手のひらを 透かしてみれば 公演情報 手のひらを 透かしてみれば」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★★

    自然なセリフ
    同じ空間で生きているかのような人間たちのセリフでした。
    あらゆる疑惑、出世、
    男の思惑と女の気持ちがすれ違う切なさ。
    もっと長く観たかった、と思いました。

    ネタバレBOX

    最後、急に抽象っぽくなって
    戸惑いましたが
    主人公とその恋人は見あっていて(見つめあっていた、とはあえて書きません)
    それがすごく印象的でした。
  • 満足度★★★

    テンポの良い台詞の応酬がいい
    たぶん、相当きちんとした練習を積んだのだろう。
    台詞自体も丁寧に吟味したあとが伺える、言葉がある。
    しかし……

    ネタバレBOX

    受付の対応からこの団体のきちんとしたところが感じられた。
    全体的に落ち着いている印象で、(やや)大人の劇団という感じがとてもいい。

    さて、作品だが、丁寧に作られているのがよくわかる。
    役者の台詞のやり取りがとてもスムーズでいいのだ。
    単にスムーズというのではなく、会話としてのテンポが小気味いいのだ。

    きちんとした演出により、練習を重ねてきたことがよくわかる。
    そして、台詞自体もとても言葉がいいのだ。
    時間をかけて吟味したのではないかと思わせる。

    しかし、残念ながら、内容に深みを感じられない。


    一見、彼を取り巻くさまざまな出来事についてをテーマにした作品に見えてしまうのだが、そうではない。

    つまり、これは、シャッター商店街の生き残り策の話でもなく、結婚、恋愛の話でもなく、ましてや日本のエネルギー政策や、イラン、イラクの中東の戦争の話ではない。
    つまり、主人公の心のありようを、それらを通して描いているのだ。

    スムーズな会話は、主人公の心情をよく表していたことに気づかされる。

    自己中心の主人公は、会話はスムーズで淀みがない。
    そのことは、彼の頭の回転の速さを表しているのと同時に、「何も考えてない」ことを表していたのではないか。

    つまり、話を合わせているだけで、自分にとって「利」があるかどうかが大切なのだ。

    商店街の人と一緒にやって行こうと行った口で、会社の方針だからと彼らを切ってしまう。
    それは、一見、“会社の都合なので”という理由で述べているようで、本当のところ、商店街の人のことを本気では考えてなかったことがわかる。もちろん、“仕事”としては、本気で商店街を海外にアピールして良くしたいと考えていただろう。しかし、“彼自身”が本心からそう考えていたのではなく、あくまで“仕事”だったのだ。

    友人から会社の不正を聞かされ、それに荷担しない選択をしたのも、友人や会社、ましてや社会のことを考えたのではなく、自分のことを考えていたにほかならない。
    だから、エネルギー関連の上司からの誘いには喜んで乗るわけだ。
    恋人との関係も同じ。

    結局、「人を簡単に切り捨てることができる男」の話なのだ。
    それは、詰まるところ、主人公、いや現代人の、心のありようの問題だと、この作品は言いたいのだろう。

    とは言え、「何言ってるんだ。深刻なのは、お前ではない」と主人公に言いたくなるほど、彼はイヤなヤツだ。
    主人公にかかわった3人は、本当に大変なことになっている。彼らの言葉は、実は主人公自身の心の声ではないか。

    主人公は身勝手に彼らを切り捨て、勝手に苦悩している。
    自分自身のそうした姿に苦悩しているようには見えてこない、という部分で作品のテーマを見せることに成功しているとは思えない。

    現代人の心のありようの問題であれば、彼の姿は我々自身なのだろう。
    イヤな醜い姿が我々なのだ。
    そう感じさせてほしかった。

    冒頭のモノローグは、役者自身が気持ち良さそうなだけで、イマイチ伝わってこなかった。
    ラストのモノローグは、先に書いたとおりに「何言ってるんだ。深刻なのは、お前ではない」という感情が出てしまい、苛ついてしまった。

    モノローグなんていう安易な方法をとらずに、台詞のやり取りだけで、見せてほしかった。
    戯曲の感じや演出の丁寧さから感じる、この作・演の方の力量ならば、それを十分にやれると思った。

    ……一点、主人公と恋人との会話で「こらぁ」っといいながらぶつ真似をしてみせるという、あまりと言えばあまりのシーンには、観ているこちらが赤面してしまったが(笑)。
  • 満足度★★★★

    -
    始まりは現実的すぎていやらしく感じた。終わりは抽象的、内面的で好み。途中の変化をもっと見せてほしかった。

  • 無題1614(15-303)
    19:30の回(曇)。

    18:50会場着、受付、19:00開場。

    奥にソファ、手前にデククと椅子(ノートPC)、周囲には椅子(足元に皿、CDケース、升(?)、ビン...天井から吊ってあるものも...)

    19:28前説(アナウンス、75分)、19:33開演~20:41終演。

    男&4人の登場人物、4つの関係のお話。頻繁に場面が切り替わるもののお話のトーンは同じ。照明が抑え気味なこともあり、少し単調に感じてしまいました。

    劇的なことだけが「劇」ではありませんがとても普通。天井も、オブジェも、電球も、素材としての見せ方は普通で、効果があったのか疑問。

    みんな素足である必要はなかったのでは?(場面によっては不自然)


    観た公演:
    土田さん「息を止めるピノキオ(2013/5@DECO)」。時田さん「お暇をこじらせてⅡ(2015/1@アゴラ)」「さくらの会-太宰 治『女生徒』より-(2013/11@やわらぎ)」「アドバタイズドタイラント(2012/1@d)」。植田さん「ダンス専科2014(2014/4@セッションハウス)」。北川さん「十二人の怒れる男(2011/5@DECO)」。

  • 満足度★★★★★

    アザデガンとアフガン戦争の本当の意味
     このタイトルでピンとこないようでは、いかにも日本の政治音痴ではある。だが演劇は無論政治ばかりではない。先ず、舞台美術のセンスの良さに驚かされた。椅子が天井から斜めに吊り下げられている。その間にフィラメントが透ける電球がほぼ等間隔にたっぱ位置をずらしつつ規則性を持って吊り下げられている。板上には、矢張りバランスを考え抜いて何気に置かれた椅子など。

    ネタバレBOX


     商社勤めの恩田は、シャッター商店街化した地域の活性プロジェクトに関わり、抜群の距離感と庶民性を装う巧みな力で関係する企業からの信頼も得ていた。彼の会社で唯一気の許せる同僚は、金栗である。金栗は、良く彼の住まいも訪ね、彼女との関係についてもよく知る。信じられないことだが、社会人としてできた稀有な友人である。恩田の彼女は、普通の子。彼との結婚を望んでいる。恩田も、本気で考えている。
     一方、恩田の上司である海野は、安倍商事のエネルギーを担当するエリート部署の次長で、恩田に目を掛けている。だが、彼が中心になって進めるイラクのプロジェクトでは、安倍商事の出資金が英国に本社を置くTTKシステムズの関連企業、ICH社という軍需産業を中心に発展してきた企業に流れているという噂があった。金栗は、真実を確かめ為、資料を集め、疑義を直接海野に糺す。海野は一応淀みない答えを返すが、事態は悪化する一方だ。(初日が終わったばかりなので、ネタバレはここまで。以下蛇足)
     当然のことながら、現政権下の不甲斐ない我々の異議申し立てと、某アメリカのパシリでしかない安倍の暴挙を批判的に作品化しているのだが、アザデガンにしろ、アフガン戦争の本当の理由にしろ、某アメリカはバカな国であるから、力だけで押して、結果的に世界をテロの横行する、中国に漁夫の利を与えるなど、アホなアメ公にとって、自らの地獄に近い世界に変えることによって安心を得るという非常に歪な形にしてしまった。当然のことながら、現在、ヨーロッパなどに押し寄せている難民の85~90%は某アメリカが引き受けるのが筋である。だって、某アメリカこそ、彼ら難民を生み出す原動力なのだから。因果応報は当然のことなのである。彼らが例えどんなに独りよがりに神に選ばれた国の国民だなどと抜かそうが関係ない。神とは、彼らが信じたがっているように総てを創った造物主などではなくて、人間によって作られたイマージュに過ぎないのだから。彼らの論理の根拠そのものが嘘なのである。
     

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