満足度★★★★★
鑑賞日2016/07/02 (土)
開演前、物販のお姉さんが過去作の紹介で「どれも口論する芝居ですよ(^-^)ニッコリ」と身も蓋もないこと仰ってましたがw、日常会話から見え隠れし、徐々に明らかになる「当人のコダワリとシガラミ」をベースに展開する口論には双方とも一蹴できない重みがある。
当初は「何言ってんだ、この人」みたいな発言にも、ジワジワ意味付けされていく構成は手堅く心地良い。そこに真実味を添える役者の芝居も巧みでした。この手の題材での口論では、現場に居ない方の理論は「甘い」だの「現実を知らない」だの「机上の空論」だ言われて一方的に片付けられて終わりそうなもんだが、それを譲らずに終わらせられるバランスを備えていたのが面白い。その意味で福谷さんの演技は重要で上出来でした。分かり合うでなく各々の主張を貫く3人が、口論と騒動の果てに形作ったものが…社会ってヤツだよねぇ。
満足度★★★★
「会話」と「展開」の理想的な関係
ちょっと謎な台詞の意味が少し後で解かれる、良いリズムが「台詞のよさ」で、そこから発展する人物の行動が全体として関連ある図を描くようであるのが「プロットのよさ」、描かれた物語が普遍性をもち、真実味を帯びて観る者の心に刻まれるのが「良い戯曲」、・・などと知ったような事を言ってみる。『エダニク』は展開が面白い。だが印象としては静的で、間合いに漂う「心模様」に注意が向く。そして説明されない空隙が何かで満たされている、そんな雰囲気は好みだ。
屠場というだけで何か社会的なテーマを嗅ぎ取りそうだが、それはむしろ背景となって滲んでいて、ことさらにほじり出すようなやり取りもあるが、それはそれ、と。ある現実が切り取られたリアル感と同時に、飛躍のある部分はフィクションなのかそうでないのか、という微妙な線も、悪くない。演じた三男優への拍手。
三鷹芸文のキャパは少し大きく、客席がちらほら空いていたのも勿体無い。
満足度★★★★★
約105分
男3人の会話劇でここまで魅せるとは…。その中に、大人の事情が幾重にも重なって綾をなす複雑な人間ドラマが垣間見え、社会の縮図が折り込まれ、人間の業(ごう)が炙り出されて、じつに濃密。
ここへ、掛け合いの妙が作り出す失笑系のユーモアが加わって、緩急も絶妙。
嫌でも応でも釣り込まれる105分でした!
満足度★★★★★
シリアスもモヤモヤもドタバタもピリピリも、とにかく上質
何度か上演されている作品とのことですが、初めて観劇。
上演時間105分。
(チラシ記載よりも実際のランタイムが延びた旨が、
メールで送られてきました。親切…!)
開場後は、団体からの予約での整理番号と、
劇場側で予約した時の整理番号で同時入場する方式でした。
椅子の背もたれにもクッション的な物がついていて、
背中に優しかったです。
「観劇後、肉が食べられなくなるような話なのかな…」
と思っていたのですが、杞憂でした。
役者さんたちも上手で、純粋に会話劇としても楽しいし、
力のある脚本なので、
作中に描かれていたテーマを深く掘り下げて
こちらに考えさせるきっかけとしても、上質だなぁと思いました。