「七月七日の晩に、天の川のほとりで待っています。
雨ニモマケズ風ニモマケズ、僕はあなたを待ち続けます。」
ポラーノの広場にある一軒の売春宿、その名も『山猫娼館』。
日照り続きのモリーオ市からは今日も客足が途絶えている。
待ちくたびれた娼婦たちは毎晩のように夢物語に興じ、
夜鷹という名の醜い娼婦は決して叶わぬ恋に落ちる。
『セロ弾きのゴーシュ』の名を騙り夜鷹にラブレターを送り続ける化粧師・夢二。
そして、この芝居の狂言回しをつとめる、野良猫のノラ。
それぞれの想いはすれちがい、彼らが追い求めた夢は、美しくも儚く散る……
劇団印象派がおくる、新しい宮沢賢治の世界