満足度★★★
思考の内に静かに沈むいつものジエン社
インストを受ける観客、見立てやルールの創造に思いを巡らす
他者を見抜くにはまず自分自身をよく知らなければいけない
自分を伝えるには他者をよく見なければいけない
0から生まれて全てが0に収まっていく作品
満足度★★★
鑑賞日2019/06/06 (木) 19:30
不思議な芝居だった。開場すると、ステージでは俳優が「魔女の村に棲む」というボードゲームをやっている。開演すると、その一人、東京から地方に移ってボードゲーム・カフェを開こうとする男(須貝)とそのパートナーやゲームデザイナーなど、周辺の人々の物語が展開される。物語と書いたが、明確な筋が明らかになるわけではなく、何となく流れが分かる、という程度で、ややイライラする。会話なのか、誰との会話なのか、よく分からない発話も少なくないし、私のテイストではないが、80分は長く感じない。
満足度★★★★★
#ジエン社「#ボードゲームと種の起源・拡張版」
ジエン社が得意とする会話の重ね方。
時間と場所の「レイヤー」が重なっている。
今回は、それが洗練され、すべてが聞こえ、何がいつどうなったのかが分かりやすくなっていた(以前は同時発声で重ねることに意味があったとも言えるのだが)。
観客の集中が必要だけど。
(以下ネタバレにダラダラ続きます)
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/02 (日) 14:00
価格3,800円
東京から地方に移住してボードゲームカフェを営もうとする男とその妻やゲーム仲間たちが織りなす物語。
同時多発会話や時や場所は異なるが共通する部分のある台詞・会話を続けて見せる「会話のコラージュ」はいかにもジエン社。(笑)
それに加えて本作ではこの作品のために創作したボードゲームでの選択・行動が現実パートにも取り入れられているのが特徴で、観ながらこれは「ゲームでの出来事を現実社会の出来事にするとこうなりますよ」ではないのか?という疑念が生じ、胡蝶之夢とかタマゴが先かニワトリが先かとかそんな感覚を味わう。(こういう感覚、好きなんだなぁ)
後でうかがったところによれば「自分が何者だかワカらない」状況を芝居で描くために、あのゲームを創り上げたそうで、大いに納得。
なお、開場時から開演まで、舞台上ではそのゲームがプレイされており、σ(^-^) が観た回は典型的なパターンが複数起こったのでそのゲーム展開も脚本にあるのか?という気もしたが、さすがにそんなことはなく、ガチのプレイだそうで……(笑)
満足度★★
ジエン社の作品を観るのは3本目。毎回、同時多発の会話劇はいつも精巧でタイミングも難しそうなので役者もすごいなと感心するものの、面白いかどうかは別問題。あと劇場が寒くて凍えた。
満足度★★★★
3331での試作版?に出演した役者(沈)を、ちょうど前日観た芝居で見て、一癖二癖あるあの役を誰がどうやるんだろう、なんて事をふと思ったが、拡張版は全く別の話であった(重なる役、エピソードは当然あるが)。拡張版よりは「完全版」、の語を当てたくなった。
登場人物も増え、「群像」が立ち上がった。ゲームが盛り上がりつい喜声を発する場面がある。それとは対照的な静かな場面が殆どだが。俳優に当て書きしたような風貌に応じたリアルなキャラが、説明の少ない台詞の背後を観客に読ませる。
試作版と「別物」と思わせた最大の特徴の一つは、ドラマ中のゲームの意味合いが増し、またゲームはルールが確立して(開演前から5人が楽しんでいる)本気でやっているのが分かる事。急迫の事態から逃れてきた者が「こんな時に」「だからこそ」との枕詞で語るゲームとは決して「価値ある重要なこと」の対極ではない・・人物らを少しばかり輝かせるラストの風景はその主張を実証するように形象され、一つの現代解釈を提示していた。
舞台はアゴラを横に使い、A3程だろうか白い板が折り重なるように壁一面に貼り付き、下手に高い段を作っている。出入りは従って正面奥(奥行きを感じさせる狭い隙間=エレベに通ず)、上手壁のドア、そして客席下手死角にある奈落の三つ。正面に当るバルコニーも効果的に使える。これは自由度が高く大変うまくした使い方だった。
ボードゲームカフェに集まる若者たちのドライな群像劇。約80分。時間と空間が瞬時に入れ替わり、共存もする構造が、パズルみたいに複雑で読解のスリルあり。人間社会の縮図をゲームに落とし込む巧みな構成で、“種の起源”というタイトルに納得。ルールを守る集団の幸福と、そこから逸脱するマイノリティーも描く社会派戯曲でもある。生身の俳優による上演が前提の戯曲であることに演劇の豊かさを感じる。脚本・演出:山本健介。