仮想したい顔 公演情報 仮想したい顔」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 2.0
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★

    この人たちって。
    大阪の劇団なのよね?あの松本とか浜田とか浜田の妻の出身地なんでしょ?
    その割にはオトナシい劇団でした。
    大阪の劇団って関東のワタクシのイメージでは、まさに樹海レベルに磁場が狂ってて、ツーといえばカーみたいなパラダイスな人たちばかりなのかと思ってましてん。

    以下はネタバレBOXに。。

    ネタバレBOX

    ですから、芝居の内容としては壮絶なクライマックスもなければ、「実は人間じゃないんだ!」みたいな驚愕な顎が外れるくらいの事件性もなかったですねん。

    んじゃ、何がどうなってどんなストーリーなのさ?って聞きたいはず。
    村田堂本舗の方たちは。

    観客は自分達の芝居をどんな風に観てくれたんだろう?
    とか、
    何か感じ取ってくれたのだろうか?
    とか、
    とってもとっても気になるはず・・。はず!(^0^)



    で、ワタクシが感じた筋は

    太郎(山本玄太)と三郎(山川勇気)の二人が小さい時に、遡る。
    二人が時計の針を一時間ずらした事が原因となって来るはずのない電車に轢かれて、ばあちゃんが死んでしまった。
    その事実が二人の心に大きくのしかかり、お葬式当日も、とても後ろめたくて、おじさんの顔もまともに見られなかったのだった。

    そのおじさんから、カキ氷アイスを貰って食べた。
    だけれどそのアイスの味なんて分からなかった。
    ただただ食べた。大きな口を開けて流し込むように食べた。
    頭がキンキン痛かったけれどもそれでも食べた。

    そんな過去の出来事を大人になった今でも思い出し自責と後悔の念に囚われて夢をみたりする。
    だから、太郎にとってカキ氷は特別なものでカキ氷に執着してしまう。


    この物語は一軒の家のコタツから始まるが、登場人物の全員が上手く生きられない、いわば不器用な人たちなのである。

    婚約者から逃げてきた女、それを探す男、好きな同級生に告白できない女子高生、その同級生は別の同級生を好きだという男、オンリーワンに拘る女子学生、家庭教師で彼と別れた女、働かない三郎、自堕落な太郎。

    その登場人物たちがやがて太郎の静かな環境を侵し、いつのまにかそれぞれ勝手にざわつく。
    「静かにしろ!」とブチ切れる太郎だったが、この侵入者たちはちょっとは静かになるものの相変わらず太郎の家で晩御飯などを食べるのだ。

    それでも太郎は出て行けとは言わずにおおらかに他人が勝手に泊まっていったり、この家に集まったりして混ざり合うのを傍観している。

    やがて、一人二人と帰っていき、茶箪笥にしまった封筒に入れた現金まで盗まれる。おじさんの娘だといっていた女には嘘をつかれ二重三重に痛い目に遭うが、ここの兄弟は笑って寛大に許すのだ。

    太郎の唯一つの癒しは三郎でありカキ氷なのだが、物語の主軸が弱いのだ。
    だから、観客は何が言いたかったのか?どうしたかったのか?理解できないのだ。
    言いたい事はこれです!みたいなストレートな表現を入れるとカラーはもっと濃い色になると思う。
    またそうしないと怒涛の劇団ラッシュの中で生き残っていけないのだよ。

    学生という社会人の一つ手前の頃って淡い表現が好きだとは思うが、芝居が自分達の掲げる表現の場なら、観客の心に訴えかける直球も必要なのだと思う。

    過去と現在のチェンジの仕方をもっと解り易く表現するといいかもしれない。

    舞台で挨拶をした後、駆け足で入り口まで来て、客だししていた姿はとても真摯な態度で好感がもてました。

    もうちょっと練り上げた作品を観てみたい。
    キャストはひじょうに濃い面々です。

    次回はカラコン目だけ青い異人も異人が、赤い靴はいてた女の子とかかなりの勢いで連れ去りそうな壮絶なクライマックスを見せてください。(^0^)







  • うーん
    話の流れが少しわかり辛かったような気がします。もうちょいどうにかできたんじゃないかなあ~とか偉そうに思いました。
    でも役者さんが個性ある魅力的な方々ばかりでした。学生であの役者さんたちが集まるのはすごいと思います。

  • チーム力
    大阪からやってきた(半?)学生劇団。コメディではないけれど、おかしみのある脚本や演出をする劇団とか。
    実際見てみたらその通りで、色々欠けている家族を描いているのに、あたたかいトーンで物語は進行する。
    作品についてはネタばれに書くとして、見ていて思ったのはそのチームの結束と和気藹々さ。これは「甘い」とか「思い出作り劇団」とかじゃなく、いい意味で信頼関係や楽しみっぷりが滲み出ていたなぁ、と。
    今回はほぼスタッフ・キャスト兼任、キャスト全員が村田堂本舗オリジナルメンバーだったということで、それが出ていたのかも。そしてその学生劇団らしさ若者らしさは決して卑下するものではないと思った。

    ネタバレBOX

    中盤の「映画見る」といって稲川順二の映像が流れる件が最高に面白かった。他にも小ネタ、ほんのりとしたおかしみ演出のキレ味が鋭い。面白い。
    役者は全体的にアンサンブルで見せていく芝居。息が合っていて、各個人も役に慣れていて安定感がある。
    演出として、暗転&ピンスポしながらセットの中の時計を進めることで時間の経過を表現するのは面白かったけど、そうやって時間を飛ばすシーンと、そうでなく時計に触れずに時間を飛ばすシーンがあったせいで、逆に時系列がわかりにくくなってしまった感がある。
    物語としては、「仮想したい顔」というより「(現実のぬるま湯で)溶けるか溶けないか」がメインテーマになっていた気がする。結局、カキ氷とかアイスが話の中心に座っていた。多分、書いていてさゆりの役が大きくなってきたんだと思うけど。
  • 満足度

    凍りついた世界
    こういう舞台を前にして、僕は、何を思えばいいのだろう。こんな風に完結した世界にあって、僕ら観客は、必要だったのか。なんとなく、無力感にとらわれて、途中から、逃げ出したくなった。

    ネタバレBOX

    大阪芸大出身の劇団「村田堂本舗」。4年間で公演8回。今回が9回目、初の東京公演。随分、長くやっているし、場数も踏んでいる劇団なのである。してみれば、「長くやる」ということは、前進するということと、必ずしも結びつかないどころか、歩みを止めるということにもつながるのかもしれない。

    とにかく、不思議な舞台である。本人たちは大真面目にいい話のつもりでやっているのじゃないかと思うけど、どことなくヘンな日本語や演出効果のおかげで、結果、無駄にシュールな仕上がりになっているのだ。狙いなのか?

    例えば、小道具の時計が進むとき、普通は暗転の間にこっそり進めたりするのだろうけど、この劇団の場合、暗転するけど、なぜか時計にスポットが当たる。そして、手動とおぼしきぎこちなさで、針が、するすると進んだりする。なぜ、それを観せるのだろう。謎は多い。他にも、登場人物にスポットが当たって、観客に向かって、その場面における自分の心理を説明したり、舞台の進行状況を、小道具の移動ひとつに至るまで、逐一教えてくれる親切さが、非常にシュール。

    こういう感覚、どこかで覚えたな、と思ったら、夏の夜の夢の、ボトムたちの芝居だった。ライオンが人だと分かるように、壁が壁だとわかるように、ボトムたちは、ライオンには「私は本当は人です」と、壁には「私は壁です」と語らせる。村田堂本舗の舞台は、あの喜劇的なシュールさに満ちているのだ。ひとりがテンパっていることを示すために、突然全員が舞台に出てきてよくわからないダンスを踊りながら、なぜか折り鶴をばらまくシーンに至っては、ボトムたちを超えた、とさえ言える。

    でも、そんな彼らは、舞台に対して、非常に真摯にとりくんでいるのである。だからこその、あの演出なのだ、きっと。舞台の後で、出口に並んで見送りまでしてくれたし、プログラムがカラーの力作だったり、公演を楽しんでいるのは、痛いほど伝わってくる。

    だが、どうやら、公演を行うことが楽しくて、自分たちの舞台を客観的に観ることは避けられてきたようだ。演技、演出、作劇、あらゆる面にわたって、ヘンなクセが、そのまま、場数を踏むごとに、強化されていったのだろうと思う。そして、この独特の世界は、そのまま時間を止めていて、彼らが大学を卒業した今も、劇団ごと、自己完結している。観客が必要ないほどに。

    今回の物語は、支離滅裂なところがあって、よくわからないけど、たぶん、ニートの青年が、出会いを通じて、実家の外へ出るはなしだった。作者にも、どこか、自覚があるのかもしれない。学生のまま完結し、凍り付いた、彼らの舞台の世界は、東京へ出て新たな出会いを経験することで、溶けることがあるのだろうか。希望は、ただひとり、エネルギーに満ちた柔軟性を感じさせてくれた、今井志織さんに、あるかもしれない。おおきなお世話だろうけど。

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