満足度★★★★
色あせない三島由紀夫
宮本亜門が熱望して実現したという舞台。初演時にできなかったのは、カンボジアの演者たちとの共演だろう。オープニングはそこから始まるのだが、やはり三島由紀夫が描いた世界観は、当地の人たちの姿があってこそ鮮明になるのだと思う。
主役の鈴木亮平が見事だった。鍛えられた肉体はいかにも三島のイメージ通りではないか。対照的な二人の王妃を演じた倉科カナと中村中にも注目だ。
舞台が成功しているのは、やはり宮本亜門の演出が最大の要因。影絵をうまく使った王妃の心理戦は印象的だった。