満足度★★★★★
物語を遡らせるからこそ、ラストが際立った作品。
幸せな笑顔があんなに怖くゾワッとしたものに見えるとは、やられました。
照明、美術が素晴らしく絵画のような場面もありました。
俳優陣も魅力的な実力のある方ばかりで、贅沢な時間でした。
満足度★★★
通常でいうところの物語の結末から逆に遡っていく展開。積み重ねるのではなくひとつひとつ取り除いてのぞき込んでいくような感じ。凄惨な場面から段々と屈託がなくなる登場人物達が逆に切ない。これはどういう意図での作劇なのか、是非谷さんに伺ってみたい。上手前方の席だったのですが、下手から当てている照明がちょっと目に入って気になりましたが、それ以外は美術も照明も美しかった。大人の鑑賞に耐える作品だったと思います。言うまでもないですが、俳優陣はさすがの一言でした。
満足度★★★★
鑑賞日2016/09/19 (月)
倒叙型で進んで行くストーリーが、謎解きのソレではなく、より人間性とは何かを考えさせるツクリに成っている。この辺りの原作の凄みを余すところなく戯曲で表現するところが流石の谷賢一。演出家、戯曲家としての懐の深さが凄い。
満足度★★★★★
美しき絵画
役者がいい!実に味のある芝居を魅せてくれる。これだけのレベルの方たちではないと演じるのが難しいと思われる作品。木場さんの円熟した演技、銀粉蝶さんの体から滲んでくる感情表現も見応え有り。奥村佳恵さんの危うさ
、浜田学さんも魅力的だ。
でも、それだけイイ役者がいても私の一番の印象はセット!
両サイドは暗闇のまま、その額縁の中のそれを観ている。何でもなさそうなシンプルな空間がものを言う。最初の血を思わせる真っ赤な照明、ラストの真っ白な明るい照明、斜めに入る陰ですら一枚の絵を思わせる。ひとつひとつの空間を絵画のように描くセット。そこには簡素なテーブルと椅子があるだけなのになんと意味有り気で美しいことか!ただただその美しさに圧倒されてしまった。
ストーリーは二人が死んでしまった所から始まり、徐々に時間が遡って行く
たいていの場合、始めに結果が有り、その後にストーリーが始まる。これは逆戻りしていく作品。なのにその説得力は半端ない!ひと場面ひと場面が
繋がれた絵画のようで、実に美しい眺めだった。その一枚一枚に込められたひとの感情や想いも、しっかりとそこに封じ込められたように感じた
満足度★★★★★
やり直しはできないのが、人間
ゾラの翻案だそうですが、自然主義の劇ではない。第一、舞台上の時間が場面ごとに遡る「反自然! 」です。役者さんはやりにくいーー見ている方も腑に落ちにくいーーだろうが、凄惨な場面から生き生きした表情・振舞いに戻っていくのはさすが見事。また、装置の変更もこれといってないのに、照明と相まって、血塗られた現場からファミリーの平凡な室内に印象を変えるのも力技です。東京芸術劇場にふさわしい実験的な舞台と思います。観客に「なぜ、どうなってるの」と迫り、挑発的でもありました。面白いです。(時間が戻っているのに気付かず観劇できていたら、かなりお気に入りの不条理劇と思ったかも)
満足度★★★★
心理の根底にある怖さがむき出し。
凸型のステージ配置、舞台に映える灯りはかなり控えめ。場面が切替るごとにメリハリの効いた色使いの衣装と次第に分かっていく会話、オープニングから衝撃が走る展開だが、この逆回転なやり方は演じる方も上手い人達だから出来る見せ方なんだなーと。
母親の存在感、愛情が破滅へ向かうまで、脳が痺れるような舞台だったけど堪能。
今は亡きベニサンピットで上演されていたような舞台気分になった。面白かった。
約90分。