル的役割さえ果たしたと言えそうな花魁たちの持つ明るいイメージと明治時代に起こったマリア・ルス号事件を契機に吉原のイメージが暗い反社会的なものに変えられてゆく過程が見事に炙り出された凡そ400年の歴史、素晴らしいとしか言いようがない。
チェブラーシカ

チェブラーシカ

シアターX(カイ)

シアターX(東京都)

2023/01/24 (火) ~ 2023/01/24 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 講演開始前にチェブラーシカの登場するアニメを参考にし、これらをベースにロシア文学の本質と考えられる要素を上げつつ、会場との意見交換が行われた。ロシア文学の持つ本質についての講師のご意見は尤もと判断した半面、

ネタバレBOX

チェブーラーシカ作品に登場する様々なタイプの悪党(嘘つき、泥棒、詐欺師等々との対比を通した弁証法や、弁証法を示した上での二元論との比較、更に現在喫緊の課題である情報操作がこれらに絡んでくる点についての追求は、会場で起こらなかったのが残念。
Dramatic Jam 4

Dramatic Jam 4

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2023/01/13 (金) ~ 2023/01/19 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 如何にも、feblaboらしい質の高い作品群!

ネタバレBOX

 チームCを拝見。短編3作を上演した。各々内容は様々だが、どの作品も高校生くらいの思春期真っ只中の柔らかく、傷つきやすく、而ももじもじしたおっかなびっくりを見事に形象化した作品群である。舞台美術はシンプルで合理的、客席は正面席のみである。作品内容によって場転の間にレイアウトが変化する。最初の作品では、正面に向き合う形で椅子、その客席側にテーブルが置かれていたが、2作目では椅子がテーブルの左右に置かれ、喫茶店の店内になる、3作目はフラットという具合いである。この辺りの場転も実に合理的で素早く行われるので観劇の集中力を落とさない。
 作品内容も微妙な思春期の揺れや心許なさ、頼りなさ、照れや経験不足故の覚束なさを巧みに表現して素晴らしい。
 無論、3作品のうち1作は、如何にもfeblaboプロデュースらしい複数の解釈を可能とする謎も仕掛けられた作品だ。どんな解釈が可能か? については観て確かめて頂きたい。
無人船

無人船

劇団 枕返し

中野スタジオあくとれ(東京都)

2023/01/13 (金) ~ 2023/01/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

華4つ☆

ネタバレBOX

 板上は、中央・観客側の縁に日本の沿岸で用いられる典型的な漁船・チャカを側面から見た張りぼてが置かれており、その上手に濡れることを防ぐ為カバーの掛かった箱馬、船首は上手を向き船名は右から読むアラビア語のように深水丸と書かれている。なお船体中央の奥には通常操縦席などのある部位が何の覆いもなく剥き出しになっており、無論、ラットも無い。
 劇団名が枕返しという妖怪からとられた名であるから、登場するキャラも河童、アマビエ、人魚など及び人間である。アマビエはCovid-19以降、新聞等でも紹介された妖怪だから今や著名妖怪、河童、人魚はもともと有名な妖怪であるから今更説明には及ぶまい。
 今作、本質的には可成り深い作品である。殊に親と子、夫と妻、そして愛人などのややこしい関係とその関係に絡まる事情や誤解が相まって人々は深く傷ついたり悩んだりし、挙句道を踏み外すこともある。だが、生きて在るということは、それほど杓子定規なことだろうか? そんなこともキチンと提起してくれる深さを持っている。
昭和歌謡コメディVol.17〜バック・トゥ・ザ 築地!~

昭和歌謡コメディVol.17〜バック・トゥ・ザ 築地!~

昭和歌謡コメディ事務局

ブディストホール(東京都)

2023/01/12 (木) ~ 2023/01/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 築地四天王!

ネタバレBOX

第一部は「バック・トゥ・ザ築地!」と題されたコメディー、間に15分の休憩を挟み第二部が「歌と笑いの歌謡バラエティーショー」の二部構成。
 ギャグは昭和を地でいったようなタイプのものなので、自分には喜劇の難しさを感じさせた。というのもギリシャ喜劇などでも傑作と言われる作品でさえ、現在の感覚からみると、悲劇の傑作「オイディップス王」には遠く及ばない訳で、その原因が時流の変遷する中にあって軽さを本質とする体のものだからという点にあるだろう。今作で描かれているのは西暦でいえば1970年代末頃から80年代という印象を持った。年号でいうと昭和53年頃からせいぜい63年頃までか。族にレディースも登場した時代だ。その後はチーマーが登場したがまるでタイプが違う。今作で描かれているタイプは、所謂不良のうち、最も良質なタイプ。硬派の不良である。従ってカツアゲや弱い者虐めを嫌い、そういうことをやる奴らを見つけるとぶっ飛ばすような、媚を売らない、自由が好きな為に大人たちの飼い慣らされた安寧や欺瞞・偽善に楯突くタイプの「問題児」であった。だからそのリーダーたちは喧嘩も強いが優しい所のある人情の分かる賢い奴が多かった。つまり理不尽な世間にはケツを捲る頼もしい若者が居たのである。物語に出てくるアメリカで成功し世界的な企業のCEOとなった人物が築地四天王の一人であったという設定はこのような気風があってこその発想だといわねばなるまい。
 喜劇の難しさについては冒頭に述べた通りだが、これを克服するためには喜劇を作る様々な技術の駆使は無論のこと、それらの普遍的視座と技術に作品で描かれた各時代の息吹と上演される時代の息吹が呼応し合う必要があるように思う、極めて困難なこの見極めができれば更に素晴らしい、そして普遍的価値を持つ作品になろう。
 第二部は、芝の劉園(正確な表記は不明)のCMに出ていた、リンリン、ランランのCMをベースにしたギャグも入った歌謡バラエティーショー。当時流行った数々のヒット曲、名曲が披露されたが、本職が歌手の出演者も居て、皆歌がうまい。

ミュージカル『CATsLa』

ミュージカル『CATsLa』

呼華歌劇団KOHANA

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/01/13 (金) ~ 2023/01/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 にゃん

ネタバレBOX

 歌劇団と名乗るだけあって女性陣は何れもなかなかの芸達者、歌も上手い。グランドピアノの生演奏も入りピアニストも腕は良いが、男性ピアニストとしては鍵盤を弾く力が弱い。ピアノのメーカーまでは確認しなかったが、あまり上質のピアノとは言えない代物なのかもしれない。(もし間違っていたら、申し訳ないが)音響はピアノのみならず他にも用いられ、ソロの時はともかく、倉は天井タッパも高く音響効果が緻密に計算された設計ではなかろうから、かなり強く弾かないと折角の生演奏が活きない。また男性出演者の中に音程が狂っている者が居たのは残念。ミュージカルと銘打っている以上、これはあるまい。プロデューサーは何をしているのか? 
 ストーリーも余りに単純でイマジネーションを活発に働かせる必要がない。良かった点は、猫の種によってその特徴がキチンと示されている点。無論、かつてエジプトで神或いはその使いとして大切にされたことや、魔女狩りが盛んだった中世ヨーロッパで魔女の手先とされ虐殺された多くの猫(殊に黒猫)の悲惨な歴史や、現在の状況(良心的な飼い主・ブリーダーや、子猫の時だけ可愛いと飼ってその後捨てたりする心ない飼い主のことなど)も織り込みつつ描かれている点は、にゃこに飼われている小生としては評価したい。
メビウスの輪〜縁の交わり〜

メビウスの輪〜縁の交わり〜

多摩美術大学 演劇舞踊デザイン学科

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2022/12/25 (日) ~ 2022/12/26 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 2作品、同時上演。2作品総合で5つ☆

ネタバレBOX

 2022年度多摩美術大学演劇舞踊デザイン学科卒業制作演劇公演である。2作品を上演した。舞台美術はやや観客席に近い天井からメビウスの輪の一部が吊るされた空間。その奥、床上に下手から上手迄延びるフェンス状の仕切り。この仕切りには白っぽい薄い紗のようなものが貼られ開閉が可能である。他に大小様々で高低差があり何種類か形の異なるオブジェと腰掛けが場転、作品各々によってレイアウトされる。衣装を含め全体的に白っぽい色調を用いることによって若者らしい未だ世間の灰汁にそれほど染まってはいない状況を示唆しているかのようだ。
 パート1は『解体されゆくアントニン・レーモンド建築旧体育館の話』 
 登場人物たちの名前がユニークである。息吹、敬虔、奔放、哲学、癇癪、沈黙、平穏、飴玉だ。無論、各々の名がその性質を象徴している。物語は在る大学の学生達の日常を描くが、その中心になるのが皆が集まってダべリングしたり、サークル活動したり、学生らしく自由で夢見がちで、経験が少ないことがちょっと不安で、或は他の人から非難されることが気になってとことん突き進むことを躊躇してしまうモラトリアムを生きていることを殆ど意識せずに何となく気に入っている建物を背景とする。ところが学生たちのこのような感覚を許容する空間を提供する旧体育館が、解体されるという。するとある学生(哲学)の解体を契機とした修士論文が提出された。論文は賞を獲り校内誌のみならず教授たちにも注目されて再考を促す者、解体反対論を主張する者も現れて議論された。然し哲学が大学を卒業した2年後には反対意見も静まり解体されてしまった。思い出に埋もれかけた敗北感と空虚を通して日本の特質たる非本質的属性をやんわり描いた点に青春の稔りなき頼りなさ・甘酸っぱさがキチンと学生らしい視点で描かれて在る。華4つ☆
 パートⅡは、野田秀樹の原作であるが、流石に一流の書き手の原作ということができる。満州での人体実験の話が出て来るが、ツッコミが上手く、大胆である。史実を多少なりとも知っていればいくらでも深読み可能であるし、現在のCovid-19に対する政府・官僚らのいつも通りの民衆無視にも通じるからだ。華5つ☆
獄中蛮歌

獄中蛮歌

生きることから逃げないために、あの日僕らは逃げ出した

四谷OUTBREAK!(東京都)

2022/12/28 (水) ~ 2022/12/29 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

 激情キネマ舞台『生きることから逃げないために、あの日僕らは逃げ出した』という源から派生した集団演じるフライヤーには、囚人服姿の登場人物たちが描かれている。無論上演中、何度か呟かれるように「僕たちは笑う為に、泣きながら生まれて来た」という美しいフレーズに結晶するリリックな部分が無い訳ではないが、脱獄を試みて失敗し続ける姿を描く今作から感じるのは、諦めないことは評価するにせよ、失敗から本質的な教訓を学ばず敗北主義に甘んじ真の対決を避けようとする甘さと決意性一般で総てを曖昧化しようとしている意志である。真の戦いは、論理による勝利を確実にし、当初の計画を実現するものである。その辺りを勘違いしてはいけない。華3つ☆

道産子男闘呼倶楽部 新作先出し読み合わせ『きのう下田のハーバーライトで』

道産子男闘呼倶楽部 新作先出し読み合わせ『きのう下田のハーバーライトで』

モダンスイマーズ

ザ・スズナリ(東京都)

2022/12/28 (水) ~ 2022/12/28 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 今回は新作先出し読み合わせというコンセプトの公演なので朗読の形式を採っているが、通常の演劇公演の形での上演は2023年の10月に同じ下北での上演を予定している。脚本が実に良く練られていて面白いと同時に役者2人の演技も素晴らしい。ナレーションも緩急上手く案配し作品進行中は蔭になり日向になってフォローし、ラストは照明ともタイアップして深い余韻を醸し出してセンスの良さを際立たせている。今回の舞台を拝見して本チャンも是非観てみたいと思わせる内容であった。無論、今回の形式でも2人の役者の掛け合い、緩急の付け方と脚本内容との見事な照応を堪能できる。(追記後送)

あえて、クリスマスに 詩画による戦中戦後という時代

あえて、クリスマスに 詩画による戦中戦後という時代

シアターX(カイ)

シアターX(東京都)

2022/12/25 (日) ~ 2022/12/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 詩画家、森田さんを中心とした朗読と作品背景解説、関連書籍、歴史事実の紹介等、非常に濃い内容の会であった。途中、休憩を挟み3時間超。

ネタバレBOX

 森田さん御自身、小国民世代ということもあり戦中、戦後の体験談も織り交ぜ貴重な証言も随所に在る伺っておくべきお話の数々を体験させて頂いた。
リーディング&シネマ 「川端康成 葬式の名人 」

リーディング&シネマ 「川端康成 葬式の名人 」

株式会社ムーブマン

シダックス・カルチャーホール(東京都)

2022/12/22 (木) ~ 2022/12/22 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 パート2で川端が卒業した現在の茨木高校(川端在学時は旧制中学・大阪にある学校である)も協力した映画をも併映。

ネタバレBOX

 上演は2パートに分かれパート1では川端の短編、日記、エッセイ等の朗読がエレクトーンやチェロの生演奏を伴って行われた。開始早々の伴奏は「アヴェマリア」をアレンジした演奏から始まった。エレクトーンによる演奏だが、上手い。10分の休憩を挟んでパート2は、朗読と大いに関係のある内容を盛り込んだ映画上映。
 私自身の好みとしては、映像化されると朗読で自由に羽搏かせることのできたイマジネーションが狭められ、映画はパート1程酔うことはできなかった。だが、映画のラストで用いられている曲が矢張り「アヴェ・マリア」でこちらは録音の再生だが通常聴くアヴェ・マリア」を用いて全体をサンドイッチにしつつ、変化を付けるという悪戯をも加味している。途中休憩10分を挟み実質18時50分開演の約2時間35分から40分の作品。
マザー4

マザー4

サヨナラワーク

劇場HOPE(東京都)

2022/12/20 (火) ~ 2022/12/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 フライヤーには、5名の女優が写っているが1部Wキャストの為、登場するのは4名である。華4つ☆

ネタバレBOX

 板上は基本的に素舞台。三方奥に黒幕を張り、ホリゾントにはほぼ全体を覆うような薄いグレーのパネル。上辺のコーナーのみ角が切り取られている。50㎝程間を開けて幅30㎝程の真っ白な板が天井部、ホリゾント部分、床をコの字に覆っているが奥より客席側の方が幅広くなっているため、丁度絵画の遠近法のように、中央パネルに観客の視点が集中する仕組みになっている。完全なシンメトリーである。この演劇空間を照明が実に効果的に照らし出すことで演技がくっきり浮き上がるように見えるのは実に効果的だ。
 明転すると登場するのは4人の女性、何れも同い年の24歳、全員同じような指輪をはめている。物語はエレベーターの内側と出た場所、即ち内側と外側で展開する。而もほぼ同じ場面が延々と繰り返される。というのも奇妙なことに新たに乗って来た女性が「何階ですか」と尋ねられ「5階をお願いします」と応えるとこのシーンが延々と続くからである。乗客は5階で降りる女性を含めて4名、服装は夫々異なる。彼女達は、この不可解の原因をあれやこれやと考えるのだが、この思考過程を通して解を見付けてゆくのが今作の中心的な流れであり、物語である。意外にもあるジャンルの話で、それをこのように表現している発想が卓抜。脚本と舞台美術のセンスの良さ、演出の良さ、照明の見事なことが評価できる90分弱の作品。5つ星を付けなかったのは、前説で着席をキセキと発音したことで国語力の余りのお粗末を露呈したから。演劇は総合芸術だ。ジョークでやっている可能性を100%排除する訳では無いがジョークとは思えなかった。
馬鹿(オンガウ)

馬鹿(オンガウ)

立教大学演劇研究会

立教大学 池袋キャンパス・ウィリアムズホール(東京都)

2022/11/04 (金) ~ 2022/11/21 (月)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

 いい作品だ。よくぞ、これだけの作品を書き、演出し、演じた。
見事!

ネタバレBOX

 物語は、母が子にせがまれて祖父の話を語るという設定で展開する。物語の舞台はかつて香港の一角に実在し警察もおいそれとは入れないと恐れられた時期もあった九龍寨城がベースとなっていようが、今作では七龍地区という名称で語られる。登場人物達はフィルムノワールで描かれるような黒社会のメンバーを中心に市井の貧しい屋台業従事者や青い目の新任警察署署長(ユンヤン)、スラム化したこの街の風俗・情報屋(フーロン)、娼婦と客との間に生まれたストリートチルドレン等である。スラムの常として麻薬の氾濫と売春、闇取引や黒社会、殺人事件等凶暴犯の横行、人身売買等は当たり前。
 そんな街で育ち、10歳頃に饅頭1つを安心して食う為に人を殺して生きる道を見出した男が居た。黒社会・大熊猫(ダージョンマオ)のボスに拾われ、命じられるままに人を殺し、東地区リーダーを任され、鏖の金鹿(ジンルー)と仇名され恐れられる男だ。そんなジンルーをある時10歳位の青い瞳を持つ女の子(アシマ)がパパと呼んで近寄ってきた。腹を空かせたジンルーが初めて人を殺した時と同じ年頃の女の子が腹を空かせて頼ってきたのだ。ジンルーは偶々持っていた饅頭を「喰いたくなくなった、捨てておけ」とぶっきらぼうに与える。アシマはジンルーの優しさが理解できた。そしてパパと呼んでつけてきた。彼の部屋にそのまま居座った上、このままでは眠れないから「おやすみ私の可愛い子、お前に幸せな明日が訪れますように」と言ってくれとせがむ。ジンルーは毎夜、彼女のこの望みを叶えて9年が経った。
 ところで最近この地区では変死者が多発していた。何れも藥に絡んだ死だったが死体からは甘い香りが漂うのが共通点だった。皆ダージョンマオの売人から買ったと噂されていたが藥の供給元に確認してみても調合は変えていないとの返事、嘘をついているとも思えなかった。ジンルーは昔馴染みのフーロンに情報が無いか当たる。そして次に藥が売買される時刻と場所に関する情報を入手して張った所、マッポが来た。そこでこのような変事が始まった時期から、この機密情報を漏らした仲間内のスパイが居る可能性を詮索すると銃撃の才能が極めて高く2年程前にダージョンマオのメンバーになり、ライバル・ユーシーに可愛がられるチシンに疑いを掛けたが、ユーシーが次の取引に関する日時と場所をチシンには知らせず四六時中監視をつけてそれでもマッポが現場に来るようなら彼女は無実だ、との主張に同意しその機会を待つと、チシンが無実であることが分かった。一方七龍地区警察署の新署長となったユンヤンは、七龍地区を黒社会の支配から解放し健全化することこそ正義だと主張、七龍地区を解体整備する過程で自らの権力と富を増そうと画策する。その方策の1つが藥売買で売人は実際には自分の息の掛かった者を用い、ダージョンマオの名を語って藥による殺害の罪を被せ、正義と解体整備の名の下、七龍地区を破壊することによって総ての証拠隠滅を図っていた。この辺りの悪どさが実に興味深い。まるで日本の政権与党そのもの(無論、中国の政治に対する間接的批判もあろうが)ではないか!
 他にも義と人情を標榜するユーシーが優秀ではありながら、そのメンタリティーの甘さからプラグマティズムを援用し、人間性等一切無視して冷徹に敵と見做した者を虫けらの如く殲滅して歯牙にも掛けないユンヤンのような人間には無効であること、それを何らかの形で阻止し得るのは、このような下種の遣り口を充分に知りながら己が命を張り弱い者の側に立って行動すること、そのような真の優しさだけだということをも明らかにした。今作でジンルーが主役であるのは、その所為だ。最後に近い部分で一家がジンルーの仮借ない借金取りたてによって解体したとして彼を射殺した饅頭屋の弟によって殺されたのも本当の父は自分だと言った青い目のユンヤンにではなくジンルーをパパと呼ぶ事を止めず自分の側についたアシマを護る為だった。ラストシーン、母が子供に語る台詞が「おやすみ私の可愛い子、あなたに幸せな明日が訪れますように」であるのは、この母子が饅頭屋の弟の末裔であることをも暗示していよう。

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