世界が変わった日も日常の一日
9.11はアメリカ社会に大きな影響を与えただけでなく、世界の根っこで大きな活断層が動いた感じがする。表面に見えるそれは同じでも、どこかでカチッと変わってしまったのだ。そこには日常の続きで生きている人々が生きていて、なにも変わっていない一日だと生きて行く。
この芝居は芝居だけで完結するのではなく観た人の心と知性で見続けるものなのだろう。
満足度★★
事件を下敷きにするという意味
「今だから言える」セリフばかりで閉口した。もっと生々しいもの、リアルな感触に育てることが、9.11という題材を選んだことに対する責任なんじゃないだろうか。何年かかってもいい、焦らず、じっくりと練り込んで欲しかった。
満足度★★★
前半はよかった
解釈には至らない、血の気の引く衝撃のようなものは表現仕切れていなかったように思う。後半、理屈っぽくなってしまったのが残念。しかし前半、時間の経過と共に錯綜する情報・増幅する混乱の様子は息苦しく伝わってくるし、私を含めアメリカに滞在経験のある多くの日本人があの時感じたであろう奇妙な居心地悪い感覚をかなりまともに表現していると思う。
満足度★★
古臭い、訓練された役者がかわいそう
登場人物の誰もが上手い。とちらないし。安心して見ていられるのだけれど、なんにも、リアルを感じない。9.11が想像力を飛び越えてしまったことは、よく言われる話。そこから、離れられていない。この題材をあえて取り上げた勇気には大拍手だが、中途半端なセンチメンタリズムにとらわれて内容は散々だ。残念。
満足度★★★★
勇気に感謝
この題材を選んだのは坂手さんの体験もあるらしいけど、
演劇にするのはまた1段階段を登る作業。
たくさんの文献を元に作り上げた珠玉の1作だと思います。
満足度★★★★
再演してほしい作品
とても良かったと思います。
うまくは言えないのですが、これから何度も再演を重ねて行けば、すっと高いところへ昇華していくような、そんな作品だと感じました。
人の想像を超えた事象が起こったときの普通の人々の反応って、こうなんだ…と納得するような感心するような。
ちょっと阪神大震災のことも思い出しました。
たくさんの人が出てくるのに、決して混乱していない。むしろ理路整然としている、そんな作りも好きです。
満足度★★★★
観てよかったと心から思う
911を題材にされると、もうそれだけで弱い。何でこんなに心揺さぶれるのか、自分でもわからないのだけど。
だから、というのもあるのですが、本当に、無理やりなスケジュールででも観て本当によかったと思いました。
満足度★★★
「過去」への傲慢?
劇中の随所に「それは今だから言えるんじゃないか?」と問いたくなるような台詞が見かけられる。それは傲慢に過ぎないと思うのは、思い過ごしか。
それにしたって、現地を知っている作者だからこそ描けるものであったろうし、それは十分に伝わっている。
でも、どことなくリアリティに乏しいのは、僕の想像力の問題だろうか……。
ED VASSALLOが熱演。彼なしにこの芝居は成立しなかっただろう。
満足度★★★★
考えさせられた
約2時間もあった芝居がなんなく見れました。9.11のことを、日本からテレビで眺めていた過去の自分と照らし合わせると、より舞台が楽しめました。公演中、何度も鳥肌が立つようなぞっとする場面はありましたが、私の中ではこの鳥肌が現実感という感覚を表しているのような気がするのです。今になってようやく9.11が現実味が出てきた、そんな風に感じました。
キャストに外国人の方が出演していましたが、最後の長ゼリのとき、お客さんの多数が字幕を見ていて彼の方をまったく見ている暇がなかったのが、ちょっと残念でした。(そういう私も英語が全く分からないので目が離せませんでした。。)せっかく私たち一人ひとりの目を見るように話しかけていてくれたのに・・・。スクリーンはもっと大きくて、文字数がたくさん入る方が字幕もそんなに変わらず、焦って見る必要もなかったかなと思いました。
満足度★★★
もっとガツンと来るかと期待大きかったが・・・
WTCのすぐそばにいた日本人たちのその日の9時から24時まで。こっちでテレビで10時間以上追いかけていた私らとは違うリアルがあったはず。坂手さんならそれを取材で描き出すはず。そんな期待が大きかったんですけど・・・。
チラシに書いてあった「たった一日で、世界が変わるわけないじゃない。」というのは、今だから言えるコトバだよね。あの日、「世界は変わる」って、ノンキに日本で暮らしていた私でも思ったし。「大変なことになった」という感覚はその地にいた人のほうが大きかったはず。実際、「アメリカに神のご加護を」のコトバのもとであからさまな殺戮へと向かい始めた日になったわけだから。もちろん、「あの日」がそれ以前によって予定されていたとするなら、確かに「たった一日」で変わったことにはならないけど。
この芝居は、ドキュメンタリータッチというわけではなく、取材をもとにした創作ですし、きちんと「演劇」「エンタテインメント」として仕上げています。ちゃんと楽しめる作品に。決して「CVR」(過去の公演)とは違います。しかし、実際に起こった事件、実際に実在した編集部、が題材ですから、どうしても「リアル」を求めてしまいます。なので「演出」や「演劇的な処理」や「字幕」に抵抗を感じてしまいました。勝手にリアルを求めた私が悪いのかもしれませんけど。
満足度★★★★
世界と私との関係を考えてみる
2001.9.11にNYで起こった同時多発テロの映像は衝撃的であったけれど、あの事件について私はどういった関わりを持ちうるだろうか。
自己の日常の外枠にあるものとして全く無関心でいることは、果たして「正しい」ことなのだろうか。
WTCビルを臨むビルの一室にあるとある日系情報誌の編集部に、あの日、不安を感じつつ集まってきた人々の姿を描くことで、世界と私の関係の取り結び付き方への問題提起を投げかける群像劇だった。
満足度★★★
大惨事との距離感
同時多発テロによって崩壊してしまったWTCビルを臨むビルにある在NY日本人向けの情報誌編集部が舞台。
テロが起こったあの一日を、NY人でありながら異邦人でもある現地日本人の立場から立体的に描き出す。
満足度★★★★
舞台ならではの臨場感に満ちた作品
張り詰めた緊張感と、ちょっとしたユーモアを交えたとてもすばらしい構成に感動しました。舞台ならではの発想には舌を巻いたし、とても重たいテーマを扱っているのに実に分かりやすく、ストレートに伝わってきました。9.11をこんな風に伝えるなんて、この作家のセンスは実にすばらしい。