満足度★★★★
面白い展開
ドン・キホーテの話も知らず、昔の話なのかなと思って見始めたが
少し違ってキホーテの話をベースに現代に交差していて面白い展開でした。
野村萬斎さんの声、立ち姿は伝統芸能の歴史を感じさせ
2階の席からも充分に捉えられるものがありそれだけ修行されたこと、
そのことは観客にとっては有難いことだと思いました。
ドン・キホーテが風車なき後に悟った「巨人」とは
本作『神なき国の騎士』はドン・キホーテが現代の横浜・桜木町に降り立つ。
彼は「組織」に抗し、「組織」に呑まれ、「組織」に操られ首相に就任する。
私は「能・狂言」世界は日本相撲協会以上の閉鎖社会だと思っている。
そもそも殿様の趣味から始まった芸能ジャンルだから、大衆文化の「歌舞伎」とは違い、かつては98㌫の民衆は これを観劇することすらできなかった。
文化庁は それを受け継ぐ「能・狂言」各種団体に対し補助金全廃しなければならない。
が、そこに身を置く野村萬斎だけは格別である。
『神なき国の騎士』において、「バカを演じるドン・キホーテ」を、「狂言の真髄」により証明してしまった気がする。
川村戯曲がこの国の官庁を皮肉っているように思えた。
気象庁は二週にわたり首都圏各地が「豪雪」に見舞われた事態を「異常気象」と発表したそうだ。
「地球温暖化が進み、異常気象が増えた」、こうした定説は正しいようだが、多くは関係省庁の予算獲得、責任回避の盾に利用されている。
しかし、「異常気象」は どの時代においても必ずあるものだ。
例えば、都心の「豪雪記録」に関しては1883年2月8日の46㌢が観測史上最高値。
たとえ、ある地域で「異常気象」が発生しなかったとしても、列島全域で発生しなかったという年は0だ。
気象庁を管轄するのは国交省である。
「豪雪」を受け、東名高速で2日間以上、立ち往生になった自動車ユーザーがいることを考慮すれば、それなりの責任はないか。
10㌢超積雪は都市インフラ上、過去の記録に比較しえないほどのインパクトか。
九州地方や四国地方ではなく、例年、積雪に見舞われる関東地方である。
もし、国交省の「責任回避」のため、その子分である気象庁が「異常気象」を利用したとしたら…。
それは国民に対する背信行為である。
現代舞踏や現代劇のエッセンスが
巧みに作用する。福島原発事故で置き去りにされた動物も描き、政治的メッセージ性の高い舞台だった。
満足度★★★
日本版のドン・キホーテ
開場時、橙色の法被姿のスーツオジさん多いと思ったら、友の会貸切公演日だった。
ドン・キホーテが基の話だが、作家の作風ゆえか、萬斎流現代日本アングラ舞台ぽい感じだったが、ドン・キホーテとサンチョ・パンサの向う先は眩しかった。大駱駝艦の存在が物語に深みを与えているかのよう。
わからないようでわかりやすい話だった。約105分。
舞台終了後、次回公演と萬斎館長のサインが当たる、約30分程の会員お楽しみ抽選会w催し実施。どちらもカスリもしなかったw。
館長の10分程度?のスタンドマイクで!一人アフタートークあり。
御本家の「ややこしや」発言頻発でした。
3/10 加筆修正
満足度★★
輝く闇
ドン・キホーテの目を通して現代の日本を描き、正しいと思っている価値観について問い掛けて来る様な作品でした。
ドン・キホーテとサンチョ・パンサ(そして2人が乗る馬とロバも)が現代の日本に迷い混み、光に覆い尽され闇が無くなってしまった世の中をシニカルに描くコメディータッチの前半と、原発事故による避難地域を思わせる場所にいる動物達を描いたシリアスな後半からなる物語でした。
前半はエピソードの繋がりが弱くてドラマとしての流れが悪く、また沢山盛り込んだ笑いが滑り気味にも感じられて乗れませんでしたが、後半の悲しく美しいファンタジー的世界が魅力的で引き込まれました。
素舞台にジャングルジム状のセットとスクリーンがあるだけの空間の中で、全身白塗りで最小限の布を纏った大駱駝艦の8人の舞踏手が多彩な身体表現を用いて様々な情景を生み出していたのが魅力的でした。
闇=分かり難さにも価値があることを訴える内容の割には演出が分かり易く、もう少し突き放したり考えさせたりする表現があっても良いと思いました。
野村萬斎さんの台詞回しが明瞭かつ深みがあって、良かったです。