イーハトーボの劇列車 公演情報 イーハトーボの劇列車」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★★★

    胸を打つ言葉たち
    井上ひさしさんの言葉は、優しい。
    心に響く。

  • 満足度★★★★★

    本、演出、キャスト三拍子揃う佳作
    あまり期待していなかったのですが、井上さんの戯曲の中でも、かなり出色ではと思う、構成力抜群の芝居でした。

    鵜山さんの演出は、押しつけがましさがないのが、気持良い!

    こまつ座お得意の、オープニングのキャスト勢揃い場面が、他の演出家の時には、やけに、わざとらしくて、生理的に嫌悪感を感じる場合が多いのですが、何故か鵜山演出だと、スーッと、舞台に導入されて行く感覚になり、不思議です。

    宮沢賢治の評伝と賢治作品の登場人物を彷彿とさせる人間達がうまく物語に折り重なり、ユーモアとペーソスのバランスも、絶妙でした。

    食の問題、貧困と富裕層の格差、宗教論争等、いろいろなテーマを含有していながら、核がしっかりしていて、散漫にならず、戯曲のお手本になりそうな作品でした。

    「あまちゃん」の好演が記憶に新しい木野花さん、ベテランの辻さん、他、キャストの皆さんも、それぞれ、役を楽しく味わい深く造型され、どの場面も、見応え充分でした。

    ただ、井上さんは、ハプスブルグ家チックな貴公子然とした佇まいが、賢治の泥臭さを出すには、やや無理があり、作業着とかが、お仕着せ感いっぱいで、全員で舞台に立つ時、一人目立って浮いた印象がありました。
    方言でそれらしく見えると思ったのも束の間、2幕の標準語で話す場面では、
    品が勝ち過ぎて、賢治らしく見えなくなり、ちょっと違和感を感じてしまいました。以前、映画で賢治を演じられた三上博史さんのイメージが強すぎたのかもしれませんが…。

    賢治の作品は、一度も読んだことがないと、今まで思いこんでいましたが、セロを習っていたというシーンになって、子供の頃、絵本がボロボロになるまで読んだ「セロ弾きのゴーシュ」が賢治作品だったことに思い当たり、曰く言い難い感動が胸に去来しました。

    井上ひさしさんは、一体、どんな「思い残し切符」を私達に残して下さったのかなあと、最後は、感慨深く、劇場を後にしました。

    ネタバレBOX

    各場のエピソード構成が、溜息が出る程、気が利いています。

    鼻もちならないくせにどこか愛嬌のある、福地第一郎と妹のケイ子役の、石橋さんと松永さんのコンビが最高!この二人、近親相姦までしちゃったそうだけど、何だか、憎めない関係で、たくさん笑わせてもらいました。

    下宿屋の未亡人、木野花さんの「星めぐりのうた」の歌い方の可愛らしいこと!
    この女将さんを判事にして、繰り広げられる、父親と賢治の宗教論争が、真山青果のコメディ版のような、台詞劇仕立てで、実に愉快でした。
    父親役の辻さんの、ベテランの味わいに酔いしれました。

    熊撃ちの三十郎の、賢治への思いには、共感し、涙腺が緩み、みのすけさんの車掌が、「思い残し切符」を渡しに、舞台に登場すると、何故か、胸に熱いものが込上げ、終始、心が穏やかに揺さぶられる舞台でした。

    「木偶の坊の日蓮」と「強い日蓮」という視点も、興味深いものがありました。
    賢治は、強い日蓮は嫌いだったという台詞、井上さんの創作なのでしょうが、妙に納得できました。

    子供の頃、画期的な発明として習った記憶のある、エスペラント語を、賢治が教えている場面も、ある意味、目から鱗の情報だらけで、瞠目もの。

    もし、、井上さん御自身が、震災後に再演されたなら、最後の場面での、思い残し切符の台詞は、もっと違う内容に改訂されていたに違いないと思いました。

    そして、井上さんご自身は、どんな思い残し切符を、車掌さんに託されたのか?

    井上さん、山崎豊子さん、やなせたかしさん、岩谷時子さん…改めて、偉大な創作家達を次々と失った喪失感で、胸詰まる思いがしました。
  • 満足度★★★

    宮沢賢治の頑なさをピアノに乗せて
    まじめな脚本を真面目な役者たちがやると、こうなる!?
    個性派?の役者さん(みのすけさんとか…)が、はじけてくれれば、より楽しいに違いない。

  • 満足度★★★★

    綺麗な東北弁
    言葉ってすごいなー。楽しく遊べたり、音が効果音になったり。
    綺麗だなーと思いました。
    すごく透き通った、透明感のある、綺麗で聞き取りやすい東北弁に聞こえて、感動しました。宮沢賢治の世界を表すのに、ふさわしい言葉遊びだと思いました。
    生演奏も素敵でした。
    色んなストーリーがまざって、宮沢賢治の作品世界を感じ取れるのも素敵。

    ネタバレBOX

    理想は追うものの、へたれで、どれも上手くいかない宮澤賢治でも、とても魅力的に見えるよう演じている井上さんにきゅん。(私はプリンスじゃない井上さんの方が好きみたいです。)
    宗教の話、「でくのぼー」の話、エスペラントの話。追求するとすごく深く、悩ましい話にもなるけれど、なんとなくでも理解できる程度に盛り込まれていて、興味深かったです。
    ラスとの思い残しの言葉の切符は切ないけれど、誰かが思いを継いでくれたら、という願いを感じました。
    井上さんや大和田さんのほか、みのすけさんも、木野花さんも、松永玲子さんも素敵でした。飛ぶみのすけ車掌!!可愛い!!
    木野花さんの星めぐりの歌、素敵だった。
    欲を言えば、井上さんの歌、もっと聞きたかったな。
  • 満足度★★★★

    フラっと当日券で良席
    前方席で俳優の顔、動きを堪能できた。井上ひさしさんから引き継いだものを全身全霊で目の前の観客に伝えようとする、作り手の皆さんの言葉を聴く時間だった。「これからのブンとフン」もそうだったけど、井上さんが居なくなったから感じることなんだと、しみじみ。

    ネタバレBOX

    宮沢賢治さんの「デクノボー」の意味がすこしわかって、共感できた。井上芳雄さんはやっぱり魅力的。ちょっと狂ったような人が似合いますね。
  • 満足度★★★★

    キウ ヴィ エスタス?
    1980年初演の作品。

    ある一部分に結構思い切って突っ込んだ意欲作だと思いました。

    ネタバレBOX

    イーハトーボとはあまり聞き慣れないと思っていましたが、名詞の語尾に「o」が付く言語、宮沢賢治が日本の農民と世界の農民が語り合うための言葉として推奨したエスペラント語的発音でした。

    前半は浄土真宗と日蓮宗の奥深い教義の話とまでは至っていませんでしたが、ある程度の教義を巡る論争、後半は日蓮の性格をどう捉えるかで起こった宮沢賢治のでくのぼう的考え方と満州進出を企てる石原莞爾らの声高派の対立の話で、宗教を題材に取り上げた少ししつこいマニアックで意欲的な作品でした。

    あまり宗教に拘ると面白くなくなるかもしれないので、世の中は稀なことと良くあることで満ちていると捉えたり、田舎を捨てて独立しようとした人間が見世物の興行主に拾われてしか生きる術がないとか、ちょっと危ない兄妹の関係、未練を残して死んだ人々の思いなどの話も混じえましたという感じでした。

    キウ ヴィ エスタス?、エスペラント語であなたは何者ですかの答は、私は子供ですでした。

    親よりも優位に立とうと宗旨変えを勧めたり、金融や商社的労働ではなく額に汗する労働の大切さを主張したりしたものの、農民にもなれず、結局は親掛かりで終わった賢治のでくのぼう振りを描いた話でした。

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