満足度★★★★
川上友里さんに尽きるかな。
川上友里さんは、はえぎわの「飛ぶひと」を観たとき、何か今ひとつだったので、そこまで期待してなかったのですが、最初のモノローグからスッと引き込まれ、もう全身全霊で演じられてる役にずっと魅入ってしまい、何とも言えない居心地の良い空間で舞台を楽しませてもらいました。
セックスレスがネタの話ではあるのですが、ただそれだけに収まらず芝居に出てくる人たちの愛とか思いとか気持ちとか…それらのベクトルの微妙なズレから来る切なさとか苛立ちとか悲しみとか、そんなもの感じましたぁ。
まあとにかく川上さんは役にぴったりで思いのほか良かったです。
舞台装置(周囲をぐるりと囲んでいた、あの小物たち。。)も良かったです。
モダン水マーズについは、どの部分に魅せられてるのか自分にも良く分からないんですが、生理的に好きなのでしょう。
次も多分、観に行くと思います。。
満足度★★★★★
蓬莱隆太の新作。千秋楽
ストレートプレイが画素数的に高質で、またそれでなければ表現できない微細な心情(変化)を捕えて構成されている、上質な例として「悲しみよ・・」を観た記憶が、今回も蘇った。
主人公の多喜子を「囲い込んでいる」他人の作為が彼女自身の世界観の投影でもある、と唱える他者と、そうではないと主張する主人公の闘いは、最もありがちなドラマのパターンでは主人公が折れてそれで成長して云々と陳腐な展開となるが、そうならないのが蓬莱作品ならではの鋭さだ。
この劇では多喜子の被害感情も込みで「願望」を貫く事が即ち一つの解答である、という結末になっていた(と思えた)。ブスである事の現世的な報いを甘受してきた彼女は、周囲の配慮には感謝せねばならないマイナス出発の現実への違和感を、ついに表明する。不当さに対する不満に固執することが、彼女にとっては、闘うべき闘いをたたかい、勝つ事でもある。「分かりの良い人間」にはならない・・言葉にならないこだわりに、泣きつ乱れつつも、徹しようとする姿に、涙した。
彼女の中で、あるいは、彼女と周囲の関係に、変化は起きる。変わるべくして変わったのか、解釈はいかようにもだが、この変化があったのは彼女がある正直な感情を「捨てず」「徹した」からである。つまり、変化(望ましい)そのものより、自我を捨てない態度のほうが、重要なのだ。
とにかく役と俳優の親和性が完璧と言えるほど高く、ストレートプレイとして「再現の正確さ」が実現されていた。 「惚れた」と真実告白する旦那からはセックスレスの理由を聞かされず、その夜二人の関係が修復する、そのきっかけも何か決定的な要因を示している訳でもなく、「旦那の物語」としての説明は不足しているが、さほど気にならない。
このドラマの普遍性は、容姿ゆえに差別される不条理に触れた所にある。「人間、容姿じゃない」という安易なメッセージは最後まで出さない。安易なメッセージというのは往々にして、低きにある者の事情に配慮せねばならない「面倒さ」を免除するために発される。
一方、この芝居では文字が映写され、「その瞬間まで○時間前」などと表示される。その瞬間が何であったかは最後に判る。フランス同時テロである。パリ行きを2日前に控えていたカップルが存在する事で、この事件は物語に絡むが唐突である。が、その事も含み込む「物語」の広さはどこから来るのか・・・川上友里の存在が浮かび上がる。ユニークな俳優だが、今回の俳優の布陣の中ではいやまして、ユニークさが際立つ。戯曲世界に生かされているのか戯曲を生かしているのか、千秋楽、劇世界の要で、周囲を生かしていた。
尾を引きそうだ。
満足度★★★★
セックスレスの話とあったが…
モダンスイマーズの前回作品「悲しみよ消えないでくれ」にいたく感動したので、今回も劇場に足を運んだ。
多喜子と一貴はセックスレス夫婦だったが、あることをきっかけに多喜子が意識するまでは、たいした問題ではなかった。友人夫婦(クリスチャンである必然性があるか?)や姉とそのマネージャー、担当編集者とアシスタントらによって多喜子の抱えている根深い問題が暴露されていく過程が、ち密に描かれていた。
川上友里、過去ははえぎわで一度観ただけだったが、かけがえのない個性を感じる。
満足度★★★★★
観てきた!!!!!
表面上は和やかなのだけど、その会話の下に隠れるトゲやギスギス感がとても生々しかった。
過去のトラウマだったり、容姿へのコンプレックスだったり、夫への不満だったり
そういったものを抱えたまま、だましだまし日々を送る多喜子。
ある事件をきっかけに徐々にそれらが表層化していって爆発する。
その感情の変化が静かに激しくて、とても印象に残りました。
全体的に重苦しい雰囲気なのだけど、結構笑えました。
マネージャーの細田くんがいいキャラしてますね。
あと、千恵子役の生越さんの透明感がある雰囲気が良かった。
前回もでしたけど、暗転なしで自然と始まる演出、結構好きです。
モダンスイマーズさんの作品はチケット代がとても良心的。
毎回、このクオリティでこのお値段でいいのかしら?と思ってしまいます。
満足度★★★★
愛というあやふやなもの・・・。
抱えに抱え込んできた主人公多喜子の葛藤が、一枚の似顔絵をきっかけに舞台の上にぶちまけられた。
いいぞ、もっともっと吼えろ!と、彼女を応援し、そしてとてもせつない。
ホント夫婦ってなんだろうね。
あんまり考えたこと無かったけども、しみじみ考えちゃいましたよ。
満足度★★★★
赤裸々だけど、ピュアな話
性格BUSU女(でもないんだけど)のウィークポイントをこれでもかっ、てくらい抉られる会話に、遠からず近からずの距離でアダルトチルドレンの昼メロ見てるような生々しさもあったけど、終わってみれば、ああ、だからこのタイトルなのか、と納得。
この手の演劇を見たあとは、自分語りをしてしまいそう。でもってウザがられそうなんで注意しようと思った。
約100分。