満足度★★★
ストレートプレイ+α
芝居塾、主に若者の参加で成る「参加型」の企画では、「完成」が形として見えるダンスや歌が中心にあるのが熱が入りやすい。今回はストレートプレイで「演技」の課題に若者らは挑戦した格好だが、「音楽」としては彼らはオープニングと芝居の途中、そしてラストにストンプ風の「演奏」をやる。掃除道具などの物を集団で鳴らす「音」は、この芝居が犬猫の殺処分を行う保健所(今は別の呼称だろうけど)を舞台に、(対動物に限らず)人間のエゴ、身勝手さを声を荒げず描出する内容なのに呼応して、言葉にならない心情を「音」に乗せ、力強かった。
問題の、若者たちだが、拙さは当然見え隠れするが、巧まず滲み出るキャラや表現がその分をカバーして余りある、かどうかは別にして、このストレートプレイに貢献していた。
80分。
満足度★★★★
力作だが弱い部分もある
同劇団の代表作なのだそうだが未見。しかも今回は、演劇塾ということで若い(高校生~20代)の役者を多数入れての公演で、大分テイストが変わったのだろうと思う。本紹介にある「説明」は登場人物の一方側からの観点で、初演はこちらだけが登場したのだと言う。今回は、上記の事情から他方側の観点を入れたことで、対比が分かりやすくなった分、焦点が少し惚けた感があり勿体ない。それと、登場人物の造形がやや濃やかさには欠けてしまい、みんなこんな人達なのか、などと思われていたら、それも残念なことである。とは言え、テーマも描き方も代表作と呼ぶのに相応しいものではあると思うし、音で場面を転換する技術も面白い。エンディングは圧巻とも言える。力作である。