満足度★★★★
大変おもしろかった。久しぶりに思い切り笑えました。女優志望の若い女、40歳の後輩の女、先輩の男が現れ、その先輩後輩の劇団がかつて解散しており、当時の同志たちの今を垣間見ていくというストーリー。ほぼ3つのストーリーが同時並行で進むが、きれいに整理され、オンオフも巧みで混乱せず見られた。
後輩女が、怪我した娘を介抱しようとして「この女、若い!」と嫉妬で介抱を何度もやめたり、打ち合わせ通りにかけない脚本家が、必死に「うちあわせより、こっちのほうがいいんだ」と強弁したりなど、劇団あるある、人生あるあるという要素がいっぱいある。その日常性から物語は軽々と舞台ならではの自由な世界へ飛翔する。突然、矢が胸に刺さったり、血を吐いたり、思いっきり水を人に吹きかけたり。不条理とも言える奇抜な動きが滑稽で大いに笑えた。この日常性と奇想天外な飛躍のコンビネーションが見事だった。
踊り子ありさんは、見たことあるなと思ったら、去年早稲田の「14歳の地図」でやさぐれた教師役だった。大変存在感のある気になる俳優である。
満足度★★★★
■約100分■
私がはえぎわを観るようになったのは、主宰が岸田戯曲賞を獲り定評を得て以後。それ以前は舞台上でハダカになったり、かなりえげつない作風だったと聞くが、結成20周年の節目を迎えて初心に帰ろうと思ったのか、プチ先祖返りしたかのような一作。ハダカこそないものの、近年のはえぎわ作品の中では一番と言っていいほどエグ味が強く、不幸な人々の小さな幸せを淡いタッチで描いたこの数年の諸作品に惹かれる私の趣味には残念ながら合わなかったが、ひと工夫もふた工夫もある劇構造にべらぼうな吸引力があり、最後まで面白く観られました。