満足度★★★★
居心地の良さ
田窪さんのお芝居はいつ観ても、この時間、空間にここに居られることの心地よさを感じる。そして何度でもここに帰ってきたくなる。
今回もそんな思いにさてくれるる作品でした。全体的にゆっくりした流れの中で物語が進んでいき、幕間の暗転も少し長めなのがいい。(その間に流れるショパンのピアノ曲の物悲しさよ。)
妻に先立たれた初老の作家と彼のもとを巣立っていく三人の娘たち。夕日の差し込む書斎で一人、彼は何を想う・・・、てな感じでしみじみとした味わいを感じさせてくれる。
台詞の中で、人生について語られ過ぎの感はあるが、「いやー、たまにはこんなストレートな芝居もいいではないか。」と思わせてくれるのが座☆キューピーマジックのお芝居です。
満足度★★★★
しみじみと…
「妻と死に別れた初老の小説家。 突然の喪失感に彼は戸惑います。 そして三人の娘たち。」の説明から、映画・小津安二郎監督作品を彷彿させる。
実際、物語に大きな起伏はなく、日々の生活が淡々と描かれる内容・雰囲気であった。平凡な日常の中にこそ、小さなドラマがあるのだろう。そんな断片を切り取った瑞々しさに好感を持った。人生の経験を積んだ”大人向け”の奥行きのある内容だが、父親と娘の心情交流がもう少し描きこまれても良かったと思う。あくまで父親の身の回りと娘三人の置かれた状況に対する悩み・葛藤という別々の流れになっていたようである。もう少しリビング(書斎か?)という舞台設営を利用して父とそれぞれの娘が向かい合う場面を見たかった(二女が恋人を連れてきたのが唯一の場面)。
本当に清々しい公演で好感が持てました。