ルチアの首吊り 公演情報 ルチアの首吊り」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    お見事!
    ストレートプレイっつーことだから、あまり期待はしていなかった。
    だって、なんとなく地味でつまんない感じがするでしょう?

    ところがどっこい!

    右脳左脳を刺激しまくり。
    まるで大人向けの童話を読んでる感じ。
    非常にレベルが高いです。
    そんでもって本が素晴らしいです。

    「ハーメルンの笛吹き」って、ご存知でしょう?正義感があるようで、実はあんな怖い物語ってないでしょ。
    それに似た後味のする物語です。

    演じてる役者もレベルが高いです。
    検事は殆どしゃべりっぱなし!
    よくもまあ、あんなにセリフを覚えた!とマジびっくりです。。


    まるで裁判を見ているような情景で言葉を巧みに使ってお互いの深層心理を追求します。


    この手のお話が好きな方にはお勧め。
    いあいあ、久しぶりにコロンボ刑事を見ているような感覚になれました。
    ダークコロンボ!(^0^)




    公演中なのでネタバレBOXに。。

    ネタバレBOX

    物語は残酷な童話を書くことで知られる作家の山・田(やま・だ)が、検事の取調べを受けている場面から始まる。。

    平林特別養護学校の児童七人の担任をしていたデン(作家の妹)は兄の童話を間違って解釈したうえに勝手に物語を繋ぎ合わせて、プールの底には綺麗なお花畑があると児童に思い込ませ、水死させてしまう。


    普通と違うちょっと変わった個性を持つデンは、つねに妄想の世界に住んでおり現実の世界に居ながらメルヘンの世界の住人なのだ。

    このデンの吐く言葉が妙に哲学的でリアルで面白い。。

    一方で検事も副検事も神父も高橋も、作家以外はみんな精神的に病んでいて狂っているのだ。

    作家が検事に向かって言うセリフ「あなたも悲しい人なんですね。」と。

    そう、みんなが過去のトラウマを持って現在まで引きずって生きており、全員が悲しくてオカシクテ切ないのだ。

    検事は定時で仕事をあがりたいばっかりに、作家を無実の罪で死刑に処する。

    作家はデンを守るため、自分の作品が死後百年は処分されないことを条件に、デンの身代わりとなって理不尽な死刑判決を受け入れるが、約束は無残に裏切られ作品は焼却される。。

    かくして妹デンは何の罪の意識もなく今までどおりメルヘンの世界で生きる。

    検事は「理不尽ななものは理不尽のまま、終わらしたほうがいい。無実の罪をきせたのは分かっているがそうでもしないと検事にはなれない。」と副検事に説教をする。。

    人の輪から外れたニンゲンの鬱の部分を追求し徹底的にコメディ仕立てにした作品、底辺からスタートした作品なのである。。



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