酔いどれシューベルト 公演情報 酔いどれシューベルト」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-20件 / 27件中
  • 満足度★★★★

    両方見ました!
    東京イボンヌを観るのはこれで3回目。
    その中では1番面白かった。
    演奏家さんの生演奏、ブラームスの時は他の作曲家の曲を無理やり入れていてなんだか芝居とコンサートを別々に観てる感じであんまりだったけど、今回はちゃんと物語とシンクロしていて良かったです。
    声楽家さんは皆さん良い声だったけど特にAの魔王役の高田正人さんが素晴らしかった。お芝居も良くてもっと出てきて欲しかった。
    Bの中西さんも良い声でした。
    お芝居は全体には良かったけど、ギャグの空回り感が時々あったのと、所々声を張り上げすぎるテンション芝居があって、それが食傷気味。
    役者で良いと感じたのはBのエリザベス芳賀さん、悪魔の植本さん(別格感あり・ギャグもこの方が1番面白かった)、Aのお父さん、Bのお兄さん役(この人のテンション芝居は面白かった)、ミミさん。
    あ、いしだ壱成さんはもちろん良かったです 、芸術家の弱さみたいなものがよく出ていた。
    クラウディアの人はお芝居は素敵だったけど、もっと若い感じの方が良かった気がする。ちょっと暗い感じで、何でシューベルトはこの人を好きなのか良く分からなかった。声が枯れてしまってたので余計そう思ったのかも。
    でもラストのシーンはグッと来ました。
    クラウディアの「つるまるさん」、には吹いた。こういうギャグなら面白いのに。ガヤの感じはBが面白かった。
    ストーリーの内容は目の付け所が良いなって感じ、若くて多作をそう読み解いたか、という感じだった。
    天使が2人いたのは面白かったけど、Bの方がテンポが良かった。
    AとBのキャストを入れ替えてベストメンバー版を見てみたい、と言ったら怒られてしまうかもだけど、そしたらあと3割面白かった気がします。
    また次回作も楽しみにしています。

  • 満足度★★★

    Aチーム
    生演奏に、声楽家の素敵な歌声で、楽しめました 。
    場内は、大爆笑ではないが、何度も 笑い声に包まれた。
    が、コメディと言える程では無い。。。
    初日だったので、仕方ないと思いますが、テンポと間が、もう一つと感じてしまいました。

    ネタバレBOX

    シューベルトがまだ売れてなかった時代から、亡くなるまでの物語。
    ラストに救いはあるが、ある意味、悲劇的である。
    が、キャラクター達の見せ方は、面白かったが、その分やはり 、シューベルトの悲哀や苦悩という部分の思いが、積み重なっていかず、なんとなく緩やかな感じだったのが、ちょっと残念な感じがしました。
    笑いを含めた構成が多すぎて、私にとっては、最後の感動には、いたらなかったです。

    石田さん演じるシューベルトは、いかにも芸術家らしい繊細さが、とても雰囲気でした。

    魔王と赤いドレスの方の歌声が、特に素敵でした。
    赤いドレスの方は、腕や指の動きが、とても表情豊かで 、もっと見たいと思いました 。

    古びた酒場の雰囲気の美術や衣裳も、とても良かったです。

    酒場の主人役の方も、魅力的でした。

    照明も豊かなカラー使いや、悪魔の影を映し出したりと、素敵でした 。
  • 満足度★★★

    シューベルトさん
    怒らないかな?
    いしださんの悩める酔いどれシューベルトや、それにつけ込む植本さんの悪魔は良かったです。たくさんの楽曲を作りながら早世してしまったのは悪魔に曲と引き換えに寿命を渡してしまったからと言う解釈はおもしろかったですが、彼の周りの虚々実々の登場人物の「8時だよ!」みたいな大騒ぎが私には受け入れられませんでした。
    最終日なのに、受付が手間取っているのが理解できません。あと、遅れて来た人を前のドアから案内するのはいかがなものか。後方の座席に空きがあったので、遅れた人が悪いのですからそちらに座っていただいたら良かったのではと思いました。

  • 見てきた。
    今回も拝見させていただきました。
    前2作とは作品のニュアンスが違い、同じ流れのテンポとテンションで芝居が作られていました。
    思いの外、芝居自体に山が少なく歌手の方が歌い終わったあと拍手をするのが皆さんやっていいのか戸惑っていた感じでした。もう少し波のある芝居であれば、観客側も作品に共感しながら見れたのではないかと思います。

    今回は芸人さんではないのでコメディ面では物足りないものの、石田さんの癖のあるシューベルトは味がありました。
    次回も頑張って頂きたいです。

  • 満足度★★★★★

    楽しかったです
    暗い内容だと思ってましたが楽しい作品でした。最後は悲しかったですが。。いしだ壱成さんのシューベルトサイコーでした。それとオペラ歌手3名さまのすばらしいアリアも聴けて生演奏で贅沢な公演でした。サイコーの舞台観れて幸せでした。出演者の皆さま、関係者の皆さますばらしい公演を魅せて下さりありがとうございました。

  • 満足度★★★★

    お疲れ様でした。
    東京イボンヌさんの公演は今回が初めてでした。今までに見たことのない「ハイブリッド舞台」を大いに楽しませて頂きました。

    今後も機会があれば他の作品も見てみたい!と思ったのですが、少し残念に感じたところがありました。

    1)配席に関して
    チケット予約初日、開始から1時間以内で確保したため「A列」を頂きました。会場の座席表を見るとその前に「イ」「ロ」列があることもあるようだったので覚悟はして当日会場に向かいました。
    案の定、会場には「イ」「ロ」の2列が最前にありAは3列目でした。
    それ自体には問題ないのですが、どうも「イ」「ロ」列は当日券や当日支払いの方が入っていたようで、2列目はほとんど埋まっていませんでした。
    クラシックでは最前列が良席とされないのは知っていますが、やはり演劇では前に行きたい人は多いと思います。
    それなのに。最速で抑え、支払いまで済ませた人の前にギリギリで駆け込んだ人や、空席が並んでいたのは気分がいいものではありませんでした。
    2)面会について
    関係者の方々が多く見に来ておられたのでしょうが、単純に舞台を見に来た人にとっては入り口を塞いできゃっきゃされているのは邪魔でしたし、舞台の余韻が台無しになってしまいました。
    気になった方がに声をかけられる状況でもなく、もやもやして会場を去りました。
    3)配役について
    直前にキャスト変更があったり、大変だったのかもしれませんが、せめて当パンに配役くらいは欲しかったです。
    気になった役者さんの名前がわからないです。
    ツイッターやフェイスブックで探してみても衣装と化粧が違うと印象が違って自信がありません。
    これから売り出して行く方も多いと思います。
    外部で見かけた時に、「あの時の!」となってファンが付くこともあると思います。
    配役表は今からでも遅くないので何処かに公開していただけませんか?


    以上、アンケートがなかったのでここに載せさせて頂きました。

  • 満足度★★★★★

    ネホリーハホリー☆
    (^^)/ 11月18日(金)の昼、町屋で
    [劇団東京イボンヌ]の、
    【酔いどれシューベルト】を観てきました☆
    面白かったです。
    最高の演奏、最高の歌声、最高のコメディ、
    そしてラストの感動☆
    これぞ、東京イボンヌの世界♪
    たっぷりと堪能いたしました!
    ブログに観劇日記を書きました☆

  • 満足度★★★★

    楽しい試み
    クラシックやオペラで目の肥えた方には物足りないのかもしれないが、
    生演奏や声楽家の歌声などに
    触れる機会が少ないものには心震える素敵な舞台。
    物語も判りやすくまとめられ、序盤の観客を引き込む笑いや仕掛け、
    そして徐々に高揚感を高め、物語の核心に引き込む後半の流れ。
    良くまとまった万人受けする感じ。
    主役のいしだ壱成さんはじめ、
    要所を力のある役者さんやアーテイストを据える事で、
    全体がスケールアップしまとまり感が出来ていた。
    演劇公演が日常に近づく一つのあり方として楽しめる一本でした。

    ちょっと残念なことはネタバレで。

    ネタバレBOX

    全体を通して演技のレベルや笑いのスキルが歪な感じがあり、
    演奏、歌、演技それぞれに善し悪しがはっきりしすぎ。
    特に役者陣はもっと頑張ってほしいと感じられる。
    酔いどれる理由、悪魔と契約する心理など、
    物語を判り易くハッキリ出すと、もっと気軽に楽しめる気がする。
    後半の死に直面する展開や台詞など、
    引き込まれる感覚が物語の序章にもほしかった。
    また、これは物語にも演出にも関係ない事ですが、
    制作運営のみなさんにはもっと頑張ってほしいかった。
    開演前のアナウンスなど、基本的なマナーはもっと徹底できると思う。
    開園直後も写真を撮っている人、マナーモードでバイブの音を響かせる人、
    終始当日パンフでペパーノイズをたててる人、
    近年まれにみるマナーの悪い人たちに囲まれた。
    個々の人たちも悪いが、
    もっと啓発啓蒙注意喚起で防げることがたくさんあると思う。
    せっかくの素敵な歌声も、熱い演技も、すべてが台無しなってしまい、
    とってももったいない事だと思います。
    制作運営のスキルアップも願います。
  • 満足度★★★★★

    クラシックと演劇の化学反応
    11/18日千秋楽。12時、15時公演WキャストA、Bを観劇。
    東京イボンヌさんの舞台は去年6月に
    スクエア荏原で上演された『俺の兄貴はブラームス』以来。
    今回は、シューベルトという事もあり、
    昔、音楽の授業で何度か聴いたことのある楽曲も多く楽しみにしていました。
    個人的にセレナーデに秘めたシューベルトの思いを表した舞台という内容に惹かれました。詳しくはネタバレBOXにて。

    ネタバレBOX

    12時回は当日券にも関わらず、運良く
    最前列に座る事が出来ました。
    個人的に思ったのは急遽追加になった席の様ですがチケットを郵送されて購入されている方もいるので、もし急遽席を増席するならA列チケットから繰り上げればいいのでは?とも思いました。
    いい席で観れたのは感謝ですが、既にチケットを購入されていて郵送料もあって当日券のほうが席がいいのはちょっと不満に感じる方もいらっしゃるかと思います。
    実際15時の回は最前にも関わらず空席もチラホラ。
    悪魔さん同様『ここ勿体ない』と思いました。


    セットは古めかしいbarのようなセットの中に一際目立つグランドピアノや譜面台などが置いてあり始まる前から期待感でいっぱいでした。

    開演の前にオケの方が前奏でチェロを弾いてくれていてこの流れが世界観に上手く引き込んでいたと思います。

    barで酔い潰れて寝ているいしだ壱成さん演じるフランツ(後のシューベルト)
    彼を見守るbarのマスターのロドリー、
    ウェイトレスのキャサリン、最愛の恋人クラウディア。

    売れない作曲家フランツはよくbarにきては落ち込み、愚痴を吐いて酔いつぶれる日々。
    そんな毎日が一転フランツの書いた曲が売れ出版社も決まり順風満帆に思えたフランツがついにクラウディアにプロポーズを決心。
    が、クラウディアはフランツを愛しているにも関わらず家族を養うためにお金持ちのバロンとの結婚をする選択をする。
    フランツは彼女を取り戻すために曲を書き続けるが現実は所詮作曲家。
    貴族に成り上がったバロンには力及ばず、、

    彼女への愛が曲を書く事でやがて憎しみになり、いい曲を書くために悪魔との交渉をする。
    それは1曲につき1ヶ月の寿命を悪魔に
    渡すということ。
    初めは『1ヶ月だけなら』という軽い気持ちが7年の月日が経ちその間にフランツは31歳という若さで600曲という曲を作り上げた。
    気づけば自分の寿命はあと1ヶ月まで迫っていた。
    最愛の恋人に自分が悪魔と交渉をして曲を作っていたこと、寿命が1ヶ月しかないことを明かすフランツ。
    『悪魔なんていないの。全部自分の中で起こってることなの』
    最期最愛の恋人に『愛している』と伝えるフランツ。眠るように息を引き取りフランツが最愛の恋人に贈ったセレナーデが流れる。

    二時間があっという間というかとても濃厚な時間に感じました。
    生オケの奏でる楽曲、声楽の方の生のオペラ、一度は耳にした事のある
    『子守唄』『アヴェ・マリア』『アイーダ』『魔王』『セレナーデ』という名曲の数々。
    オケの生演奏に俳優陣の熱演が加わり、見事な化学反応が起きていましたWキャストの舞台を2パターン観たのは初めての経験でしたが
    同じ脚本でも演じてが変わるとステージの雰囲気、動き、台詞がガラリと
    変わりまるで違う舞台を観た気分で新鮮でした。
    個人的にはフランツを演じたいしだ壱成さんの喜怒哀楽の変化、
    舞台の空気を一瞬にして変えてしまうオーラ、クライマックスの息を引き取るシーンは引き込まれ観入ってしまいました。
    まさにフランツシューベルトそのものでした。
    声楽家テノール高田正人さんの『魔王』の独唱は鳥肌もの。
    悪魔を演じた植本潤さんのキャラ設定も素晴らしかったです。
    クラシックに興味があるけど敷居が高いとかなかなか踏み込めない方には
    この劇団の作品はおすすめです。
    チケット代も5000円以上の価値のある内容かと思います。
    来年7月には大阪でいしだ壱成さん主演で舞台を行うそうです。
    楽しみです。

  • 満足度★★★★★

    良い!
    初演はDVDで観劇。本公演の観劇前にもう一度観て予習。カウンターの位置や天使の数,変更点はいくつか気づいたが,それ以上に印象が違った。そりゃあ,実際の観劇とDVDじゃ違うでしょう,って言われればそうなんだけど,やっぱキャストが大きく変わったのが大きいんだろうな。もちろん,初演も良いんだけど,本公演は効いたなぁ。印象に残りました。声楽家の方々も素晴らしい。聴き応えもありました。単身赴任先から休暇を取って戻ってきての観劇。休暇を取った価値は十分ありました。東京イボンヌ,次回作でもいしだ壱成をキャストで起用するとのこと。その公演も楽しみです。

  • 満足度★★★

    初日、Aキャストを観劇
    初日に観劇。
    私の観た日は、高田正人さん(テノール)が、魔王の役。声がいいし、歌もとても上手だった。
    きれいな話なのと、天使と悪魔の存在が面白い。
    悪魔役の人、面白かった。
    生演奏もあるし、声楽家が歌うのは、いい部分でもあり・・・な感じかな。
    あと、女優さんは皆さん、劇団員なのかな?上手な方が多かった。
    2名の降板があったようだけど、何の役が変更になったのか気になる。

    ネタバレBOX

    ちょっと思うところがあって、感想を投稿するのを少し待った。
    全体的には悪くなかったんだけど・・・でも・・・コメディ要素の挟み込み方が私は苦手。そこで?って部分や、しつこいなぁ~って部分。そこがイボンヌらしさなのかな?だったら私には合わない。

    当日配布の紙に、2名降板のお知らせがあった。1名は、特別ゲストで全公演出演の予定だったから、メインの役だったのかな。
    私は、割と直前に観劇を決めたけど、その時点ではこの発表は無かったと思う。その方々を目当てに観劇したわけじゃないし、どの役が変わったのかもわからないから構わないけど、こういうキャスト変更はよくあることなのかな。
    出演を楽しみにしていたキャストが、観劇時に変更されていたら嫌だなって思った。
  • 満足度★★★★★

    観応えがあった!
    「歌曲王」と言われ、生涯600曲ほど作曲したが、その曲が世に認められるまでの下積み生活が描かれる。劇団東京イボンヌはクラシック、演劇という独立したジャンルとは違い、その融合させるような公演スタイルである。その独特な公演はそれぞれのジャンルにおいて敷居が高いと思っている人々(観客)に楽しんでもらう、そんな試みを行っている。そこに描かれる世界...その描き方は、音楽曲だけでも、演劇の物語だけでもなく、主人公(本公演ではシューベルト)となる人物を通して見た人生、時代の背景・状況などを多重的に観せるところが魅力である。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、段差を設け、後方上手側(この劇団の特長、オーケストラをピットではなく舞台上に配置)に8人編成の楽団。下手側にピアノ(ピアニストは、音楽監督の小松真理女史)が置かれている。上手客席側は、バー・カウンターを作り物語の展開を促す場所としての役割を担う。舞台全体は焦げた平板を組み合わせたような壁・床で、その色彩は落ち着いた雰囲気を出している。そして、場面によって印象付を強調するため、照明を両方向から照らした際、両側の壁に役者の影が映り、妖(怪)しげな陰影(悪魔イメージ)が舞台上を被うようだ。

    梗概...シューベルトは恋人との結婚を望んでいるが、なかなか世に認められる曲が作れない。そんな悶々、苛立ちの中にある。一方、恋人は家族(父の医療費、妹達の生活費)のために心ならずも金持ちバロンへ嫁ぐことを決心する。シューベルトの落胆と恨み、そんな時、酒場に悪魔が現れ、美しい曲をプレゼントする代わりにシューベルトの寿命(1カ月)を縮めるという。悪魔の誘いに乗り、多くの名曲を残したが...。寿命があと1カ月になった時、恋人の真心を知り、また自分自身による作曲でないことへの絶望が切ない。

    さて、もともと悪魔などは存在せず、自分の心に巣くうもの。恋人はシューベルトのため神に祈っていたが、その行為こそ神との対話であるという。神も悪魔も自分の心の中。今まで作曲したものは全て自分の力であり、まさに命を削った結晶である。

    時代との関連というか...バロン(この名前から意識していることは明らか)とハプスブルク家を登場させ、金の力で名誉(男爵)が買える、貴族階級という身分制度への批判が垣間見える。音楽への純粋な取組姿勢との関係から見た時、別の意味で悪魔との取引(金の力ではないが)は苦悩と悔悟が付き纏う。ラストシーンは余韻の残る見事なもの。後世に名曲を残し、夭折したがその人生は充実したものではなかっただろうか。

    音楽...シューベルトということもあり、柔らかく優しい作品、またはパートを選曲しており、そのテンポは物語にマッチしていたと思う。先にも記したが、作曲家自身を題材にしているが、当然その作曲した音楽を演奏することになる。その意味で選曲と楽団編成が重要になっているが、本公演は声楽との調整・調和から8人編成もうなずける。

    最後に劇団東京イボンヌは、小劇場公演の活性化を目指しているという。東京を中心とした大都市圏だけの公演ではなく、条件があえば地方公演など演劇の底上げを期待したい。それこそ劇場に足を運んで、演劇・声楽・器楽の融合によって生の臨場感が楽しめるのだから。

    次回公演を楽しみにしております。
  • 満足度★★★★

    終盤の緊張感が舞台全体を引き締めた
    演劇とクラシックの融合をめざし、その接着剤としてコメディ的な要素を加えて公演を続けている東京イボンヌの『酔いどれシューベルト』の再演を観に出かけた。今回はダブルキャスト制を採用しており、自分が観に行ったのはAキャストの千穐楽。主演は、いしだ壱成。

    プログラムに出演者の名前のみ記されていて、配役の詳細が分からないのはちょっと残念。

    粗筋は、酒好きのシューベルトを巡って行きつけの居酒屋で起こる人間ドラマ。シューベルトは、好きだった女性が成金男(後に貴族に昇進)に嫁ぐのに耐えきれず、悪魔に魂を売って、売れる曲を量産すると共に、好きだった女性を恨み娼婦と遊ぶ生活に溺れる。しかし、その悪魔というのは実在せず自分の心の闇に過ぎず、好きだった女性は成金男と結婚しても心の中ではシューベルトを愛していることを知る。そして、悪魔が作ったと思っていた大量の曲も、実はシューベルト自身の才能によって生み出されていたことに気づく。しかし、時既に遅く、梅毒に冒されたシューベルトは愛する女性に看取られて息を引き取る。

    いしだの熱演と愛する女性のけなげで静かな秀逸な演技の合間に、ハプスブルグ家の親子や家来、悪魔、天使といった脇役達が適度な笑いを提供し、節目には楽器や声楽家による音楽が舞台を満たす、一種の総合舞台。ただし、終盤、特にラストシーン周辺では初期の東京イボンヌに観られた演劇による観客の心への訴えかけという動きが強く見られ、それが観客の心を掴んでいたと思う。

    また、楽器演奏者にも台詞や演技を求めたり、声楽家にも彼らにとっては初体験であろう類いの演技をさせた点は見ものであった。


    舞台後方に楽器奏者を配置し、舞台前方に大道具で居酒屋を作り上げ、奏者や声楽家を随時登退場させたシステムは、一連の東京イボンヌ公演では一番成功していたように思われた。

    役者陣では、いしだは別格として、悪魔役の役者の演技が光っていた。

    課題としては、スタートから中盤あたりにポツポツ感じさせるコメディタッチの演技の不十分さと間取りの悪さ。これが解消されると、全体的に舞台の密度も高まのではないだろうか。

  • 満足度★★★★★

    クリスマスに見たい!
    と思える程豪華な内容の舞台!
    オペラ歌手が痺れるような歌声を響かせ、うっとりする生演奏が流れ、演劇を堪能する・・・・なんと贅沢な!普段クラッシックには縁がない私でも存分に楽しめました。特にゲストのテノール歌手の高田さんは演技もうまくて面白かった。
    次の公演を楽しみにしていますが、開演後の入場は集中できないのでやめてほしいです。(切実)

  • 満足度★★★★

    【Aキャスト】観劇
    心の話でした。

    ネタバレBOX

    家族を養うために成金と結婚したクラウディアを生涯思いつつ、場末の酒場に入り浸りながら600曲以上作曲したシューベルトの心の葛藤を描いた話。

    1曲につき1ヶ月の寿命短縮というのが悪魔の出した条件で、結果50年程短くなって31歳で没。理屈は通っていますが、悪魔も天使も心の中のことというクラウディアの言葉が全てでした。

    心穏やかに死に臨めて本当に良かったです。
  • 満足度★★★★★

    愛すべき「歌曲の王」
    ベートーベンとほぼ同時代を生きた偉大なる作曲家シューベルト。
    “ヒット曲”を産み出すことの苦悩とクラウディアとの愛を描いた秀作です。

    ネタバレBOX

    シューベルトという作曲家はあまりに著名でありますが、その私生活について今まで深く知りませんでしたので非常に勉強になりました。
    本作品は作曲家としての苦悩と悲恋とに絞り込んだことにより、シューベルトの人間性が明確に伝わってきました。
    まずベートーベンに対するコンプレックス。“交響曲”で名をはせたベートーベンに対し、そこでの勝負はあきらめ、対抗手段として600もの“歌曲”を31歳で亡くなるまで産み出すという人間的な部分はとても興味深いものがありました。
    またクラウディアという相思相愛の女性が居ながら、貧乏ゆえ他の男に奪われてしまう悲しい人生を送ったということもわかり、彼との距離をとても縮めてくれました。
    主演のいしだ壱成さん、本当にうまさを感じます。先月別の舞台で全く違ったタイプの役を演じていらしたのを拝見し、素晴らしさを感じましたが、今回も完全にシューベルトが降臨していましたね。客席の隅々まではっきりと届く声、とてもいいです。
    ※余談ですが、最後にシューベルトの手がだらりと下がるところ、いしださん主演のTBSドレマ「未成年」と並ぶ野島伸司さんの「高校教師」のラストを思い出してしまいました。

    年末に聞くクラシックは最高ですね。心に響く演奏、ありがとうございました。
  • 満足度★★★★

    涙!
    シューベルトの悲惨な姿と彼女の愛に感動して、涙してしまいました。
    こういう葛藤があって、歌曲の王はたくさんの曲を産み出したんだなぁ、と。
    私は特に音楽に詳しい訳ではないのですが、聴いた事のある曲がたくさん出て来たのも楽しめましたし、シューベルトに興味を持ちました。
    それで、どこまでが実話なんだろう…とググったりしました。
    こんな風に音楽に興味を持てるのも、イボンヌさんの演劇の素晴らしい所だと思いました!

  • 満足度★★★★★

    AとB
    カーテンコールで高田正人が言っていたように世界的にも稀有な劇団、というのは、正鵠を射ている。昨今のオペラ界でも活躍華々しい、脂の乗りきった高田正人の言葉だけに重みがある。

    Aを見たとき「全く面白くない」と思ったが、Bを見たときに「この劇団がやりたいのはこれだろう」と確信。

    それにしてもAとBでこんなに差がつくことがあるのだろうか。正直、驚いた。
    Aの違和感はコメディセンスの無い俳優にコメディをやらせているところだ。
    Bの優れている点は、適材適所である。
    芳賀順子が素晴らしい。

    また、Bの中西勝之の歌には驚いた。日本にこんな優秀なバリトンがいるとは。Aの高田は普段テノールが歌わない魔王を見事に歌い上げたが、やはりこの曲はバリトンだろう。高田の持ち味は冬の旅に出ていた。これも素晴らしい。中西の冬の旅も心を打たれた。

    しかし、女性の声楽家のレベルの低さに少々驚いた。
    あれが劇団員ならこの劇団は団員として声楽家を抱える必要がないと思う。

    物語は初演を超えたと思う。(Bのみ)
    天使が二人というのは名案だと思った。

    初演の天使は一人だったこともあり長すぎると思ったが、今回は二人がかりでキレのあるテンポにしたことで飽きさせなかった。

    悪魔の植本潤は花組芝居の看板だけあって、一味違う。
    役へのアプローチが読めない俳優だと思う。演技プランも存在感も素晴らしい。

    いしだ壱成は東京イボンヌ2度目。前回の「俺の兄貴はブラームス」の時は、いしだ開眼と思ったが今回も良かった。劇団と相性が良いのだろう。ただ、映像のいしだと、舞台のいしだを観ていつも思うのが、映像のほうが上手だといこと。舞台になると繊細な演技が出来ないのか。もしくは演出家がコントロールできていない気がする。しかし、ラストにつれ、彼の持ち味が十二分に出ていた。序盤をしっかりと押さえればもっと良くなるはずだ。

    それにしても芳賀淳子という女優を知れてよかった。
    笑いを知っている女優だ。
    東京イボンヌの弱点は笑いの得意な俳優と縁がないことだと思っていたが、こんな女優がいるなら、是非、使い続けて欲しい。
    いずれ東京イボンヌの中核女優になるだろう。

    しかし、高田が言うように稀有な劇団である。
    このスタイルは、ありそうで実は他に類を見ない。

    今回の演出家はクラシック音楽をそこまで愛していないのではないだろうか?ふとそんな気がした。

    音楽をゆっくり聴きにいった客の一人としては、芝居部分を短くして、音楽を1曲につき5分は欲しい。

    今後、この劇団は、芸術監督の福島だけが演出をするのがベストではないか。もしくは、オペラの演出家にやらせてみるのも良いかもしれない。

    とにかく音に興味のある演出家と、笑いに興味のある演出家では、出来上がるものに天地の差がある。

    Bキャストは、思い切り笑わせて頂いた分、特に勿体ない気がする。音楽をもっとふんだんに使えるはずだ。

    シューベルトの即興曲のピアノ、せめて5分は聞かせないと勿体ない。
    グレート交響曲もだ。今後の参考にしてほしい。

    しかし、何はともあれ、この劇団に興味が尽きない。
    次回はいしだ主演のまま大阪公演?あのカーテンコールが本当なら楽しみだ。

    大阪公演も行くことになりそうだ。
    出来ればBキャストで行って欲しい。


















  • 満足度★★★★

    悪魔の名曲
    曲作りに悩むシューベルトが悪魔と取引して、寿命と引き換えに
    美しい曲を作ってもらう、という設定が良い。
    芝居と歌のバランスもよく、エンタメとして大変楽しめた。
    前半のぎこちなさ、特にコメディタッチの部分がやや無理くりな感じでもったいない。
    悪魔が登場してからは、その台詞とキャラの魅力でグッと舞台が締まって面白くなった。

    ネタバレBOX

    舞台上段は小ぢんまりしたオーケストラとピアノ。
    下段は町の酒場が設えてある。
    思うように曲が作れないシューベルトは、1曲でも出版社が買ってくれたら
    幼馴染にプロポーズしようと夢見ているが、思うようにいかず飲んだくれている。
    そこへ悪魔がやって来て「寿命と引き換えに美しい曲を作ってやる」と囁く。
    1曲に寿命1か月を差し出す、という条件で、彼は600曲の歌曲を始め
    多くの曲を世に送り出し、成功を収める。
    ところが幼馴染は、金のために好きでもない男のところへ嫁ぎ、
    シューベルトは彼女を恨んで生きることを決意する。
    やがてシューベルトの寿命があと1か月となったとき
    彼の望みが叶えられて、幼馴染と再会する…。

    シューベルトの幼馴染役の方、のどを痛めたか風邪か、苦しそうな声だったのが残念。
    でも静謐なエンディングはとても良かったと思う。

    前半が固く、台詞の応酬にぎこちなさが見られたのが、
    せっかくのコメディが客席を巻き込めなかった理由だろうか。
    役者陣は皆熱演なのに惜しい感じだった。
    それがガラッと変わったのが、悪魔の登場シーン。
    悪魔の台詞回しにキャラが乗って大変面白く、一気に惹き込まれた。
    悪魔が曲を作る辺りから、挿入される歌とエピソードがリンクして舞台が濃密になった。
    私は歌に関して素人だから専門的な事は判らないが、魔王の歌には豊かな表現力と
    “悪の道の艶”があって、ドラマチックな展開に相応しい華を感じた。

    “悪魔と取引した”と告白するシューベルトに、幼馴染が告げる台詞に説得力があった。
    「悪魔が作ったのではない、悪魔も天使もあなたの心の中にいる」
    その言葉に、音楽家としてのシューベルトはどれほど救われたことだろう。
    “作曲家として認められたいがために、作曲家としての魂を売った”ことに
    死ぬほど苦しんだに違いない彼が、最期にそれを聞いて安堵の眠りにつくシーン、
    思わず涙がこぼれるラストだった。

    私は初演を観ていないが、ストーリーが音楽家の本質を突いていて
    とても深く、面白かった。
    主人公のキャラ設定がもう少し繊細だったら、
    時折大声を出すだけでなく、台詞で表現されていたら、
    いしだ壱成さんの個性がさらに際立ったように思う。




  • 満足度★★★★

    楽しく観させていただきましたが
    オペレッタでもミュージカルでもない「喜✩歌・劇」を芝居とステージ演奏で楽しませてくれました。こういうスタイルのものがあっても良いのかなと思います。ほかの劇団で「オペラ」を題材にした作品を観たのですが、やはり「声楽と生演奏」も加わり新しい感覚で舞台を楽しむ経験をしました。ただ、「声楽」に縁し「オペラ・オペレッタ」「ミュージカル」で多くの舞台を経験してきた者としては、ある種の違和感など複雑な思いもあります。「音を最小限にする芝居」「音と動きを大きく使う芝居」を両極として様々な舞台があることは承知しています。毎年多くの作品を観る機会を持つ一人として書きたいこともあるのですが、ここでは語らないことにします。また、一日3回の公演もあり、連続されるキャストさんらは大変だったと思います。大変にお疲れさまでした。それから、作品の感想以外では、遅れて来た客への対応が気になりました。「演奏会」では遅れてきた客は休憩時間まで入れません。今回は休憩がないのでそれは出来ませんから、本来使用すべき「指定」の席ではなく(遅れてきたのだから)「一定の場所」を決めておいて、(納得を得て)そこに静かに誘導すべきです。遅れず席につき舞台を注視している私たちに配慮がありません。もちろん、遅れてくる客に問題があるのですが。そのほか、場内対応のスタッフに少し気になる言葉遣いがありました。何気ない咄嗟の反応から出たことと思いますが、私には不快感が残りました。貴団の更なる成長・発展を願い記します。

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