タイトルロールの若い女性と、その父の後妻(継母)との対比鮮やかな愛憎ドラマ。涙した…。リストフ・ロイ演出は洗練かつ雄弁。抽象化された白い箱の中で物語が展開し、閉塞感と開放感の両方が際立って、空気が濃密。スマートに可動する装置でメッセージが明確。
約百年前の作品だけど衣装は現代風。描かれる世間、親子、男女は今とぴたりと重なる。黒装束の継母(ジェニファー・ラーモア)はまるでブラックホール。負の感情を吸い込み爆発させる。自分を追い詰め孤立する姿が切実で、演技にも歌にも感動。音楽は人物の心情に沿うタイプで優しく温かい。無音の時間は演劇的効果絶大(私は音楽には全く詳しくないですが)
1904年チェコ初演のヤナーチェク作曲オペラで、演出はドイツ人。出演者の国籍は独、米、伊、日。チェコ語で歌えるオペラ歌手は貴重とのこと。2012年ドイツ初演版キャストがほぼ揃った贅沢な国際共同製作。オペラは国境を越えるのが前提なのだなぁと今さら改めて感じ入る。
満足度★★★★
強い愛で再出発!
複雑な親子関係に微妙な従弟の兄弟関係が絡み嬰児殺しに発展。
話はドラマティック、チェコ人指揮者トーマス・ハウスの間の取り方とその演奏も美しい!(チェコ語上演)
特に、第3幕の盛り上がりは出色である。
歌手陣はコステルニチカ役ジェニーファー・ラモ、イェヌーファ役ミヒャエラ・カウネ、ラツァ役ヴィル・ハルトマンが際立つ。
広い舞台を活用することなく、箱枠の白色の部屋に窓、ドア、テーブル、椅子を置いた簡素な舞台セット。場面に合わせて部屋を広さを変えての演出。
個人的にはこのクリストフ・ロイの演出は好みではない。
役者は舞台の真ん中にいることが少なく、左側端の演技が多いのが目立つので左サイド端は観づらいと思う。