鈍色の水槽 公演情報 鈍色の水槽」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★

    ミステリアスだが
    ミステリー仕立ての一種のファンタジーなのだけれど、何か冗長な感じがもったいないと思った。設定に少し無理を入れているのはかまわないし、個々の場面も丁寧に作られているとは思うのだけれど、これだけの長さが必要なのか、という疑問が湧く。ミステリーだからといって説明的にならずに、思い切ってしまっていたら、役者達の力演がもっともっと活かされるのではないかと思う。

  • 満足度★★★★

    ロデオ☆二度目
    十七戦地舞台「花と魚」+1、ロデオ前作「幻書奇譚」と同作者の舞台をみて、今回。いずれもミステリーの構造に、独特なオチ、それが成立するための世界観や思想についての劇中の議論。総じてそれなりにしっかり「落とす」手腕と、現代人にとって関心のあるテーマについて議論を試みるあたりに、一定の才能を感じる。
     コンパクトにまとめ、そのタイト感がよかったりするが、今回は「説明しきれてなさ」が勿体なく残り、いま少し粘って書き込んでよかったのではないか、と思ったりした。それはそれで良さが削がれてしまうのかも知れないが・・。

    ネタバレBOX

    人間と他の生物の異種交配による子が、人間らしく生きているなら、彼と人間の交配による子はもっと人間らしく生まれてくるだろうから心配ないんじゃないか(もっとも次はイルカ側に近いかも知れないが)・・と、考え始めると荒唐無稽なフィクションではある。
    ただ、種の境界(ひいては様々な境界)を乗り越える、というテーマが流れているので、もっと過激な展開・・周囲の者も「異種愛に目覚めて行く」とか・・があっても良いのでは(一つの比喩であるので)、とも。
  • 満足度★★★★★

    鈍色
    十七戦地の柳井さんが書く大胆な設定と、
    ロデオのお二人の繊細で息の合った芝居がグッドバランス。
    人の骨格を持つ人魚が打ち上げられるという、このあり得ない設定が
    次第にリアルな色合いを帯びて来るプロセスが素晴らしい。
    ファンタジーを面白くするのはいつも人間の“裏の顔”だが、
    人魚のそれが秀逸。
    映像が美しく巧みで、ファンタジーらしい雰囲気と妖しさを盛り上げる。


    ネタバレBOX

    光村海洋生物研究所は、三陸海岸沿いの港町の水族館跡地に建てられている。
    港では最近漁網が破られたりする被害が出ており、研究所も対策を迫られている。
    研究員たちが白イルカの仕業ではないかと考えて対策を練っていたところ、
    ある日その白イルカを捕獲したという知らせが入り、研究所は沸き立つ。
    水槽に入れられた白イルカを調べていくうちに不思議なことが起こる。
    ”人魚”と名付けられた白イルカが人間をコントロールするような出来事が続き
    やがてそれが30年前に起こった事件と奇妙な一致を見せ始める。
    町の誰もが口を閉ざす30年前の出来事とはいったい何なのか・・・?
    さらに、何かを知っているらしい館長の秘密は・・・?

    冒頭、研究員である天野司(澤口渉)が夢の中で
    イルカトレーナーの舞原(音野暁)と語り合ったあと、
    タイトルと出演者名が映像で流れるのが大変美しい。
    チラシの写真と同じイメージがゆらゆらと立ち上る映像は
    このストーリーの根幹を成すものだ。

    未知の海洋生物が人間の生活を脅かすというテーマは「花と魚」とも共通するが
    今回はそのかかわり方が全く違う。
    人魚には感情があり、人間を翻弄するしたたかさがある。
    明確な意図をもって陸に近づき、目的を遂げて戻って行く。
    その理由を知ると、この物語がラブストーリーであり喜劇であるとも思える。

    “登場人物”として白イルカ=人魚は、巧みな映像によって映し出されるだけなのに
    ある種の「人格」を持っていることが、このファンタジーの核になっている。
    そして驚愕の真実を聞かされた司が割とすんなりそれを受け容れるので
    観ている方も「まあ、本人がそれでいいならいいですけど」的に納得してしまう。
    こと人魚に関して納得させる所以は、澤口さんと音野さんの自然な感情表現である。
    ことさら熱弁を振るったり思い入れたっぷりなわけではない。
    ゆったりとしたテンポで、観ている私たちも彼らの心の動きについて行く。

    司の夢と現実の行き来が、重なったり同時進行したりという
    かなり自由な構成であることなどを考えると、
    けっこう強引な作りとも思えるのだが
    つまりみんなが信じてしまえばファンタジーは成立するということだ。
    「うっそだぁ~!んなわけないじゃん!」と言ったらおしまいなわけで。

    朝倉洋介さん演じる同僚研究員のキャラなどが魅力的なので
    温かなラストまで惹きつけられる作品。
    館長を演じた関根信一さん、いつもながら達者だが、
    火サスの愚かな母親みたいなキャラはあまり似合わない気がした。
    理性と緻密さで自己をコントロールできる女を演じると
    硬軟の加減が絶妙なんだな。









  • 満足度★★★★★

    人魚の正体は…!
    上演時間105分。
    受付&開場は開演の30分前。

    チケット事前予約していたら、
    その旨と劇場への道のり案内が書かれたメールが前日に届いていて、
    親切でした。

    ファンタジーと現実味が絶妙に混じりあっていて、あとをひきます。

    ネタバレBOX

    過去と現在がいわゆる「夢渡り」的に交錯しているのかと思いきや、
    さらにもう一捻りしている演出にワクワクしながらの105分でした。
    あっという間、とは思えませんでしたが、
    長いなぁとも感じない、充足感と満足感のある体感時間でした。


    オープニングの、ある登場人物をサイコメトリーしたかのような演出、
    キャスト名の出現する際の映像効果の美しさに惚れ惚れしました。

    ちょいちょいと笑える(内容はふざけてないけど)シーンもあり、
    大人げない大人の大人げない姿も観られて楽しかったです。

    封印とそれを解く人物の関係、
    過去と未来の重なり、
    言葉に反応する視界外の人物など
    細かく作り込まれた見せ方で
    1回でもガッツリ満足ですが
    複数回観劇にも対応した作品だと思いました。

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