満足度★★★★★
ああ、いいもの観たなぁ、と観終わってすぐに思った。
切実な題材をしっかり描きつつ、それだけでないさまざまな人の想いを繊細に積み重ねた作品。そこに日常を逸脱する奇妙な存在を加えて、ペーソスとユーモアを感じさせた。
三姉妹を軸に、友人や夫や引っ越し屋さんや施設の職員など、それぞれの想いが丁重に描かれる。
三人姉妹のそれぞれに感情移入しつつ観ていた。特に三女の不安や屈折、そして亡き母(のように見えたもの)との会話が印象に残った。
キャストはそれぞれ魅力的で、中でも長女と結婚したいと言い出す男を演じた岡野さんの演技に説得力があった。
満足度★★★★
素舞台に近い使用法の多いアトリエ春風舎に、作り込まれたリアル美術が嬉しい。
畳の間から縁側、短い渡り廊下で奥の家屋とも続きになる。
縁側を降りた奥の下手は抜き板を縦に重ねた時代がかった塀。
畳の上の円卓に麦茶のポットとグラス、、やや斜めに傾いた日射が縁側を照らす。
開場時間(開演20分前)から既に奥側に二人の作業員が座り、部屋にはタオルを被って足を見せて横になる何物か。時折会話していた二人の声が、前説の後に大きくなり、上々の日常芝居の開幕。
余程時間が余っているのか、作業服の比較的若い男女の間にプライベートな時間が流れ始め、長い沈黙の中、見合う二人のキスの寸前に寝ていた某が奇声を上げて起き上る。(この絶妙なタイミングをどう図ったのか未だ不明。)
芝居は伏線と謎解きの構成もあるが、どちらかと言えば伏線抜きで強烈なキャラが登場して展開を見せるので、場当たり的、というか小説的?、ロードムービー的?予測できなさがある。そのためか、きちんと仕込んだ謎掛けの「解き」が今一つだったりもする。
その典型が序盤、男女の関係への想像を促して閉じる一言「元気出しなよ・・」という女の台詞。含蓄があるが、後の「謎解き」が待たれる「振り」にしては、中身はぼんやりしていた。・・男の傷心の源は震災時に帰宅困難者となった妻を自宅で出迎えた時に妻が発した咎めるような一言。・・二人は間もなく離婚し、その後妻は死に(死因には触れず)・・云々。
肩透かし気味なのだが、この「分からなさ」を大きな欠陥とは感じない。最初に張った伏線が意識に上らない程に、あれこれ強烈な刺激(謎掛け)がぶち込まれるからだ。「場当たり的」展開は他にも粗さを残したが、問題はその粗さより、話しがどのあたりに収斂して行くか、にある。
伊藤毅企画、前々作(第一作)以来の観劇は、第二作を飛ばして三作目。気まぐれ気分で観てみたら、障害者とその家族という設定が同じであった。
第一作の「アリはフリスクを食べない」では、軽度の障害を持ち作業所で働く兄と、婚約者の家族が出した条件に従って別居を決めてしまう弟、つまり家族内のやむ無き断絶が描かれる一方、彼に理解を示す女性スタッフが、彼との同居(結婚)を望んでいるらしい(が言い出せない)仄めかしの芝居をラストに置いていた。
今作も「障害者を抱える家族」問題が軸になる。
面白く観たが、この問題の視点から眺めると、物足りなさもある。またこれ(障害者)を扱う難しさを認識した舞台でもあった。
一日の流れだとは思うのだが、とてつもなく長い時間が流れていて、その中で色んな事が起こった・・・筈。
そして、何故か違和感の感じる笑いが起こる芝居だった。
それは自分の保守的な考え方からなのか、それとも、自分の中の差別的な考え方からなのか・・。
例えば、知的障害者の動作などで笑いが起こる。
「笑う所?」と私は感じる。
でも、「笑う」という動作を制御する本来の私の概念は何だろうか?
例えば、その動作を健常者がわざとコメディーのようにやるのなら
笑ってもよい
障害者だから、笑ってはいけない
その境界線を自分が引っ張っているからなのだと思う。
「○○だから・・・」という葛藤は劇中でもワードとして出てくる。
私も、その線引きをすることによって差別をしているのだろうか。
劇中の3姉妹の姉は知的障害者。美談を語る必要は勿論無い。
第三者の気持ちと、身内の気持ちと、当事者の気持ち。
どこに心を置く事が出来るか劇中で「結婚」に関しての様々な葛藤は、当然起こり得る現実的な話である。
ただ、何か、違和感があった。
それを具体的に言葉に出来なくてもどかしいのだが、そのもやもやした感じで良かったのかもしれない綺麗ごとで、話が終わってしまうのなら24時間TVで良いのかもしれない。
ただ、きっと、こんな風に人は関わり合って、どこか、寂しい想いを溜め込んで、でも、毎日を生きてるのかなと思った。
そこには境界線はない。
色々考える種があった、芝居だった。
満足度★★★★
■約115分■
出生前診断が進歩(という言い方でいいのか?)すれば、劇中の一家のような悩みを持つ世帯は減るのかもしれない。しかし、それでいいのだろうかと、帰途、考えてしまった。
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青年団 若手自主企画 伊藤企画 『きゃんと、すたんどみー、なう。』 おかげさまで、おととい無事に千秋楽を迎えることが出来ました。 暑い日も雨の日も、多くの方々に足を運んでいただきました。お忙しいなか本当にありがとうございました… https://t.co/M75Cu3XnYS
約7年前
青年団若手自主企画 伊藤企画「きゃんと、すたんどみー、なう。」岡野さんの東田さん憑依度がすごい。でもリアルな演技かどうかなんてのはわたしにはあんまり興味がない。たとえば自閉症の人たちが苦手であろうグッと相手を睨むというのはリアルじゃなかったが、それで想いや関係が見えてよかった。
約7年前
→。そもそもこんなにも真っ正面から知的障害(という言葉でいいのか?)をとらえ、しかもちゃんと“演劇”という表現で舞台にのせていることがすごかったです。すべりこんでよかった。 伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう』。
約7年前
伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう』の千秋楽にすべりこんだのですが、どの役者さんからも目が離せなかった。すぐそばで起きている誰かの家の日常…かと思いきや、そこには演劇であるがゆえのマジック(それも現実的なマジック)があり、笑えるのに重い。→
約7年前
伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう。』公演終了。あれだけ精緻に作り上げた舞台美術は、その後どうなるのだろう?つぶしてしまうにはもったいないけど保管するには大きすぎるだろうし。
約7年前
←伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう。』 あと、やはり、まー君が暴れて組みしかれた時に、小さな声で、「さ、の付くことばー」って呟いているのです。 その時舞台で話されている台詞だけでなく、いわゆる同時多発会話だけでなく、同時に舞台に居る人達が補完し合っているのだと感心しました。
約7年前
←伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう。』 本当に細やかな、誰も見えない細やかなことへのこだわりに感心しました。 まー君が登場する時に、塀の隙間から、家の中を覗くのですよ。私は3回目なので次に何が起こるのか知っているので判りましたが、それも見れたとしても上手の2、3人だけ。→
約7年前
伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう。』 高等演劇を観てから開演後にたどり着いたので、会場に入らせて貰ったのは上演開始 5分後。上手の端で最前列に導かれました。それまで2回は4列目の真ん中でした。 最前列かつ上手の端なので、昨日初めて気付いたことが沢山有りました。→
約7年前
伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう。』千秋楽を迎えることができました。みなさまに支えてもらえたこと、多くのかたに観ていただけたこと、とても感謝しています。ありがとうございました! https://t.co/fepmY9vXTy
約7年前
伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう。』終演いたしました。見に来てくださった皆さま、気にかけてくださった皆さま、ありがとうございました。俳優としては2年ぶりの舞台、お稽古中から本番まで本当に得難い経験をしました。来年8月まで次の予定はないのですが、今回得たものを糧に精進します。
約7年前
伊藤企画 きゃんと、すたんどみー、なう 本日千穐楽を迎える事が出来ました。 素晴らしい俳優と演出に、私の美術も一緒に生かされていた気がします。 小劇場ではなかなか無い、立て込んでからの一週間に渡る稽古。その中で私の手を離れて育ってくれた気がします。 一期一会、感謝しています。
約7年前
伊藤企画「きゃんと、すたんどみー、なう。」アトリエ春風舎でガチガチに組んだ美術セットって久しぶりに見た気がする。終盤蛇足に思われる部分が複数あったけど、それでも充分に素晴らしかった。今後もっと大きい会場で繰り返し上演されていくような作品。その初演に立ち会えて幸せでした。
約7年前
伊藤企画「きゃんと、すたんどみー、なう。」観劇。 一度も瞬きしなかったんじゃないくらい観入ってしまった。 観ること出来てよかった。
約7年前
伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう。』 あんなに仕事をしている井坂さん、初めて見たなあ(笑)。 蛍光灯を点滅させたり、お母さんを生き返らせたり、不気味な空気・・・蛍光灯をチカチカさせたり、照明が効いてるなあ。 何か微妙にトーンが変わる場面が有るように思うのだけど。
約7年前
FunIQのかけ算「The Phantom Cowboy」→あうるすぽっとで「Double Exposure」→伊藤企画「きゃんと、すたんどみー、なう」観劇→「働きたくないイタチと言葉がわかるロボット」読了。
約7年前
伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう。』全てのステージが終了いたしました。ご来場、まことにありがとうございました。 とてもいい役をやらせていただきました。 写真は小道具の文字盤。気づいたら、よく触る文字だけ滲んでて、いい味出… https://t.co/xwObc79AMO
約7年前
【終演しました】 本日をもって、『きゃんと、すたんどみー、なう。』の公演が終了しました! 沢山の方にお越しいただき、最後の方は窮屈な思いをさせてしまったかと思います。また由かほるの出演を楽しみにしていた方々、本当に申し訳ありません… https://t.co/AftxHsNVvW
約7年前
伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう』知的障害者の性を巡る話。非当事者が自分の作品表現において、こういうデリケートな問題を語るときに守らなくては原則があるように私は思う。当事者しか踏み込めない領域があるはずだ。モヤモヤしたスッキリしない気分の観劇になった。
約7年前
川島潤哉さんの『コテン』からの伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう』をエクストリーム観劇したのだが、どちらも余韻がすごくて勿体ない観方をしたなぁと思った。『きゃんと、すたんどみー、なう』は今年観た劇の中で1番良かった。生まれ変わったら青年団になりたい。
約7年前
『きゃんと、すたんどみー、なう。』観劇。 前半は笑いながら観てたのに、後半は終始胸が締め付けられて、劇場出て歩きながら色々と考えてしまい、知らぬ間に涙が流れてました 演技も脚本も、全てが本当に素晴らしかった 今年に入ってから30本… https://t.co/5vEk6CqA0d
約7年前
伊藤企画「きゃんと、すたんどみー、なう。」全ステージ終演しました。m(_ _)m
約7年前
伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう。』ずっしりと見応えがあり、よいお芝居でした。後で寄りたい場所がありましたが、お腹を空かせたまま帰って来てしまいました。赤刎さんも今までにない役で、これからがまた楽しみです。難しい役、難しいテーマにがっぷり取り組んだ皆様お疲れ様でした。
約7年前
伊藤企画「きゃんと、すたんどみー、なう。」@春風舎 自分のやりたいように振る舞うと他人のことを傷つけてしまったり、身動きが取れないと感じてると他人のせいにしてるだけと思ったり、なんか人って寂しがり屋だよなぁっと思いました。とまぁ、身につまされました。
約7年前
アトリエ春風舎で伊藤企画「きゃんと、すたんどみー、なう。」。知的障害者の姉を持つ姉妹の話。綺麗事だけじゃ済まないものね。「あなたならなどうする?」と優しく、けど鋭く突きつけられた感があった。観れて良かった。 https://t.co/La97JvRErG
約7年前
アトリエ春風舎で伊藤企画「きゃんと、すたんどみー、なう。」。知的障害者の姉を持つ姉妹の話。綺麗事だけじゃ済まないものね。「あなたならなどうする?」と優しく、けど鋭く突きつけられた感があった。観れ… https://t.co/KbGXuLPl77
約7年前
アトリエ春風舎‥伊藤企画「きゃんと、すたんどみー、なう。」観劇♪優しさが突き刺さる。終演後に机上の三姉妹を見て、堪えていた涙が溢れそうになっちゃった。普段意識してなくても、家族にさえも、差別や偏見を持っているのかもしれない。相手を思い手をそっと添える気持ちが必要だね、孤独だもん
約7年前
私最近芝居見て号泣する事件多くないですか????『きゃんと、すたんどみー、なう。』、我慢したのにボロボロ涙出たし、我慢したせいで唇の上全部鼻水で覆われた
約7年前
伊藤企画「きゃんと、すたんどみー、なう。」本日13時と18時の回で千穐楽です。13時の回は当日券有り!18時は若干数のちキャンセル待ち。アトリエ春風舎は小竹向原駅4番出口から徒歩4分です。開演の30分前より受付開始です。本気で見逃さないで欲しいです。よろしくお願いします!!
約7年前
伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう。』本日千穐楽です。18時の回は満席ですが、13時の回はまだまだ余裕があります。ぜひ見にいらしてください。春風舎でお待ちしてます! https://t.co/y2sxBOfZnv
約7年前
明日はどうにかすべりこみで伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう。』観に行きます。観たいものが多すぎる。
約7年前
伊藤企画さんの「きゃんと、すたんどみー、なう」を見てきました。 普通って何だろうはもうきれいごとになってしまっていて。 私たちって実は些細なことから知らない間に人を傷つけていたんだなと感じました。 苦しい事が見えないように、ふれないように自分を縛りながら
約7年前
今日は伊藤企画さんの「きゃんと、すたんどみー、なう」を見てきました。すごいよかったです。高校に入ってから初の劇団の劇でした。舞台セットはめっちゃリアリティがあって、照明もだんだん時間が変わってゆくのがわかるように自然に、だんだんと変化させていたのもめっちゃよかったです。
約7年前
本日もありがとうございました。帰り道が一番そわそわしちゃう。 伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう。』明日24日で千秋楽。13時の回はまだまだお席あります。 まだ誰のものでもないお席が、あなたのものになるチャンス! https://t.co/VIyMUx0nFt
約7年前
伊藤企画「きゃんと、すたんどみー、なう。」アトリエ春風舎は明日13時と18時(予約終了)で終わりです!皆様の駆け込みご予約お待ちしております! 13時の回、若干数予約可能です! アトリエ春風舎は小竹向原駅4番出口から徒歩4分! https://t.co/gCVs2w157o
約7年前
伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう』大部分は絶賛に値する素晴らしさだが、そういった首をかしげる部分が所々に入ってくるため、2回見てもまだ正体をつかみ切れた気がしないし、素直に大傑作とも言いにくい。とは言え、見逃すべきでない美点は極めて多く、忘れ難い作品であることは確かだ。
約7年前
今日もありがとうございました、連日たくさんの人に来たいただけて嬉しい限りです あしたの13:00/18:00で最後です。きゃんと、すたんどみー、なう。おまちしてます https://t.co/OyZacUr2Cb
約7年前
伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう』ただしそリアルな外見の問題を除けば、各人の演技も全体のアンサンブルも素晴らしい。それだけに、当日パンフに役名が全く書かれておらず、ある役をやった役者が何という名前なのか分からないのは酷い話だ。役名や人間関係が明確なら、書いてしかるべき。
約7年前
伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう』また前回は、最初に関係ない漫画家が出てくるせいもあって混乱し、なかなか人間関係が飲み込めなかった。今回 見直して、あの三人がとうしても実の姉妹には見えない点も大きいことが分かった。年齢も含め、さすがにあれはどうなのだろう。
約7年前
伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう』また、極めてリアルなドラマの中に、巨大なアメーバというありえないものや(ブロブかよ)、幽霊なのか何なのかよく分からないものが出てくるのも、素直に受け止められない。前回はその辺が咀嚼しきれず感想を保留したのだが、今回も理解はできていない。
約7年前
伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう』ただし、各エピソードの見事さに比べ、全体の構成には首をかしげる部分もある。2回見たことで、前回取りこぼした情報をかなり拾うことができたが、それでもよく理解できない部分は多い。たとえばあの漫画家は、家の事情を説明する以上の役割はあったのか?
約7年前
伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう』これはズシリと心に重く響く作品。登場人物の誰もが生きにくさにあえぎ、すれ違う愛に苦しんでいる。その人間描写が秀逸で、登場人物の全てに共感を抱く。それでいて、こういう面倒臭い人たちと実際に付き合うのは敬遠したくなる。そのリアリティが絶妙。
約7年前
青年団伊藤企画「きゃんと、すたんどみー、なう。」を見てきた。役者が本当に素晴らしかった。あっという間の2時間。色々と考えさせられつつ、明日からまた頑張れる力を授けてもらった。
約7年前
青年団若手自主企画“伊藤企画”の舞台を観た。久し振りに青年団らしい空気を味わった。工藤さやの創る人間像が分厚く、人物の歴史を感じさせた。出色だったので写真を撮ってもらった。 https://t.co/4bWF8Yu5P5
約7年前
伊藤企画『きゃんと、すたんどみー、なう。』 おそらくリバティーンズの引用と思われるタイトルがあらゆることを物語っている。日めくりカレンダーや電話の子機などの小道具の在り方も見事。端的に、素晴らしかった。
約7年前