オーファンズ 公演情報 オーファンズ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.4
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  • 『オーファンズ』は日本でよく上演されているそうです。私は2000年に一度だけ拝見。言葉と人間関係をじっくり味わうことができました。じーんと体から湧き上がってくるように「いい戯曲だな~」と思えたのは、戯曲そのものの良さはもちろん、演技、演出で世界を緻密に作り上げてくださったからだと思います。

  • 満足度★★★

    疑似家族に赤い靴
    孤児の兄弟と中年男。共同生活が始まってから変化する関係。
    外の世界に興味はあるが病弱のため憧れだけで暮らす仔犬のような弟の行動と純粋さ、その弟に時には暴力的な愛情しか出来なかった兄の粗野で抑圧されたような日々、彼ら2人の場面では見ているうちに次第に心が傷む。
    孤独の穴を埋めるように接し、孤児としての経験者として語る中年オヤジのハロルドが案外慈悲深い。
    「父性」という資質を持った話と感じたが、以前だったらなかなか素直に行動には出来そうにないことも、今のイクメンと呼ばれる人たちなら抵抗なくやってのけそうで、その辺も日本人の意識が変わっているんだろうな、と話とは関係なく思ったりして。
    谷さんの翻訳セリフも馴染みやすかった。

    2時間ちょいの舞台なのに休憩が入るのは海外戯曲のお約束なのかな。

    ネタバレBOX

    気がつけば高橋和也さんが良い塩梅のシブ中年になっていた。
    劇中「息子」と発言していたが、彼らの年齢はいくつぐらいだったんだろう。兄20代前半、弟10代後半くらいだったのかな。

    都会の廃屋で暮す2人兄弟。兄は窃盗などで生活費を稼ぎ、何もできない弟は一日中部屋の中でテレビが友達。弟が隠れて勉強をしているのがわかると、怒り暴れ、母親の形見の靴を外に投げ捨てたり。何もそこまでせんでも。
    ある日、兄トリートがてっきりお金持ちと思い誘拐してきたハロルド。一匹狼のヤクザであるハロルドは、兄弟の部屋を自分の隠れ家とし、彼らを支配下に置いて住み着いてしまう。

    疑似家族のような関係になり、ここでの父=ハロルドが、靴の紐が結べない病弱の弟にデッキシューズの存在を教え買い与えたり、ツナ+マヨパンがご馳走と思い込んでいる彼にいろんなご馳走や新品の洋服を与える。地図を見て外の世界に憧れを持たせるなど、ハロルドから知恵と教養、嗜好、肉親以外の愛情を学び、生きる楽しさを覚える弟フィリップ。
    裏稼業ではあるが手伝うことにより、お金も順調に稼げるようになり、機嫌は上々。が、同じようにスキンシップを欲しながら、すべてを晒すほどハロルドには近寄りがたく心のどこかで拒絶する兄トリート。
    ある日、地図を手に一人で散歩に出かけた弟。弟が留守とは知らず、日が暮れて帰宅した兄。弟が不在とわかると家中探すが見つからず、とてつもない孤独感に襲われ部屋中荒らしまくり、母親のコートを抱きしめながらいつの間にか眠ってしまい、そこへ帰宅した弟の手にしていた地図を引き裂いてしまう。ハロルドに教えられているうちに一人で出来るようになりつつある弟に、兄は自分が必要とされていないと自覚させられた間でもあり。
    兄弟が言い争う中、ハロルドが帰ってくるが、ジャケットの中は鮮血で覆われ、瀕死の状態で倒れこむ。2人の間で息絶えるハロルド。苦痛、激痛、衝動、トリートの弾けた絶叫で終演。
    かつて孤児だった男たちは母の愛に飢えたまま成長してしまったが、ハロルドの死は兄弟の将来も暗示しているとも思った。
    ブイヤベースの話を聞いた時の弟の「僕はもういらない、食べない、僕は戦わない」と言うセリフが、争うことしか知らない兄と対照的で印象深く、「怒りがこみあげたら10秒数えて冷静になれ」と言うセリフは実生活でもそのような事態になったら実践したいと思う。


  • 満足度★★★★★

    見事な舞台だった
    ライル・ケスラーの名作である。あとは舞台の三人が宮田慶子さん演出でどう、これをこなしていくか。

    結論から言うと、想像以上に見事な舞台だった。特に、柳下大さんが非常によかったのではないか。パンフレットによると、この演目は、彼が宮田さんを口説いて実現させたという。その意気込みがびんびん伝わってきた。彼はもう、単なるイケメン俳優だけではない。一皮むけたのではないだろうか。

    ハロルド役の高橋和也さんはさすがの貫禄だ。見ている方が引き込まれる演技を展開している。もう一人、病弱の弟役平埜生成さんも、しっかり存在感を示していた。柳下の豪快さに負けることなく、一歩一歩自立へと歩んでいく姿を見事に表現していた。

    若い二人をして、これだけ完成度の高い舞台に仕上げた、宮田さんの腕前もお見事でした。

    ネタバレBOX

    舞台が終わったとき、私の席の後ろの女の子が号泣していた。会場はたぶん、柳下大さんらがお目当ての女性で大半だったと思うが、好きな俳優が出るから見に来たというお客さんだから余計に、号泣させる力がこの舞台にあったのではないか。
    つまり、それだけ3人の俳優に、客席を物語に引き込む力があったということである。
  • 満足度★★★

    母性は動かなかった
    この作品には初めて出合った。とても良い脚本だと思う。が、出演者は孤独になれていない方たちなのか?表面的にはかなりの熱演に見える。しかし、この脚本に込められた想いや感情の揺れ、そういうものが芯まで体に入りきっていないようで・・・期待したほど心に響いてこなかった。もっとしっかり役が入っていたら、母心はあの子達を抱きしめてあげたいという衝動が湧き上がっていたのではないかと思うのだが・・・。母性は動かなかった。

  • 満足度★★★

    孤児の生き方!
    宮田さん好きそうな戯曲で”教育”という視点から”ピグマリオン”を連想しました。
    教育を受けていない、愛情を知らない、世間を知らない、人間を知らないということは、すべてにおいて”節度”がないとに繋がる。
    節度がないということは人間としての理性がない感情的な動物ともいえる。
    それを元孤児でシカゴのギャングの親分だったハロルドが二人の孤児に教えていく。
    アフタートークの若い二人のトークは残念ながら、この芝居についての深い話ではなく、ただの雑談に終わった。やるからにはしっかりした司会者が必要で客が何を求めて残っているか汲み取るべきだ!

    ネタバレBOX

    ハロルドが殺された後の二人の孤児がどうなるのか、今の生活から抜け出すことができるのか、スッキリしない終わり。
  • 満足度★★★

    戯曲の
    設定上、あの兄弟はいくつなんだろう?おつむの足りない弟の振る舞いはコントにしか思えないんだけど、周りは結構すすり泣いてたなぁ。

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