満足度★★★
テーマが混沌としている
7日午後、下北沢のGeki地下libertyで上演されているJOHN DOES Produceの第一回舞台『SENーRITU』を観てきた。これは、知人の役者・麻生敬太郎が出演していた関係からである。ちなみに、この公演の目玉は元猿岩石の森脇和成の出演かもしれない。
あらすじは、おおよそ下記の通りだろう。
原発スラム出身でオーディションに合格し、今は有名なシンガーになった女性が、スラム時代からの知り合いで今はマネージャーである男と、かつて自分が生活し今は廃墟となっているスラムを訪れ、かつての生活を思い出すことから舞台は始まる。そう、その回想シーンが舞台の中心なのだ。
中国マフィアから警察が押収した偽札製造のノウハウを記録したUSBメモリーを老警官がヤクザに横流しし、それをヤクザの一人が組織から持ち逃げ。それを奪回して中国マフィアに戻すという、警察、ヤクザ、マフィア、そしてスラムの荒くれ者たちによる四つどもえの葛藤劇。恋愛あり、友情あり、家族愛、組織愛、そして騙しあいに裏切り。暴力と優しさ。その中で音楽に打ち込む女性。結局、その抗争の中で多くに人間が傷つき、死んでいった。
女性の歌う歌をバックに・・・・・
そんな回想をしていた女性は、マネージャーの声で我に返る。そして誓う。歌うこと、そして自分が生きてきたスラムの生活とそこに暮らしていた人々のことを忘れないと。
テーマが壮大かつ混沌としていてわかりにくい部分が見られたこと、そして話の展開に余談的なシーンが多すぎる傾向にあったこと。歌手を目指す女性が歌うシーンが数カ所あったが、歌の音程が悪くせっかく盛り上がるシーンが停滞してしまったこと、出演している役者にキャリアの差があって演技にそれが出てしまっている点など、この劇団の1回目の公演としてはつきものの諸問題があぶり出された舞台と言えるだろう。
全体的な話の中でのクライマックスは、女性がオーディションで気分の気持ちを語るシーンだろうが、盛り上がりに欠ける何かが足りない。そしてもう一つのクライマックスは抗争主たちが死んでいく戦いのシーン。これはちょっとアッサリと人が死んでいきすぎ。
話の内容をもう少し厳選して内容を凝縮する必要がありそうだが、その責務を負うのは脚本だろう。
BGMにキーボードの生演奏を取り入れたというのは、この劇場の使い方としては成功していたと思う。立体的な舞台の使い方もベター。特に目立った役者の名を挙げるのは難しいが、シンガーを目指し夢を現実の物としたヒロイン役という立場の女性を演じた香月ハルの名前を挙げておこう。
それにしても、タイトルのSEN-RITSUだが、自分はてっきり戦慄かと思っていたのだが、見終わって旋律か?という思いが。いや、おそらく作者の思いは、旋律と戦慄の意味を兼ね合わせたくてローマ字表記にしたのだろうね。
満足度★★★★
良かった
始まりは少しハード系な始まりで、しばらく内容が理解できずにいたのだが・・・
だんだんと状況が分かり始めると同時にはまってしまった。
本筋の差別や貧困はあるのだが、若い子達の夢、希望、恋愛等の部分は笑いあり涙あり歌ありそして生演奏ありでかなり楽しめた。
残念なのはこちらの劇団さんだけではなが、観客が開始時間に入ってくる人が結構いること。今回もそうだったが、そのせいで始まりが遅れるのはいかがなものかと。最近観劇のマナーがなっていない人が多いのが・・・
満足度★★★★
発想は良いが、その表現が...
場内に入った途端、そこは廃墟。そして不安を掻き立てるような水滴の音。タイトル...「SEN-RITSU」であるが、漢字にすると「戦慄」と書く(もうひとつ「旋律」もあり、こちらは主人公の名が...)。国家認識の欠如、アイデンティティの喪失がもたらした結果、表記が カタカナ になったかのようだ。
本公演は、日本という国が舞台であるが、日本人は少なくなり、中国、韓国といった他国の移住者が其々の地域エリアを形成している。そのエリア抗争を軸に友情・裏切・恋愛といった青春群像が観られる。一方、暴力・略奪、そして殺人という非合法行為が日常茶飯事のディストピアの世界観も描かれる。そんなダーク・バイオレンスドラマである。
この芝居でいくつか気になるところも...。
(上演時間2時間)