歌舞伎・伝統芸能

中村翫雀改め四代目中村鴈治郎襲名披露

六月博多座大歌舞伎

実演鑑賞

松竹

博多座(福岡県)

2015/06/02 (火) ~ 2015/06/26 (金) 公演終了

上演時間:

公式サイト: http://www.hakataza.co.jp/lineup/h27-6/index.php

※正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。
《 昼の部 》

播州皿屋敷(ばんしゅうさらやしき)

 播磨に伝わる皿屋敷伝説を描いた浄瑠璃「播州皿屋鋪」を書き換えた歌舞伎狂言。細川家の家老浅山鉄山はお家横領を企んでいるが、その悪事を腰元お菊に立ち聞きされたため、お菊が預かっていた重宝の皿を密かに盗み、その罪を言い立ててお菊を井戸...

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公演詳細

期間 2015/06/02 (火) ~ 2015/06/26 (金)
劇場 博多座
出演
脚本
演出
料金(1枚あたり) 5,000円 ~ 18,000円
【発売日】
A席 18,000円 
特B席 15,000円 
B席 12,000円 
C席 5,000円
公式/劇場サイト

http://www.hakataza.co.jp/lineup/h27-6/index.php

※正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。
タイムテーブル
説明 《 昼の部 》

播州皿屋敷(ばんしゅうさらやしき)

 播磨に伝わる皿屋敷伝説を描いた浄瑠璃「播州皿屋鋪」を書き換えた歌舞伎狂言。細川家の家老浅山鉄山はお家横領を企んでいるが、その悪事を腰元お菊に立ち聞きされたため、お菊が預かっていた重宝の皿を密かに盗み、その罪を言い立ててお菊を井戸へつるし斬りにする。お菊は亡霊になって鉄山を悩ませ、鉄山は狂乱の末自滅する。皿を割った罪で惨殺され井戸へ投げ込まれた女の幽霊が、夜な夜な井戸の底で皿を数えるという怪談は各地に伝わっているが特に播州の伝説が名高い。それを踏まえた作だが、今では鉄山がお菊を井戸につるし斬りする場面とお菊の幽霊が鉄山に祟(たた)る場面が怪談劇として上演されている。美しい女方が悪人に責められる嗜虐的な場面は『金閣寺』『時鳥殺し』『中将姫(ちゅうじょうひめ)』など多くの歌舞伎作品にあり、「殺し場」と同様に観客の「怖いもの見たさ」の心理を踏まえた趣向である。この作品でもその残酷さが最大の見せ場で、美しい腰元お菊に対して鉄山は、燕手の鬘の典型的な敵役でその対比が歌舞伎らしい絵画美を創りだす。さらに哀れなお菊が亡霊になって、今度は鉄山を散々に悩ますという逆転が観客の溜飲を下げるのだ。古風な狂言で筋は単純だが、役柄の対照と歌舞伎の嗜虐(しぎゃく)美を見せる面白さがあり、そこが見どころである。

連獅子(れんじし)

 文久元(1861)年に河竹黙阿弥が作詞、杵屋正治郎が作曲した長唄舞踊。二人の狂言師が出て文殊菩薩の霊地である清涼山の様子を綴っていく。清涼山には自然が作った石橋があり菩薩を守る霊獣の獅子が戯れている。獅子は子を千尋の谷に突き落として、自分で這い登って来た子だけを育てる。狂言師が親子になってその厳しい子育ての様子を描くところが見せ場だが、親子の俳優が演じると厳しい歌舞伎役者の修業と重なり感興が沸く。 
 二人は手獅子を使って蝶に戯れる獅子の姿を見せながら引っ込んで行く。その後、間狂言を経て、後半は親子の獅子が登場して勇壮な毛振りを演じる豪快さが見もの。

曽根崎心中(そねざきしんじゅう)

 元禄16(1703)年に近松門左衛門が書いた世話浄瑠璃で、昭和28年に宇野信夫の脚色・演出で二代目鴈治郎の徳兵衛と藤十郎(当時扇雀)のお初で初演、大評判を呼び「扇雀ブーム」を巻起こした。以後鴈治郎家の財産演目として上演を重ねている。
 醤油屋平野屋の手代徳兵衛は生玉神社で恋仲である天満屋のお初と出会った。お初は暫く徳兵衛が逢いに来ていないことを恨むが、徳兵衛は主人が勝手に縁談を決め継母に持参金を渡したため、それを取り戻しに行っていたのだと語る。主人の意に逆らった以上は店に居られぬと言う徳兵衛に向かい、お初は「この世ばかりが世界でない」と励ました。そこへ友人の九平次が仲間と共にやってきた。徳兵衛が一時の約束で九平次に貸した持参金の返済を迫ると、九平次は押してある印は偽物と居直り、徳兵衛は大勢の前で打擲され商人としての信用まで失ってしまった。その夕、徳兵衛は死ぬ覚悟で天満屋を訪ね、咄嗟にお初は打掛けの裾に徳兵衛を隠して縁の下に忍ばせた。九平次が仲間と共に来て徳兵衛の悪口を言い募るが、お初は逆に嘲笑し足を使って徳兵衛に死の覚悟を伝えた。深夜になって天満屋を抜け出した二人は曽根崎の森で心中する。一日で生から死を駆け抜けた二人の愛を描いた作品で、天満屋で二人が死の覚悟を伝えるところが見もの。

みどころ《 夜の部 》

ぢいさんばあさん

 森鷗外の短編小説から宇野信夫が脚色した新作歌舞伎で、昭和26年に東京、大阪の歌舞伎座で同時に初演された。
 江戸中期、旗本美濃部伊織と妻のるんはおしどり夫婦として知られるが、るんの実弟久右衛門が友人と果し合いをして怪我を負ったため、伊織が身替わりに京都勤番に行くことになった。一場は仲睦じい夫婦の姿と別離する悲しみを、生まれたばかりの赤子、若木の桜などを使って描き出す。伊織の鼻を撫でる癖、隣家に住む同僚下島甚右衛門のしつこく嫌みな人柄が描かれ、それが伏線になっている。二場は京都。伊織はふとした縁で名刀を手に入れ、仲間を呼んでその祝宴をしていた。そこへ泥酔した甚右衛門がやってきて散々に罵り争いになる。止めようとした伊織ははずみで甚右衛門を斬ってしまう。伊織がるんが送ってきた家の桜の花片を風で散らすのが詩情を生み、一転して悲劇に至る展開に作者の技巧が見られる。三場はそれから37年後、伊織は許されて元の家に戻ってきた。その間るんは大名家で働いていた。久しぶりに再会した夫婦は、余りに変貌してしまったので互いにそれと分からない。やっと伊織とるんと知った二人は手を取り新しい人生を歩んで行こうと誓う。三場の中に人生の無常と悲哀、歳月を経ても変わらない夫婦の情愛を描き出した心温まる作品である。

四代目中村鴈治郎 襲名披露 口上 (こうじょう)

 「口上」とは出演俳優が正装で舞台に並び観客に挨拶する一幕である。襲名、お目見得、追善など多くの「口上」があるが、襲名披露口上は最も重要な「口上」である。襲名は日本の古典芸能独特の行事で、子が親の芸名を継ぐことである。役者の芸は本来一代の筈だが、故人の芸も新しい肉体を得て蘇るのを示すのが襲名である。冬に枯れた木が春になると再び花を咲かせる日本の風土、そこから生まれた日本人の死生観が襲名という行事を生んだのであろう。列座する俳優は黒紋付にそれぞれの家の色を染めた裃を付けているが、これも今の俳優が歴代の名跡を代表して出ていることを示している。襲名という行事によって歌舞伎の芸は継承されてきたのである。

芸道一代男(げいどういちだいおとこ)

 初代鴈治郎が世に出るまでを描いた川口松太郎原作、郷田悳脚本の作品で、昭和16年に京都南座で初演し、当時扇雀と名乗っていた二代目鴈治郎が玉太郎(後の初代鴈治郎)を演じた。一幕は新町扇屋が舞台。玉太郎は背負い呉服の行商をして母との暮らしを支えているが、生家の扇屋が取り壊されると聞いて名残を惜しみに来た。そこで踊りの師匠山村友五郎と出会い、実父が三代目翫雀であると聞かされた。家に戻った玉太郎は母お妙に実否を糺(ただ)し「自分も役者になりたい」と言うが、お妙は「私一人の子だ」と言い切る。しかし心は揺れていた。二幕は4年後の京都の井筒屋。玉太郎は實川雁二郎と名乗り京都の芝居に出ていたが、後盾がないため苦労していた。井筒屋の計らいで親子は対面し、翫雀は母と別れた次第を語るが、父が去った後に雁二郎は「わが芸道を貫く名は雁二郎」と自力でこの道を生き抜く決心を固めた。その姿を見た興行師の三栄は「あんさんはこれからの役者や」と励ました。一方翫雀は三栄に自分の役を雁二郎に譲るので道頓堀の舞台に立たせてやってくれと頼み、お妙と雁二郎は18年ぶりに翫雀と和解した。大詰は雪の法善寺。雁二郎は父母の愛情に支えられ、中村鴈治郎と改名して花形役者として中座に出演していた。「扇屋の若旦那」の声を背に親子は去っていく。
その他注意事項
スタッフ

[情報提供] 2015/03/16 10:40 by CoRich案内人

[最終更新] 2015/04/22 17:33 by CoRich案内人

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